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2012年 06月 30日

ギャラリーまぁる再訪:「山本弥 初個展 孵花展」

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 Sが戻ってきたので、先週の二人展の写真が上げられる。まぁる
入口、バルコニー付近の写真です。

 昨日はひとりで恵比寿に行く。Sの風邪っけが治まらず、フライヤを
見て、
 「これ、すてき! 行ってみたい」と言っていた義母は腰を痛め、
わたしが代表して(?)、「山本弥 初個展 孵花展」へと、ギャラリー
まぁる
を訪れた。

 まぁる入口の樹々が、夏が少しずつ重くなる様子を見せる。緑が深く
なっていく。

 先週の空間と、打って変わった展示方法である。壁に取りつけられた
20数個の函に、フェルト素材の植物やキノコが、ひとつずつ納められ、
小石川植物園・柴田記念館を思い出す。

 入って右側に素材の説明として、無着色の羊毛(白と茶色)が置かれ、
シャーレが三つ並んでいる。
 羊毛を加工したフェルト、フェルトに薄い布をくっつけた状態、薄布の
繊維のすきまからフェルトの細い繊維が見える状態の三種である。
 理科室みたいで楽しい。

 現実に存在する、色や形をもつ植物を、無彩色のフェルト素材でどこまで
再現しながら表現できるか、の試みであろう。

 明日7月1日(日曜日)、4pmまで、です。 


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 新着欄  





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by byogakudo | 2012-06-30 16:05 | アート | Comments(0)
2012年 06月 28日

ひさしぶり__長く海を見ない/横溝正史2冊ほぼ読了

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 二人展を終えたSが、押さえこんでいた風邪をぶり返し、ダウンする
のは解るけれど、わたしまで疲れて店が開けられなかったのは、蓄積
疲労というものか。危うし、古本屋。

 今年も半年を過ぎ、振り返ると、あれこれとある。
 1月は、まあ普通。2月に某事故、3月はその余波、4月後半に別の
某事故、5・21(EP-4)が終わった週末には法事が二日続く。そして
6月末の二人展。

 静かな古本屋ライフにしては、いろいろ起きている。疲れが出るのも
当然か。おトシ頃なの。

 
 巻末の都筑道夫との対談が面白かったので、横溝正史「髑髏検校」を
読んでみる。ドラキュラ伯爵は天草四郎、ヴァン・ヘルシング教授が
蘭学者・鳥居蘭渓と、うまく翻案された伝奇小説だ。
 表題作より長篇の「神変稲妻車」も楽しい。3本の名笛をめぐる波瀾万丈
のストーリーが、ノンシャランな文体で語られる。

 洞窟の女王(お姫様)の描写は、
< 金糸銀糸の刺繍(ししゅう)をした袿(うちぎ)をゾロリと長くうしろに引き
 ずり、立膝をしたひとつかみの腰には、緋の練絹袴(ねりぎぬばかま)が
 燃えるよう。あるかなきかの縮れ毛も、後生大事に金元結(きんもとゆい)
 で結びあげ、皺だらけの顔にはほんのりと白粉(おしろい)の痕(あと)、唇
 には口紅のあとさえ見えるいやらしさ。木乃伊の口紅とは全くこのことで
 あろう。>(p327)

<[略]哀れ、小百合のからだはまっさか様、つぶての如く落下した__ら、
 生命はむろんなかったのだが、その時不思議なことがそこに起ったのである。
 ああ、不思議なこととはなんであろうか。>(p414)

 小百合は日活アクションの松原智恵子の役どころが輻輳した存在。しょっちゅう、
囚われの身になる。助けられたかと思うと又、違う勢力に捕まる。

     (講談社 大衆文学館文庫コレクション 1996初 J)

 横溝正史の代表的な長篇ミステリを全く読んで来なかったが、この調子なら
大丈夫かもと思って、「横溝正史長篇全集1 本陣殺人事件」を選ぶ。

 大丈夫。角川映画の予告編とは、てんで違う。(見ていないのだが)映画化
すると、暗い農村地帯を舞台にした土俗的怨念の物語になるだろうが、語り口は
あくまでモダーン。探偵小説を論じながらの探偵小説だった。
 金田一耕助がアメリカで麻薬中毒患者だったと、初めて知る。

