猫額洞の日々

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2013年 05月 30日

横田順彌「奇想天外殺人事件」もうすぐ読了

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 もうすぐ読み終わるのなら、全部読んでから書けばよさそうだが、
どこまで行っても、難問題を抱えた警視庁捜査一課の真暮(まぐれ)
警部が、私立探偵・早乙女(さおとめ)ボンド之介を訪ねて、ダジャレの
交換をしながら、無茶苦茶な解決に至るパターンは崩れないだろうから、
どこで感想を述べようと同じであろう。

 グラシン紙ラッパーのかけ方から、お師匠さんが読まれた本だとわかる。
 彼のラッパー作りは、まずジャケットを外し、広く取ったグラシン紙で
ジャケット全体を覆い、再び本に着装する。糊付けなし。ジャケット袖より
長くグラシン紙がかかっているので、袖がヤケることはない。
 もうひとつのやり方は、袖の天地を軽く糊付けし、折り返し部分が表紙の
裏と表に交互に出る。背表紙の重なりはカットして一重にする。
 (う? ほんとにそうだったかしら? 明後日にも確認しよう。)

 不肖の弟子のやり方は、特に文庫本の場合、いじましくけちくさい。
 グラシン紙の残りを漁って、天地の被せ目に6~7mm余裕があり、袖を
覆う部分が長い切れ端を見つけたら、作業開始。ともすれば表に出たがる
天や地の端っこを無理矢理折り曲げて、背の部分に押し込み、袖の長さで
折り返しの不足を補って糊付け。(昔も書いたことがある話だ。)
 何もこんなことに器用さを発揮しなくてもよさそうだけれど、器用なのは
ここしかない。あとはことごとく不調法だ。冊子小包の話も書きたくなったが、
余談が続きすぎた。元に戻ろう。

 ダジャレの応酬と余談だけで物語が進行するSFミステリだ。スタイリッシュ
とは言わないが、スタイルがあるので読んでられるのだろう。

 ダジャレはあんまり好きではないけれど、「週刊ポスト」の高田文夫のコラムに
あったダジャレがよかった。<ゴホンといえば紀伊国屋>。

     (講談社文庫 1987初 フェア帯 J)





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by byogakudo | 2013-05-30 14:37 | 読書ノート | Comments(0)
2013年 05月 29日

フィリップ・K・ディック「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」読了

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 ひさしぶりの再読ないし再再読だ。冒頭の夫婦喧嘩のシーンだけ
しっかり記憶していて、後は全部忘れていた。

 フクシマ以後を生きている今、SFはほとんど、ルポルタージュだ。
 世界最終戦争後、放射能の灰が降りしきる地球にいまだ残り住む
人類、滅び去った他の動物への思い、「絆」を強調する体感型宗教の
マーサー教__ヒトが生き延びるには何らかのフィクションが必要だ。
 SFでは他の惑星への移住が可能になっているが、現状はまだなだけ。

 原発事故というカタストロフィは、目下、水で冷やすことでしか対処
できない。毎日、作業員が被爆しながら、冷却その他の作業に従事する。
 これが現実なのに、同じく地震の多い他国にも原発を輸出しようという。
「原子力の平和利用」というスローガン、「経済発展」イデオロギーが
まだ有効なのだと、原理主義的な信仰を強制する。

 日本の今はディックの描く世界より、もっと呪われて悲惨だ。
直視し続けるには辛すぎる事実なので、TVや大新聞はフクシマが
なかったかのように、あったけれど、もう解決済みなのだと言わん
ばかりに、はしゃぐ。原発推進が教義の原理主義に冒されているか、
あるいは原発推進イデオロギーの補完体制にあり、人々の目を
フクシマから逸らさせることに懸命だ。
 フクシマを忘れさせようと確信的に、日々のニュースを選択し、
エンタテインメントを供給する。

 洗脳は頻度や量がものをいう技術だ。個人が、能天気なブログで
現実逃避を図ろうとするのと規模が違い、犯罪性に先天的に盲目だ。
 
     (ハヤカワ文庫SF 1987年16刷 J)





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by byogakudo | 2013-05-29 11:05 | 読書ノート | Comments(0)
2013年 05月 28日

島田一男「伊豆の踊り子殺人事件」読了

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 訳ありげなもう一冊、島田一男「伊豆の踊り子殺人事件」は、
「『伊豆の踊り子』ルート・連続殺人事件」とでも改題すれば、
内容を正しく伝えることになるだろう。

 何しろ川端康成も読んでなくて、「片腕」とか「眠れる美女」
くらいしか知らない。後者はネクロフィリアものとして、なかなか
結構だった。あ、「浅草紅団」も読んでいたか。
 神経症的だけでなく、初期の谷崎みたようなジャンク趣味がある
作家なら、もっと読みたくなるだろうけれど。

