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2009年 11月 30日

映画「私は猫ストーカー」撮影からほぼ一年

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 写真は東中野の神社で。

 去年のいまごろ、正確には12月2日夜から、映画「私は猫ストーカー」
ロケの撮影準備が始まった。
 「私は猫ストーカー」撮影前後記

 時の経つのは速い。初夏に試写を拝見してから半年近いが、その後何度も
都内で上映され、各地で上映が続いている。この分では、全都道府県制覇も
達成されるのではないかと、期待している。名画です。
 スローラーナー
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by byogakudo | 2009-11-30 14:52 | 映画 | Comments(0)
2009年 11月 29日

ジョン・ウィンダム「海竜めざめる」/遠田潤子「月桃夜(げっとうや)」読了

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 原題が " THE KRAKEN WAKES "、日本語訳では「海竜めざめる」。
宇宙から飛来した生命体が作り出したバイオ兵器(?)に人間が襲われる
シーンでは、腔腸動物系の戦車が海から上陸して、建物を壊し、人間に
粘液を吹きつけて絡めとる場面が描かれている。

 ところが肝心のKRAKENであるが、最後まで読んでもどんな形態の
知的生命体だか、書かれないまま終る。ずるいよ、と言いたくなるが、
それが主旨ではなく、社会構造が基盤から破壊され、共同体が崩壊する
ときのありさまや対処方法が書きたかったようなので、仕方ない。
化け物はあきらめよう。
 崩壊した共同体を社会的に描くのがジョン・ウィンダムで、渦中に
ある個人の崩壊を描くのがJ・G・バラード、ということか。
     (HPB 66初)

 しっかり書いてあるのに、導入部は、ちゃんと入れたのに、とうとう
感情移入できないまま遠田潤子「月桃夜(げっとうや)」を読み終える。

 奄美大島のエキゾティックな風俗や民俗描写にノレなかったのか、
それとも、会話場面や地の文で説明し過ぎる文章に入れなかったのか。

 大鷲の語る物語、とくにエンディング近くは急ぎ過ぎて、人物の語る
言葉が解説めいている。読みながら、書かれた文章の地平から飛翔する
瞬間がついに来なかった。合わなかったのだろう。
     (新潮社 09初 帯 J)
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by byogakudo | 2009-11-29 14:23 | 読書ノート | Comments(0)
2009年 11月 28日

ジョン・ウィンダム「海竜めざめる」をまだ読んでいる

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 まず、今週の新着欄です。よろしく。
 新着欄 
 

 なかなか終らないジョン・ウィンダム「海竜めざめる」から、
煉瓦積みの件りを引用。

 ライター夫婦はコーンウォールに別荘があり、集中的に原稿を
書くとき、あるいは息抜きにと活用しているが、ある時、奥さんが
行ったきり帰って来ない。心配した主人公が電話すると、長い間
コールして、やっと彼女が電話に出る。

<「[略]本当のことを言うとね、レンガを積んでいたのよ」
 [中略]
 「やってみると面白いものよ。いろんな型があるのよ。
 フランダース式とか、本国[注 英国のことだ]式とか。[略]」
 [中略]
 「[略]あたし、チャーチルの書いた随筆で読んだんだけど、
 気分を転換させたい時にレンガ積みをやると、とても効果が
 あるんですって。[略]」>(p85下段)

 建築施工業者間ではフランス式と呼ばれ続けていただろうが、
普通のひとは煉瓦積みの工法名なぞ知らない。翻訳の星新一も
たぶん知らなかったから、原文通り、「フランダース(フランドル)
式」と訳したのだろう。
     (HPB 66初)
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by byogakudo | 2009-11-28 16:40 | 読書ノート | Comments(2)
2009年 11月 27日

ジョン・ウインダム「海竜めざめる」を読みながら遠田潤子「月桃夜」に目を通す

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 お師匠さんからお借りしている遠田潤子『月桃夜」(新潮社 09初 帯 J)が
あるけれど、ジョン・ウィンダムもある(星新一訳のHPB表記ではウインダム)。

 「月桃夜」の冒頭は、筆力を感じさせる。カヤックで漂流中の若い女と大鷲が
会話するのだが、無理なく物語に入ってゆける。

 次いで、天保の代から生きている大鷲の物語が始まるのだが、どうも癒し系
というのだろうか、奴隷状態にある、心を閉ざした孤児の少年(現在の大鷲)が、
同じ身の上の少女を保護する立場になることで、胸中の氷が溶けるなんて
読むと、先が見えるようで、ウィンダムに手が伸びる。
 「日本ファンタジーノベル大賞」大賞受賞作だそうで、一部のSFには反応
するが、ファンタジーはあまり、という輩向きとは言いがたい。勿論ちゃんと
読んでからお返しするつもりだけれど。

