猫額洞の日々

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2010年 11月 30日

ジェイムズ・P・ホーガン「造物主(ライフメーカー)の掟」、どうしよう?

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 写真は、浅草・花やしき裏手と、それに続く床屋と古着屋。


 昨夜から遂に、ジェイムズ・P・ホーガン「造物主(ライフメーカー)の掟」
(創元推理文庫SF 85初 J)を読み始めた。あまり向いていないと思う
のだが__ヴォークト、ディック、ベスター、スタージョン、バラード、
プリースト辺りのSFなら好き、という輩は、他にどんな作家が向いて
いるのだろう?

 冒頭の、自己複製するロボット植民地の話は斜め読みした。
コンピュータがウィルスに冒されて暴走したら、どんな世界に
なるだろう、なんてことに頭が飛んだ。

 「メグレ夫人の恋人」(集英社文庫)が入ったので、今夜はたぶん
これになる。





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by byogakudo | 2010-11-30 13:16 | 読書ノート | Comments(0)
2010年 11月 29日

エーリヒ・ケストナー「消え失せた密画」読了

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 大昔読んだことがあったのだろうが、覚えてないので初読も同様。
「雪の中の三人男」「一杯の珈琲から」と共通する感じの良さだ。

 結構、アクションシーンもあるのに、おっとりした空気を醸し出す
のは何故だろう?

 ギャング組織が仮装舞踏会の会場を襲撃したり、ギャングが密画を
追いかけるのに、
<<ローシトック・スカート倶楽部(クラブ)・登録番号1896>と記された
 バスに乗って、風船玉を振りまわし、蛮声を張りあげてワンダー
 フォーゲルの歌をうたい、大はしゃぎにはしゃいで、見惚れて立って
 いる女子供に、卑猥(ひわい)なことばを浴びせていた。>(p202)__
こんなギャグがちりばめられている。

 ヨーロッパとアメリカの肌合いの違いかなあと、「フランス鍵の
秘密」などを思い出して考える。
     (創元推理文庫 80年9版 J)





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by byogakudo | 2010-11-29 13:34 | 読書ノート | Comments(0)
2010年 11月 28日

小林信彦・編「横溝正史読本」読了

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 うーん、かゆいところに、しっかり手を届けてくれた! 1976年に
単行本、79年に文庫版が出ていたのか。知らなかったのが悔やまれる。

 だって、博文館がどんな出版社だったか、イメージがわかないって、
そうなの! 小林信彦(1932年生まれ)でも、日記を出している出版社
という印象しかないから、「新青年」編集長・横溝正史に博文館について
訪ねることからインタヴューが始まる。

 取次店など、全部、博文館のおかげで大きくなったような、老舗の
出版社だが、講談社の攻勢に押されて、いつの間にか沈滞していた
出版社だそうである。
 そんな大のれんの下、モダーニスト編集長・横溝正史と、助手の
渡辺温とのふたりで、「新青年」を作っていた、という訳。院外団と
して、長谷川修二や水谷準、延原謙、乾信一郎などがいた。

 院外団の話から、もうひとつのかゆいところに行く。中村信治郎
その一員だった。
 延原謙・編集長時代の「新青年」で『ヴォーガン・ヴォーグ』欄を
担当していたが、本業は「不良」というしかない男だったそうな。
(「ブルータス」で見た記事はたぶん、この本から書かれたのだろう。)

 モダーンなセンスと才能がある。習ったこともないのに、横浜の
新聞に竹中英太郎そっくりの挿絵を描いていたり、器用だ。
 しかし本業は、あくまでも貴公子風ルックスを活かした「不良」。
引っかからない女はいなかったらしい。写真が残っていないのが、
ほんとにもどかしい。美男美女にも流行りがあるから。

 積年の疑問が、かなり解消した。あとは、坂本紅蓮洞について書いて
ある本は、どこかにないだろうか?

