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2014年 01月 30日

「モレルの発明」みたい?

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 映画好きの親戚が年末年始にイタリアに行った。ひとこと、
<ヴェニスは「エヴァの匂い」してましたか?>とメールしたら
かえってきたのが、

< ヴェニスは雨混じりの寒風の吹きつける天候でしたが、
 それでも観光客が溢れていました。
  それにしても映像で散々見てきたあの世界がそのままに
 眼前に展開するのは矢張り感動でした。
  帰りは道に迷ってしまい、寒さに凍えながら観光客も減って
 きてお店も灯を落とす時間に必死に列車の時刻に間に合うように
 まさに迷路を彷徨いました。
  この時の心細さは、ジャンヌ・モローに捨てられて薄暗い
 明け方のサンマルコ 広場を悄然と去っていくスタンリー・
 ベイカーの後姿を想起させるものでした。

  フィレンツェのドゥオーモは長蛇の列で登るのは諦めました。
  したがって竹野内豊にはなれませんでした。

  ローマ終着駅は抱擁しあうカップルはいましたが、去りいく
 列車を追いかけてホームに片膝ついて崩れ落ちるモンティー風の
 男はいませんでした。>

 わたしも映画好きだけれど、彼がここまで「モレルの発明」式に
没入するひととは知らなかった。





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by byogakudo | 2014-01-30 14:31 | 映画 | Comments(0)
2014年 01月 29日

鈴木創士「文楽かんげき日誌 第6回 六波羅秘密の記」/トマス・チャステイン「ダイヤル911」読了

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 鈴木創士氏、2014年1月の文楽かんげき日誌は六波羅秘密の記
 凛とした遊女・阿古屋の物語にふさわしい、ですます体で
書かれた__鈴木氏の「ですます体」を拝見するのは初めて
__優雅でシャープな不特定秘密保護法批判(いやみ、しっかり)
でもある。


(~01月28日の続き)

 冬のニューヨークを混乱に陥れた爆破狂事件で活躍するのが、
爆発物捜査班のジョン・タイナン。ガソリンタンクに爆弾がしかけ
られたトラックを、限られた時間内に爆発しても安全な場所まで
運転したり、大活躍だが、忙中閑あり? やがて結婚することに
なる美女とのデートはホテルでのメル・トーメ公演だ。

 メル・トーメ、なつかしい。十代のころ好きで、レコードを一枚
買ったのがこれ、Mel Tormé Sings Fred Astaire
 Mary Ann McCall "Detour to the Moon" のレコード(復刻版)も
失っちゃった。中野新橋ジニアスに行けば聴けるはずだけれど。

     (HPB 1978初 帯 VJ無)





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by byogakudo | 2014-01-29 14:58 | 読書ノート | Comments(0)
2014年 01月 28日

トマス・チャステイン「ダイヤル911」もう少し

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(~01月26日の続き)

 「パンドラの匣」(原作は1974年刊)のとき書き忘れていたが、
1970年代の警官たちは、みんな喫煙者みたいだ。警察署内は
紫煙でもうもうとしてるし、主人公のカウフマン次席警視も葉巻
とはいえ喫煙者である。クレイグ・ライスの名探偵・マローンは
安葉巻愛好家だが、万事におしゃれで格調高い(?)カウフマン
のことだ、銘柄は書いてないけれど、きっと高い葉巻を吸うだろう。
 彼の好む酒はシーヴァス・リーガルと何度も出てくるのに、葉巻の
名称は書かれていない。他のシリーズには書いてあるのかしら?

 また、彼の愛人はマダム・ロシャスを愛用。彼の妻は何をつけて
いるのだろう? 大きなお世話だが、妻と愛人、同じ香水でないと
バレやすいのにと、心配になる。
 そもそも、妻は愛人の存在を知ってるのかどうか。彼の視点と
愛人の視点からしか彼らの恋愛は書かれてないので、妻が彼らの
関係に気づいているのか、読者にはわからない。
 性的に合わないけれど、家庭は大事だから、その範囲内で夫と妻が
折り合って生きるのはわかる。しかし、妻だって女でしょ? 妻が愛人の
存在に気づかないでいることが可能だろうか? 可能だと、作者や主人公が
考えてるとしたら、それはあまりに暢気すぎて鈍感だろう。

 「昔の人の袖の香ぞする」と詠むのは男に決まっていて、女は思い出すと
しても、そのときのあたし、の形でしか思い出さない。そのときの男は捨象
されているから、カウフマン氏の妻にとって、カウフマンが「昔の男」の
位置にあるとすれば、彼女が彼らの関係について何も言わないのも当然か。

     (HPB 1978初 帯 VJ無) 

(01月29日へ続く〜)





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by byogakudo | 2014-01-28 14:01 | 読書ノート | Comments(0)
2014年 01月 26日

トマス・チャステイン「ダイヤル911」を読み始める

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 ん、チャイナ・ミエヴィルはどうなった? 枕元にあるけれど、
置き去りにされている。復活の日は来るだろうか?