 「海竜めざめる」は、なんともウィンダムらしいウィンダム・タッチ。
 深い海溝目がけて、空から赤い火球が落ちてくる。火球は宇宙からの侵略
兵器らしい。いつの間にか海底基地を作ったようで、海上を航行する船が
襲われる。

 冷戦時代の作品なので、最初は相手陣営のしわざではないかと、両極で
疑心暗鬼に走るが、やっと地球外部の敵と認識が一致する。海底基地目指して
バンバン、原爆を投下するのも、原水爆に関してまったく想像力の働かない
欧米人らしいと思うけれど__彼らにとって原爆は、敵を壊滅させる大型爆弾
でしかないんじゃないか。__、それはさておき、物語を伝えるのがフリー
ランスのライター夫婦である。

 夫は元EBCという民間放送局の局員だったが、夫婦揃って最初の火球降下から
目撃調査している。
< EBC放送は<ニュース・パレード>という特集番組を電波に乗せたが、そこでは
 私たちは海洋特派員との肩書きつきで扱われた。わけのわからない話だった。
 実際のところ、フィリス(注 奥さんの名前)は一度もEBCに籍を置いたことは
 なかったし、私にしても、二年ほど前にフリーになった時、正式に辞表を出し
 てある。[中略]
  海洋特派員として放送したくせに、私たちへの局の待遇は向上しそうに
 なかった。かつては予言者だったかもしれないが、現在はとくに秘密情報に
 くわしいわけではない、といった理由からだろうか。>(p73上段)

 この引用箇所の前には、海上交通が悪化したため船舶株が下落し、航空
会社の株式や鉄鋼・ゴム・プラスチック関連株が値上がりしている話が
あり、夫妻は株式投資で利益を得たというエピソードも描かれる。

 地球の危機にあっても日常は続く。英国ミドルクラスは頑丈である。
 危機の物語を書くのに、地に足の着きすぎる書きっぷりだ。あくまでも
ウィンダム・タッチ。
     (HPB 66初)
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by byogakudo | 2009-11-27 13:47 | 読書ノート | Comments(0)
2009年 11月 26日

ジョン・ウィンダム「さなぎ」読了

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 ミュータントを介在させて人類の進化について考える、という話
だろうか?

 テレパス少年たちは無事に、彼が夢で見たことのある都市(まち)に
たどり着く。
 彼らを救いにきた女性が演説めいて語るシーンがある。

< 生命の根本的な性質は生きることです。生きることの根本的な
 性質は変化です。変化は進化です。そしてわたしたちはその一部
 なのです。
  静的なもの、変化の敵__それは生命の敵であり、従ってわたし
 たちの和解できない敵です。>(p247)

 人類の定義に関して種族間で違いがあると、相対的な視点を得た
少年であるが、これを聞いて、そこまで自分が超越的な存在だろうかと
思う。しかし、殺されていった友だちを振り返り、事態を受け入れる。

 種の維持のために、個々人の死も了承せざるを得ない状況は解るが、
「廃馬を撃つ」彼らと、南極大陸に樺太犬を放棄する日本人との、
東西の違いみたいなことを、ふと思い出す。

     (HPB 66初)
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by byogakudo | 2009-11-26 13:28 | 読書ノート | Comments(0)
2009年 11月 25日

ジョン・ウィンダム「さなぎ」もう少し

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 脱出を考えていた少年は、準備不足のまま逃げ出すことになる。テレパス
仲間のひとりの娘が正常人の男と結婚し、そこから秘密が漏れそうになった
からだ。

 脱出先で偏倚の人々の群れに捕まり、思いがけず、子ども時代の友だち、
足指が6本あるせいで逮捕され、断種された少女に救われようとしている
ところ。

 教養小説風でもあって、行く先々で、それぞれの地球生き残り人種が、
自分たちこそ正常であると表明するのを聞いた主人公は、相対化の
概念に行き当たる。
    (HPB 66初)
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by byogakudo | 2009-11-25 13:31 | 読書ノート | Comments(0)
2009年 11月 24日

ジョン・ウィンダム「さなぎ」半分弱

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 写真は、月島の交番。

 相変わらないジョン・ウィンダム・タッチ。パルプ雑誌にでも載ったら
けばけばしい挿絵が伴うようなミュータントSFが、渋い落ち着き払った
文体で綴られてゆく。落ち着き過ぎてて、若い方には、どうだろう?
 もっとさっさと話が進まないのかと、じりじりさせるかもしれない。
わたしには大変心地いいけれど。

 核戦争後の地球と思しい設定で、生物は遺伝子情報が狂っているから
奇形が発生しやすい。それまでの文明の成果は跡形もなくなり、人々は
中世的キリスト教戒律にすがって生きている。

 あらゆる奇形(この中では「偏倚」と呼ばれる)は、悪魔により齎される
「つまずき」だから排除されなければならない。神の似姿たる人間や
正常な形をもつ動物のみが「純正さ」の保証である、という原理主義者の
父のもとに生まれた少年が主人公だが、彼はじつはテレパスである。

