猫額洞の日々

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2008年 08月 31日

カルヴィーノ+稲垣浩(?)

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 ベタな選曲で申訳ない。雀百までポップス骨がらみ。
 SUMMER'S OVER


 カルヴィーノ「むずかしい愛」(岩波文庫 95初)は1950年代の
作品集らしいが、書き方は晩年(83年)の「パロマー」とほとんど同じ、
ちょっとしたできごと・行為の微分化された記述である。

 きらいじゃないが大好きなタッチとも言いがたく、気分を変えるには
__「日本映画の若き日々」(稲垣浩 中公文庫 83初帯)にでも、しようかな。
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by byogakudo | 2008-08-31 14:14 | 読書ノート | Comments(2)
2008年 08月 30日

ディック「アルファ系衛星の氏族たち」読了

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click to enlarge. 本郷館の背中!


 今週の新着欄です。よろしく。
 新着欄

 おとといフィリップ・K・ディック「アルファ系衛星の氏族たち」
(創元SF文庫 92初)読了。夫婦間の葛藤が舞台を宇宙に移しても活写
される、ディックおとくいの神経症SF。と言ってしまうとあんまりだが、
まあ、そんなストーリー。

 アルファ系衛星のひとつが各種精神病の地球人だけのコロニーとなり、
調査に訪れるのが主人公の元妻であるマリッジ・カウンセラー。彼女に
殺意を抱く主人公(CIA職員)は彼女を追ってアルファ系衛星に行く。

 そこで見るのは、精神病者と地球からは呼ばれているが、健常者間
に発生するできごと(陰謀・葛藤・妄想)と大差ない世界。
 敵の敵は味方理論で、誰につくべきか検討する主人公の混乱ぶりを
描くシーンなぞ、これぞディック・ワールド。

 主人公は元妻とよりを戻し、コロニーでひとつの氏族として
生き延びようと決意する場面で終わる。だが、攻撃的で上昇志向の強い
彼女と、ほんとにパートナーとして再出発できるだろうか。不安を残す
終わり方である。
 主人公に味方してくれるのが、宇宙からきたテレパス能力をもつ粘菌、
というのが泣かせる。

 昨日から「むずかしい愛」(カルヴィーノ 岩波文庫 95初)を読みかけ。
でも、「宇宙の操り人形」と「人間狩り」(どちらもちくま文庫)が
入ったので、再読しようかな。
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by byogakudo | 2008-08-30 15:03 | 読書ノート | Comments(0)
2008年 08月 29日

神保町から本郷三丁目まで

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 あら、6月27日に行ったきりだった。久しぶりにふたりで神保町へ。
地下鉄を出たらアーケードがなくなっている。いつ消えたんだろう?

 ともかく古書会館へ。やっと図録の並んだ棚を見つける。「何とか
美術館」ものばかりだが、せっせと見ていく。
 と、右目の端に若い男の人影。チッ、あたしと同じにおいをさせている。
負けてはならじと眼速を速める。
 なんだ、若い男どころかSじゃない。入るなり二手に分かれて見ていく
のが、ぶつかった。同臭なのも当然だ。

 40分で切り上げ、ニコライ堂脇のタリーズへ。行ったら改装中。近くの
「ニューヨーカーズ・カフェ」に初めて入る。ひと休みして、今日は歩く日。

 聖橋を渡り本郷三丁目方向をたどる。本郷二丁目に来た。もう大通りから
外れてもよいだろう。大きなヒマラヤ杉が見えるゆるい坂道がうつくしい。
 ヒマラヤ杉のお家は、古い木造の洋館だった。かなり古い。この辺り、
弓町。道筋に沿って進む。

 もう東大だ。お茶の水から本郷って近い。むかしの町名案内板があちこちに
あり、江戸の町のサイズがわかる。こじんまりした一郭がひとつの町だ。

 森川町といえば本郷館。今日も撮る。そろそろ帰りを考えながら西片町へ。
ここに住めたらいいなあ。ひっそりと静かな住宅地だ。新興・高級住宅地
では得られない落ちつきが、いい。
 まあ、散歩に来ればいいのです。脚力だけは保っておこう。今日は3時間
くらい歩く。
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by byogakudo | 2008-08-29 20:17 | 雑録 | Comments(0)
2008年 08月 28日

カフカ的(?)