 カウフマン警視シリーズは、いつも暑い夏のニューヨークが舞台かと
思いこんでいたら、「ダイヤル911」は寒い冬、11月末の感謝祭から
クリスマス頃まで。まだ読み初めなので、感謝祭のパレードで爆弾が
破裂したところだ。

 主人公・カウフマン次席警視/16分署署長の魅力が、どうもぴんと
こなくて、たしかにニューヨークのお金持ちはヨーロッパやイギリス
志向であろうし、できる男・カウフマンとしては部下にある程度畏れ
られていないと指揮を執りにくいから、人間的と称される、弱みを
見せたりしないのだろうが、それらを大人の態度と理解はしても、
なんだろう、なにかご大層な奴、といった印象が強い。

 署長室を許可を得て、自分のライフスタイルに合った部屋に改装
(間接照明に革張りの椅子に毛足の長い絨毯に、壁の水彩画やオブジェ
等々)したり、家庭生活維持の一点で合意している妻と、年に一度、
ヨーロッパに出かけてふたりの服を新調するとか、カウフマン氏の職業が
警察でなかったら別に気にならないのだが、頑張り屋のアメリカ人見え見え
と思ってしまうのが残念である。

 いや、カウフマンがあまりすてきでないのは、犯人たちの魅力を引き立てる
ためかしらと、倒錯した見方になる。まさかね。

     (HPB 1978初 帯 VJ無) 

(01月28日へ続く~)





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by byogakudo | 2014-01-26 14:35 | 読書ノート | Comments(0)
2014年 01月 25日

トマス・チャステイン「パンドラの匣」読了

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 マックス・カウフマン・シリーズ第一作「パンドラの匣」、これが第一作
なら大評判も当然だ。

 元16分署にいた私立探偵スパナーが、保釈金を借りたまま逃げた男を
見つけ、護送しようとすると、ニューヨークで大きな犯罪を起こそうとして
いる連中の話を耳にしたから、自分を裁判所ではなく警察に連れて行って
くれと言われる。
 16分署署長のカウフマンは上司に報告し、何が起きるかわからないが、
テロ等の重大犯罪に備える緊急動員計画を出すよう指示される。
 その計画書の暗号名が「パンドラの匣」。

 パンドラの匣の中身は、メトロポリタン美術館から絵画を盗み出し、
金を払って買い戻させる犯罪である。
 美術にもたしなみのある知的でセンスのよい犯人が選んだのは、
ブリューゲル「獲り入れをする人々」、レンブラント「或る男の肖像」、
ピカソ「ガートルード・スタインの肖像」、モネ「サンタンドレのテラス」、
ルノアール「シャルパンティエ夫人とその子供たち」。
 犯人は、モネとルノアールは、ほんとは自分のものにしたいが、身代金が
そもそもの目的なので諦める。絵を傷つけないよう、細心の注意を払う
美術愛好者/犯罪者である。

 メトロポリタン美術館からの美術品強奪と犯人追跡場面は、ほとんど
「ダイハード」みたような展開を見せるが、大捕り物の合間に挟まれる
警察側・犯人側の日常的、私生活に属する描写がスパイスだ。

 カウフマン次席警視の愛人が気を利かせすぎて、肝心なときに彼の
ポケットベルが不通だったり、私立探偵スパナーが依頼された仕事が
じつはキャンセル事項だと後でわかったり、犯人を含めてみんな当てが
外れる、皮肉な結末である。
 犯人がすてきなので、なんとか成功させてあげたかったと読者に思わせる
ところが作者の腕だろう。

     (HPB 1978初 帯 VJ無)





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by byogakudo | 2014-01-25 14:50 | 読書ノート | Comments(0)
2014年 01月 23日

身体/速度

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 写真は、お正月に行った善福寺池。水面を渡る風のそれはもう
冷たいこと。早々に喫茶店のある、駅の方向に反転した。
 十年以上前にもやはりお正月に九段下の旧竹平寮を撮りに行ったが、
このときもお堀を渡る風の冷たさに負けた。若い女性も撮りにきて
いたが。