     (角川文庫 2008改版初 帯 J)





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by byogakudo | 2010-11-28 14:58 | 読書ノート | Comments(0)
2010年 11月 27日

フランク・グルーバー「フランス鍵の秘密」読了

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 昨日書き落としたが、蔵前近くの元美容院もよかった。写真は、
ショーウィンドーの名残。
 裏手から、「あら、良さそうなアパートメント!」と思って
近づいたら、タイガービルだったりする。

 今週の新着欄です、よろしく。
 新着欄


 フランク・グルーバー「フランス鍵の秘密」(HPB 2005初 帯)は、
紳士の振舞いをするテキヤ二人組の物語だ。

 本業は立売りで行う、本のセールスマン。相棒が、筋肉と体力の
素晴しさを実演して、解説本を見物人に売りつける。但し、仕事熱心
ではないので、宿賃を溜めたホテルから追い出されるシーンが、物語の
始まりだ。ホテルの部屋には死体もあって、犯人視される。

 濡衣を晴らすために名探偵となった主人公(セールス担当)は、
珍しい高価なコインを発見するが、本来の持主である若い女性のものに
なるよう計らう。
「剣とマント」の物語をハードボイルド調コメディとして描く。
巧いけれど、すぐ忘れちゃいそう。






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by byogakudo | 2010-11-27 13:28 | 読書ノート | Comments(0)
2010年 11月 26日

浅草界隈

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 寒くなるばかりだから、義母を誘って駒場辺りへと電話したら、風邪気味
とのこと。Sが急遽、散歩地を考える。金龍山浅草寺に近づこうということ
になった。

 地下鉄大江戸線・新御徒町下車。三筋通りや元浅草を歩いて、田原町へ。
極力、蔵前散歩で歩いた以外のところを歩こうとするが、却ってむずかしい。

 たしか、お師匠さんは田原町出身ではなかったかしら。協立書店とかいう
新刊書店があった。お師匠さんから譲って頂いたOndori MYSTERIESの
見返しに、<書籍一般 協立書店 国際劇場正面入り通り>とシールが
貼ってあったのは、ここの前身だろうか?

 ふーん、これがかつての浅草六区かと、お上りさんする。頭の中では、
映画館の幟旗が林立し、犇めきあう雑踏の写真を思い出している。

 花やしき裏(横?)から見えるのが浅草寺だろう。駐車場近くの小さな床屋と
古着屋の続き具合にうっとりする。

 浅草寺はにぎわっている。ほとんどが外国人だ。あれが雷門で、仲店通りが
続くのね。
 西の東京出身のSは、初めての浅草寺。九州出身のわたしは、6歳のとき
来た記憶がある。参道にお土産品を並べた仲店通りを、うっすら覚えている。
たしか露店だったような気がするけれど。

 仲店より伝法院通りがよかった。義母が欲しがりそうな色合いのニット製品の
お店や、桐の小間物ばかり売っているお店(床店というのかしら?)、古本屋も
ある。「地球堂」だ。
 「隅田川とその両岸」が6冊あった。いつか全9巻揃いを手に入れて、枕頭の書
にしよう。買ったのはケストナー「消えうせた密画」。1980年刊なので、真鍋博の
ジャケット画のまま。

 浅草と大江戸線とは連絡が悪い。一駅、地下鉄に乗っても、蔵前は遠い。結局、
夜の(5pmはもう夜だ)大川端を蔵前まで歩く。舫っている屋形船や、意外な
速さで川下に向う屋形船を見る。
 満ち潮で、川が岸に近づいている。暗い中、潮の匂いと波の音を聞いていると、
川の存在が強く感じられる。





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by byogakudo | 2010-11-26 20:07 | 雑録 | Comments(0)
2010年 11月 25日

F・W・クロフツ「列車の死」読了/フランク・グルーバー「フランス鍵の秘密」へ

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 ドイツ・スパイ組織の陰謀に巻き込まれ、砒素中毒で殺されかけている
老女が出てくるが、フレンチ警部は、非常事態に一個人の、いや何十人の
生命であろうと、喪われても仕方ないと考える。個人より国家の存続が、
戦時下では優先されるべきだと、フレンチ警部は思う。

