猫額洞の日々

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2006年 06月 30日

「女占い師はなぜ死んでゆく」読了

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 往復の地下鉄内で「女占い師はなぜ死んでゆく」(サラ・コードウェル HPB
01初帯)読了。好みのタイプだ。他の翻訳書も読みたいけれど、新刊書店には
ない様子。お師匠さん頼りになるのか?__お尋ねしてみると、やっぱり1冊は
持っていらっしゃる、どの本かは不明だが。

 後書きに『マイクル・イネス、エドマンド・クリスピン風』とあるが、たしかに
イネス・クリスピンの女性小説家版だ。ややもってまわった文体はイネスを、
ヒューマーやウィットはクリスピンを思い出させる。これは個人用に蒐集すべき
小説家かも知れない。

 探偵役はオックスフォードの歴史学者 ヒラリー・テイマー教授。名前と職業は
あっても性別や外見は不明である。(仏語に翻訳するときは、どう処理するの
だろう?)
探偵役というより、中性的なナレーターの役柄を果たしているように感じられる。
他の本ではどんな感じか解らないが。

 21章の初めの部分を引用すると:
< うす暗い縦長の客間には四人の人々がいて、焚火の揺らめく光を黙って
見つめていた。黒い長椅子のひとつには、若い女がふたり、手を取り合って坐って
いた。ひとりは赤毛でボーイッシュな風采、もうひとりは金髪で顔も身体も感じの
よい丸みを帯びた女である。彼女らの向かいの長椅子には、カイゼル髭をたくわえた
がっちりした体格の男が坐っていた。彼の隣にいたのはレジャイナで、にこやかに
立ち上がると、われわれに飲み物は何にするかと尋ねた。>

 テイマー教授もこの場にいて発言しているのに、「五人の人々」と書かないのは、
テイマー教授が声だけの存在、映画でいえばカメラの後にいる存在であるからだ。
シリーズすべてをこの手法で書いているとしたら、すごい。
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by byogakudo | 2006-06-30 20:01 | 読書ノート | Comments(0)
2006年 06月 29日

「7月のMeg」の注 他

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 一昨日書いた「7月のMeg」であるが、美咲歌芽句さんから急ぎ 注意メールを
もらった。彼女の持ち時間は10分足らずであると。
 彼女の出番は少ないけれど、21日(金)は、鳥井賀句氏の講演や映画
「ブライアン・ジョーンズ:ストーンズから消えた男」同時上映があり、
22日(土)はDOLLSの最新映像上映予定!だそうである。ファンは行くべし、
そして美咲歌芽句に出会おう。

 6月25日「ライヴ『東京風物名物誌」」の続きになるが、昭和22年の
新宿二幸をご存知ではあるまいかと、また別のお客さまにお訊ねしてみた。
(こうなったら、ある年齢以上のお客さまに片端からお訊ねして行こう。いつか
どなたか思い出して下さるかも知れない。)

 彼は二幸は憶えていらっしゃらなかったが、戦災で残った聚落ビルの引越
光景を話して下さった。昭和22年頃だそうである。
 新宿大ガード近くにあった地下1階地上3階 コンクリート造の聚落ビルを、
地下の分だけ穴を掘ってはコロを使って引っ張って行く曳家工法で三越裏まで、
2-3ヶ月かけて引越させたそうである。
 焼け野原に闇市のテント?が並び 人だかりで混雑する中を、穴を掘って
建物1個分進んでは掘った穴を埋め、また穴を掘って進む。たぶん物資不足の頃
だから、新しいビルを建設するより曵家の方がやりやすかったのだろうか。

 だが彼が16-17歳の頃、たしかに毎日見ていたこの光景なのに、誰に話しても
知らない・憶えていないと言われるそうである。みんな買出しに忙しくて記憶に
留らなかったのかしら? 大きな建物が群衆の中をしずしずと移動される、すごい
風景だと思うけれど。

 ただ、あとで「東京風物名物誌」の新宿の地図を見ると、三越裏にあるのは
旅館 聚落で、高野フルーツ・パーラーと高野果実店の裏が食堂デパート 聚落だ。
この本は昭和27年時の情報であるから、22年当時とはまた違っているだろうが。

 今日の目黒川写真と、5月28日本郷館写真とは、クリックすると拡大します。
素人魂〜特濃魚汁〜氏に感謝!
  