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click to enlarge. 人形町の床屋さん。


 大雷雨予報を真に受けて臨時休業するうつけ者。せっかくだからと
用事をこなすことにする。夏休みの一日を費やせばいいのに。

 期限ぎりぎりの誕生月健康診査を昼前にすませる。ここは近い。
次は新宿西口の銀行まで歩く。その前にコーヒーが切れかけているから
タリーズに寄って、と。
 雷雨に備えて傘はもちろん、雨靴も着用。足下が暑い。間抜けさが
つのる。

 銀行に着く。ついにクレディットカードの申込み。細目ばかり
話を進めるのではなく、まず大づかみな概要を話してから進めて
くれないかなあ。
 そもそも、月賦は感心できない行為と教えられて育った。今の世に
まだ、こんな輩が棲息しているとは、受付嬢の想像も、或いはマニュアル
製作者の想定も及ばないだろうが、いるんです。

 事務手続きはたいていトラブる。受講科目の登録から、古物取扱い
免許申請まで、すべて何らかのミスを指摘され、係のオバチャン連から
冷たいまなざしを浴びてきた。だから慣れてはいるのだが、今回は
顔写真つきの身分証明を持っていないこと(運転免許もパスポートも
ない、健康保険証だけ。タスポをもっていたら、それで通用するの
だろうか?)と、貯金通帳を持参しなかったことで照会に時間を食い、
もう一度、出直すべきだ、というところまで解った。
 いえ、クレディットカード申込みだけで帰れば問題なかったのです。
ついでに機能をふやそうと思ったのが、運のつき。

 今日はここまでにしてバスで戻る。いつの間にか大雨。やっと雨靴の
面目が立つ。
 バス内でTV番組「マペット放送局」のエピソードを思い出す。
 「トール、図書カードをつくる」とかいうタイトルだった。北欧神話の
雷神トールがなぜか利用カードを作りに図書館にやって来る。ところが
身分証明が何もないので出せないと、司書が答える。トールはかんしゃくを
起こして大暴れする、というお話。
 わたしは暴れませんけど。今日もジンクスの上塗りをしてしまった。
やれやれ。
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by byogakudo | 2008-08-28 16:16 | 雑録 | Comments(0)
2008年 08月 27日

「浅草色つき不良少年団」補遺

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 このところの2枚続き写真は人形町シリーズです。地霊を
感じさせる街。

 地霊といえば浅草もそうだろうか。子どものとき一度行った
(仲店通りで売っていた、青い切子細工のガラス瓶しか覚えて
いない。1956年頃だから人通りはまだ多かっただろうに、
雑踏の記憶がない。)のと、80年代に一度、女友だちに喫茶店・
アンジェラスやアリゾナ食堂に連れて行ってもらったことがある
だけだが。

 「浅草色つき不良少年団」の作者・祐光正は東京都出身らしい。
彼もまた浅草とは縁のない地域で育ったのではないか、と思う。
 戦前の浅草への憧れは、もし戦後の浅草に生まれ育っていたら、
生じなかったのではないか。距離があるからこそ憧れも芽生える。

 作者の思いは充分伝わってきた。神名火老人の口調なぞ、頑張って
いる(でも不自然さを感じる)、「油照」等、古風な言葉遣いも
している。乱歩にオマージュを捧げたいのか、大水春栄(おおみ・
しゅんえい)なんて人が出てきては殺されるし、「ロミオと
ジュリエット」風の「イーストサイド物語」では、今度は荷風への
挨拶か、長吉という少年が恋に悩む。