 大昔(1970年頃)の記憶の善福寺池は、もっと放ったらかされた
感じで、池の背後に雑木林が荒涼と、池の縁も整備されてなく、
水がひたひたと足下に寄せる、いい感じのところだったので、もう
変っちゃってるだろうとは思いつつ、再訪してみたのだが、やはり
現実は老人の感傷なぞ受けつけずシヴィアである。

 いつも都内の限定された区域しか動いていない。東は向両国、
西は吉祥寺(井の頭公園)、北は新井薬師、南は浜田山あるいは
遠出して高輪。あ、銀座や築地は南だろうか?
 明日は用事で都内から少し出る予定。いちおう行き方はわかったが、
ふたりして途方に暮れている。ごちゃついた街中でなら、美は見つけ
られるけれど、郊外や自然豊かな、と呼ばれるところとは折り合いが
悪い。

 これも大昔に属するが、母の病気で九州に戻ったとき、身体時間と
周囲の時間とに差を感じて__明らかにわたしの周りを1/2速までは
いかないが、ゆっくりした時間が取り囲んでいた__身の置き所に
困ったことを思いだす。
 ふだんは意識していない、体内の速度と体外の速度のズレに気が
ついて、動きがとれなくなったのだろう。ふだんは感じない心臓の
鼓動や内臓の痛みに気づくとき、それは病いと総称される身体違和の
警報であるように、速度のズレが身体に突き刺さる。戻ってきて、新橋や
銀座の不機嫌そうなサラリーマンたちの表情にほっとしたのを覚えている。

 人ごみは嫌いだけれど、ひとが多く集まった町/街を流れる時間が、
身体に居心地のよさを与える。
 だから、自然美や、ひとの少ない郊外と縁がないのか。


[14年01月24日加筆訂正]
 Sが、「浜田山は西だよ!」。
 白山(小石川植物園)や本郷は北なのか、東なのか?
 東急池上線の全駅制覇、という計画もあったが、実現するのか?
実行するにはまず五反田まで着いてなければならない。早くしないと
街並だけでなく身体的にも手遅れになりそうだ。久が原、とてもすてき
だったなあ...。





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by byogakudo | 2014-01-23 14:41 | 雑録 | Comments(0)
2014年 01月 22日

チャイナ・ミエヴィル「都市と都市」/トマス・チャステイン「パンドラの匣」併読

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 併読と書いたけれど、じつはチャイナ・ミエヴィル「都市と都市」
(ハヤカワ文庫 2012年3刷 J)にメゲて、トマス・チャステインに
手を出した。

 「都市と都市」の話が動き出すまでの入りづらいこと、かなりな
ものだ。都市の名前がベジェルとウル・コーマ、オルツィニー。
人名がバルドー・ナウスティン、シュクマン、リズビェト・コルヴィ、
シュシキ、ブリアミフ...。東欧系だろうか、名前の響きにメゲる。

 『第4章』の、
< 雨になっていた。マンションのすぐ外にあるキオスクに貼られた
 "フラナ"の手配書が、濡れて軟らかくなり、しずくを垂らしている。
 誰かが光沢紙でできたバルカン・テクノのライブちらしをその上に
 貼りつけたので、彼女の顔の上半分が隠されてしまった。>(p57~58)
__バルカン・テクノ? 本当にあるのか。もし実在するとしたら、きっと
佐藤薫氏辺りが音源をお持ちだろう。
 寝る前に読むと目が覚める。

 大好きではないが、気にならずに読めるのがトマス・チャステイン。
「パンドラの匣」がマックス・カウフマン・シリーズの第一作だそうで、
登場人物紹介が、わりと丁寧だ。先日の「マンハッタンは闇に震える」
だと、そのまま映画化できそうに(?)人物は着ている服の紹介で説明
されている。
 「マンハッタンは闇に震える」では簡単に記される、カウフマン次席警視
/16分署署長が妻と愛人双方をそれぞれ大事に思い、愛する理由がきちんと
書かれている。妻も愛人もカウフマンも、みんな大金持ちだから成立してる
だけじゃん、と言ってしまうと話が続かないので、読者は事態を承認せざるを
得ない。

     (HPB 1978初 帯 VJ無)
 





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by byogakudo | 2014-01-22 21:20 | 読書ノート | Comments(0)
2014年 01月 21日

じゃあ、ついでに五輪返上は?!