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by byogakudo | 2006-06-29 12:58 | 雑録 | Comments(1)
2006年 06月 28日

マレビト来たりて

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 今日も湿気と熱気がひどい。誰も入ってくる気配もなかったのに
白いカーテンが開かれ、お客さま。わたしは10年ぶりくらい、Sは20余年ぶりの
鈴木創士氏だ。
 「びっくりさせようと思って、連絡せずに来ました」

 驚く。お目にかからなかった時間が圧縮され、徐々に解けて行く。三人で
ひたすら話し続けた数時間だった。過去と現在とが交錯し現前する。
 彼がお元気そうで、とても嬉しかった午後。
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by byogakudo | 2006-06-28 19:14 | 雑録 | Comments(3)
2006年 06月 27日

7月のMeg

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 梅雨が明ければ夏。夏になれば今年も美咲歌 芽句(みさか・めぐ)がやって来る!
彼女のスケジュールをお伝えしておこう。

 7月21日(金) 原宿 Tokyo Hipsters Club 2Fで詩の朗読
 7月22日(土) 渋谷 青い部屋 BLUE VELVET NIGHT 詩の朗読

 詳細は鳥井賀句氏のサイトをご覧下さい。
 21日はBrian Jones 追悼で、美咲歌 芽句はBrian に捧げる詩を朗読。
 22日はNY DOLLS 新作発表記念。
 他にもパフォーマンスがふえるかも知れない。その時は改めてお知らせします。

 以前にも記したが、美咲歌 芽句はかつて東京ロッカーズと総称されたバンドの一つ、
Mr.KITE のヴォーカルだった。その頃に惹かれる若い方(若くなくとも)必見です。
 彼女は長い間パフォームしなかったけれど、歌わなかった時間・蓄えられた時間が、
かえって彼女の少女性を際立てている。再び彼女のポエトリー・リーディングに
立ち会える日が待ち遠しい。とてもしなやかで美しいパフォーマンスだから。
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by byogakudo | 2006-06-27 13:31 | 美咲歌 芽句 | Comments(0)
2006年 06月 26日

「あなたをつくります」読了

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 感想文を書き難い本だ。なんていえば良いだろう? 形而上学的私SF?
 小さな電子オルガン製造販売会社がリンカーンとその部下・スタントン北軍陸軍
長官のシミュラクラを創ったことから起きる、大会社との抗争がメイン・プロットに
見えて、実は、主人公のつれなき美女に対する偏執的盲愛が主調である、とても
ディックらしいビートニクSFである。ということにしておきたい。

 動物とは、人間とは、機械とは何か。創り主の立場からいえばどれも等しい
存在ではないかと、シミュラクラが考察したり、p240のほとんどPh.K.Dick自身の
告白:
< 私にとってプリスは、生命であり__同時に、反生命でもある。・・(中略)・・
彼女をそばに置いておくことは、わたしには耐えられない。彼女がそばにいない
ことも、わたしにはがまんできない。彼女がそばにいないわたしはどんどん衰えて、
ついにはなにものでもなくなって、裏庭のゴキブリみたいに死んでしまった。だれにも
知られず、なんの価値もなく。彼女のそばにいるわたしといえば、切られ、突かれ、
バラバラにされ、踏みつけられ__それでもどうにかして生きている。そこでの
わたしには、現実感がある。傷つくことを楽しんでいるのか? ちがう。それは
いってみれば、傷つくことが生きることの一部なのだ。プリスとともにいることの
一部なのだ。・・・>

 p305に<伝説の歌手アール・グラントを聴きに>行くシーンがあるが、あの
"The end of the river~" と歌っていたアール・グラントだろうか。
                   (Ph・K・ディック 創元SF文庫 02初)
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by byogakudo | 2006-06-26 12:54 | 読書ノート | Comments(0)
2006年 06月 25日

ライヴ「東京風物名物誌」

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 写真は一昨日の五反田風景、大崎電気五反田寮。いちばん上の部屋が見てみたい。
広間だと思う。見学させてもらえないだろうか。

