猫額洞の日々

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2010年 02月 28日

葉室麟「花や散るらん」読了

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 お師匠さんから、「つまらんよ」のお墨付きありの葉室麟「花や
散るらん」(文藝春秋 09初 帯 J)を、だらだらと読み終える。

 登場人物になんだか見覚えがあると思ったら、08年末に読んだ
「いのちなりけり」の続編のようだが、こちらは忠臣蔵異聞、とでも
いうべき作りだ。

 忠臣蔵のいちおうの史実に、フィクショナルな人物を絡めて書いて
ある。忠臣蔵や新撰組に興味がないので、ますます読む気が失せる。

 はしゃがない文章が基本的に好きなのに、葉室麟だと「もったいぶってる」
と否定的に感じてしまうのは、よほど相性が悪いのだろう。
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by byogakudo | 2010-02-28 13:05 | 読書ノート | Comments(0)
2010年 02月 27日

クローネンバーグ「スパイダー」!

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 昨日は失礼しました。
 まず、今週の新着欄です、よろしく。
 新着欄

 クローネンバーグ「スパイダー」、好きだ、好きだ、好きだ・・・。
 文学の領域でやることを完全に映画でやっている。信じられない
できごとだが、現にそれを見てしまい、2日経っても残像が消えない。

 精神病院を出されて、社会復帰施設で暮らすことになった主人公が
初めて施設に足を踏み入れるシーンで、これはエディプスの物語だと
知らされる。
 二階へ続く階段が、ヒチコック「サイコ」のノーマンが住む家を
思い出させるせいだろう。階段の在り場所が上手(「サイコ」)と
下手(「スパイダー」)の違いはあるが、却ってそれが鏡像を錯覚させる。

 と、妄想が落っこちて来たところで、主人公の地獄巡りにも似た少年時代
回顧の旅が始まる。

 記憶は言葉で記述される。見直す度に異同が生じ、一定したものでは
あり得ないから、主人公は何度となく敷物の下に隠した小さなノートを
取り出しては、書き付ける。

 子どもの頃を過ごした界隈を訪れ、過去を振り返る主人公を表現するのに、
子ども時代のシーンの中に、大人になった現在の主人公の姿も、目撃者かつ
記述者として存在させる、描き方だ。安易なナレーションに頼ったりしない、
映画的手法である。

 レイフ・ファインズの硬直した歩き方、ベンチの片隅に強ばって坐る様子なぞ、
身に覚えのある人は少なくあるまい。ひとごとではなかった。 素晴らしい。
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by byogakudo | 2010-02-27 15:52 | 映画 | Comments(0)
2010年 02月 25日

今夜はクローネンバーグ「スパイダー」を見る/「イースタン・プロミス」のことも

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 昨夜見ようとして、疲れで映像が頭に入って来なかった「スパイダー」を、
今夜もう一度トライしよう。列車が駅に着き、次々と乗客が降りてくるのに、
主人公のレイフ・ファインズがなかなか出て来ない、という、じんわり、
サスペンスフルな始まり方だった。これは良さそう。

 先週だったのか、「イースタン・プロミス」も見たけれど、なんだかぴんと
来ない作品だった。

 クリスマスから新年にかけてのロンドン裏社会でのできごとで、タイトルが
「イースタン・プロミス」(カタカナ語直訳なら、プロミシズと複数形にすべき
ではないだろうか)だから、聖書に出てくる何かと関連しているのだろうが、
東方の約束って何だろう? 無知はこんなとき困る。

 ヴィゴ・モーテンセンが、ハーヴェイ・カイテルに続く「脱ぐ男」である映画
としか記憶しなかったのが残念。近年の欧米映画の悪役は、全部ロシアン・
マフィアなのか、とも思った。たまたま、その手の作品ばかり見ているから
かもしれないが。
 悪くはなかったけれど、展開しきれないうちに映画が終わった印章である。
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by byogakudo | 2010-02-25 15:27 | 映画 | Comments(3)
2010年 02月 24日

