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2009年 01月 31日

近藤富枝「信濃追分文学譜」読了

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 昨日のブログを訂正しました。
 「愛犬」に関して、<「名士探訪」企画臭もやや感じる。>
と書きましたが、これは邪推だと思い直し、削除しました。
結果的に名士探訪になったけれど、それが目的なら、もっと
立派な名鑑調装幀になった筈で、江戸趣味の狗張子の
和本風になぞ仕立てなかっただろう、と後で思った次第。
愛好家の倶楽部活動、みたようなものではなかったのかしら。
 また、犬の<紐をもつ飼い主の手袋>は<手先>に訂正。
見間違いです。

 今週の新着欄です、よろしく。
 新着欄

 なんとなく近藤富枝「信濃追分文学譜」(中公文庫 95初)を
手にして、昨夜読了。

 芥川・堀辰雄・立原道造たちの、年上の知的な女性に寄せる
思慕は、日本には存在しない、サロンの女王への憧憬では
なかろうかと考える。自分たち博識の男と対等に渡り合え、
しかも保護者でもある、うつくしい女神像を思い描いていた
のではないだろうか。

 青木繁とか、近代の男たちの恋愛妄想は、正直、ついていけない
面があって、恋に恋するのも思いを秘めるのも結構だけれど、
相手の女性をきちんと見たことがあるのだろうかと、疑問に思う。
 勝手にナルシスティックな恋愛感情を投影されたって、当該女性と
しては困るのじゃないかしら。
 もっとも、妄想抜きの恋愛感情があるだろうかというと、それも
ありえないが。
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by byogakudo | 2009-01-31 13:38 | 読書ノート | Comments(0)
2009年 01月 30日

神保町へ/スタージョン「一角獣・多角獣」読了

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 去年の暮れからずっと、金曜日というと雨が降る。先週なぞ、
まったく、例外的に晴れていた。
 今週は、そろそろ古書展にいかなくっちゃね。

 雨降り。それでも神保町はひとが歩いている。新刊・古本を
問わず、本屋にひとが入っている。早めに(といっても12:30頃)
着いた古書会館内は、もちろん満員に近い。ラッシュは去って
いるようだが。

 二手に分かれて探す。HPケセランパサラン向きが目につく。
最後に見つけた「愛犬」なる和綴じ風小写真集に悩む。可愛いが、
いつ売れるだろう? 戦前の神戸で飼われていた洋犬(主に猟犬)の
写真集である。裏表紙が取れていて(?)、愛犬家団体の出版物
と思われるが、確認できない。
 犬の写真に、犬と飼い主の名前、大体の住所が記されている。
迷い犬になっても連絡がつくように、という配慮らしいが、犬の表情と、
撮影スポット(洋館の扉前とか、お庭の垣根付近とか、紐をもつ飼い主の
手先だけ写っているところ等のディテイル)がなんとも言えない。
 買っちゃった。ARSの函入り文化生活・文化住宅ものが、高くて買えな
かったし(これも写真が素敵だった)。
 
 昨夜、シオドア・スタージョン「一角獣・多角獣」(早川書房 05初帯)
読了。スタージョンの音感、リズム感のすばらしさは、近年の翻訳の
方が、よく伝えられているのではないかしら。日本人の音感・リズム感が
40年でがらりと変った、というべきかも知れない。
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by byogakudo | 2009-01-30 16:29 | 読書ノート | Comments(2)
2009年 01月 29日

獅子文六「舶来雑貨店」読了/リービ英雄のコラム

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 写真は東大構内の猫。苛められていないせいか、他の猫も穏やかな
表情をしていた。「オックスフォードの猫たち」とかいう写真集がある。
大学には猫もよく似合う。

 獅子文六「舶来雑貨店」(愛翠書房 49初)読了。前書きの最後に
<一九四九年春>と記されているから、戦前の同タイトル書収録分と
戦後のエッセイを混ぜた文集、ということだろうか。
 戦前の白水社版が気になる。いつかどこかで手に入らないかしら。

