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2007年 05月 31日

もう今週が終わる

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 HP目録に入っている「一週間は飛んでいく」は60年頃の週刊朝日編集長
の著書であるが、古本屋もあっという間に一週間が過ぎる。若ければ、もう
少し時の経つのが遅く感じられるかも知れないが、個体の死が近づくと
時間速度はアップする。

 さっき久しぶりの買取、文系の本ばかり。買取のやり方が思い出せるかと
一瞬、不安がよぎったくらいだ。文庫版がほとんどなのでほっとする。
単行本って、どうやって売るのだろう? 情けないけれど、当店の実情です。
 値付けは終えたので、せっせとHPに入れて行かなくちゃ。
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by byogakudo | 2007-05-31 13:45 | 雑録 | Comments(0)
2007年 05月 30日

安部公房vs森茉莉(森茉莉付近8)

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 お師匠さんの4冊を終えて、安部公房「榎本武揚 改版」(中公文庫 90改帯)
を読み始めたら、あるお客さまが、筑摩書房の森茉莉全集6と7を抱えて来て
下さった。「ドッキリチャンネル」2冊組である。6卷だけでも1.15kg余。

 さすがに寝床では読めない。部屋に戻ると寝る前に机の上で読んでいる。
ヴォリュームに疲れて2時間くらいで止め、寝床での「榎本武揚」に移るが
頭が変換しにくい。無理もない。森茉莉の少女時代の思い出話やひいき役者の
話から、政治の季節・転向の話にスライドするなら、途中にグリース様の何か
が必要だ。でも、どんな本ならそれが可能か。

 全集本は高いし場所を取るしで、好きな小説家であっても、それほど欲しい
とは思わないが、森茉莉全集の装幀は素敵だな。明治の少女を連想させる
モスリン柄のジャケット、少し横長の版形、余白の取り方。丁寧で森茉莉への
愛が感じられる。亡くなって20年以上経つのに、読者に愛され続けている。

 「ダイジェスト版の文庫本の印象と、かなり違いますよ」と仰っていた
お客さまは、明日から10日ほどパリへお散歩。みんながパリに行ってる
みたい。わたしも行きたいなあ。毎日ぼおっと歩き廻っていたい。
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by byogakudo | 2007-05-30 14:52 | 森茉莉 | Comments(0)
2007年 05月 29日

ライヴ@千駄ヶ谷

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 骨はくっついたが周りの筋肉の様子も見たいので、Sは昨日MRI診断を
受けに千駄ヶ谷へ行った。

 「閉所恐怖症ではありませんね?」という事前の質問があったので
狭いのは覚悟していたが、ほんとに身体すれすれのサイズしかなかった
らしい。円筒形の機械に入る前に耳栓を渡される、「ぎゅっと耳の中まで
入れて下さい」。

 顔面に迫る狭く(2-3箇所弱いランプが点いているが)真っ暗な空間の中
「始めます」の声が聞こえたと思った瞬間、ガードレールを強打するような
轟音、次いで、ぐぅぉおおーん、づぅわわわあーん、んぐぅぁぎゃあーん、
どんな劇画やアメリカンコミックスの擬音を借りてきても追いつかない、
これはサイキックTVかノイバウテンか、ライヴ会場のPAの真ん前から身動き
できない状況だ。
 音が途絶える。再びガードレール強打、ライヴ再開、そして三度び。

 5分くらいなのだろうが気分としては充分7分に感じられる、ライヴMRI
体験。風邪を引きかけたので最初の予約を変更してもらったが、まったく
あのとき無理に行かなくてよかった。
 しかし検査を受けるのは人間なのに、こんな機械しか作れないのか。
混んでいるので検査結果が分かるのは6月半ば過ぎである。さて?
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by byogakudo | 2007-05-29 14:22 | 雑録 | Comments(3)
2007年 05月 28日

「アリントン邸の怪事件」読了

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 (その前に__spin第2号はいつ出るのかしら? 先週末の神戸・海文堂
書店でのトーク・ライヴの様子が収録されるんだ! 嬉しいな、行けなかった
から。鈴木創士氏の短篇小説も掲載されるのかな?)

 長崎出版なのでマイル・イネス名の「アリントン邸の怪事件」。
原作は68年刊だそうだが、おっとりしていること。舞台はスウィンギング・
ロンドンを遠く離れて、アプルビイ元警視総監(そこまで出世したとは
知らなかった)の引退先。やはり引退した元科学者や没落した郷紳たちが
登場する、黄金時代さながらの探偵小説風景である。

 それでも時代が時代だから、アリントン邸ではソンネ・リュミエールに
お城を貸したりしている。「ソン・エ・リュミエール」と書かれているが
英語で発音するときはリエゾンしないのだろうか? それとも原語の各単語を
示すために、敢て一語ずつの表記にしてあるのか。
 前書きの「読者へのささやかな道案内」筆者名がレッド・ヘリングで
あるのも、古風さを狙ってのことだろうが、あんまりお洒落な趣向とは
受取れない。