 ともかく、「伊豆の踊り子」をモチーフに書かれたミステリだ。
 学会が終わり、東京へ帰ろうとしていた科学警察研究所の部長
以下、各種専門技術者たちが、湯ヶ島温泉で殺人事件が起きたと
知らされる。
 途中下車して現地の警察に協力することになったが、連日のように
殺人事件が続き(めんどくさくなって、この殺人はいつ起きたっけ?
何人死んだっけ? と確認する気をなくした)、20年前のある事件が
糸を引いているとわかる。

 本格推理小説は、元々肌に合わなかったことを再確認して読み
終えた今、いちいちの殺人事件がどんなものであったか、どうか
わたしに尋ねないでもらいたい。興味がある方は、本文に当たって
ください。

 <全点書下ろし&文庫オリジナル>と帯に謳っているから、1994年に
書かれたミステリらしいが、被害者の一人は、ハイミナールを飲まされ、
絞殺されている。

< 「本当にハイミナールです。余りに時代はずれなので、あたしは採血
 して験(ため)してみましたが、ドイツ製のハイミナールを尚子はかなり
 服用していました。あれだけ飲んでいれば、首を絞められた時も、グッスリ
 眠っていたことでしょう。有賀技官の話では防衛創に生活反応があるそう
 ですが、尚子は間違いなく、完全にラリっていた筈です」>(p181)

 90年代にドイツ製のハイミナールが残っていたとして、効き目が薄れては
いなかったのだろうか。
< 「ハイミナールは日がたつと効能がなくなるかね?」
  「そんなことはないと思います。大量に飲めば昏睡(こんすい)状態になる
 でしょう。[以下略]」>(p183)__だそうです。ほんとかしら?

     (光文社文庫 1994初 帯 J)





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by byogakudo | 2013-05-28 12:49 | 読書ノート | Comments(0)
2013年 05月 26日

リチャード・スターク「黒い国から来た女」読了

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 俳優も強盗も身体が丈夫でなければならない。俳優兼強盗だったら
尚更だ。とは言え、カナダの山奥で深い雪の中をスノウウェアなしで
逃げ回り、凍えそうになるだけで、凍傷にかかったとも書いてないし、
腎盂炎や肺炎にならずにすむのは、超人的な体力である。

 強盗に失敗したのが雪山で過ごす、そもそもの原因だった。
 逃走用の車が事故を起こし、俳優兼強盗のグロフィールドは、気が
ついたら病院のベッドに寝ていた。横に立つふたりの男が警官だったら
即座に刑務所行きだが、政府の某機関だったせいで、スパイアクション
もどきの大活躍をするはめになる。

 政治に関心のないグロフィールドに、政府の役人が「第三世界」の
説明から始めて、グロフィールドの知人、オナム・マーバを含む
アフリカの政治家たちがカナダで密談をするようだから、それを
探れと指示する。断ればすぐに警察に引き渡される。

 政府の手からもアフリカ諸国の方からも逃げようとして上手く行かず、
雪中の逃走を試みるのだが、アクション・シーンより身体の丈夫さに
感動(?)する。寒がりなので。

 たぶん、シリーズのどの本にもグロフィールドの詳しい容貌は書かれて
いないと思うが、漠然とハンサムとしか書かれていないのは、映画化
されたとき、どんなタイプの役者でも演じられるように、だろうか。
 わたしがイメージするのはブロンドではなく、ごくありきたりの茶系の
髪色、背は180cmくらい、一見穏やかな風貌の三十代の男優だ。

     (HPB 1978初)





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by byogakudo | 2013-05-26 14:40 | 読書ノート | Comments(0)
2013年 05月 25日

嵯峨島昭「軽井沢夫人」読了

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 今週の新着欄です、よろしく。
 新着欄 

 外の棚に出そうと紙袋を覗いたら、適当そうな文庫本が
2冊ある。光文社文庫の嵯峨島昭「軽井沢夫人」と島田一男
「伊豆の踊り子殺人事件」だが、これらはお師匠さんか、もう
ひとりのミステリ・マニアの方か、どちらかから来た本だ。
 あのお二人が、ありふれたエンタテインメントに手を出すなんて、
そんなことが考えられるだろうか。何か訳がありそうだ。

 嵯峨島昭(さがしま・あきら)は「探しましょう」の意味で、宇能
鴻一郎のミステリ用ペンネームだそうだ。
 宇能鴻一郎、読んでない。じゃあ、読んでみよう。

 何でしょう。頭の悪い日本版ジュリアン・ソレルと、ひとがいい
だけのレナール夫人、何を考えてるのか解らない、たぶん感情を
思考と取り違えてるだけのマチルドが、1979年頃の軽井沢で交錯
する物語。
 ミステリ仕立てにせず、恋愛小説のまま進めた方が無理なく行けたん
じゃないかと思う。終盤の謎解きシーンがバタバタしている。「赤と黒」
路線に「太陽がいっぱい」が混じり込む。まあ、これは階級闘争の系譜
と言えなくもないが。