 趣向は盛り沢山、だが如何せん、まだ身につききっていないのだろう。

 むしろ幕末や江戸時代を舞台にした方が、書きやすいのかなあ?
昭和40年代(1970年代)くらいまでを時代設定すると、耳や目の記憶の
ある人がまだ生存しているから、あれこれ言われやすい。
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by byogakudo | 2008-08-27 13:34 | 読書ノート | Comments(0)
2008年 08月 26日

祐光正「浅草色つき不良少年団」読了

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 昨日、店にディックを忘れてしまったので、2篇だけ読んでいた
祐光正「浅草色つき不良少年団」(文藝春秋 07初帯)の残りを読む。

 欠点の多い作家だけれど、戦前の浅草への思い入れの強さは
認めるべきだろう。それしか今のところ評価できないんじゃないかと、
こっそり思う。

 久保田眞二・名の漫画家として活躍後、小説家に転じ、これが
デビュー作だそうである。タイトル作品が第44回オール讀物推理小説
新人賞を受賞。この文体の肌理の粗さと、ミステリとしての泥臭さで
受賞? 他の応募作はじゃあ、どうだったんだと聞きたくなるが、
たぶん、浅草への思いの強さを審査員は評価したのだろう。

 綺堂の読物と同じく聞き語り形式で、戦前の浅草の街や、不良少年
たちの出遭った事件が語られる。
 漫画家であったこの物語の書き手が、神名火譲二(かんなび・じょうじ)
老人から話を聞き始めたのが、昭和の終わり頃、今から20年以上前という
設定であるがしかし、たとえば第三話「瓶詰少女」から、当時の神名火
譲二青年の台詞を引用する。

< 「無月村を追い出された連中が、あのアトリエ村に、ヒルトップ
 陸木という新たな共同体を造ったということなのか。[以下略]>
(p154)

 「共同体」は、1930年代の浅草の不良少年団・団長であった神名火
青年が、その当時、使う言葉だろうか。聞き語りだから、地の文に
用いられていても違和感がある。まして直接法の会話中に出てくると
困惑する。

 どの短篇もミステリ仕立てだが、ほとんどが機械的トリックを
使った探偵小説で、これはもしかして敢えて古風さを狙ったのか。
 だとしても推理の鮮やかさではなく、泥臭さしか感じられない。

 最後の第五作「二つの墓」で関東大震災によって孤児となり、
神名火青年(まだ少年だったが)の指揮下に入った少年たちが
全員登場し、
< この物語は始まったばかりである。>(p309)と結ばれる。
 シリーズ化するなら、ミステリではなく浅草情話の線を目指した
方が、作者の体質に合うのではないかしら。

 資料を一所懸命集めて、戦前の浅草を脳裏に描いて書いたのは
よくわかった。文庫で読めるものは全部、文庫版で読んでいる
ところが泣かせるが、都筑道夫「東京夢幻図絵」が懐かしくなる
のは、どうしようもない。今年49歳の作者に、無理な相談をして
いるのだろうか。

 遅ればせの、もしくは早まった今週の新着欄です。よろしく。
 新着欄
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by byogakudo | 2008-08-26 14:33 | 読書ノート | Comments(0)
2008年 08月 25日

山田風太郎「忍法創世記」読了

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 やっと山田風太郎「忍法創世記」(小学館文庫 05初)読了。
風太郎が復刊をしぶっていたそうだが、山田風太郎としては
少し失敗作の方ではないかと、読み終わって思う。駄作なんぞ
では全くない、意欲作だけれど。

 代々の天皇たちしか見たことのない三種の神器。天皇よりも
ずっと神聖な存在で、天皇はむしろ三種の神器を継承するための
存在に過ぎないとさえ見なされる、三種類のモノを廻って人々が戦い、
死んで行く。

