猫額洞の日々

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2012年 10月 30日

東松原でグランヴィルを買う

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 昨日は風が強かったが晴れている。ちょっと散歩したい。
 Sが東松原を思い出した。ある春の日、車中から見えた商店街の
たそがれ方が良く、いつか歩きたいと思って忘れていた。
 陽射しがきれいだ。光りあるうちに歩め。

 駅を降りたら、いきなり、ひなたぼっこに出てきた猫に会う。
続けざまに二匹目の猫さん(写真の猫)。

 商店街の角から古本屋が見えた。つい、ふらふらと入って行く。
「中川書房」だ。グランヴィル(1970年のイタリア語版)があり、
帰りに寄りますと、取置きをお願いする。

 東松原は、渋谷に向ってうねりながら滑り落ちてゆくような地形だ。
細い道、短い坂が幾度も現れる。住宅地も、まだ新建材で建て直されない、
昔の感じの建物が残っている。

 煉瓦塀を何度か見かけてうれしくなる。かなりセメントで補修されて
いるが、ほんとの煉瓦を使った塀だ。やや崖地を煉瓦で補強して、住宅が
建ててある。

 狭い道の右側の家と家の隙間に、暗渠化されない、かつての溝川が
残っていた。道の左側に唐突感のある板塀が立ち、道との隙間に溝川の
続きが見える。川の行く末が気になって塀を覗き込んだら、民家の庭
だった。お庭の下で暗渠になるのかしら。

 お地蔵さんの角から見える空き地に惹かれて行ってみる。四角い敷地の
真ん中に古びたお稲荷さんが祀られている。古い大きな樹が二三本、入口
と奥にあるだけで、なんというお稲荷さんなのか、名前を示すようなもの
は何もない。やたらパワフルな一画だ。
 お地蔵さんの隣がお寺のようなので、たぶん関係してるのだろう。

 「中川書房」に戻り、グランヴィルを受取って帰る。





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by byogakudo | 2012-10-30 13:48 | 雑録 | Comments(0)
2012年 10月 28日

タッカー・コウ「刑事くずれ」半分強

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 明るくなくて、なかなか好きだ。冒頭から暗い。自分を懲罰的に
閉込めるための塀作りの話から始まる。

 主人公、ミッチ・トビンは不祥事で警察を辞めさせられた。二人で
逮捕に向う規則を守らず愛人宅にいたせいで、相棒が殺された。

 妻は許してくれたが彼自身が自分を許せない。何をする気にもなれず、
やっとやる気を起こしたのが、裏庭全部を取り巻く塀作りだが、幅2f、
深さ2f、長さ7fまで穴を掘ったところで、<なんだか浅い墓穴のようで
面白くない。>(p10上段)
そこへ元刑事の腕を見込んで、組織から調査の依頼がくる。お金も
魅力だが、仕事ができることの方がもっと魅力である。その間は自己
懲罰意識から離れていられる。彼は引き受ける。

 女性のためにはハーレクィンやシルエットなどのロマンスものがある
(男性も読むかもしれないが)。男性のためのそれが、ハードボイルド
ではないか。剣とマントの替わりに拳銃とスーツ、忠誠を誓う貴夫人の
替わりに大抵はブロンドの悪女、自意識ある男の心性を尊重した倫理的な
主人公(読者は安心して感傷に浸れる。)・・・たぶん、そうだ。

     (HPB 1972初 帯 VJ無)





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by byogakudo | 2012-10-28 12:23 | 読書ノート | Comments(0)
2012年 10月 27日

「その男キリイ」を飛ばし読みしてハリイ・ケメルマン「木曜日ラビは 外出した」読了

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 まず今週の新着欄です、よろしく。
 新着欄

 ドナルド・E・ウェストレイク「その男キリイ」は、残り1/4くらい
になったところで、あとは飛ばし読み。別に感想は変らなかった。
 一応、読んだことにしよう。
     (HPB 1965初 VJ無)

 ハリイ・ケメルマン「木曜日ラビは外出した」は、ミステリ風味の
風俗小説。ラビの奥さんが電話する場面で、ウィメンズリブの時代を
反映して、
<「ミスですか、ミセスですか」
 「ミズですわ」>(p224下段)と、思わず返事するギャグがある。

 ユダヤ教は宗教というより倫理規定の面が強いのは何となく解った
けれど、それならイスラム教や儒教もそうみたいだし、ユダヤ教と
ユダヤ人・イスラエル人との関係などが、ますます解らなくなる。
     (HPB 1979初 帯 VJ無)

 「悪党パーカー/人狩り」もあったが、Sによれば「ハードボイルド
なメグレもの」らしい、ミッチ・トビン・シリーズ「刑事くずれ」を
選んでみた。
 原題「KINDS OF LOVE, KINDS OF DEATH」の響きがきれいだ。
 





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by byogakudo | 2012-10-27 18:54 | 読書ノート | Comments(0)
2012年 10月 25日

大竹伸朗「既にそこにあるもの」(文庫版)読了

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 単行本よりずっとヴォリュームを増してるのを知らなかったので、
文庫版は以前に売ってしまっていた。古書伊呂波文庫で見つけて買う。