 そうかなあ。優先順位をつけるのは解る。個人の自由と平等という、
両立がむずかしい問題を解決するためには、国家という暴力装置を
必要悪として存在させるしかない、との了解はある(マルクスもレーニンも
読んだことがないのに)が、個人と大多数(国家)との利害対立は、実際
どうあるべきなのか、きちんと考えたことがなかったな。
 戦勝国の作家としては、国家が優位に立つのは当たり前かもしれない。

 公僕としてのフレンチ警部は、逡巡しながらも自分の死を覚悟しつつ、
手榴弾をスパイ組織の一団に投げつける。一個人の生命より国家の生命
という、自らの信念を全うする。
 関東軍とはずいぶん違う。読者としては救われるが、個人と国家との対立
関係の問題は、ペンディングのまま読み終えた。

 よく解らないのだけれど、三島は天皇制というシステムへの愛のために
死んだのかしら。(でもアリバイだと感じる。)
     (HPB No.328 57初)

 フランク・グルーバーは、「海軍拳銃」は読んだんだっけ? 何も覚えて
いないのが悲しい。





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by byogakudo | 2010-11-25 12:39 | 読書ノート | Comments(0)
2010年 11月 24日

F・W・クロフツ「列車の死」もう少し

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 「列車の死」というタイトル(原題も"DEATH OF A TRAIN")が不思議
だったが、p66に至って、なんとなく了解した。長い前置きの後、ようやく
列車転覆事故が起きる。
 「さかしまに」にも蒸気機関車を人間視した表現があったと思うが、
ここでは人の力では到底勝ち目のない巨人が、あっけなく倒れたときに
感じるショックのように描かれている。

 蒸気機関車にフェティシズムを持ったことがないので、共感までは行かない
けれど、人型ロボットに抱く親しみ(初期のアシモ君と階段ですれ違ったら、
わたしは軽く会釈して通り過ぎ、その後「ロボットだ!」と気づくだろう。
近頃のはハンサムじゃないので無視する。)にも似た、人間性の拡大延長版
として、蒸気機関車は存在するのかもしれない。

<人類の誇る天分の、記念すべき業績とも言うべき列車は、今は敲きこわされた
 鉄と金物となり果て、蒸気を立てながら、錯雑した塊となつて横たわつていた。
 その上には、大変なほこりの雲がかかつていたが、もうそれも、そよ風に吹かれて
 静かに消えかけていた。
  殆んど息も出来ないくらいのヒスロップには、それは死を象徴していた。列車は
 ぞつとするような静けさの中に横たわつて、死んでいた。>(p66上段)

 メモ用紙ではなく封筒に書くシーンを採集。
< 「ざつと計算して見ることは出来ますよ」と、ディグビィは、封筒の上へ
 簡単な計算をして、「多分、前日の昼食の頃だと思いますね。しかし、勿論、
 これは推量ですがね」>(p201下段)

     (HPB No.328 57初)





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by byogakudo | 2010-11-24 14:27 | 読書ノート | Comments(0)
2010年 11月 23日

F・W・クロフツ「列車の死」を読み始める

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 覚悟はしていたが、描写の懇切丁寧さは尋常じゃない。第二次大戦中の
英国政府が、秘かに列車で物資を輸送しようとして機密が漏れる話だが、
物資の手配や到着地での保管場所、蒸気機関車各部の整備、それらに
従事する人員の確保、タイムテーブルの作成、臨時列車運行による他の
列車の遅延(民間人が乗っている)などなど、あらゆる起こりうる/生じた
事態を漏らさず記述しようとするから、p56現在、いまだ事件も事故も発生
できない。
 それでもやっと、軍事列車は運行を始めた。これからゆっくりと、事件・
事故が起きるまでの顛末が述べられるのだろう。

 原作は1946年刊行、日本語訳は1957年だが、当時の読者は、前置きの
長さ、シチュエーション設定が終るまでの長さが愉しかったのかしら。
     (HPB No.328 57初)

