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2011年 11月 30日

横溝正史「憑かれた女」読了

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 写真は、昨日も書いた、忘れられたような納屋で。

 横溝正史「憑かれた女」収録の「首吊り船」と「幽霊騎手」には、
大川での船による追っかけシーンがある。

 「首吊り船」では、怪しい汽艇をモーターボートで追いかける。
< やがて二艘の船は永代橋の下を通り過ぎ、石川島造船所の黒い
 煙突を左に見ながら、佃島(つくだじま)から月島の埋立地へとさし
 かかる。聖路加(せいろか)病院、水上署、そういう建物が濃い霧の
 中に黒ずんで見えている。怪汽艇はそういう建物を尻目にかけ、
 隅田川からとうとう東京湾へ出てしまった。>(p150)

 怪汽艇は東京湾で左へ迂回、しばらく埋立地沿いに進み、やがてまた
左へ迂回、越中島を目指し、東京湾を一周して、「東京湾汽船発着所」
なる桟橋に着ける。

 「幽霊騎手」での追っかけは、悪人の乗ったランチは<佐賀町を左に見て、
永代橋のしたを>くぐるが(p311)、東京湾に出る前に水上署のランチに
捕えられる。

 どちらも夜間の追跡シーンであり、前者は濃い霧の夜、後者は
< 月が浅野セメントの煙突のうえにかかって、川上は銀を流したように
 明る>い夜だ。(p311)
 どちらにも、川沿いのお屋敷が出てくる。

     (角川文庫 1977初 J)





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by byogakudo | 2011-11-30 15:39 | 読書ノート | Comments(0)
2011年 11月 29日

寒々しい

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 曇っている。晴れそうにない昨日、ふたりで三鷹台へ軽い散歩に出る。
風邪っ気が取れなくて、大川端が遠い。

 寒くはないけれど、まったく陽射しがなく、寒々しい。それでも毎日目に
している風景とは違う界隈を歩くのは愉しい。

 駅の階段から立教女学院の大きなクリスマス飾りが見える。今日は正門の
左手の道を選ぶ。昔の郊外住宅地の名残が見られる。東中野辺りの旧郊外
住宅より、当然だが敷地が広く、お庭もある。武蔵野の古い大きな樹も目立つ。

 いちばん感動したのが、写真の忘れられたような納屋だ。これに会えただけで
出て来たかいがある。中を覗き込むと、小さな箪笥(?)が置かれていた。
 不法侵入の誘惑にちょっと駆られたが、実行はしない。

 井の頭公園駅も近い辺りである。休憩するために結局、JR・井の頭線の吉祥寺
に出る。南口駅前の怒濤の珈琲ことドトールに入る。
 二階の喫煙席の窓から見えるのは、相変わらずな気の滅入る吉祥寺の人ごみだ。
狭い道をバスが通るのも変わっていない。北口サンロードをバスが走っていたのも
覚えているが、あれはいつ頃終わったのだったか。

 吉祥寺のどこが、東京一住みたい町だろう? 雑多な店や人間の多さを図らずも
見る度に、殺意が芽生えるのを抑えられない。険悪な顔で見ていた。

 何にもない、いつもの住まい近辺に戻って、ほっとする。不便でいい。あれこれ、
お店なんぞ、なくっていい。あの暴力的な人ごみと、それを当て込んだ店の数々
なんて、消え去った方が、よほどすっきりする。何かがあるようなふりして、実質、
空っぽな風景には堪えられない。





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by byogakudo | 2011-11-29 13:55 | 雑録 | Comments(0)
2011年 11月 27日

横溝正史「憑かれた女」2/3

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 表題作「憑かれた女」は、1933年(昭和8年)10~12月にかけて
「大衆倶楽部」に連載された。
 '30年代の不良少女がヒロイン、「憑かれた女」である。怪奇な
幻覚を無視するために、<アダリンをボリボリ齧(かじ)りながら
酒を呷(あお)っている>17歳だ。

 彼女が連れ込まれる屋敷が六本木にある。
< 時刻はすでに十時過ぎ、六本木界隈(かいわい)は元来が淋しい
 ところだから、その時刻には灯の気もなく寝ている家が多かった。>
(p49)

 ヒロイン・エマ子の男友達(もちろん不良青年だ)が警察に追われ、
ふたりは<丸の内のお濠(ほり)端にある>帝都ホテルで秘かに会う。
 < ルーフガーデンでは目下(もっか)納涼大会が開かれていて、エマ子
  が上っていったときには、ミッキーマウスの映画がはじまっていた。>
(p75)

