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2012年 11月 29日

webでルイズルイス加部「気ままに生きる」p100まで読了

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 少しずつ分量が増えてゆくルイズルイス加部「気ままに生きる」
一気に読んだので、頭がぐらぐらする。

 加部さんは、70年代を忙しく生きたミュージシャンというより職人の
感じだ。聞き書き風文体で読みやすいが、時代と動きの濃密さに疲れる
から、ちょっとずつ読むことをお勧めする。

 「リゾート」の練習やライヴでお目にかかった頃の彼は、しかし
鮮やかに美青年だったなあ。





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by byogakudo | 2012-11-29 15:33 | 読書ノート | Comments(0)
2012年 11月 28日

ブリス・ペルマン「顔のない告発者」読了

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 暗いのかしらと予想していたら、1970年代のフランス映画タッチ__
その頃流行りの風俗描写がほほえましい、佳作だった。原作が刊行された
のは1983年だが、あのタッチはまだ続いていたと見える。

 ブルジョア夫人が交通事故で死亡したと報道された直後に、事故ではなく
殺人だと告発する手紙が警察に届き、捜査が始まる。 

 ブルジョア家庭の住込みの女中さんは、若くて美人、女優志願。警察の事情
聴取の帰るさ、自分にタクシーをおごり、ほっとして車内で火をつける煙草が、
ポールモール。
 彼女を調べたクレマン警部もポールモールを吸う。

 外国製品に対するスノッブな愛好癖は、どこの国にもある。タイトルも中身も
忘れたイギリス映画の中では、「このネクタイ、イタリア製だぜ」と自慢していた。
 ポールモールも、その口であろう。

 車の名前も出てくるが、こちらは車に強くないので、どういう記号効果がある
のか、よくわからない。

 警察が聞込みに出向くブルジョア家庭の、それぞれの室内装飾や着ている服も、
手抜かりなくまめに記述され、ステイタスを示す。すぐさま映画にできそうだ。

 タクシーの中でほっとする女中さんの描写なぞは、映像化し難いだろうが。

<クレマン警部は彼女の好みの男性のタイプに一致していた。態度が丁寧
 (ていねい)で、好意的でさえあった。女性の美しさに対して抱いている
 関心を隠そうとしなかった。いや隠し切れないでいたと言ったほうがいい。
 男性と対する場合、いつもそうなるのだった。女性が社会を動かす日が来たら、
 ジュリエット・エルバンには成功するチャンスはないにちがいなかった。>(p50-51)

 妻を亡くしたブルジョア男性が、自宅で女中さんにかけさせるレコードが、
アルビノーニ。クレマン警部もアルビノーニがお好きなそうで、そういう雰囲気
いっぱいのミステリ。

     (創元推理文庫 1985初 J)

2017年1月15日へ~





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by byogakudo | 2012-11-28 13:17 | 読書ノート | Comments(0)
2012年 11月 27日

パトリック・クェンティン「悪女パズル」読了

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 大富豪の女性が離婚しかけている女友だちを招待する。さらには
彼女たちの別居中の夫たちまで招いて、彼らの中を修復させよう
なんて試みるものだから、招待客の女性三人が立て続けに殺される
ことになる。

 大金持ちの女性の悪意はないが思慮に欠ける行動を見ていると、
彼女は戦後のアメリカ(の振舞い)そのものではないか。原作は
第二次大戦が終わる年、1945年刊行だ。

 世界に自由と民主主義を広めよう。それこそ正義である。__
との善意から、国情や周辺の国家とのバランスを考えずに戦争に
飛び込んでは泥沼に陥り、懲りることを知らないアメリカ。作用に
対する反作用としてテロが起きるのは当然としか思えないが、アメリカ
及びアメリカ人は、なぜこの善意が通じない?と、理解に苦しむのかしら。
でも、ナイーヴもほどほどにしないと嫌われる。
 戦争はアメリカの巨大産業のひとつだから、しない訳には行かないの
だろうが、まわりが迷惑を被る。

 そんなことを考えてしまうのは、わたしが謎解きをしないミステリ読み
だからで、本格派とサスペンスの融合されたミステリであろうとは、
こんな奴にも解る。
 だけど、終盤、警察が介入してきてからの、たたみかけるような推理
大展開ないし大転回は、フィギュアスケートではないけれど、エンディング
に持ってゆくための無理な姿勢の変更や流れの変え方に感じられて、
フィニッシュの台詞は決まっていたが、いまいち、好きだと言えない。
 本格派の楽しみ方を知らない、といえばそれまでの話である。