 当店向いの食品店 大旦那さんは95歳! ワゴンを出しながらお喋りしていたら、
白木屋の火事を目撃されたそうである。これは伺わなくっちゃ。

 当時彼は、日本橋の海苔屋さんに奉公していたが、どこからともなく
「白木屋が火事だ!」の声が聞こえてきて、駆け出した。

 7階建てビルの火事なので類焼はしなかったが、いわゆる火の手が上がる火事を
不謹慎ではあるがワクワクしながら見るのと違って、ただ何とか助かってくれないか
と手に汗握って見守っていたそうだ。
 窓ガラスがゆがんだと思った瞬間、窓から火が噴き出す。彼自身は目にしなかった
けれど、反物をつないでロープにして降りようとした女性が、途中の窓から出た火が
その反物ロープに引火、女性は墜落死した。

 白木屋の火事以来、日本女性が洋装下着を身につけるようになったのは
よく知られているが、近くの布団店・西川と伴伝(大旦那さんは「番伝」と
仰っていたが)が、商品であるお布団を運んできて、マット代りに提供した話は
初めて知った。日本橋商人の伝統や気質が感じられる。

 昨日書いた昭和22年新宿二幸の有り様を、もしやご存知でないかとお訊ねしたら、
それは憶えていらっしゃらなかった。店の棚から「東京風物名物誌」を取出して
お見せしながら更に伺いたかったけれど、開店時間がとうに過ぎている。次回!
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by byogakudo | 2006-06-25 18:13 | 雑録 | Comments(0)
2006年 06月 24日

杉浦茂>Ph.K.Dick

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 漫画には強くないが、杉浦茂が好きだ。好きになったのは、つい近年。
よく この絵柄でこども漫画として流通していたと、不思議である。あの頃は
少女向けと少年向けとの区別がはっきりしていて、そのせいもあって
わたしは杉浦茂を知らなかったのだろうけれど。

 かくて、寝床本は「少年児雷也」(杉浦茂 ペップ出版 87再)。愉しく寝る前の
ひとときが過ごせたけれど、やっぱり四六版 300頁では重くて二冊目は無理だ。
 ディック「あなたをつくります」の、ようやくリンカーンのシミュラクラが
つくられたところで眠る。

 今週の新着欄では、「住宅園藝」(野崎信夫 春陽堂 30初)がとても好きだ。
なんとなく見覚えのあるような写真だと思ったら、建築雑誌「住宅」に
著者が寄稿した記事が骨子になっていて、著者所有の写真以外に、それら「住宅」
所載の写真が転載されていると、いうことである。

 小住宅にも庭があり、洋風なら芝生をつくり、小さな池やパーゴラ、温室は
持てなくとも簡易フレームをつくって冬も園藝を愉しむ、小春日和の市民生活が
想像される。
新着本
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by byogakudo | 2006-06-24 15:29 | 読書ノート | Comments(0)
2006年 06月 23日

「花崗岩の街」〜「あなたをつくります」

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 感想文の前に、今日手に入れた本から少し記しておく。

 6月10日(土)のブログで「建築写真図譜」を紹介した。この本の見返しには
日付・記名にプラスして「22.5.20. 新宿二幸ニテ」とある。
 昭和22年に二幸(今の新宿アルタ)があったのは理解できるけれど、二幸は
食料品を扱うところだ。そこに本屋が入っていたのだろうか?

 今日 五反田で「東京風物名物誌」(岩動景爾 東京シリーズ刊行会 昭和27年新訂3版)
 を買った。初版は昭和26年である。p309の新宿案内を引用すると:
<・・・これらの中に聳え立つは食料品専門デパート二幸、旨い物なら
何でもといふので山幸海幸の語に因んで二幸と名付けたものらしい。広大な山手
住民の家庭の需要を考へて三越の建てたものにして又三越の直営食品工場の製品の
捌き処。三階の展覧会場は借用料は無料である。・・・>

 昭和22年段階で昭和26~27年に見られるようなビルがあったかは疑問であるが、
あったとしたら、この三階の展覧会場で、古本市みたいなものが行われたのでは
ないだろうか? 
 昭和22年というと、たしかお米が不作で食料事情がひどかった頃だ。とすると、
闇市マーケットに毛の生えたような建物の二幸で、食品も他の物も一緒に売られて
いたのだろうか? どなたか当時の二幸についてお教え下さい。

