猫額洞の日々

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カテゴリ:アート( 143 )


2017年 02月 08日

合田佐和子『90度のまなざし』出版記念展

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 小伝馬町で地下鉄を降りる。みうらじろうギャラリーでの
合田佐和子『90度のまなざし』出版記念展が2月12日(日)
までなので。

 彼女の展覧会は何度か行っている。目的を持った外出をしない方
だが、よく見に行ったアーティストだ。見ると嬉しくなって(絵が
買えないのは残念)、あれもこれも欲しいと、カタログや絵はがき
やノートを買う。

 たいてい在廊されていて「あら、ありがとう」と言われたり、
渋谷のアートスペース美蕾樹を夜、なんとなく訪れたら__
ふらふら歩いていたら灯りが見えたので、上がって行ったの
だろうか。酩酊期の85年頃だろう。__、越生さんと二人で
来場者の名簿チェックとか、個展の事後処理みたいなことを
されていた。昆虫の標本箱などを用いたボックス・アートの
展覧会のとき。

 今回は、目を描いた作品がずらりと並ぶ。ハイキーに画面が
飛んで、ほとんど色彩が反転しそうになって際どく留まって
いたり、目がしらが延びてかたつむり様の器官が生えたりする
絵を見ていると、彼女の存在が親しく感じられる。
 彼女がもう地上にいない? ちょっとランチに出かけている
だけ。もう少ししたら戻ってこられそうな気配だ。

 ひととなりと作品とが、ぴったりするアーティスト。彼女は
ここにいるし、ここにいた、ずっとここにいる。


     (合田佐和子『90度のまなざし』出版記念展
     @みうらじろうギャラリー 2017年2月8日)





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by byogakudo | 2017-02-08 21:09 | アート | Comments(0)
2016年 12月 21日

(2)桑原弘明展~ツァイト・フォト・サロン~『タテイチクロワク 尾仲浩二写真展』~喫茶 ミモザ

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 16日(金)とほぼ同じコースを、伊呂波文庫さんと、三人で廻る。
やたらと暖かいが、今日は冬至。

 桑原弘明展から始め、明日で閉廊するツァイト・フォト・サロンへ。
尾仲浩二氏の上海だったかの写真が好きだ。開かれた窓に陽が射し込み、
窓枠の格子が床に影を落とす。窓の先には川と対岸の建物がかすむ。淡い
カラーがすてきだ。
 Sが、師岡宏次かと思った、ケルテスのモノクローム。雨降りの東京風景
もよかった。

 奥野ビルへ。銀座奥野ビル306号室(↑写真)が開いていたので拝見。
外観がまだ清掃中(?)で見られないのが残念だが、伊呂波文庫さん、
奥野ビルを喜ばれる。階段の親柱(?)の木の彫りの仕上がりのよさ、
306号室では、鏡の張られた両開き扉の取っ手が、上の戸棚と同じ金具
で揃えてあること、扉と戸棚の境に空気抜きがあったり、横に引いて
開け閉めする入口にガラリがあったりすること等々を愛でられる。

 中松商店『タテイチクロワク 尾仲浩二写真展』。直線だけでできた
木の椅子上に、黄色い檸檬ならぬ柚子が一個、燦とかがやく。

 昭和通りを渡る。近代建築シリーズ、次は銀座レトロギャラリーmussee
と思ったが、混んでいるので今日はパス。来年早々のMUSEEexhibitions
「銀座、次の100年のためのスタディ展」川崎ブランドデザイン100周年事業

に行かなくちゃ。

 喫茶 ミモザで休憩。満員に見えたが、三人分の席があった。
 アーティスト風の若いひとや、中高年の、近所の会社員みたような
男性や女性が絶え間なく入れ替わる。パリのキャフェとおんなじ。

 年末は実質、29日(木)まで。
 「30日は、もういらっしゃる方もないので、お掃除に来るだけです。
お正月は、官公庁と同じ、4日(水)から始めます」と、マダム。
 「よいお年を!」
 まだ二、三度しか行ってないのに、すっかり、昔から知っている喫茶店
みたいな気分になってしまうのは、マダムたちの人柄だろう。