 いちばんの謎は、アラン・ドロンかジュリーかと女たちから騒がれる
美貌の主人公が、夏の軽井沢でアルバイトすることで上流階級と知り合い、
のし上がって行こうと決心したことだ。この前提を受け入れないと話が
進まないのだけれど、いくらなんでもなあ。

 貧しい出自の主人公の青春の鬱屈みたようなものは描かれているから、
その線で行けばよかったのに、とまだ思うが、エンタテインメントの要請、
やむを得なかったか。

2015年9月25日に追記あり

     (光文社文庫 1988初 J)





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by byogakudo | 2013-05-25 12:22 | 読書ノート | Comments(0)
2013年 05月 23日

タッカー・コウ「刑事くずれ 牡羊座の凶運」読了

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(5月22日より続く)

 自分のせいで相棒が殺された事件以来、三年近く自己懲罰的に
家の周りに壁を巡らすことでしかしか生きられなかったミッチェル・
トビンが、ホモセクシュアルたちの殺人事件に関係している途中、
ふと、自分でも思いがけなく、私立探偵免許の取得を申請する。

 これまでも頼まれ事で実質、無免許の私立探偵業務を行なって
きたのだが、人交わりのできる存在ではないと、自らを思いなして
いたので、免許の申請など頭から否定していた。
 長い冬が終わり、少しずつ雪や氷が溶け出したかのように、彼は
再生に向かう。

 このシリーズはミッチェル・トビンの煉獄巡りなのだろう。彼が接触
したのは、精神病者やヒッピーたち、ギャング、ホモセクシュアルたち
__彼の孤独を反映する鏡のように、みんな社会の少数派だ。

     (HPB 1982初 帯 VJ無)





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by byogakudo | 2013-05-23 13:35 | 読書ノート | Comments(0)
2013年 05月 22日

タッカー・コウ「刑事くずれ 牡羊座の凶運」1/2

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 家の周りに塀を作り続ける男、もと殺人課刑事、ミッチェル・
トビンだ。
 刑事を辞めてもう三年近いのか。冬なので屋外作業ができない。
そこで地下室にもぐり、地下二階を作っているところへ、殺人事件の
犯人探しを依頼に、男が登場。

 ゲイの恋人が殺されたのだが、流しの犯行だろうと、殺人課では
まともに調査してくれない。
 用心深い恋人だったから見知らぬ男を部屋に入れる筈がない、
犯人は友人関係の中にいるとリストを見せ、全員の出生地と誕生
年月日・時刻を調べてもらえないか、と頼む。
 出生天宮図を作って、いちばん犯人の可能性の高い男を見つけ
出そうというのだ。

 警察にいる数少ない友人に聞いてやったが、今度は依頼人まで
襲われ、ミッチェル・トビンは例によって事件に関わることになる。
 
 1970年頃のニューヨークのゲイ仲間の物語だ。ブルックリン・ハイツ
のうつくしさが描かれているが、コレクター/アーティスト/介護事務所
所長・森秀貴氏に聞けば、この辺りの様子がもっと詳しくわかりそうだ
と昨夜、思っていたのに、今日たまたま森氏が現れたときには、すっかり
忘れていた。
 熱さに負けた一日だったので。

     (HPB 1982初 帯 VJ無)

(5月23日に続く)





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by byogakudo | 2013-05-22 15:39 | 読書ノート | Comments(0)
2013年 05月 21日

リチャード・スターク「レモンは嘘をつかない」「俳優強盗と悩める処女」読了

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 もうEP-4/5・21ライヴ@京都も、とっくに終わっている頃だ。
5・18は、夜中は寝床にいる生活なので行けなかったし。
 見に行けた方々がうらやましい。

 長くないのが美点のリチャード・スタークを2冊読んだ。
 「レモンは嘘をつかない」は、俳優兼強盗、グロフィールドの
夏期劇場兼自宅の描写が楽しかった。

 元々は納屋、それを改装して客席(一部は土間のまま)と
舞台を作り、夏期以外は舞台が生活の場__寝室や居間__
になる。ファンタスティックだが、冬はさぞ寒いだろう。
 農場の土地や納屋の取得には、悪党パーカー(まだ読んだ
ことがない)との強盗で得た資金をあてた。