ひとはすべて死ぬ

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 近所に本の引取りに行き、戻って来たら買取り本の小山があった。
暖かいので、持って来て下さったのだろう。ありがとうございます。

 亡くなられた方の残した本の引取りに行った。ひとはこの世を去っても、
本は、言葉は、残る。長年読み続け、持ち続けていらした本は、その方の
残り香だ。生前お目にかかったことがなくても、一人の個人の過ごした
時間が、眼前に浮かぶ。
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by byogakudo | 2010-02-24 13:55 | 雑録 | Comments(0)
2010年 02月 23日

奥泉光「神器 軍艦「橿原」殺人事件」下巻読了

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 上巻の低速走行の遅れを取り戻そう、と言わんばかりに、小説も
読者もスピードアップして下巻読了。

 上巻の最初の方で出てきた「緑死館殺人事件」が、やはり再び
取り上げられ、「これはメタフィクションですよ」「ポストモダーン
小説なんです」と念を押されて、物語は終息する。

 舞台設定に時間がかかり過ぎた感はあるが(上巻)、下巻での
生者死者間の日本人論ディスカッション等を展開させるには、準備が
必要なのだから、まあ仕方ないだろう。

 未来(敗戦後の日本。読者の生きている時代である。)を視て
(透視して)きた兵隊にくっついて、生の実感のない現在の若い男
まで「橿原」に来てしまう。
 「ゾク」の「パシリ」みたいな男だが、今の口調で、生者死者間の
日本人論に、批評的立場からコメントを差し挟む辺り、真っ当な
道化振りである。

 エンディングでは、「緑死館殺人事件」の作者たる主人公のみ、
生き延びる。「ピアニストを射つな」というメッセージだろうかと、
ヨタを飛ばしたくなった。

     (新潮社 09初 帯 J)
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by byogakudo | 2010-02-23 14:54 | 読書ノート | Comments(0)
2010年 02月 22日

奥泉光「神器 軍艦「橿原」殺人事件」下巻半分強

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 上巻の手間取り様と比べて、これはどうしたものだ。軍艦「橿原」に
集約された宇宙を、読者の頭に植えつけるのに筆を費やした作者の
せいか、飲み込みの悪い読者の問題なのか、そこらは不明だが、今や
「橿原」宇宙は、浮かばれない死者と自殺者・他殺者で犇めき合い、
生き残ってる連中には男色の淫風吹き捲くり、よくこれで船が進行して
いるものだと感心する。

 この本に比べれば、筒井康隆「巨船ベラス・レトラス」は、なんて
すっきりした小説だったろう。詰め込めるだけ詰めて圧縮するから、
解凍が大変なのかもしれない。

 しかし、昔だったら右翼から非難囂々の本だが、近頃は読書力が高く
なっているので許容範囲が拡大したのか、それとも長くて読むのが
大変だから、読まれていないのか。あるいは新潮社刊なので大丈夫
なのか?

 あっ、忘れてた! 「大和」と「武蔵」の当て字は、それぞれ「矢魔斗」
と「無左志」だった。18日付けの「無三四」は、大間違いです。失礼。
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by byogakudo | 2010-02-22 13:32 | 読書ノート | Comments(0)
2010年 02月 21日

奥泉光「神器 軍艦「橿原」殺人事件」上巻読了

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 写真は、蔵前散歩のときのお寺・光明寺で。

 近頃の日本の小説は、チャッチャと話が進んで、あっという間に
読み終わるように書かれていると思っていたら、その逆を狙った
ような感もある奥泉光「神器 軍艦「橿原」殺人事件」(新潮社 09初
帯 J)だった。上巻だけ読むのに、こんなにかかるとは。

 上下巻だから、やっと半分であるが、いまだ軍艦「橿原」の行く先も
はっきりしない。下巻ではどこかにたどり着くのだろうか。

 探偵小説好きの主人公(いちおう)が書いた「緑死館殺人事件」は、
<[略]連続殺人事件が七、八回起こったあたりで登場人物が五〇人を
 越え、収拾がつかなくなり、{略]>(p3)という凄い作品らしいが 、
「黒死館殺人事件」が仮説を立てては否定し、の繰返しであるように、
「神器」でも、何度も行き先についての仮定が立てられては、その
都度、否定されることを繰返す、厚塗り筆法だ。

