猫額洞の日々

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カテゴリ:読書ノート( 2446 )


2017年 08月 30日

(1)岡本綺堂・他『見た人の怪談集』10/15篇+鹿島茂のレヴュー

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 全短篇15作(中篇に近いものもある)を摘まみ読みして、
10篇読了。
 帯には
<一番こわい話。/いやな感じがひたひたと、/圧倒的に怖い話。>
とあるけれど、読む怪談って怖いだろうか? 目の前で語られたら、
怖いかもしれない。

 子どものとき読んだ『バスカヴィル家の犬』は、とても怖かった。
けれども、あれは怪談ではなくミステリと呼ばれる。大人になって
読み返すと、大人だから当然そくそくする怖さは来ないで、ただ
荒れ果てた風景の描かれ方に惹かれるものがある。

 最後から二番目の収録、池田彌三郎『異説田中河内介』は、
< 田中河内介(たなかかわちのすけ)の話をしかけた男が、
 話し終えずに息絶えたという怪奇な話は>と始まる。

 徳川夢声によれば、その話があったのは向島・百花園である。
しかし、池田彌三郎の父によるヴァージョンでは、京橋の橋向こう
の書画屋・画博堂(がはくどう)でのできごとで、彼(父)自身が
そこに居合わせた、実見聞である、という。スペイン風邪が流行
した年とあるから、1918年か1919年だろう。

 お盆のころ、画博堂に集まった、いつもの連衆が怪談話に興じて
いると、
<誰からどうして聞いたのか、見なれない男がやって来て、私に是非
 話をさせてくれという。
 [略]
  その男は、田中河内介が寺田屋事件のあとどうなってしまったか
 ということは、話せばよくないことがその身にふりかかって来ると
 言われていて、誰もその話をしない。[略]
 本当のことを知っている人が、だんだん少なくなってしまって、
 自分がとうとうそれを知っている最後の人になってしまったから
 話しておきたいのだ、と言う。>

 ところがこの男の話は、前置きが終わり本題に入ろうとすると、
最初に戻ってしまう。

<河内介の末路を知っている者は、自分一人になってしまったし、
 それにこの文明開化の世の中に、話せば悪いことがあるなどと
 いうことがあるはずもない、だから今日は思い切って話すから、
 是非聞いてもらいたい。というところまで来ると、又いつか始めに
 返ってしまって[略]>(p261-263)埒が明かない。
 つい、林家三平の繰り返されるギャグ、<いづれの御時にか〜>を
思い出すが。

 ところが、一座の人々がそれぞれ用事で呼ばれて中座し、ちょうど
誰も聞き手がいなくなったときに、その見なれぬ男は死んでしまう。

 田中河内介・怪談(怪異)は実質的にここから始まる。波紋を描く
ように妙な話が連鎖し、怪談のパターン分析で終わる、なかなか
すてきな(怪談)話である。


     (岡本綺堂・他『見た人の怪談集』 河出文庫 2016初 帯 J)

8月31日に続く~



 鹿島茂による自由への道(岩波書店)レヴュー。
 彼は、<成熟拒否の若者たちをアホロートルと命名している>
が、レヴューは__

<若き日に読んだときは成熟拒否の弟マチウに肩入れしたが、
 いまでは兄のジャックが一番まともに思える。社会の全員が
 マチウになり、ジャックがいなくなってしまった時代だから
 かもしれない。新しい光源から光が当り、二一世紀的に蘇
 (よみがえ)ってくる二〇世紀の大作である。>

__と結ばれる。

 これは<時代が一回転したせい>だけでなく、読み手側の
成熟ないし加齢という条件があるからではないかしら? 
 内田百閒が漱石『虞美人草』について、かつては馬鹿にして
いた小野清三を、今ではその小心さを正直さと受けとめる、
とかいうようなことを書いていたと記憶するが。
 あるいは山田風太郎が、現在を末世ととらえる老人を、
なあに、ご当人(の肉体自体)が末世なのだと、からかって
いたのも思い出す。




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by byogakudo | 2017-08-30 20:29 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 08月 29日

フレーザー/佐藤智樹 訳『エイブヤード事件簿 死利私欲』読了

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 どんな話だったかは覚えてないが、『汚名挽回』『陰画応報』
も読んでいるようだ。自分のブログを読み返しても、何ら記憶に
引っかからない。すごい。

 作者と合わないって書いていたのも忘れきって買ってしまった
のは、ジャケット・デザインの賜物だ。
 まあいいじゃないか、一晩それなりに楽しんだのだから。静かな
田園地帯だからこそ、小さな生態系だからこそ、底流にうわさ話
の花が咲き誇り花束として束ねられ、その内圧エネルギーが殺人
事件を起こすというパターンである。

 ニュースを見ていると、田舎で殺人事件が起きる度に、TVは
近所の人々の口から、
「こんなに静かな土地なのに」と言わせたがり、住宅地で起きて
犯人が分かれば、
 「おとなしそうな普通の人なのに」と言わせたがる。
 人間が住んでるから殺人事件が起きるのだ。南極大陸で起こす
のは、かなり難しい。


     (フレーザー/佐藤智樹 訳『エイブヤード事件簿 死利私欲』
     講談社文庫 1980初 J)

 

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