     (扶桑社ミステリー 2005初 J)





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by byogakudo | 2012-11-27 13:46 | 読書ノート | Comments(0)
2012年 11月 25日

パトリック・クェンティン「悪女パズル」を読み始める

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 写真は、東松原の溝川の果て。塀から先は、民家の庭の暗渠になる。たぶん。

 そういえば「俳優パズル」が読んだ直後に売れたんだった。精神
分析医が出てきたことしか覚えてない。「俳優パズル」の次の次に
ダルース夫妻(という名前も勿論忘れていた)が探偵役を勤めるのが、
この「悪女パズル」(扶桑社ミステリー 2005初 J)であるらしい。

 お金持ちで美人で性格の悪い女たちが登場しきった辺りで、もう一冊、
ブリス・ペルマン「顔のない告発者」(創元推理文庫 1985初 J)にも
目を通してみる。こちらは、やや暗そうか?

 体調と心が下がり気味なので、逃避傾向が強まる。






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by byogakudo | 2012-11-25 17:27 | 読書ノート | Comments(0)
2012年 11月 24日

ジョルジュ・シムノン「13の秘密」読了

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 今週の新着欄です、よろしく。
 新着欄


 タイトル作「13の秘密」の13編目で、ジョゼフ・ルボルニュが何故、
推理の道に手を染めるようになったかが明かされる。よくある趣向では
あるけれど、最後に置かれると、全体を引き締めてバランスがいい。

 文庫本の残り半分強を占める「第1号水門」は、期待せずに読み
出したら、あら、すてきじゃないの! ノアールだった。

 曳船の船長から出発して、今では大船主であり石切り場も所有する
大金持ちになった男、エミール・デュクローの、やりきれないほどの
個性が強烈だし、始まりは同じような立場だったが、こちらは出世せず、
アル中気味のガッサン老人も、屈折した、いい個性である。
 さらに、引退目前のメグレ警視(訳文では「警部」になっている)が
加わり、黄金の三老人の闘争が描かれる。

 若い男たちも出てくるけれど、三老人を前にすると、みんな影が薄い。
デュクローのひ弱な跡取り息子は自殺してしまうし、娘婿は遺産の
おこぼれを、気弱にしぶとく狙う。

 デュクローは週末を過ごす別荘にメグレ警視を招き、その席で家族
全員を罵倒する。

 同じ建物に住わせていた妾については、荷風みたようなことを言う。
< 「『マキシム』にいたころは、美人で陽気な女でしたがね。[中略]
 家具付きのちゃんとした部屋に囲ってやったら、こんどはぶくぶく
 肥りだして、あくせくと自分で洗濯はするし、炊事までしやがる。
 まるで門番のおかみ同然でしたな」>

< メグレにはとうにわかっていたことだが、こういった悲喜劇が
 デュクローの生活をむちゃくちゃにしていたのだ。この男は無一文から
 出発して、ざくざく金を稼いだ。大ブルジョワと取引もあって、その
 暮らしぶりもかいまみた。ところが、身内のものは依然として昔のまま
 だった。サモワにいる女房は、曳船の船尾で洗濯をしていた時代と
 おんなじ習慣、おんなじ身ぶりをそのまま持ちこしているし、娘と
 きたらプチブルのこっけいな猿真似(さるまね)しかできなかった。>
(p251)

 生命力があり過ぎ、意地をはり過ぎる前代の男たちと、戦後の青年たち
とのコントラストが鮮やかで、ギリシャ悲劇の戦後パリ版みたいだ。

     (創元推理文庫 1985年19版 J)
 





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by byogakudo | 2012-11-24 15:06 | 読書ノート | Comments(0)
2012年 11月 22日

ぺなぺなした音

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 鈴木創士氏のツィッターから福山知佐子を知り、そこから知った
The Human Expressionの、ぺなぺなした音がすてきだ。

 The Human Expression - Follow Me
 





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by byogakudo | 2012-11-22 12:36 | アート | Comments(0)
2012年 11月 21日

ジョルジュ・シムノン「13の秘密」を読み始める

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 シムノンも推理するんだ! 失礼なこと思っちゃって、悪い!