 と、悪口ばーさんですみません。地味で落着いた好もしい書き方の
探偵小説なのに、まず文句から始めるのは性格がよくない。

 でも文句ついでに、誤植を指摘させて。前書きの(p10)「レストナード警部」
と本文頁のp141「何やらだだならぬ」です。まあ、活版印刷時に比べれば
近ごろの本はほとんど誤植がなくなっているのだけれど。
 イネスにしてはどたばたが控えめ、没落紳士がチャーミングだった。
      (マイケル・イネス 長崎出版 07初帯)

 話がイネスから逸れるが、わたしが生涯に出会った最高度に誤訳・誤植の
目立つ本といえば、「ダリ 異質の愛」(アマンダ・リア 西村書店 93初帯)
だろう。見開きで誤植や誤訳ゼロの頁がなかったと記憶している。原文を
読んでなくても間違いを指摘できた。

 実際に翻訳に携わった学生たちも監修した教授も、残念ながらサブ
カルチュアに関する知識がないと判断されるのだ。一例を挙げれば(p365)
<・・・彼は私や、ウォーレン・ビーティや、彼の現在の恋人で『パパとママ』
 を以前歌っていたミシェル・フィリプスとを、中華料理店に連れていった。>
こういった塩梅である。ミスの多さにも係らず興味深い本ではあったし、何より
アマンダ・レアと間違って表記されていた彼女を、リア表記に正したことは
認められるのだが。
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by byogakudo | 2007-05-28 14:56 | 読書ノート | Comments(0)
2007年 05月 27日

「ウォンドルズ・パーヴァの謎」読了

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 名作「月が昇るとき」のグラディス・ミッチェルである。それだけで
まず嬉しい。面白さは「月が昇るとき」に比べると正直、落ちるけれど
そこらの今様(日本の若手)ミステリを思えば、準宝石の輝きを放つ。

 落ちの傑作さに吹出した。そこに持って行くまでの展開が、あまり
すっきりしない憾みがある。

 相変わらず(と言っても読むのはこれで2冊目だけれど)思春期の少年や
若い娘の気持が、とても的確に描かれ、うつくしい。

 牧師の娘が、暑い夏の夜、窓から抜出して森に夜の散歩に行くシーン(p31)
<・・・フェリシティは音をたてずに芝生を横切ると、牧師館の庭と墓地を
 分けている低い石塀を飛びこえて、ぼおっと浮かびあがる墓石から出入り
 する、多少やせ気味の魅力的な幽霊よろしく軽やかに走っていった。(中略)
  フェリシティのまわりは上も下も前もうしろも、夜の芳香とそよぎと
 静寂だけだ。彼女はそのすべてを体にとりいれ__ゆっくり深く呼吸した。
 いつもと変わらぬ長く曲がりくねった道、地味な生け垣でさえ、言いようの
 ない喜びを与えてくれる。世界の果てまで旅に出て、不死の花(アスフォデル)
 の咲き乱れる若者の楽園に行きたくなる。>

     (グラディス・ミッチェル 河出書房新社 07初帯)
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by byogakudo | 2007-05-27 15:43 | 読書ノート | Comments(0)
2007年 05月 26日

今週が始まる

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 新着欄をアップしました。今週もよろしく。
 新着欄

 1930年代の文化水準は、日本・近現代史上のピークだったのかなあ。
戦後60年余だが、超えたとは思えない。少なくとも本に関しては、そう
断言できるのじゃないだろうか。

 豪華で立派な装幀で活版印刷で、ということなら70年頃までの数年間を
ピークと見ることもできるが、持ってみて、開いてみて、わくわくする
ような愉しい本というと、30年頃の本には敵わない。

 新着欄に載せた「家の建て方」(山田醇 誠文堂・新光社 35初函)、以前
紹介した「雲の見方」(三宅武雄 文化生活研究会 26初 裸本)や「和洋住宅
設備設計の知識」(山本拙郎 実業之日本社 35再函__初版は31年)等、
どれもふくらみのある編集方針に基づいて書かれている。ジャンルや
カテゴリにとらわれていない。

 今週の「家の建て方」なぞ、何かおかしい。最初に山田醇設計の住宅写真
があるが、ある住宅の門扉の前にはその家の住人と思しい母(祖母? 着物姿)
と娘(毛皮のコート姿)が立ってポーズしている。夫妻がヴェランダに立って
いるお家、応接室に主人が坐っているもの、職人たちが庭を造っている様子、
最後の頁は、今まさに勝手口の引き戸を開けようとしている和服の主人の
半身が写されている。

 本文頁の各章の終りに引用された与謝野晶子の歌は、どう解釈する?
章と関係がありそうな、なさそうな歌なのだが。
 各章の間には電気スタンドやガラス瓶なぞの小さなカット写真に、1頁
費やされている。
 実用書ではあるが、巻末付録の「著者漫談」なんて頁もある。最後の頁は
もちろん、花瓶(花が生けられている)と壺のカット写真。そこでも終らず
著者の他の本の目録になったかと思えば、新聞に寄せられた山田醇ファンの
投稿、報知新聞の書評でようやく奥付に至る。