 近代建築シリーズは続く。鈴木ビルを見てから、元・築地川/現・高速道路脇、
マスキュランな丹下健三・旧電通本社ビルを横目で見ながら右折して銀座方向へ。
 「歌舞伎座、村野藤吾では、なくなっちゃってるよね」などなど。





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by byogakudo | 2016-12-21 21:49 | アート | Comments(0)
2016年 12月 16日

(1)桑原弘明展~『タテイチクロワク 尾仲浩二写真展』~喫茶 ミモザ

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 失った猫の空白が埋まらない。ひと月経ってますます空白が拡大する。
今週は気をつかう用事が続き、神経がささくれ気味でもある。だから(?)、
冷え込んでいるけれど銀座に出かける。

 地下鉄・京橋、下車。
 まず、GALLERY TSUBAKIでの桑原弘明展。小さな穴から覗き見る光景の
大きさ、精密さに圧倒される。今回は4点の展示だが、ひとつずつが見る行為に
集中させる作品(1点でも、目と脳が処理しきれないくらいの情報量)なので、
4点で疲れ果てる。
 岩窟の青空が好きだ。丸みを帯びた岩窟の荒れた岩肌、その下部には十字架
の上端とキリストの頭が少し見える、そして岩窟の上方に開いた穴から、究極の
青空がキリストの昇天を待つ。
 文 巌谷國士/作品 桑原弘明『スコープ少年の不思議な旅』(パロル社 2006年
第2刷 帯 J)を買う。

 次は銀座一丁目、奥野ビル...あれっ、見当らない。1ブロックを一周して、
やっと外装工事中のネットに覆われた奥野ビルに到着。313号室、中松商店
での『タテイチクロワク 尾仲浩二写真展』
 小さな空間と小ぶりな作品サイズとが呼応し合う写真展だ。小型のフランス装
写真集がすてきなので買う。

 奥野ビル1階、入ってすぐ左手に骨董店がある。以前通ったときも(↑写真の)
猫の置物に目を奪われた。今回は勇を鼓して入ってみる。
 Y'sARTS。目眩くオブジェ群だ。おそらく生まれて初めて、暖かい懐を持って
ないことを悲しむ。

 銀座に来たら、喫茶 ミモザで休もう。わたしたちが"東の東京・三大喫茶店"
と呼ぶ喫茶店のひとつだ。もう二つは、新日本橋のラフレッサ下谷神社近くの
COFFEE ヤマ
。(同じ好みの方もいらっしゃるなあ。)
 ミモザのマダムはいつものように優しく丁寧に、
 「風が冷たくなりましたから、お気をつけてお帰りください」。
 





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by byogakudo | 2016-12-16 21:24 | アート | Comments(0)
2016年 11月 22日

藝大に行く(Robert Frank: Books and Films, 1947-2016 in Tokyo)

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 24日(木)が最終日なので、展示作品が燃やされる前に、やっと
上野に行った。
 もっと早く行くべきだった。欲しかった「南ドイツ新聞」の
フォーマットに則ってデザインされた、というカタログは売切れ
ている。

 会場がぴったり。九段会館も思い出させる、東京藝術大学大学
美術館 陳列館
だ。
 写真は、二階への階段踊り場の壁に投影されたシネマ。

 作品は廉価な新聞用紙に印刷されている。会場は、入場料・無料
(フリー)、会場内での作品撮影・無制限(フリー)、最終日に作品
を焼却するパフォーマンスで会期を閉じるので、作品が作者と観客と
から遠く離れた市場で、高価格の取引対象になることを拒否する。
 ビートニク!

     (Robert Frank: Books and Films, 1947-2016 in Tokyo
     @東京藝術大学大学美術館 陳列館
     2016年11月22日)





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by byogakudo | 2016-11-22 20:52 | アート | Comments(0)
2016年 09月 17日

銀座で写真展3カ所を廻る

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 写真展3カ所はきついかもしれないが、銀座に出る。大通りは
ひとが多いし退屈なので、できるだけ内側に入りながら昭和通り
方向へ歩く。銀座レトロギャラリーMUSSEの企画展「アール・
デコの時代 古写真で垣間見る1920-30
」に行こうとしている。

