猫額洞の日々

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2006年 10月 31日

「知の自由人たち」読了、「月が昇るとき」へ

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~10月30日より続く

 顔が長いのが江戸っ子であるという正岡容の説を、都筑道夫が紹介していたと
思うが、幕末の江戸っ子たちはほんとに長い。たまに四角っぽい写真があると
大抵、地方出身者である。中でもとりわけ成島柳北が長い。顎の異様な長さ、
極端ななで肩は、もしかしてレンズがおかしいのじゃないかと疑わせる。
伊藤雄之助も嶋田久作もかなわないだろう。
 阿呆な感想ですまぬ。第7章以降、趣味人たちのネットワークあたりが特に
面白かった。          (山口昌男 NHKライブラリー 98)

 さて、第4回配本は「月が昇るとき」(グラディス・ミッチェル 晶文社ミステリ
04初帯)から。第1章を読んだだけで断言する、これは傑作だ。20年代か30年代、
イギリスの地方都市に暮らす少年たちの思いが、ずんと伝わってくる。

 時と場所は異なっても、こどもたちは未知へのあこがれを、ごく些細なものや
できごとに託し、貧相な骨董店は夢への通い路になる。大人の抽き出し中にある
ガラクタや屋根裏部屋にあこがれたことを覚えているなら、共感するだろう。
どれほどの夢を、あれらのオブジェに見出したことか。

11月01日に続く~
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by byogakudo | 2006-10-31 13:59 | 読書ノート | Comments(0)
2006年 10月 30日

第4回配本

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 お師匠さんがいらっしゃり、第3回配本の回収と第4次配給。今回は
国書刊行会のマイクル・イネス(論創社ではマイケル)に晶文社ミステリと
同じく晶文社[外国文学 ヤングアダルト] の2点、論創社のシリル・ヘアー、
全4冊だ。今夜もわくわく眠れそう。

 国書刊行会の翻訳ミステリは現在時47-48点だが、後発の論創社はすでに
50点を超えているらしい。すごい! だって初めて紹介されるミステリを
文庫どころか単行本で出版し続けるなんて・・・あ、でも読者層が限られて
いるから却っていいのかも知れない。どうなのだろう? 
 それにしても、やっぱり偉い。老舗が冒険しないところを補ってくれる。
翻訳の日本語が多少ぎごちなくたって、必要なさそうな言葉に脚注をつけて
こっちこそ脚注を入れるべきだろうところが落ちていたって、それがどうした?

10月31日に続く~
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by byogakudo | 2006-10-30 14:25 | 読書ノート | Comments(0)
2006年 10月 29日

「知の自由人たち」途中

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 2-3日前から?「知の自由人たち」(山口昌男 NHKライブラリー 98初)を
読んでいる。それぞれ面白い人たちだけれど、ひとりに充てられる頁数が
少ないので欲求不満が生じる。「知の自由人たちのネットワーク」話でもあるので
ひとりを取り上げると当然、仲間数人も話に出てくる。
 読みながら、「ええと、誰が誰で、何をしたんだっけ?」状態に陥る。関連書を
何冊か読まないと、頭が整理できそうにない。歳だ。

 山田風太郎「明治十手架」で読んだ原胤昭が「原女学校」という女学校を
つくり、何回かの合併後、「女子学院」になったのですって。
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by byogakudo | 2006-10-29 12:55 | 読書ノート | Comments(0)
2006年 10月 28日

ときには文学書も入る

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 やっと新着欄アップ(例によって作業者はS)。今週もよろしく。
今週こそ、よろしくの間違いではないかと蔭でこそこそ誰かが言ってる、
いつもの猫額洞です。

 近頃あまり入ってなかった文学系が2冊。北村小松の「初化粧・港町」と
岡田三郎「春の行列」。わたしは"建築と街並"本ではないかと考えている。
"都市文学"というジャンルをつくってもよいのか・・・、中心に"建築と街並"が
あり、派生的に文学やグラフィックがあるような。
 力不足だからまず無理だろうけれど、できるだけ中心線が確立された印象の
棚をつくりたい。(結果、ますます客足が引く可能性も大である。どうしよう?)

  新着本
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by byogakudo | 2006-10-28 17:17 | 雑録 | Comments(0)
2006年 10月 27日

東京尽くし

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 東京堂書店で「中公文庫解説総目録 1973~2006」(中公文庫編集部 中公文庫
06初帯)を買い、すぐ先の東京薬局でSの葉巻を買い、東京古書会館に行きました。

 これ以上書くこともないような気がするが、ああ、そうだ。一散に中公文庫の
棚に走ったが、目当ての「総目録」が見つけられない。平台を覗いているとS、
「なに探すの?」「『中公文庫解説総目録』」のやり取りを耳にした先客の男性、
小声で「ここですよ」。ありがとうございました。
 帰りの地下鉄でふたりとも文庫本に読みふけり、一駅乗り過ごした。
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by byogakudo | 2006-10-27 19:56 | 雑録 | Comments(0)
2006年 10月 26日

「地下鉄(メトロ)に乗って」読了

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 地下鉄丸ノ内線支線、新中野が出てくるんだよと聞いて、読んでみた。
鍋屋横町も、角の文房具店も、杉山公園も出てくる。ヒロインは中野富士見町、
神田川近く・地下鉄操作場向かいのアパートに住んでいる。ご近所小説だ?!