 「現代美術」という、知的な作業や手続きが、作る側にも見る側にも
暗黙の裡に必要とされている(ように思える)制度・領域から必死で
身を振りほどこうとしているのが大竹伸朗なのだろう。ストイシズムが
身にしみる。

 『ワビサビ・トンネルドライブ』より引用する。

< 茶室の壁を僕が美しいと思うのは、雨もりの染みや壁の破損部分に
 対する対処の仕方に、トンネル内部の表面などに対する客観的な作業
 処置と同じような精神を見るからである。
 [中略]
 自分の中でのわびさび感覚は、本質的には芸術とは全く無関係の場所で、
 日常生活の中にひっそりと潜んでいるものであり、そこには何らかの
 ノイズが関係していると思えるのだ。茶室の壁の方がトンネルの内側
 より、そして美術館の壁に掛かる絵画の方が下塗り状態の看板より
 「偉い」と見てしまう意識にはこれからの芸術での可能性はない。
 今、世の中で「芸術」だと認定されているすべてのものを、もう一度
 自分の感知するトンネルの中にぶち込みそれらをトンネル内の壁と
 同等に眺めてみることはこれからも自分にとって「芸術」と「自分」
 の間合いを計る大事な基準となり続けるに違いない。>(p259)

 大竹伸朗って父性のひとだ。

     (ちくま文庫 2007年2刷 J) 





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by byogakudo | 2012-10-25 14:32 | 読書ノート | Comments(0)
2012年 10月 24日

10月はやっぱり長い

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 前にも書いた気がするが、10月は長い。なぜなんだろう。10月
だからって32日や33日ある訳ではないし、31日で終えるのに、
実感的には他の月より長く続いているような気がしてならない。
祝祭日が格別に多い月でもないのに、不思議だ。
 Sが参加した展覧会の影響でなんだか気忙しく、そのせいでまだ
10月であることに驚いているのかもしれないが、以前にも同じように
思った。

 写真は、疲れを飛ばすために行った、築地のしもた家の路地。
きれいなものほど喪われてゆく。築地を歩きながら荷風「腕くらべ」
を思い出していた。





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by byogakudo | 2012-10-24 14:06 | 雑録 | Comments(0)
2012年 10月 23日

築地・勝鬨/セットバックする散歩

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 昨日は1pmに東銀座にいた。釆女橋方面から築地市場へ向う。
 今日こそ、閉店時間まで余裕がある「米本珈琲本店」でゆっくり
しよう。と思って行ったら、平日の午後の「米本珈琲」は中も外も
客でいっぱいだ。別に祭りをやっているわけでもないのに、人々の
表情はお祭りのときのそれである。
 表の卓でアイスコーヒーを飲む。晴海通を行き交う車の音を、
やかましいとは感じない。天気も悪くない。ただ開放感だけ感じる。

 勝鬨橋を月島方向に渡りかけて、河口側がうつくしく煙ぶっている
ので戻って反対側を歩こうと思うが、渡り直す前に、築地市場外れの
一帯をうろつく。
 路地の古い木造モルタル(今はしもた家)を撮っていたら、住人の
男性から声をかけられる。
 「ここらは焼け残ってね。もう古くて古くて。全部建て直してビル
になるんだろう」

 築地市場が豊洲に追いやられても、ここの風通しのよさは保たれる
だろうか。記憶を持つ土地に住み続け、仕事を続けて来た人々がこの
町を作って来たのだが。
 わたしは成功した再開発の例を、ほとんど知らない。

 勝鬨橋を渡り、いったんテラスで涼む。月島川の水門から細い道を
進む。この運河のテラスは距離は短いけれど、水辺に最接近できる。
月島川脇のアパートの人たちに利用されているのだろう。

 3・11のとき休憩した勝どき駅近くのドトールで休み、3:30pm頃、
東の東京を去る。
 出かけるときは靴が気に入らなくて履き替えに戻ったり、勝鬨橋を
途中から戻ったり、セットバックする散歩の日だ。





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by byogakudo | 2012-10-23 14:38 | 雑録 | Comments(0)
2012年 10月 21日

「調光展」と「日月堂」に行く

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 昨日は義母とSと、三人で「調光展」最終日に行く。義母も馬越氏の
作品のうつくしさに惹かれたようだ。

 彼女を送ってからSは会場に戻り、わたしはすぐ近くの「日月堂」に
行ってみる。お客さまが多いので、マッチ箱を買って__安藤更生
「銀座細見」が頭に浮かび、喫茶店やレストランのマッチを選ぶ。__
「調光展」会場に戻る。馬越氏のガラス器を目の中に留めようと見回す。

 作者・馬越氏にもお会いできてうれしかった。くすんだ青のガラス器
の影が、ホルバイン「大使たち」の足下を斜めに横切る髑髏の線を思い
出す、なぞと感想を述べる。ガラスには水のイメージがあるが、ガラスは
火から生み出される。錬金術の一種みたいだ。
 フリーハンドにこだわって吹きガラスを作っていると、お話しして
くださった。