 さて、「花崗岩の街」を昨夜読み終えた。鴎外「大発見」に、後年の補遺として
加えたくなる一節が見つかったので、これも記しておこう。ケルト文明とは何ら
関係しなくて申訳ないけれど、p124から:
< 「警部!」インスクの姿を見るなり、巡査は鼻をほじるのを中断し、さっと
直立の姿勢をとった。>

 アバディーンは雨上がりには、濡れた花崗岩が陽射しを受けて街全体が銀色に輝き、
とても美しい光景になるそうだ。RICOH GRD 向きの景色であろう。
 今日もS は5~6kg(わたしが4~5kg)を抱えながら、再開発を待つ五反田風景を
撮っていたが、RICOH GRD の開発スタッフはスピード・フリーク揃いではなかったか
と疑われるほど、エッジのきいた写真が撮れる。まるで「結晶世界」みたいに。
                  (スチュアート・マクブライド HPB 06初帯)

 昨夜から、地下鉄内でも、「あなたをつくります」(フィリップ・K・ディック
創元SF文庫 02初)。相変わらず ぶちぶち言ってるフィリップ・K・ディック・・・。
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by byogakudo | 2006-06-23 19:42 | 読書ノート | Comments(2)
2006年 06月 22日

「花崗岩の街」もう少々

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 雨が降らなければ雪になるアバディーン(地方都市って感じだ。グラスゴー
出身の敏腕新聞記者からは田舎扱い)。まだ一日として晴れた日がない。
もしかしたらハッピーエンディングのその日のために、晴れ間を取ってあるのかも
知れない。

 主人公は病み上がりの部長刑事。犯人を取り押さえようとして腹を刺され、
一年の休職後、復帰した途端、連続幼児誘拐殺人事件を担当する破目になる。

 彼の新しい上司がおかしいキャラだ。上司のポケットからは、まるで魔法の
ポケットみたいに、いつもジャンクなお菓子が出てくる。グミ・キャンディーや
鼠の糞みたいと主人公が手を伸ばさなかったチョコレート・レーズンやら。
 他の警官たちも、キットカットを仲間に勧めたり、アバディーン警察は
甘党揃いかと思われるが、全員 酒呑みでもある。全員 成人病予備軍であるに
違いない。

 また体力の凄いこと。子供の死体が発見されると、いくら防水加工してある
とはいえ、豪雨の中、コートを着て遺留物発見に徹夜したり、寒風の中で
凍えながら見張りしたり、それなのにまだ誰も風邪を引いていない。
 アバディーンっ子はみんな、寒さに強いのだろうか?

 こんなに雨ばかりの土地だと、古本屋は営業できないんじゃないかと考える。
<パブ、教会、雨__三つとも。アバディーンにはやたら多い。>らしい。
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by byogakudo | 2006-06-22 16:05 | 読書ノート | Comments(0)
2006年 06月 21日

「花崗岩の街」(COLD GRANITE)を読み始めた

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 「骨の島」(エルキンズ ハヤカワ文庫 05初帯)を読み出していたのに。
やっと主要な登場人物たちが出揃ったというのに、なぜか「花崗岩の街」に
手が出た。わたしは警察小説が好きらしい。
 頁を開いたら、いきなり晩秋のアバディーンにどしゃ降りの雨が降っている。
先日読んだ「ながい眠り」はアメリカの冬__0.5度で今日は暖かいとかいってる
__だったし、梅雨の蒸し暑さを忘れたいのだろうか?

 エディンバラはぼんやり想像できるけれど(想像が当っているかは ともかく)、
アバディーンと聞いてもイメージが浮かばない。地図で見るとスコットランド北部、
北海に面している。古くからの花崗岩(granite)産地で、建物の多くが灰色の花崗岩で
仕上げられている とある。
 よそゆきの口調からアバディーンなまりに変るとか、「ゲール語を使う連中」とか
「アバディーンでももっとも聞き取りにくいなまりであるドリック」だとか、
一体どんなところなのだろう?    (スチュアート・マクブライド HPB 06初帯)
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by byogakudo | 2006-06-21 13:18 | 読書ノート | Comments(4)