     (春陽文庫 1974初 J)





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by byogakudo | 2012-06-28 13:49 | 読書ノート | Comments(0)
2012年 06月 24日

内田康夫「隅田川殺人事件」読了/横溝正史「髑髏検校」開始

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 初めて読んだ内田康夫だ。わたし向きでないのが解った。
背景になる隅田川の資料を押さえ、川沿いに暮らすホームレス
たちや浅草の衰退など、風俗的要素も取り入れた、浅い土台の
上で物語(シノプシス)が進行する。
 大川関連本にはならなかった。

     (トクマ・ノベルズ 89初 J)

 『日本版ドラキュラ小説』の謳い文句に惹かれて、横溝正史
「髑髏検校」を読み始める。
 だけど、ああ、菊池信義の装幀が肌に合わない。表ジャケット
いっぱいに惹句を書かなくたって、いいじゃないか、袖に入れ
れば、あるいは裏ジャケットで。
 キャッチーであるための新しい表現方法を考えるデザイナかも
しれないが、計算ばかり見えてきて落ち着けない。静かに本を
読ませてくれ。

 小説は、楽しく読み始めている。壜の中の手紙から始まるんだもの。

     (講談社文庫 大衆文学館文庫コレクション 96初 J)
 





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by byogakudo | 2012-06-24 16:06 | 読書ノート | Comments(0)
2012年 06月 23日

白の諧調__「Série NICHe 香水と写真二人展」

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 昨日ようやく見に行けた「Série NICHe 香水と写真二人展」は、
画廊の壁面も含む白の諧調を味わい、香りを聴く展覧会だ。

 路地からいちだん高くなったバルコニーの先、腰高ガラス窓の
先に、大きなポスター・サイズの天に向かう梯子の写真が見える。

 バルコニー周りに樹々が鬱蒼と生い茂り、ヤマボウシは3階建ての
ビル屋上に届かんばかりだ。パリの住宅地にも残っていそうな佇まい
のギャラリーまぁるの、白い壁面と天井灯を覆う黒い梁、黒い台や
椅子、灰色のコンクリート打ちはなしの床(マンホール蓋が覗いている
のを、イラストレータ・鈴木博美さんがすばやく見つけられたのは、
さすが!)。
 シンプルで中性的なやさしい空間が、展示物を活かす。

 黒い梁の下、ポスターの同一線状、中央の黒い台の上に香りを
閉じ込めた緑色の壜が12個置かれ、それぞれ左右壁面のA4版
写真と呼応する構成だ。
 観客は台の前に立ち、壜の蓋を取って香りを聴き、写真を見る。
それを12回繰り返して会場を一周する。

 帰り際、芳名帳に名前を記すとき、黒い2冊のファイルを開けて
みると、1冊は壁面展示された写真(調香師・Lの編集)をまとめた
もの、もう1冊はSが編集した20数点の絵はがきサイズ写真集だ。
 こちらは香りのイメージより、風景に触発された記憶の記録集、
といった感が強い。

 白い壁面に、細い黒の釘で留めた新聞紙大の白いやや厚手の台紙、
その上にもう一枚、ベージュ系の釘で留めたオフホワイトの台紙、
そして軽く糊付されたA4サイズの写真。
 写真を額の中に閉じ込めず、平面でありながら空間から少し浮き上が
らせた展示方法だ。

 それぞれの白の色感、ニュアンスの違いが効果的だ。白の諧調の中で、
写真が静かに着水する。ネモ船長の遠い夢のように。

 明日4pmまで、です。

     (「Série NICHe 香水と写真二人展 」 2012年6月19日〜24日
      於 ギャラリーまぁる)



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by byogakudo | 2012-06-23 16:46 | アート | Comments(0)
2012年 06月 21日

内田康夫「隅田川殺人事件」1/2

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 昨日店に着いたら、シャッター開口部に本が1冊、差し込んである。
何かと思って取り出すと、新書判・内田康夫「隅田川殺人事件」だ。
 どなたか、わたしの大川好きを知って、恵んでくださったのかしら?