 東京新聞、毎週水曜日の夕刊に、1月から連載中のリービ英雄の
コラムを切り取っている。多言語者の感覚が魅力的だ。

 オバマ大統領の就任式について書かれた、昨日のコラムを
強引に一部引用してみる(短い文章なので、全文読まないと、
流れのうつくしさが伝わり難いのだが。)__

<[略]周りの人々が叫び出した。オーバーマー、と。
アフリカの言語の詠唱のような声が、くり返し響き渡ると、
アジアの言語の呪文(じゅもん)に似てきた。[略]その名は
もともとは西洋語ではなかった、という日本語の思いに
ぼくはかられた。耳から、アメリカの何かが変わったことを知った。
[略]
 オーバーマー。最初のOH!は、長く続いたうっとうしい夢から
突然さめた瞬間の、驚きの声にも聞こえたのであった。>
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by byogakudo | 2009-01-29 14:23 | 読書ノート | Comments(0)
2009年 01月 28日

獅子文六「舶来雑貨店」でブレイク

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 スタージョンとコルタサルを交互に読む、ヘヴィ・スケジュールな
夜__どちらも頭が上がったまま眠ることになる__に少し疲れ、
獅子文六「舶来雑貨店」(愛翠書房 49初)で一休み。

 敗戦直後なので紙質が悪いが、宮田重雄による挿画装幀の
とぼけたセンスで買った部分がある。戦前の白水社版は、どんな
ルックスだったのだろう。

 「血と泥濘の事件」は、まるで「昼顔」みたいなブルジョア夫人の
事件である。結婚前から「メエゾン・ド・ランデブウ」に通い、
結婚後は夫の依頼で(!)通っていた女性が、夫をピストルで殺し、
自ら警察に電話する、1930年12月14日のことだ。
 「昼顔」のヒントになった事件かしらと思ったが、ケッセルの
「昼顔」はその前年、1929年の発表だ。生活が作品を追った
のであろうか。
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by byogakudo | 2009-01-28 13:51 | 読書ノート | Comments(0)
2009年 01月 27日

また古本屋の夢を見る

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 初夢のときよりは、実際の店舗に近い店で古本屋をしている。
なぜか客が押しかける。中年男性、若いカップル、次から次へと
ひとが入ってくる。狭い店内が混雑する。お風呂屋さんみたい。
 でも誰ひとりとして、買わない。そこが妙にリアルだ。

 雨が降り出したようで、表のワゴンにヴィニルを被せなきゃいけない
のに、人々のラッシュでままならない。表には本が散乱している。
 もう、どうすればいいのだ。

 そんな混乱が続くなか、ときどき裸体の若い白人女が、目を宙に
すえて店にやってくる。やせたモデル体型であるが、人間というより
マネキン、あるいは蝋人形めいた女だが、歩いてくる。口はきかない。
 ヌードではなくネイキッドな裸体。顔は、ハマー・ホラーの美女タイプ。
何者なのか、古本屋になんの用事があるのか。二度、三度、混乱した
劇中の幕間狂言みたような登場ぶりであった。

 アーティスト・宇治晶氏までいらしたと憶えているが、お元気ですか?
いつも変な夢に登場させて、すみません。個展の案内状を持って
来られていたようですが。

 ドタバタしたまま、夢は突然、終了した。目覚めて疲れが残る。
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by byogakudo | 2009-01-27 13:19 | 雑録 | Comments(0)
2009年 01月 26日

コルタサル「秘密の武器」読了

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 よかったあ、コルタサル。やっぱりいい。
 あれだけ装幀の悪口を書いたおかげで、あとはすっきり(?)
本に没入できた。ストレスは減らしておくものだ。

 どの短篇も、全部好きだけれど、チャーリー・パーカーを
モデルにした「追い求める男」がすてきだ。プレイするときの
時間感覚について語られる言葉なぞ、Sや鈴木創士氏たち、
ミュージシャン/音が身体に入っている人々なら、もっと痛切に
理解観賞できるだろうと思うと、我が身が悲しくなるけれど、
それでも皮膚で音を聞く質のわたしであっても、わかる、
感じられる世界である。
 ひたすら、すばらしい。

   (国書刊行会 81初函帯)
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by byogakudo | 2009-01-26 14:25 | 読書ノート | Comments(0)
2009年 01月 25日

恩田陸「きのうの世界」読了

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 2~3日ほっといたので、忘れてやしないかという不安は的中。
不思議な街に係ったそれぞれの人物の観点から書かれているが、
再開直後、いきなり、この人誰だったっけと思う。
 すぐに思い出せたから、まあいいけれど。