 彼は警察に見つかり、ホテルの外壁に付けられた花火型のイルミネーション
を伝って逃走する。周囲の人々は、
 < 「あら、すてき、外国映画みたいよ」[中略]
   「よう、よう、イルミネーション男!」>(p81)と騒ぎ立てる。

 満州事変・上海事変が起きていても、まだエログロ・猟奇ものが
書けたようである。

     (角川文庫 1977初 J)





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by byogakudo | 2011-11-27 12:54 | 読書ノート | Comments(0)
2011年 11月 26日

佐野洋「折々の犯罪」も読了

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 今週の新着欄です、よろしく。
 新着欄  


 「折々の殺人」の続編、「折々の犯罪」も読んだ。どうも本編よりも
前説のほうが面白くって、どんなストーリーだったっけと思い出そうと
すると、頭が白くなる。わたしの頭のせいなのか、佐野洋のあくまでも
地味に徹した作風のせいなのか。
 あんまり会社員の人事トラブルとかに興味が持てないので、材料が
わたし向きじゃないのかもしれない。

 「紙の罪」では、職場の上司が社員の結婚式の媒酌人になり、裏表
色違いの一枚の紙で折られた鶴をプレゼントされる。「妹背山」と
呼ばれる鶴の折り方だそうで、

<[略]大きな折鶴が、二羽並んでいた。金色と銀色の鶴で、真中で
 羽がくっついている・・・・・・。
  『[略]でも、この二羽の鶴は、金紙、銀紙で別々に折り、のりでくっつけた
 のではないんですよ。一枚の紙、たぶん表は金色、裏が銀色の紙でしょうが、
 それを使ってこのように折り上げたのです。ですから、これは見たところ二羽
 だけれど、実は一体という、まことに結婚式にふさわしい作品なんです』>
(p120~121)

 2006年1月11日付けブログにも佐野洋・折鶴話を書いているが、
「妹背山」とは、11日付けの<「番(つが)い鶴」、「シャム兄弟鶴」>の
正式名称なのだろうか?
 「妹背山」の折り方サイトがあった。

 大昔、一度だけ歌舞伎座の立ち見で、「妹背山女庭訓」を見た。
あの頃は立って見ていられた。今はもう・・・。EP-4、来年こそは
立ち見でも行こう。行きます。ライヴ、やってくださいね。

     (講談社文庫 1992初 帯 J)





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by byogakudo | 2011-11-26 12:41 | 読書ノート | Comments(0)
2011年 11月 24日

冷え込む

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 夕方から寒くなった。来るとき、あんなに暖かかったのに。





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by byogakudo | 2011-11-24 13:28 | 雑録 | Comments(0)
2011年 11月 23日

ジュヌヴィエーヴ・パージュを探して

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 ジュヌヴィエーヴ・パージュの画像を探して、「夜ごとの美女」
覗いてみる。
 カテゴリ「仏蘭西の女優」を探すが、彼女はいない。その代り
といってはおかしいが、デルフィーヌ・セイリグがどっさり!

 例の「Daughters of Darkness」からである。「ジャッカルの日」でも、
うつくしい。

 しかし、ジュヌヴィエーヴ・パージュのファンって、いないのだろうか。
少なくとも「昼顔」での彼女のファンは、いそうなものだが。





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by byogakudo | 2011-11-23 15:24 | 映画 | Comments(0)
2011年 11月 22日

佐野洋「折々の殺人」読了

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 ほんとに物知らずなので、佐野洋と佐賀潜の区別もあやふやだが、
どちらもミステリ作家、前者は足で鶴を折り、後者は弁護士系だと、
ここでしっかり覚えておこう。すぐ忘れるからなあ。

 名前を覚えきれなかったのは、作品を読んだことがなかったからで、
短編集一冊読んだからには、今度は忘れないだろう。

 大岡信のベストセラー「折々のうた」で紹介された詩句にインスパイアされ、
書かれた短篇ミステリ集だ。

 細かく言えば、詩句と大岡信の解説を読みながら、いろいろなミステリを
思い出し、そこを出発点に書かれている。本は本から生まれるのだ。
 短篇自体もわりと面白かったが、佐野洋がどんなミステリを思い出し、
どう展開しようと考えたかを記す前書き部分が、ことに面白い。