 他にも同じテレパシー能力をもつ子どもたちがいる。少年は原理主義に
否定的な元船乗りの叔父に外部の知識を求め、いつかここを出て、夢に
見た昔の世界__<引く馬もなしに車が走っていた。そして時には空に
何か浮かんでいた。キラキラ光る、魚の形をしたもので、それはたしかに
鳥ではなかった。>(p7)__、ある都市(まち)へ行こうとしているようだ。

 半分近く読んでも、事件といえば、仲良くなった「偏倚」の少女(足指が
6本ある)がそれを隠していたことで一家全員、逮捕される悲劇くらいで、
淡々と中世的村落での日々が描かれている。じわじわした語り口が、
本の中にいる醍醐味だけれど、いまの流行りではないだろうと思う。
 ノンストップ・アクションなんぞ、犬に喰われればいいのに。

     (HPB 66初)
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by byogakudo | 2009-11-24 13:27 | 読書ノート | Comments(0)
2009年 11月 23日

スーヴェストル、アラン/久生十蘭訳「ファントマ」読了

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 「ファントマ」だ! しかも久生十蘭訳! ずっと読んでみたかった。
ついに手にした結果は、やや期待過剰であったような・・・。

 須永朝彦の後書きによれば、「新青年」別冊附録として1937年に
出版されたが、推敲する時間のない刊行ではないか、と言う。

 同感だ。文語調で戯作風の久生十蘭文体ではあるが、「魔都」
なんかと比べると、ときどきモタったりしている。大時代な会話は
楽しいけれど。(松野一夫の挿絵もそれほど・・・。)
 でもよかった。うれしい。こうなると、「新青年」別冊附録を
一度見てから死にたくなる。どこで見られるだろう?

     (コーベブックス 75初 帯 J)
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by byogakudo | 2009-11-23 14:06 | 読書ノート | Comments(0)
2009年 11月 22日

中野の本局まで

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 また連休だ。ひと月に何回、連休すれば気がすむのだろう、と
言いたくなるほど連休が多い。古本屋も週休二日制に移行するべきか。

 連休で困るのは、まず、ひとがますます来なくなる。長い連休で
あればあるほど、ひとは古本屋以外のどこかに出かける。

 そして、通信販売の注文が入っても、近所の小さい郵便局は閉まって
いるので、連休の合間に中野駅近くの郵便局まで、一時間に一本の
バスを頼りに出向くことになる。お客さまも、連休だと解って注文
されているかもしれないが、せっかちなので(基本的にはのんびり型)
お待たせしているという意識に耐えられなくなり、バスに飛び乗り、
たぶん同じ運転手の、中野駅始発バスで戻ってくる。

 帰りのバスに少し時間があったので、五叉路に面した「中野光座」
角まで行く。来春にここは壊される。山崎哲の「東京物語」公演中の
看板が、階段下に立ててある。墨汁で書かれた文字だけの地味な
立て看板だが、妙にふさわしい。こういう風景をそっとそのままに
しておけないものか、と思う。すがれて寂しくって、きれいじゃないか。
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by byogakudo | 2009-11-22 16:21 | 雑録 | Comments(0)
2009年 11月 21日

ドナルド・E・ウェストレイク「泥棒が1ダース」/岡山宅子「愛犬物語」読了

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 今週の新着欄です。よろしく。
 新着欄 

 中学の友だちが時々本を送ってくれる。出て間もないミステリが多い。
一度読んだきりとはいえ、まるで新刊そのもの、ピンとした状態なのは、
彼が歯医者さんであるのと関係してるのだろうか。
 お師匠さんもきれいな読み方をされるが、彼も驚かれるきれいさだ。
(古本屋の手指は悲しいほど汚れやすい。)

 そんな本の中から、Sがたまたまウェストレイクを読んだ。軽やかさが
気に入り、新刊書店でも探して読んでいるのを、わたしが後を継いで
読んでいる。

 こちらは「現代短篇の名手たち3」とサブタイトルされた短篇集である。
巧い。
 「ドートマンダーのワークアウト」という短篇では、ドートマンダーが
バーでのワークアウト談義の最中に、バーテンダーにお酒を頼もうとするが、
注意を引けない。やっと気づいてもらい、
 「いつもの人参ジュース」と言ってバーボンを頼むという、健康ブームを
軽く揶揄したオチである。真正面からワークアウト話を書かない、
肩すかしの技巧がいい。

     (ハヤカワ・ミステリ文庫 09初 帯 J)

 自費出版の「愛犬物語」(岡山宅子 精興社エクセレントブックス 09年)
も読了。動物ものにあまり興味がないが、警察犬の老後を引き受けた著者と
老犬との交流が、素直に伝わってきて後味が良かった。
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by byogakudo | 2009-11-21 13:38 | 読書ノート | Comments(0)