 読んでみる。
 名探偵・浅見光彦の子ども時代、音無川で母の死を語る狂女に
会った話が導入部。次いで現在(1989年発表である)の物語、
白金の結婚式場へ、実家のある浅草から水上バスで行こうとする
花嫁の話に移り、しかも彼女は水上バスから消える。
 水上バスの歴史や説明が詳しい。

 じつは花婿であるのが、すぐあとで解る中年男性と浅見光彦は、
飛鳥山の花見で出合っている。女性にからむ酔漢を浅見が止め
ようとして殴られるところに、中年男性が助けに入る。
 中年男性を<紳士>と書く辺り、安直な記号化だとは思うけれど、
まあ細かく言うまい。

 浅見光彦のママは、結婚式の出席者のひとりである。明治学院近くを
歩きながら、「花」の合唱を耳にして、女学生だった昔を思い出す。
 学校唱歌の説明が入る。

 東京文学散歩的ミステリ、のようである。





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by byogakudo | 2012-06-21 14:10 | 読書ノート | Comments(0)
2012年 06月 20日

ベロック・ローンズ「リジー・ボーデン事件」読了

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 途中でサラ・コードウェルが入ってしまった、ベロック・ローンズ
「リジー・ボーデン事件」を昨夜、読了。

 「下宿人」のほうが好きかな。リジー・ボーデン事件の史実に、
作家の想像力をミックスして推理する、山田風太郎の明治ものと
似た趣向で書かれている。

 もしも現実のリジーに恋愛関係があったとしたら、ベロック・
ローンズの事件解釈は正しいだろう。実際は、これと言って
理由なく、両親を殺したわけで、謎は残るのだが。

 リジーがうまが合わない継母を殺す前の、ふたりの会話の場面は、
ほんとに怖い。抑圧された家庭に暮す女たちが、初めて相手の領域に
侵入して向かい合う。
 次の実父殺しの場面のあっさりした書き方と、はっきり違えた記述が
効果的だ。

 女性作家が女の事情を書くと、なんでこんなに怖いのだろう。
後味は悪くないので、うまい作家だと思うが。

     (HPB 2004初 帯)





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by byogakudo | 2012-06-20 14:05 | 読書ノート | Comments(0)
2012年 06月 19日

サラ・コードウェル「セイレーンは死の歌をうたう」読了

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 わたしのために書かれ翻訳されたんじゃないかしら?! すばらしい
ばかばかしさと古典の裏打ちだ。

 テイマー教授と若手弁護士たちの中で、おさわがせ役を担当するのは
ジュリア・ラーウッドだが、今回はオクスフォード出身者ばかりの仲間内で、
ただひとりのケンブリッジ出身者、マイケル・カントリップが大活躍する。

 カントリップはケンブリッジなので語法がヘンだと、からかわれているが、
オクスフォードとケンブリッジの校風のちがいらしいけれど、あいにく、両校の
卒業者を知らないので、よくわからない。

 そのカントリップとラーウッドが組んで、法廷弁護士の実体験に基づいた小説
『大法官庁(チャンスリー)!』を共同執筆するのが始まりである。

 ベストセラー狙いらしく、ヒーロー(カントリップに基づく)もヒロイン
(ラーウッドに基づく)も、それぞれスーパー・ヒーロー、スーパー・ヒロイン、
ストーリー展開は、007+ハーレクインかシルエット・ロマンスもどきである。

 カントリップ担当部分の文体のひどさ(主人公を形容するのに、やたらと
「スマート」が用いられる)からして、すばらしいが、ロマンス熱は波及する
ようだ。
 ラーウッドがケイマン諸島に出張したときの思い出話に口を挟む、いつも
冷静なセリーナ・ジャーディンの口調が、もろ、ハーレクインないしシルエット・
ロマンスの語り口になる辺り、しみじみ、このミステリが好きだ!