 佐野洋・大岡信の一高同級生であり、同人誌仲間でもあった稲葉三千男に
よる後書きも興味深い。
 戦後の混乱の中で行われた一高入試の話が書かれていて、例に出された
試験問題の高等さに、戦後教育で育った身としては、大変メゲる。

 また、稲葉三千男によれば、佐野洋は身長・180cm近かったらしい。
そんな大男が身をよじって足で鶴を折っている様子を想像すると、なかなかに
おそろしい。
     (講談社文庫 1989初 帯 J) 





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by byogakudo | 2011-11-22 14:28 | 読書ノート | Comments(2)
2011年 11月 20日

くらくらぐらぐら

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 いきなり暖気団が襲ってきた。起抜けはともかく、出掛けようと
すると調子が悪い。店に向かうが、くらくらする。いつもの服装で
来たので、温度に比べて着すぎてるのだろうが、冬は涼しい店に
着いても、くらくら・ぐらぐらが治まらない。

 体調不良を言い訳に、一日中、youtubeやi Tunesでジャズ・
ピアノを探していた。(打込みも少しはしたけれど。)

 5pm前には雨まで降ってくる。また言い訳の材料が増え、さっさと
表のワゴンを引入れていたら、若いお客様あり。なんとかお探しの
本があった。

 この後、寒気が入り込むそうだけれど、身体が着いて行けるだろうか。





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by byogakudo | 2011-11-20 17:17 | 雑録 | Comments(0)
2011年 11月 19日

横溝正史「殺人暦(ごよみ)」読了

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 写真を撮ってるSに、
 「カラヴァッジオになりそう?」
 「どうかな」。
 カラヴァッジオにもメイプルソープにもならず、Sの写真。

 ルビが好きで、「殺人暦(ごよみ)」と分かち書きするのは嫌い
だったが、ああ、老眼には勝てない。リエゾンして濁点付きなのに
気づかず(発音してみればわかりそうなものを)、一昨日は
「こよみ」と書いてしまった。訂正済みです。

 「殺人暦(ごよみ)」に出てくる点火器とは何ぞ? 
<懐中から取り出した点火器をかちっと鳴らした。
  めらめらと淡い光があたりの闇を引き裂いて、黒い大きな影が、
 天井から壁へかけてゆらゆらと無気味に揺れる。>(p101~102)

 ライターのことかと思ったが、p139には、
かちっとライターが鳴る。やがて彼は、悠々(ゆうゆう)と
 紫色の煙を吐きながら、ライターの光の中でつくづくと辺りの様子を
 見回した。>と書かれている。どう使い分けるのだろう?

 使い分けといえば、「女王蜂」に出てくる作家・畔柳半三郎には、
「あぜやぎはんざぶろう」とルビが振られ、「死の部屋」の物理学者・
畔柳信三郎のルビは「くろやなぎしんざぶろう」である。
 「女王蜂」は昭和6年(1931年)5~7月にかけて「文学時代」連載、
「死の部屋」は同年8月16日に「日曜報知」掲載だ。忙しくて、
名前を考えるのがめんどくさかったのかしら?

 (角川文庫 1978初 J)

 今週の新着欄です、よろしく。
 新着欄  
 





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by byogakudo | 2011-11-19 14:40 | 読書ノート | Comments(0)
2011年 11月 17日

横溝正史「殺人暦(ごよみ)」も読んでいる

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 戦前(1931年から1933年にかけて)に書かれた中短篇集なので
風俗描写が面白いかもしれないと、読み出したが、短篇「恐怖の
部屋」は道具立て(ニュルンベルクの鉄の処女)に頼ってるだけだし、
中編「殺人暦(ごよみ)」は展開がまだるっこしい。
 何かひとつでも面白がれれば、それでいいのだが。

 「殺人暦(ごよみ)」で、登場人物の服の説明がよくわからない。
ハンサムな青年紳士の服装だが、
<ビロードのセミドレスに黒い蝶型(ちょうがた)のネクタイを結んだ
 ところは、大政治家の令息というよりも、芸術家と言った方が
 ふさわしい風貌(ふうぼう)である。>(p35)

 ビロードのセミドレス? ボウタイを結んでいるし、短めのヴェルヴェットの
上衣かしら? それとも、セミは上衣の丈ではなく、セミフォーマルの意味
だろうか。

     (角川文庫 1978初 J)





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by byogakudo | 2011-11-17 13:51 | 読書ノート | Comments(0)