 時代は南北朝に設定されているが、意図としては、戦後も続く
天皇制と日本人との関係を狙っていると読める。だが焦点がうまく
合わなかった、ということだろうか。いまいち、隔靴掻痒な感じが
残って、物語への入りにくさの遠因はそこにあったのではないかと
思う。

 天性の悪女(しかもまだ少女)・牢姫なんて、すてきなキャラクター
なんだけれど。

 昨夜からフィリップ・K・ディック「アルファ系衛星の氏族たち」
(創元SF文庫 92初)。雨がしとしと降り続く今週にぴったりな、
ディックらしい不景気な登場人物がどっさり出てきて、ほっとする。
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by byogakudo | 2008-08-25 14:05 | 読書ノート | Comments(0)
2008年 08月 24日

隅田川写真集

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 夏休みの思い出。大川端です。水辺はひとを幸福にする。
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by byogakudo | 2008-08-24 16:42 | 雑録 | Comments(2)
2008年 08月 23日

高円寺近辺

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 昨日、遠出していてよかった。今日は時々雨の予報。何心なく
高円寺へ。「何心なく」を翻訳すれば、「期待せずに」。

 まあその通りの結果だ。どこも夏枯れている。高円寺はお祭りの
ようで、道ばたにシートを敷いて席とりしている人、浴衣姿の若い
女性たちが見られる。細すぎて浴衣のうち合せが後ろに廻っている。
歩きにくくないのだろうか。

 いつもながら高円寺はにぎやか。やっぱり「アニマル洋子」に
立寄り、自家用の本やシャツを買い、義母宅へ。

 明日は大雨ですって?! 
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by byogakudo | 2008-08-23 21:15 | 雑録 | Comments(0)
2008年 08月 22日

人形町! 大川端!

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 東京新聞8月16日朝刊で紹介されていた人形町が気になる。
ふたりとも未知の、東京の東である。曇っているが雨は降らない
ようだし、行かなくっちゃ。

 地下鉄・大江戸線、人形町下車。右も左もわからないお上りさん。
新聞記事の記憶を頼りに明治座方向に渡り、路地をふらつく。

 ある、残っている。木造建築のまま、或いは建替えてもできるだけ
むかしの空気を残そうと、建材やデザインに気を配った建物。
 もちろんビルの方が多いけれど、一歩路地に入ると、下町の
底力を感じさせる街が生きている。すばらしい・・・。
 湯島も東京を保っているが、人形町もすごい。あたしって蕪雑な
新開地に住んでいるんだなあと、よくわかる。

 歩いているうちに有馬小学校、水天宮へ。水天宮で何を祈れば
よいか悩むが、とにかくお詣りする。谷崎の探偵小説でも水天宮の
辺りに暗号が記されていたっけ。
 水天宮下のおせんべ屋さんで道を尋ねると、すぐ先に隅田川が
あると言われる。教えてくれた老店主の東京弁がすてき。神田の
東京弁とは違うのだろうが、微妙な差異まで聞き分けられない。

 大川! 隅田川大橋を渡りかけ、あわてて隅田川テラスに戻る。
水が近い。たふたふした水が、すぐ間近に来ている。
 「ここからなら入水してもいい!」

 潮の香が混じった水のにおい。河口まで3km、の表示もある。
水上バスや他の船がかなり行き来している。対岸には倉庫らしい
建物が見える。岡本かの子の小説にも、ここらを舞台にしたものが
あった。

 清洲橋を渡る。隅田川にかかる全部の橋を、タクシーで縫って
廻った内田百鬼園のエピソード(タクシー代は高橋義孝持ち)を
思い出す。わたしの東京は本の記憶でできている。

 また隅田川大橋へ向かってテラスを歩く。水辺にいれば機嫌が
いいのです。

 福住や深川の地名を見ながら、門前仲町からまた大江戸線で
戻る。
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by byogakudo | 2008-08-22 21:19 | 雑録 | Comments(0)