 昭和通りを超えて銀座1丁目辺り、新富町が近いこの辺りは、
1ブロックを占拠する大ブランド・ビルに浸食されてない、銀座
らしい銀座、自営業の銀座が残っている。(銀座はもう1丁目か
8丁目寄りにしかないのではないか。)

 そんな界隈にミモザ喫茶店があった。路面店なのに、半地下の
ような感じがするのは、低めのドアや天井のせいかしら。初めて
入ったここも、なつかしい喫茶店だ。女性店主の声質に、望月典子嬢
を思い出す。ある時代の東京の働く女性たちから聞かれる、張りが
あって甘く、しゃんとした声だ。

 「昭和39(1964)年からやっています。9月21日で52周年
なんですよ。この辺も小さなお店がたくさんあったのに、バブル
経済のとき、たたんでしまわれたところが多くって」
__東京物語、銀座物語を伺うために、ミモザとヤマを再訪しよう。

 銀座レトロギャラリーMUSSE。今回は1、2階を使った展示である。
ほっそりしたアール・デコ調の額も気持よい、ベレニス・アボットの
写真・25点を見て廻る。
 グレイハウンド・バスのターミナルって、こんな風だったのか。
 (近代の悪口を言うけれど)高速道路のフォルム、好き。
 橋の形は、架け替えがない限り変わらないから、いいな...。
 
 1931年竣工の銀座のビルで、1920-30年代に撮られたニューヨーク
風景を見る。ビルの中で、時間(1920-30年代と2010年代)と空間
(銀座とニューヨーク)が自在に交錯し、溶け合う。なんてゴージャス。
建築は時間の器だ。

 銀座レトロギャラリーMUSSEの川崎氏は、建築が好きなので、
これからも建築関連の企画展をやっていきたいと、仰っている。
 ぜひ!

     (アール・デコの時代 古写真で垣間見る1920-30
     @銀座レトロギャラリーMUSSE 9月25日・日曜日まで)

 廣瀬忠司氏が1点出しているツァイトフォトサロンの前に、奥野ビル
(銀座アパートメント)へ。313号室「中松商店」の「木村伊兵衛、花
その他」を見に行く。dailysumus2で知って、行きたかった。連休初日
だからか、ビル内がややラッシュ気味。

 『玄関先のはち植えのツバキ』も、お庭(?)に置かれた『贈られた
バラの花束』もすてき。
 2月にあった「木村伊兵衛、窓からの」展、小冊子を買う。

 ツァイト・フォト・サロンへ。どっさりあるが、30番の花が廣瀬忠司氏、
40番の風景写真は、やはり尾仲浩二氏。
 他では、5番・小野祐次、26番のルイジ・ギッリ、に目が行った。

     (「友人作家が集う - 石原悦郎追悼展 “ Le bal ” 」
     Part1 - maestoso  9月3日(土) - 10月5日(水)
     @ツァイト・フォト・サロン)

 銀座は周縁に存在する。





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by byogakudo | 2016-09-17 22:16 | アート | Comments(0)
2016年 09月 11日

劇団フーダニット 第16回公演『夜の来訪者』を観る

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 2015年3月8日以来の船堀行きだ。今回もイギリス・ミステリ系。

 前回、クリスティ『予告殺人』のときは予習できなかったが、今回は
8月20日に読んだばかり、さらにその文庫本を携えて地下鉄に乗った。
 ロビー待ち合わせのミステリのお師匠さんもバッグに入れてらした。

 13時開演。タワーホール船堀 小ホールは、幕の上げ下げができない
作りなのか、暗転と音響効果で舞台をオンオフする。

 舞台全面を覆い尽くして黒いドレープが垂れ下がっているので、奥行きが
前回より狭まっているように見えるが、たぶん同じ広さなのだろう。密閉感
が強調される。
 黒い襞の上手寄りに狩猟風景を描いた絵画が下げられ、ブルジョア家庭の
食堂であることを示す。
 上手は二筋に別れる。客席に近い側の黒いドレープは玄関への通路を示し、
奥は女中(メイド)の出入りに用いられる。下手は主人たちの居室。

 台詞のやりとりが火花を散らす作品なので、どんな演出が成されるか、興味
を持っていたが、活人画風の演技と、動きを止めたときのピンスポットの活用、
という手法であった。