< どんな世界でも、純粋主義者が経済的に潤うことを期待
 するのは無理である。グロフィールドも例外ではなかった。
 彼は年々役者の需要が減る一方の舞台を活躍の場に限る
 だけでなく、自分の劇団、たいていは辺鄙なところで公演し、
 それも必ず赤字で終わる夏期劇団を持つことにも固執した。>
(p16下段)
 身につまされる。

     (HPB 1980初 帯 VJ無)

 「俳優強盗と悩める処女」ではグロフィールドはプエルトリコに
出張する。当面お金の必要はなかったが、変な依頼がきて好奇心に
駆られたからだ。

 そこで殺人事件にまきこまれ、犯人視されてしまう。彼と同様に
容疑をかけられなくもない一人が、アフリカの新興国の政治家、
オナム・マーバ。
 政治家の発言は常にかくあるべし、と言いたくなる、政治的に
正しい発言を心がける知的な人物である。ポーカーフェイスで、
イギリス的な婉曲表現に長ける。

 政治家だって、ときには物事を明確に言わざるを得ない。殺人
事件に直面してるときとか。
 つい遠慮した言い方をしたマーバは、グロフィールドに謝る。
<「申し訳ありません。遠まわしにいう癖がついて、なかなか
 直せません。[以下略]」>(p145下段)

 橋下徹、石原慎太郎、猪瀬直樹、西村眞悟、安倍晋三、麻生
太郎・・・以下大勢は、政治家としてのふるまい方をオナム・
マーバに学ぶべきだ。
 躾が悪くって、頭が悪く、自分の非を認めることもできない弱虫
野郎が大手をふっている日本国の現状を鑑みるに、情けなくってさ。
オナム・マーバの爪の垢を煎じて飲ませたい。

     (HPB 1982初 帯 VJ無)
 





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by byogakudo | 2013-05-21 22:17 | 読書ノート | Comments(0)
2013年 05月 19日

コレット「シェリの最後」/大佛次郎「鞍馬天狗2 地獄の門・宗十郎頭巾」読了

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(5月14日の続き)

 「シェリの最後」にはたくさん紙片が挟んであるけれど、
思い出せるだろうか?
 そうだ、ココ・シャネルの時代、ギャルソンヌの時代が
始まろうとする頃だった。女らしさの定義にスポーティと
いうキーワードが加わってきたのだ。

 母性的な優しさにくるまれて大人になったシェリには、
なじめない時代だ。彼はレアの過去を知る老いた女に
慰藉を求める。立派な(成り上がることに懸命な)自宅を
見捨てて老女のわびしい部屋に入り浸り、過去を愛撫する。
 結論はあらかじめ決まったようなものだが。

     (岩波文庫 1994初 J)

 大佛次郎「鞍馬天狗2 地獄の門・宗十郎頭巾」も読んだ。
あんまりピンとこなかった。ファナティックになることを避けて、
徹底的に話し合うことが大切だ、というメッセージはわかった。

 映画も見たことがなく、鞍馬天狗はスティル写真しか知らない
ので、小説の鞍馬天狗が中年男ではなく、あくまでも理性的に
ふるまうことを信条とする、穏やかな坊ちゃん風の青年であるのに
驚いた。

     (小学館文庫 2000初 J)





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by byogakudo | 2013-05-19 13:13 | 読書ノート | Comments(0)
2013年 05月 18日

「フランシス・ベーコン展」に行った

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 忘れないうちに、今週の新着欄です。よろしく。
 新着欄 

 昨日やっと竹橋に行った。
 会期も終わり近いせいか、思ったより年配者が多い。わたし
たちと同じ、冥土の土産組さ。
 若い人たちと半々か、あるいは中高年層が多い。

 いい。絵画はいい。身体にくる。色彩が、なんて、いいんだ。
フランシス・ベーコンこそカラリストだ。
 深い黒みを帯びた青、小型の三幅対の背景を彩る枢機卿の紅、
不吉な鮮やかさを見せる緑、色の層がすばらしい。

 絵から漂う、あの妙な静けさは何なのだろう。描かれた人々は
動きの過程にあるのに、しんと静かだ。時間の構造体の檻に捉え
られたかのように。

 後効きのする展覧会になりそうだ。ある日、まるで関係ないときに、
絵の感触を思い出すような効き方で。

 思い出す補助として図録を買おうかと思ったが、色彩が違いすぎる
ので止める。見てきたばかりの、あの色じゃない。薄く、浅い。
 筆の跡を明確にするためであろうか、トーンを上げた印刷になっている。
筆が描いた痕跡は明らかになったけれども、あの複雑な色合いが失われ、
あさはかな色になっている。線の解読のお手伝いとは、今の時代らしい、
やり口だ。身体で反応する前に分析したいのか。

     (於 東京国立近代美術館)





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by byogakudo | 2013-05-18 13:42 | アート | Comments(0)