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 オリンピック競技場問題については、
かめ設計室 2013年12月21日
かめ設計室 2014年01月09日付けブログをどうぞ。
 ますますオリンピック開催辞退論を展開したくなる。

 森喜朗がいつに変らない放言をしてくれたことだし、奇貨居くべし。
逆手に取ろう。
 まだ都知事が決まってないので、安倍晋三は勇気を奮って、国際
オリンピック委員会にメッセージを送ればいい。

 「招致活動時につい、『福島の原発はほぼコントロールされている』
と言ってしまったが、日本では地震活動は相変わらず活発なままだ。
 もし2020年前にあるいは2020年に大地震が起きたりしたら、とても
『お・も・て・な・し』どころではない。原発が無事であったとしても、
開催に力を傾ける余裕はない。
 決まった後で申訳ないが、今から2020年東京オリンピック開催を
辞退したい。地球にこれ以上、迷惑はかけられない。」と。





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by byogakudo | 2014-01-21 14:22 | 雑録 | Comments(2)
2014年 01月 19日

トマス・チャステイン「マンハッタンは闇に震える」読了

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 1970年代末のニューヨークで頻繁に小さな停電が起きる。電力会社の
原発増設に反対する男と、自動車の部品を盗んで高級車をでっち上げる
稼業の男たちとが組んで、名目は環境テロ、実際はニューヨーク市から
金を強請ろうとしている。

 犯人側と警察側、両方から物語が進む。主人公のマックス・カウフマン
次席警視/16分署署長は愛人と過ごした翌朝、ポケットベルを持って浴室に
行きシャワーを浴びる。携帯電話以前、ポケットベルの時代だ。いつもの
ように風俗小説的に読む。

 小さな停電だけでなく大停電も起こせることを証明するために、世界貿易
センタービルが狙われる。周りの高層ビルは明るいのに、ツインタワーだけ
黒いシルエットを見せる。

 資産家であるカウフマン次席警視は、サットン・プレイス・サウスにある
自宅アパートメントに帰るためのリムジンを頼んでから、徒歩で帰ることに
する。暑い夏の明るい夕方なので。

 42丁目の風俗描写が続く。血液銀行(血液1パイント当たり6ドル)から
出てきたスペイン系の若い男は、片手に
<いま一般に"ボックス"と呼ばれている巨大なステレオ式のカセット・ラジオを
 ぶら下げていた。ラジオからはディスコふうのラテン音楽が四分の一ブロック
 ぐらい先からでも聞こえるくらいのボリュームで流れていた。>(p165上段)

 成人映画館の前には若い売春婦、スリーカード・モンテに興じる連中、売人に
ヒモ、趣味のいい服装の年配の男が連れているのは、ほっそりした美少年、
バッグ・レイディに見せかけている囮捜査中の婦人警官、ストリート・ミュージ
シャン、大道商人、...アンダーグラウンドなニューヨーク描写が、p165から
p168まで続く。
 42丁目と三番街との交差点に、
<ニューヨークにたった一つ残った自動販売式飲食店(オートマット)>
(p168下段)とあるが、もうないだろう。見てみたかった。

 風俗小説として楽しいが、ミステリとしても、犯人側にも脇から一口乗せろ
と邪魔が入ったり、警察でも金を払って一網打尽に捉えようとする計画に
市当局からの許可が出なかったりと、なかなか楽しかった。

     (HPB 1980初 帯 VJ無)
 





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by byogakudo | 2014-01-19 19:06 | 読書ノート | Comments(0)
2014年 01月 18日

岡本綺堂「岡本綺堂読物集・四 探偵夜話」読了

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 むかし読んだ光文社文庫版、綺堂・怪談集になかった短篇が読めるので
手に入れたが、それほど面白がれなくて(むろん悪くはなかったけれど)、
少し残念だ。

 単行本未収載の二篇は、あまり楽しくなかったし、『火薬庫』は覚えて
いる、『医師の家』も覚えていた。近年読んだものと違って、まだ若い頃に
読んだ本は覚えているらしい。今では薄い記憶の上にさらに薄い記憶を上書き
するような塩梅なので、どうにも淡白な記憶しか持てない。
 
 「岡本綺堂読物集・五」は「古今探偵十話」とあるが、これにも単行本
だけの短篇が収められるようで、やっぱり買って読むのだろう。

 近頃の出版物のジャケットが、単行本、文庫本を問わず、漫画風のイラスト
レーション使用なのが、やっぱり馴染めない。キャッチーであるというのは、
違う方法で可能だと思う。

     (中公文庫 2013初 帯 J)





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by byogakudo | 2014-01-18 14:05 | 読書ノート | Comments(0)