 フランク・グルーバー「フランス鍵の秘密」(HPB 2005初 帯)があるから、
併読しようかな。





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by byogakudo | 2010-11-23 13:14 | 読書ノート | Comments(0)
2010年 11月 22日

宮崎惇「ミスター・サルトビ」とサイモン・ブレット「手荷物にご用心」読了

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 やっと本の整理に手をつけ出し、処分する快感を覚えるようになったら
なったで、危うく捨てるところだった「ミスター・サルトビ」(宮崎惇
朝日ソノラマ文庫<36> 76初 J)を救助した。読むつもりはなかったが、
お客さまがいらしたとき手持ち無沙汰で、つい読み始めた。

 風太郎忍法帖ブームの余波の頃、書かれたのだろうか、初版は1969年
講談社刊。猿飛佐助の子孫が、60年代後半の東京で社会正義を貫き、
大活躍するジュヴナイル忍者小説だ。
 忍者が目にも留まらぬ速さで、ダンプカー(高度経済成長期である)
にはね飛ばされそうになった小学生を救うシーンから始まる。
 スピーディな文体で、忍者の素早さを表現する。なかなかと思って
いたが、後半、忍術技法解説書から引き写したような説明が増えて、
残念だ。山田風太郎は、なんといっても文体のひとだった。

 HPBが、まだ箱に手をつけ始めたばかりだが、700冊ほど入った。
 これと、ソノラマ文庫の幻想と怪奇ものを抱え込んで、引退しようか
という誘惑に駆られる。だめかしら。

 サイモン・ブレット「手荷物にご用心」(HPB 91初 帯)は予想通り
気軽な読物だった。文中で、自国以外の文化や文明に無神経な英国人
気質がからかわれているが、小説全体のトーンもまた、英国的控えめな
感受性を良しとする立場である。エンタテインメントとして愉しい。
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by byogakudo | 2010-11-22 13:11 | 読書ノート | Comments(0)
2010年 11月 21日

 シオドア・スタージョン「[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ」読了

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 表題作「[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ」が一冊の半分弱を
占め、残り半分強に五つの短篇が入っている。三番目の「必要」は、
なんだったっけ、ムックみたいな版型で読んだことがあった。再読
しても、好きな話だ。センチメンタルと言われかねない、ハート
ウォーミング系統の短篇集である。

 あとがきに、
<[略]スタージョンはたとえば「ブラッドベリに似ている」といった
 ような言われ方をしたことがしばしばあった。>とある。一見、
似たところもあるが、スタージョンは今でも/今だからこそ読めて、
ブラッドベリは今読むのは辛い。個人の嗜好だが、ブラッドベリを
再読しようとしてみて、できなかった。甘さが強過ぎて、読み続ける
気力が出なかった。
 センチメンタリズムに対する、二作家の処理方法の違いなのだろうか。
スタージョンだって、かなりどっぷりセンチメンタルをやってのけるが。

 高度な文明圏に属する異星人による、地球人観察実験レポートの
枠組みで描かれる「[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ」、原作は
1955年刊行の雑誌に発表された。

 50年代アメリカと聞くと、即座に「性的軋轢による神経症時代」
と、いつもの偏見が浮かぶ。
 「蠅男の恐怖」だったかしら、ハエの複眼に映る妻の恐怖の表情や、
映画全体に漂う圧迫感、あれを性的コンプレックスと呼ばずして、何を
そう稱するかというくらいだが、表題作に登場するひとりが、自分が
性欲的でないことに悩み、自殺しようと試みるシーンは、やはり時代を
反映している。

 ぼんやりと浮かび上がった拳銃のイメージがつきまとい、追われる
ように男はさまようが、気がつけばポルノ映画館の前である。
 ファリック・シンボルに続いてポルノ映画館、大変解りやすいが、
そういう時代なのだと思う。

     (河出文庫 2010初 帯 J)





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by byogakudo | 2010-11-21 14:01 | 読書ノート | Comments(0)