 主人公の勤め先が神田駅の地下鉄ストア内に設定されているところも素敵だが、
地下鉄は主人公ではない。人間の主人公がタイムスリップする際のメディアとして
機能している。

 [高度経済成長期に人格形成された作者による、人情ファンタジー]という感想。
幻想好みには、ずれる作品だった。うまい小説と呼ばれるんだろうけれど。
                   (浅田次郎 講談社文庫 00年3刷)
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by byogakudo | 2006-10-26 12:51 | 読書ノート | Comments(0)
2006年 10月 25日

「スラップスティック・ブルース」読了

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 80年代、「宝島」や「ビックリハウス」でパロディ行為が流行った頃か。
といっても、どちらも読まなかったけれど。
 著者はパロディという言葉が使用過多になり、本来の意味を失い、安直に
流通している当時の状況に困惑している。そういえば、そんな風潮だった。

 それから20年、TVをつけると若い笑芸人たちがいっぱいで、素の魅力どころか
体力の見せつけ合いと、いじめ合いで勝負している。古代ローマ帝国末期みたい
なんぞとは言わないが。

 仲間内の密室芸で坂田明のネタだが、ピアノ・坂田明、団しん也の歌で
「三遊亭円生のスキャット」なる出し物に心惹かれた。
                      (高平哲郎 冬樹社 81初帯)
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by byogakudo | 2006-10-25 12:36 | 読書ノート | Comments(0)
2006年 10月 24日

2冊同時に読んでいる

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 前に読んだことのある「明治のおもかげ」(鶯亭金升 岩波文庫 00初)と
「スラップスティック・ブルース」(高平哲郎 冬樹社 81初帯)とを同時に
読んでいる。鶯亭金升はぽつぽつと、高平哲郎は急いで読む。後者は今夜中に
終わるだろう。

 「明治のおもかげ」でやっぱり好きなエピソードといえば、饗庭篁村の
出てくる『摺鉢山』だ。

< 饗庭篁村(あえば・こうそん)は歌も句もやらぬ人であったが、或年の春、
 上野の摺鉢山(すりばちやま)の下に立って散る花をながめている処へ先生が
 やって来たので、
  「どうです、この花の雪の見事な景色は」と言ったら、
  「一句やりましょうか」と言うに、これは珍しいと思い「伺いましょう」と
 耳を澄ませば、
  「散るわ散るわ桜よ、我を埋め殺せ、どうです」>
 「殺風景」とは、このことだろう。素敵。
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by byogakudo | 2006-10-24 13:15 | 読書ノート | Comments(0)
2006年 10月 23日

「映画裏方ばなし」読了

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 作者は23年生まれ、東宝舞台部で小道具製作や舞台背景係の後、50年から
78年まで東宝撮影所美術課に勤務した映画美術家。製作現場での興味深い
エピソードが綴られている。

 成瀬巳喜男の「流れる」のロケハンで花柳界を訪ねたとき、芸者屋の前で
スケッチしていたら、掃除のあとで入り口の三和土に三角の山にした塩を
三つ並べている。
 「芸者屋のセットのとき、夕方やること」とメモしたけれど、何故そうする
のか理由が解らなくて、芸者屋の下地っ子やおかアさんに聞き、ようやく検番の
おとウさんから由来を教えてもらう。

 由来は楊貴妃にあった。宮中に上げられた楊貴妃は、まず玄宗皇帝の目を
自分に留めさせることから始めなければならなかった。なにしろライヴァルが
多くて、気づいてもらうまでが大変である。

 玄宗皇帝は愛妃たちの房を廻るのに牛車を使用する。行き先を選ぶのが
面倒なので、牛が立ち止まった房に入るのである。
 それを聞いた楊貴妃は、自分の房の入り口に塩を盛って置いた。牛が塩を
なめたがる性質を知っていたので。
 牛はやはり楊貴妃の房で足を止め、玄宗皇帝は会う度に彼女の魅力に惹かれ
楊貴妃は愛妃の頂点に達した。

 という盛塩縁起。古本屋に適用は無理でしょうね?
                      (鈴木一八 講談社 80初帯)
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by byogakudo | 2006-10-23 13:35 | 読書ノート | Comments(0)
2006年 10月 22日

中村シンジロウ?

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 80年代の" Brutus "で読んだ記憶がある。戦前版「新青年」のファッション頁
" vogue en vogue "(ヴォガンヴォウグ)等を担当していたモボ、中村シンジロウ
(シンジロウだったと思うのだけど)の写真や彼の思い出を知る人はいないか
という記事だった。反響はなかったようだが。

 ある時代、ある特定の狭い範囲で名を知られていたが作品がないので、彼を
知る人々の死とともに忘れられた、しかし気になる人物がいる。坂本紅蓮洞とか、
変人の伝説しか知らない。しかもどう変人だったか、エピソードがきちんと
伝わっていないので、解らない。
 時代のイメージは彼ら小ロマン派、にせの宝石のような輝きを見せる人々に
むしろよく現れていると思う。

 長谷川伸「石瓦混淆」(中公文庫 89初)に出てくる中村シンジロウの話:

<   飛騨遊記
  
  六月三十日夜十一時四十五分の品川駅発の明石行の列車にのる。不良少年
 中村が例のラッパズボンで青白い秀麗な顔を近づけてきた。聞けば花月園で
 今夜ダンスをやり友達を送って来てこれから帰る処だという。この少年の事
 だから友達というのは多分フラッパーだろう。
  (中略)
  同じ寝台車に五月信子氏が弟と一緒に乗っていたので近代座の現在と将来とを
 論じた。中村少年がやや固くなって横浜で下車して行った。(以下略)> 
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by byogakudo | 2006-10-22 14:17 | 読書ノート | Comments(0)