 でもメグレ警視はほとんど推理してなかった(と感じさせる)ので、
安楽椅子探偵、ジョゼフ・ルボルニュから新聞記事他の資料だけ示された
語り手が読者を推理に誘う、短篇ミステリ集「13の秘密」を読み出して、
シムノンと推理の結合の意外さ(?)に驚いている。
 ミステリ作家なのだから、別に不思議ではないのに、不思議に思う
方が間違ってるのか。

 翻訳者・大久保輝臣の名前がなつかしい。奥付の<訳者紹介>欄に
住所まで記されているのも、なつかしい。

     (創元推理文庫 1985年19版 J)





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by byogakudo | 2012-11-21 12:21 | 読書ノート | Comments(0)
2012年 11月 20日

フィリップ・マクドナルド「鑢」+セイヤーズ他「ホワイトストーンズ荘の怪事件」読了

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 フィリップ・マクドナルド「鑢__名探偵ゲスリン登場」は、三組の恋人たちの
恋愛が結婚に至るところで終わる。まあ楽しく読んだが、レジ奥に吊るしてある
「ライノクス殺人事件」にまでは手が伸びない。

     (創元推理文庫 1983初 J)

 セイヤーズ、クロフツ他のミステリ作家による連作ミステリ「ホワイトストーンズ
荘の怪事件」は、ミステリとしては正直、退屈だったけれど、各作家が次の章を
書く作家、或いは前章を書いた作家へのコメント(自分ならこう展開する等)を
味わう(?)べき作品だろう。
 本格ミステリの作家って、こんなことを考えながら書いているのかと、やっと知った。
なんにも推理せずにミステリを読み続けて、すまなかったとは思わないが、連作の
大変さはよくわかる。

     (創元推理文庫 1985初 J)





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by byogakudo | 2012-11-20 12:25 | 読書ノート | Comments(0)
2012年 11月 18日

連詩集「poetic wonder 30」絶賛販売中

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 あら、オープンカフェの日傘の下にも「poetic wonder 30」が! 

 詩人・イラストレータの鈴木博美さんも参加された「ツィッター
連詩」の試みが、鈴木博美さんとchocochips氏の手により、小冊子
「poetic wonder 30」に変身して、当店ホームページとレジ前にて
絶賛販売中です。

 おふたりのアートワークの冴えをぜひ、手にとってご覧ください。
タイプライターの記憶を呼び起こす表紙の文字や、シンプルな構成__
引算の美学に貫かれた作品です。うつくしい。





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by byogakudo | 2012-11-18 13:23 | 告知 | Comments(0)
2012年 11月 17日

フィリップ・マクドナルド「鑢」もう少し

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 主人公、アントニイ・ルースヴェン・ゲスリン氏/大佐は、ことある
ごとにミステリ絡みの発言をする。作者に替わって、これはメタミステリ
ですよ、と言わんばかりである。

<「[略]この事件についてこれまでわかった少しばかりのことから
 考えると、こいつは現実よりも小説に似ているね、[以下略]」(p55)

< 「名人だって? このぼくが?」アントニイは声を立てて笑った。
 「ルコック向きの事件を解こうとしているシャーロック・ホームズ
 のような、そんな空しい気持ちなんだよ」>(p56)
 
 p69、p100、とミステリへの言及が続き、p135では新聞社の
女性秘書まで、
< 「[略]あたし、なんだか連続もののヒロインにでもなったみたいな
 気がするわ。[以下略]」>と発言する。

< 「わたしはデュパンでもあり、ルコックでもあるんですよ。フォー
 チュンであり、ホームズであり、ルルタビーユなんです。では、
 おやすみなさい」>(p145)と、人目惚れした女性に言ってのける
ゲスリン氏/大佐。

 p156、p182と言及あり。
 p191では、指紋のせいで逮捕された男性秘書も、
<「[注: 指紋を]とられたときにわかりましたよ。ぼくは探偵物をだいぶ
 読んでいるので、刑事がぼくに紙きれを渡して、これに見覚えはない
 かと訊いたとき、ぼくにはピンときたんですよ。[以下略]」>

 p204ではチェスタトンの言葉を引用し、p258では国会議員が、
<「[略]こんなところにぶっ坐ってホームズとワトスンの真似事をして
 いてもしようがない。[以下略]>

 p287端には<原注 R・A・フリーマン作『赤い拇指紋』>とある。

 最後までチェックしていないので、まだあるかもしれない。ミステリと
マザーグースとアリスへの言及が目立つミステリだ。

 もう犯人は特定された。あとは、登場人物たちのロマンスの行方を
読むことになるのだろう。
     (創元推理文庫 1983初 J)

 今週の新着欄です、よろしく。
 新着欄





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by byogakudo | 2012-11-17 14:11 | 読書ノート | Comments(0)