 それにしても、遂に一度もわくわくすることなく読み終える。
合わなかったのだろう。本の帯には、
<ファン熱望の最新長編!! 
 「これは私の集大成です」恩田陸>と謳ってあるが、ファンには
なれなかった、ということか。

 「あなたは」呼びかけスタイルも、ファッションとして用いられて
いただけであった。半分過ぎた頃だか、「あなた」に名前まで
付けられて、出て来るようになってしまう。
 終盤、解決部分も、妙に説明的で、小説としてのふくらみが
感じられない。
 すまない、縁がなかった。

     (講談社 08初帯)
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by byogakudo | 2009-01-25 16:38 | 読書ノート | Comments(0)
2009年 01月 24日

山崎阿弥さんの個展、もうじき

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 写真は昨日の東大構内の一枚。

 今週の新着欄です。よろしく。
 新着欄

 アーティスト・山崎阿弥さんの個展が、来週から始まります。

     [風の仕事場]  消えゆく線をたどるように
     2009年1/29(木)-2/10(火) 水曜定休
     13:00-22:00  29日のみ19:00-22:00
     155-0031世田谷区北沢1-45-36 現代HEIGHTS Gallery DEN 
     phone/fax 03-3469-1659

 オブジェと絵画によるインスタレーションだそうです。よろしく。
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by byogakudo | 2009-01-24 18:13 | 山崎阿弥 | Comments(0)
2009年 01月 23日

東大構内の半日

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 晴れると言う。暖かいと言う。たしかに昼過ぎから陽が射してきた。
伊呂波文庫さんがお客様から聞いた、東大の博物館目指して行こう、
大江戸線で本郷三丁目まで。

 すぐに着く。でもその前に、木下順二「本郷」にあった中央教会を
まだ見ていないから、行かなきゃ。
 (あっ、和菓子の藤村。臨時休業ですって、残念。義母にお土産が
できたのに。)
 中央教会は、それほど魅力的ではなかったが、隣の税理士事務所が
すてきだ。堂々たる木造モルタル二階家である。

 東大構内へ。工学部や文学部の方は見ているが、医学部辺りはまだ
ちゃんと見回っていない。入った時点で、博物館の件は頭から吹き飛び、
ひたすら煉瓦造の建物に専念する。あすこもここもうつくしい。陽射しも良い。
建物のアールに射す樹の影が、的確だ。

 ほんとの煉瓦はいいな。煉瓦タイルや煉瓦タイル・パネルと全く似て非なる
うつくしい素材だ。この環境なら入学してもよかった。が、二人とも理数系が
駄目だから、あちらから断られる。

 昨日の雨で敷石がまだ濡れている三四郎池へ。静かだ。都心の真っ只中
とは思えない。水面を見ていると引きずり込まれそう。

 通りを渡って農学部へ。休むところはないかと見渡すが、ない。
「ルオー」にしよう。チェーンのキャフェでない、喫茶店は落ちつく。
隅の席で原書を読む、地味な古典的大学生が、まだいる。
 「ルオー」並びに昔からあった「いわしや」で、奇麗な薬瓶を買う。

 義母と三人で夕食。彼女へのお土産が「ルオー」のマッチだけ
になったのが、申訳ない。
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by byogakudo | 2009-01-23 21:06 | 雑録 | Comments(0)
2009年 01月 22日

コルタサル「秘密の武器」途中

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 第一篇「母の手紙」を読む。死者との近親相姦の話?

 兄のガールフレンドに恋した弟は、兄の死後、彼女と
駆落ちみたようにしてブエノスアイレスを去り、パリに
生活の基盤を持つが、故郷に残した母からの手紙が
届く度に、過去が現前するのを感じる。
 母があるとき、死んだ長男がまるで生きているかの
ような調子で、手紙を書いて寄越す。それ以来、次男
夫婦の生活に、死者がともに暮らしている感触が強まり・・・。

 どうやってこんなに風に書けるのだろう。手のひらに載せた
ホログラフィック・オブジェみたいな、フェティッシュな感触の
小説が。
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by byogakudo | 2009-01-22 15:26 | 読書ノート | Comments(0)