 再び「日月堂」へ行き、マッチラベルが100枚くらいあっただろうか、
その中から1枚選ぶなんてことをやってしまい(やり始めると中毒体質が
発動する)、目が死ぬ。ちょっとご挨拶して再び会場へ。

 奥の椅子で話されているのは、お目にかかったことはないが山口はるみ
さんだと直観する。6月の恵比寿「まぁる」に来てくださったと、Sが
言っていたし。

 可愛いというのは、名のある方に対して失礼に聞こえかねないが、
ひたすら仕事をして来た女性に見られる、無邪気さや無垢の魅力のある、
可愛い方だ。
 キティちゃん等のキャラクターを可愛いとは、わたしは思わない。
ヒエラルキーから逃げよう、風当たりを避けよう、そんな怠惰で醜い
感情の産物にしか見えない。
 守られなくてひとりで生きて来たひとに見られるきれいなものが、
「可愛い」ではないかしら。


 いい展覧会だった。作者たち、KARANISの方たち、ありがとう
ございます。

     (「調光展」 2012/10/13-10/20
      於 GLASS GALLERY KARANIS)





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by byogakudo | 2012-10-21 12:56 | アート | Comments(0)
2012年 10月 19日

中庸への道

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 身の危険を感じて部屋を出た。

 Sは「調光展」会場に出かけ、ひとりで部屋にいると、ひたすら
掃除している。いちおう2時まで、と思っていたが、ひととおり
やって満足したら、もう3時。あわてて外に出て、行く所がない
から店に行く。
 あのままいたら、エアコンのフィルターを洗い、窓ガラスを磨き
(ああ、磨いてない!)、秋冬物の衣類の入れ替えに没頭し・・・
ぐったり疲れて早い夕方を迎えていただろう。

 店に来たら、通信販売の注文があったので急いで作って出しに
行き、夕方を店で迎えている。まるで働き者みたいだ。

 毎日の掃除って、どの程度にやればいいんだろう? 
 小箪笥やTVの裏側は毎日ほこりを払わなくてもいいのか? 椅子や
テーブルの背面・側面・底部のほこりは、週に一回くらいでいいのか?
 標準はあるのだろうか? 母が生きているうちに聞いておくのだった。

 何かやりだすとファナティックになる。やらないことにもファナティックだ。
完璧主義の裏側には怠惰がでんと控える。
 適度に掃除して、適度に怠ける。それが理想だが、どうやったらそれが
日常になるのか?
 過度に掃除中毒か、或いはまるでほったらかし。わたしの中庸は、二極を
足して二で割る式の中庸だ。それは普通、中庸とは呼ばれない。


 明日は臨時休業ですので、早めの今週の新着欄です、よろしく。
 新着欄





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by byogakudo | 2012-10-19 15:37 | 雑録 | Comments(0)
2012年 10月 18日

町山智浩・柳下毅一郎「ベスト・オブ・映画欠席裁判」のおまけ

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 ふたりが紹介していた(大抵は)未見の映画の中で気になった
一本が、「ライフ・アクアティック」。
 妙な海洋冒険ものらしいが、映画で使われている音楽が、DEVOに
ポルトガル語のボウイーのカヴァ(ボサノヴァ調)だそうだ。
 後者を聴いてみよう。
 Seu Jorge_Space Oddity

 ところで、「調光展」をもう一度見てみたいので、20日(土曜日)は
臨時休業いたします。





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by byogakudo | 2012-10-18 16:46 | 映画 | Comments(0)
2012年 10月 17日

鳥飼否宇「物の怪」読了

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 写真はいつだったか祝日の新井薬師で。この辺りの住宅地を歩いてみたら、
みごとに土地の記憶を欠く風景だった。たぶん区画整理もあったのだろうが、
昔のよすがを偲ぼうにも何の手がかりもない、新建材通りが続いていた。

 新井薬師参道入口すぐ、中野駅から見て右側の60年代、というより昭和30年代
から40年代風骨董店「スピカ」のセレクションに雑貨魂を揺すぶられたが、必死で
耐えた。
 雑貨は言わば手のひらに載る宇宙であり、記憶函だ。

 そうそう、鳥飼否宇「物の怪」だった。民俗学や生物学の知識満載の
(やや)ホラーミステリだろうか。しっかり書かれてるけれど、それほど
好きにはなれず、わたしはもっとオバカなミステリを読むべきであろう。

 「クラスメート」ではなく「クラスメイト」、(しかし「ストレート」は
「ストレイト」ではなかった)、「イラストレーター」ではなく「イラスト
レイター」なのが面白かった。
 「イヴェント」は「イベント」だし、鳥飼否宇の片仮名表記基準は、
どこらで手を打ってるのだろう?
 都筑道夫の「ホテルディック・シリーズ」に出てくる英国風英語を話す
老骨董店主の片仮名表記は、すごかったなと思い出すが、実例を挙げたく
ても、いま手元にない。

     (講談社ノベルス 2011初 J)





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by byogakudo | 2012-10-17 12:47 | 読書ノート | Comments(0)