 日本近現代史を、軽巡洋艦「橿原」に圧縮して閉込め、今に至る
日本について考えよう、ということだろうか。
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by byogakudo | 2010-02-21 13:39 | 読書ノート | Comments(0)
2010年 02月 20日

人づき合い

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 誘ってくれた友人(編集者)の手がける本が、医療や福祉関係が
多いので、集まった方々も、そういう系統の出版関係者が多い。

 皆さん、それぞれにキャリアを積んだ方々に混じると、古本屋歴も
いまだ浅く、知識も少ない古本屋としては、何だか申訳なくなって
くる。いろいろお話が伺えて面白かったが、こちらは、差上げられる
情報が何もない。

 ライターの方は編集者に本の出版について提案したり、その逆の
ことも発生するが、古本屋では、せいぜい本の整理の際にお役に立つ
かもしれません、というくらいだから。

 会社員をやったことがないので、名刺交換とか人脈作りと聞いても
よく解らなかったが、行ってみてようやく、必要性が解った。

 どんなにwebで情報を集めようと、実際に会って話して、そこで
一緒にやれそうなことも見えてくるから、リアルな人づき合いは、
やっぱり重要なのだ。

 「私は猫ストーカー」パンフレット・コピーを皆さんに配ったり、
「ねこ新聞」を紹介したりしたら、お一人、「私は猫ストーカー」の
タイトルを聞いたことがあると仰り、もうお一方は、「ねこ新聞」を
所望された。持って行った甲斐がある。

 今週の新着欄です、よろしく。
 新着欄

 それから、当店のメールアドレスがどこにあるか解り難いと指摘が
あり、HPトップページの電話番号の下にも「メール」を加えました。
クリックするとメールフォームが出ます。
 また、遅くなりまして失礼!、2010年度microjournalカレンダー
追加されていますので、よろしく。
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by byogakudo | 2010-02-20 13:51 | 雑録 | Comments(0)
2010年 02月 19日

会食の予定

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 写真は、いつぞやの蔵前散歩で。

 夕方から会食の予定。人見知りなのに、何を思ってか、誘ってくれた
ひとりを除いて、初対面の方々にお目にかかろうとしている。

 ついでに「私は猫ストーカー」(「スローラーナー」)と「ねこ新聞」
宣伝に相務めようという魂胆です。
 自己紹介より、そっちがメインになりそう。
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by byogakudo | 2010-02-19 14:10 | 雑録 | Comments(0)
2010年 02月 18日

奥泉光「神器」、もうすぐ上巻が終わる

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 写真は、昨日の雪のあと。

 戦記ものファンであったことは絶えてないので、右舷・左舷の見当は
ついても、その他はいまいち解らないまま読み進める。

 戦艦「大和」や「武蔵」が当て字になっていることから見て、平行宇宙
ものか、とも思う。(当て字をメモしてくるのを忘れてしまった。「武蔵」は
たしか、「無三四」だった。)

 主人公の若い兵士が探偵小説好きという設定で、「緑死館殺人事件」なぞと
いう本格?探偵小説をものしていると、最初のほうにあるが、艦内でも自殺や
殺人が続いているので、あとで、この小説も活きてくるのではないかしら。

 ええと、主人公が乗り組んだ「橿原」という名の架空の軽巡洋艦__
「軽巡洋艦」って何だろう?__には、陸軍関係者まで乗り込んできて、
何やら秘密の物資(かどうかも解らない)を運ぶのが使命であるようだと、
下級の兵隊たちは考えているが、読者も今のところ、それが何であるのか
解らない。「神器」というタイトルだから、いわゆる「三種の神器」を思うけれど、
横道に逸れながら進む話の展開振りから、そう単純に行くだろうか?

 軍事や海事用語が、もう少しでも解ればなあ。
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by byogakudo | 2010-02-18 15:14 | 読書ノート | Comments(0)