 食事を終えた直後で始まる舞台だが、一家の息子は、しばらく客席に背中を
向けたまま、というオープニングが刺激的だ。

 食卓を小さめにして、役者たちが動き回れる空間が確保されている。告発する
天使と言えるグール警部は、ほとんど上手に立ったままで、冷静に無慈悲に、
訊問に動揺して文字通り右往左往するブルジョアたちを見続ける。

 今回も面白く観劇。ありがとうございます。

     (劇団フーダニット 第16回公演『夜の来訪者』
     J・B・プリーストリー/松坂春恵 訳・演出
     2016年9月11日 於:タワーホール船堀 小ホール)



 お師匠さんに、
 「『不死蝶 岸田森』文庫版、お持ちですか?」
 「まだ読んでないけど持ってます」
 「岡本喜八の文庫本、2冊出てますけど、よかったですよ」
 「えっ、どこから?」
 「ちくま文庫です」





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by byogakudo | 2016-09-11 21:49 | アート | Comments(0)
2016年 08月 19日

鈴木創士『文楽かんげき日誌 第16回 文楽の「結構」』+EP-4 unitP

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 作家・鈴木創士氏のコラム、『文楽かんげき日誌 第16回 文楽の「結構」』。

 ミュージシャン・鈴木創士氏@EP-4 unitP__
"Tibetan fool" EP-4 unitP Live at Metro 30 Mar 2016
"Zazie dans le métal" EP-4 unitP Live at Metro 30 Mar 2016





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by byogakudo | 2016-08-19 19:31 | アート | Comments(0)
2016年 07月 20日

大塚へ行ったのだろうか?(セルゲイ草柳写真展)

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 セルゲイ草柳氏の写真展が今年は大塚ano ano galerieで開かれる。
今日は曇りだ。出かけるのにいい。昼前に方南通りで用事を半分だけ
済ませ、そのままバスでJR新宿駅、山手線・大塚下車。

 ano ano galerie は南口の方だ。すぐ見つける。一階奥の画廊は
一段低くなっていて半地下風だ。小さな中庭も見える、落ち着いた、
いい空間。

 去年、発表された写真も混ぜた展示。真ん中に額装してない
オリジナル・プリントの箱、隣の入口近くの台に、写真集。
 展示された中では、入ってすぐ左側__前景はアーチに覆われ、
その先に白い建物と道がうねる__の写真と、奥・右手の、立て
かけられた楽器の写真が好きだった。

     (セルゲイ草柳写真展 Une Promenade dans l’air
     7月24日まで)

 外に出たら、陽が射し始めた。曇り日の大塚散歩をする予定
だったのに、これは危ない。
 南口を少しうろつき、お茶を飲むために喫茶店を求めて駅の方へ。
あきらめて24時間営業(!)の山下書店隣の喫茶店に入る。冷房が
効いてれば、それでいい。

 一息ついたら次はどう動こうなぞと、冷房装置が儚い涼/良夢を見せる。
表に出た途端、雪だるまよりも急速に消滅し、あとには思考力を失った
ふらつく身体だけが残る、じつは夢魔の散歩コースだ。

 熱中症気味に荒川線沿線を歩き、東池袋四丁目で乗って鬼子母神前
下車、副都心線・雑司が谷乗車、以下、bla bla bla, 方南通りの用事の
残りを済ませて5pmころ、部屋に着く。写真展はよかったが、大塚って
どんなところだろう?





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by byogakudo | 2016-07-20 21:13 | アート | Comments(0)
2016年 06月 29日

銀座レトロギャラリーMUSEEへ

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 写真は近所で。落ち着いた、堂々としてる猫。

 梅雨の晴れ間をぬう。今日から銀座レトロギャラリーMUSEEで、
古い茅ヶ崎の洋館をモチーフにした絵画展があるので。

 丸ノ内線・銀座駅から左斜めに歩く。平日の午後でも、銀座はひとが多い。
日本の人口は東京や大都市圏に集中している。他の街は知らないが、東京
の中でも過密と過疎に分離しているのではないかしら。人気(ひとけ)の薄い
住宅地からやってきたので、よけい、そう感じるのかもかもしれない。