 テイマー教授シリーズは、教授による語りとラーウッドからの手書きの手紙
とをつないで進行することが多いが、今回はカントリップが愛用する、当時
の文明の利器?テレックス(古風な弁護士事務所なので、1989年くらいに
なって、ようやく導入された模様)が使われる。
 会社勤め体験がないので、名のみ知るテレックスだ。web検索して初めて
その姿を知る。

 カントリップが冒険小説的大活躍を見せる抱腹絶倒のミステリだが、ハーレ
クイン・ロマンスやシルエット・ロマンスの基底には、昔ながらのロマンスが
存在しているのがやがてあらわになる、という二重構造である。

     (HPB 1991初 帯 VJ)





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by byogakudo | 2012-06-19 14:06 | 読書ノート | Comments(0)
2012年 06月 17日

 Série NICHe 香水と写真二人展  

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 明後日、6月19日(火)から24日(日)まで、恵比寿の
ギャラリーまぁるで「Série NICHe 香水と写真二人展」
があります。

 まぁるへの行き方は、
JR山手線恵比寿駅東口下車 → 東口タクシー乗り場
→ 坂道を交差点まで下り → KINKO’Sのビルの右側の
一方通行を入った右側。東口から徒歩3分。

営団地下鉄・日比谷線・恵比寿駅(H02)1番出口下車
→ 恵比寿駅ビルのエスカレーターで3階
→ JR恵比寿駅東口(JR東口からは上記 の通り) です。

 まぁる所在地等は、
 〒150-0013
 東京都渋谷区恵比寿4-8-3 神原ビル1階
 Tel&Fax.03-5475-5054
 Open:12:00~19:00


 調香師・L(キザシノ)の香水と、当ブログ写真を受け持つ
Sの写真の二人展です。
 あいにく梅雨時ですが、もし近くに行かれる方、時間が
おありでしたら覗いてみてください。

 夕べ、やっと下準備完了。日本語には親しいひとを褒める
言葉は存在しないけれど、いい出来です。
 明日・月曜日は休廊なので、わたしは金曜日に行く予定。
店はいつも通りの営業です。よろしく。





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by byogakudo | 2012-06-17 12:20 | 告知 | Comments(0)
2012年 06月 16日

アンナ・クラーク「殺人創作講座」読了

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 今週の新着欄です。よろしく。
 新着欄 


 ストーリーにも語り口にもノレなかったが、ヒロインがロンドンの
自宅に戻ったときの描写が一ヶ所だけ、よかった。

< 部屋のドアを開けると、フランシス[注 恩師]の招待に応じたときの
 ままの、見慣れた混乱がポーラ[注 ヒロイン]を迎えた。それから四十分
 ほどは、満ち足りた時がすぎていった。彼女は留守のあいだにたまった
 手紙に目を通し、いくつか電話をかけて、キャンパスの最新のゴシップを
 仕入れた。子供時代の記念品、片面にけばけばしいテディ・ベアが描かれた
 お気に入りのマグでコーヒーを飲み、誰にとがめられる心配もなく煙草の
 灰を灰皿の縁からあふれさせた。>(p189下段)

 子どもの頃から使っているテディベアのマグの件りが好きだ。この点でのみ、
ヒロインに共感した。

     (HPB 1989初 帯)


 話はちがうが、原発再稼働とこの時期を選んでの消費税増税に抗議して、
ゼネストをやるべきではないか。デモでは足りない。
 緊急医療体制と消防を除く全職業でストライキする。古本屋がストを
したって、自滅するだけのことであるが、郵便や宅配等、物流が止まれば
自動的にストライキに参加できる。
 一ヶ月続けられれば、効果は出る。

 TVの人間狩りニュースに憤懣を解消させているようでは、やられっぱなし
になるだけなのに。





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by byogakudo | 2012-06-16 15:21 | 読書ノート | Comments(0)
2012年 06月 14日

アンナ・クラーク「殺人創作講座」もう少し

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 ナレーションに沿って物語を進める映画がある。うまく行ってるときも
あるけれど、描写をさぼって、ナレーション頼みの進行だと感じる場合
もある。

 ヒロインがそう言ってるから、そういうことだとして(納得はして
いないが)読み進め、小さな共同体内部の軋轢その他を知るのだが、
これなら、クリスティのマープルものの語り口のほうが、ずっと効果的
ではなかったかという意識が、頭をかすめる。

 もうすぐ終わるから、次はベロック・ローンズ「リジー・ボーデン事件」に
しよう。2000年代の出版なので、あのベロック・ローンズと気づかなかった
のが不覚。

     (HPB 1989初 帯)





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by byogakudo | 2012-06-14 15:19 | Comments(0)