 この編集態度をチャーミングと取るか、ぞろっぺえと受止めるかは
好き好きだが、愛らしくありません?
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by byogakudo | 2007-05-26 15:22 | 読書ノート | Comments(0)
2007年 05月 25日

雨降りの神保町

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 夕べグラディス・ミッチェルを3amまで読んでいたものだから
目が覚めたらお昼近い。天気占いが言っていた通り、雨降り。
荒れた天気というほどではないが、傘をさして荷物を抱えて戻る
ことを思うと気分が下がる。

 とろとろと神保町へ。2pm過ぎている。今日は何も買えずに戻り
そうな、いやな予感。最初の1冊を手にするまで少し苛つく。1冊を
ともかく持つと冷静になれる。ジンクスみたようなもので、その1冊は
すぐ手放したのだが、2冊目からは今日の方針が定まったとでも言うか、
頭と目の焦点が合った感じになれる。

 結局4pm近くまでうろうろしていた。大きすぎて重すぎて諦めた
英文のジム・モリソン伝記写真集__結構、写真が多い。でも英語だし、
ひとりで持ち帰る困難に負けた。手放した本には未練が残る。
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by byogakudo | 2007-05-25 20:46 | 雑録 | Comments(0)
2007年 05月 24日

20数年ぶり

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 雑用があって1:30pm頃ようやく開店。もしいらした方がおありでしたら
申訳ありません。なかったと信じますが。

 店を開けても熱くって何もできない。ぼうっとPCを眺めてたらお客さま、
と思ったら、そろそろ顔を出してくれそうな気配があった昔の友人・Lapiz。

 20数年ぶりのはずだが、あまり変っていない。Sと三人で昔話や近況報告。
みんな長生きしてしまった。感慨というほどのものではないけれど。
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by byogakudo | 2007-05-24 13:57 | 雑録 | Comments(0)
2007年 05月 23日

わたしは週末の神戸に行きたい

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 今週末の神戸に行きたい。海文堂書店に行きたい。daily-sumus
5月19日付けを見て、行きたくなった。

 spin創刊記念のトークライヴですって。キャロルの専門家と
アルトー専門家・鈴木創士氏の対談だ。東京ではやらないのかなあ。
いらした方でライヴの様子を録音・録画・筆記された方、ぜひコピー
させて下さい。乞うご連絡。

 五月真理矢が参加することになった「ZOWV__活字同人誌 ゾヲヴ」
07年夏季号 通巻10号(ZOWV制作実行委員会)を委託販売します。
版形はB6くらい? 266頁(厚さ2cm) 定価¥1500。

 真理矢さんの作品はシナリオ風小説「アポトーシスの寓話 虫駕籠より
序章〜シーサイド・スーサイド〜」第1回。同名の映画を企画進行中と
思うが、映画化と同時進行のノヴェライズであろうか? まだ始まりの
始まりだが、暗くていい。弊店に似た名前の古本屋が出てきますが、
よくある偶然です。

 他に現役ストリップ・ティーザーの女性、ネットトレーダーの女性、
パズル作家の男性、ジョギングする俳人(作品タイトルは「叙吟句」)等
多士済々です。よろしく。
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by byogakudo | 2007-05-23 15:22 | 雑録 | Comments(0)
2007年 05月 22日

「風信子の家」読了

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 ヒアシンスも好きな花のひとつだ。カタカナで書いても漢字で風信子と
あっても、どちらもあの透明感が伝わってくる。

 そんなロマンティックな心情を見事に打ち砕いてくれたのが山田風太郎
のエッセイ(どのエッセイ集だか忘れた)。風太郎はある日、俳句雑誌を
見ていたらしい。そこで発見したのが、<病人の氷枕やヒアシンス>なる
俳句だ。あとにどうしても<ア、コリャコリャ>と付けたくなる怖るべき
迷句である。
 以来しばらく、都営住宅の庭に可憐に凛とした立ち姿を示すヒアシンス
を目にするや否や、かの迷句も立ちのぼってくる症状に悩まされた。

 という悲しい過去はさておき、「風信子の家」(篠田真由美 東京創元社
07初帯)です。立原道造「ヒアシンス・ハウス」+中井英夫「虚無への
供物」で書いたそうだが、被写界深度が浅い印象を受けた。

 心理分析ミステリなのかも知れないが、推理の前提となるデータを会話で
やり取りする場面なぞ、いくら本郷界隈の古い木造住宅であっても、90年代
の話である。ぎくしゃくした感じがつきまとう。もっと大時代な設定なら
気にせずに読み飛ばせたのだろうが。

 短篇・中篇をまとめた1冊であるが、どれにも同じような印象・不満を
抱く。表紙や各篇に1点ずつ添えられた今様イラストレーションが好みに
合わなかったという理由もあるかも知れない。

 そういえば「虚無への供物」を読んでなかった。いつか元気のある時に
トライしてみる? でも、中井英夫・赤江瀑・河野典生は我が三大鬼門だ。
こそばゆい系三雄である。
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by byogakudo | 2007-05-22 14:47 | 読書ノート | Comments(0)