 先だっての「旅するルイ・ヴィトン展」のおかげでハイ・ブランドに対する
偏見は少し解消されたけれど、大通りをずらりと占拠するブランド旗艦店を
見ると、銀座は、と言わず東京は、だろうか、あるいは街が、大きな駅ビルの
一種になり果てたかのようにも感じる。センスの良し悪しはあるが。
 個人商店みたような在りようは、もはや許されない。商業活動といわず生産
活動はすべて(再生産の準備である消費行為も)、大企業のヒエラルキーの
下に展開すること、と宣告されているかのように。

 大通りからひとつ入った、中くらいの幅の道沿い。60~70年代造のビルから
テナントが撤退している。見捨てられたビルが銀座のあちこちで取り壊される
のを待つ。

 そんな風景の中に、銀座レトロギャラリーMUSEEが当たり前の顔して残って
いる。ほんとは奇蹟なのに、さりげなく。

 1930年代のビルの中で、1899年に建てられたサナトリウム「南湖院(なんこ
いん)」を描いた展覧会が開かれる。平下 英理 展 「忘れえぬ景色」だ。
 時間のずれ、空間のずれ(銀座と茅ヶ崎)、二重の記憶のずれと重なりが
体験できる。記憶について考える展覧会だ。
 7月3日(日)まで開催。





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by byogakudo | 2016-06-29 22:25 | アート | Comments(0)
2016年 05月 26日

「Volez, Voguez, Voyagez - Louis Vuitton(空へ、海へ、彼方へ──旅するルイ・ヴィトン)」展('16/05/26)

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 元・お客さま/いま・友人の K ご夫妻に教えていただいた
「Volez, Voguez, Voyagez - Louis Vuitton(空へ、海へ、
彼方へ──旅するルイ・ヴィトン)」展
に行ってきた。
 ハイ・ブランドに無関心なわたしたちが一体どうしたんだ、
という気がするけれど、ぃやあ楽しかった!

 キュレーター、すばらしい。展示センス、かっこいい。お金の
使い方、正しい。

 ふだんは駐車場らしい場所が、4月23日(土)から6月19日(日)
まで、"ルイ・ヴィトン歴史博物館"または"ルイ・ヴィトン製品が
語るモダーニズム歴史博物館"になっている。

 無料のシャトルバスも出ているようだが、天気もよく、次々に入場
してくる観客を誘導し、展示物の説明をする大勢のスタッフがいるので、
会場はきれいに流れる。
 入場料無料、全展示物写真撮影可能、という会場で混乱が起きないのは、
人手が足りているからだ。

 会場はいくつかのセクションに区切られている。いちばん好きだったのが
"4A.冒険"コーナーになるのだろうか、砂漠のジオラマが作られた箇所だ。
"砂漠"の素材が布なのか紙なのか分からないが、思わず手を触れたくなる。
 次の"4C.自動車"の旅では、壁に並木道が描かれ、幹線道路の左右を分ける
白い点線が床にも延びる、だまし絵の手法が使われる。

 どのコーナーも違う素材で設えてある。天井・壁面・床面、三つの次元がそれ
ぞれに工夫を凝らされ、ひとつひとつに驚きがある。
 移動の手段が格段に進歩し、旅が苦痛ではなく快楽に変化した1920年代から
30年代とルイ・ヴィトン製品とが、どう関係しているか、を効果的に見せる方法・
手段がよく思考され、十全に仕上げられた。
 会場がすべて完成したのはオープニングの朝、と聞いた。そうなるだろう。
角を曲ると次に何が現れるかなと期待させ続ける、わくわくさせる空間設計と
施行だ。
 自伝は最初のほう、成功するまでが面白く、後半は退屈になりがちだが、
今回の展示は最後まで興味を惹き続けるのがすばらしい。

 地上の権力は自らをアートに象徴させる。ヴァチカンはカトリック美術を生み、
ナチやファシズムは巨大建築を自画像と見なし、世界規模の企業はメディチ家を
目指す。
 お金が存分に生きて使われている空間だった。楽しかった理由だろう。近ごろの
お金の使われ方は大抵、却って貧しさの露呈である場合が多くて、目を背けてきた
のだが、ここでは正しく使われていた。





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by byogakudo | 2016-05-26 20:49 | アート | Comments(0)