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2015年 10月 31日

内田魯庵/山口昌男・坪内祐三 編「魯庵の明治」半分強

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 明治の新聞人は、つまり旧幕臣で反・薩長政権サイドであることが、
『銀座繁盛記』の『(九)新聞の発祥地__毎日の編輯室の憶出』に
記される。

<其の頃の新聞は事件の報道よりは言論の機関で、実際新聞に
 干与したものは言論界の雄たるのみならず、政治界の重鎮でも
 あったから、総ての政治的、社会的、思想的の諸運動が銀座を
 中心とする新聞社の編輯局から屢々捲起されたということは
 決して過謬では無い。>(p58)

 ボロい室内、ヨレヨレの衣服であっても、
<気位は材木屋の鳶よりも高く、昂々然として天下国家を論ずる
 処士横議の風があった。>(p58)

 新聞各紙は初めはだいたい反・薩長政権だが、営業政策上、
だんだんマイルドな論調になり、遂には第二次世界大戦中の
翼賛ペイパーになり果て、言論の自由が保障されているはずの
戦後70年の現在、両論併記で中立を装う、あるいはあからさまに
政権の御用新聞であるマスメディアを、多く見かけるようになった。
 東京新聞なぞは先祖返りかしら?

 『灰燼十万巻 (丸善炎上の記)』は、明治41(1908)年12月10日
早朝に火災で全焼した丸善のレポート(翌日記)だ。丸善百年史でも、
かなりの部分が引用されている。

 内田魯庵や長谷川如是閑の文体には、根っこに漢文と英語がある
のが感じられる。『灰燼十万巻 (丸善炎上の記)』でも、火事の跡に
呆然としながら感慨を述べ、__

<書籍は少なくとも五百部千部を印刷するゆえ、一冊や二冊焼けても
 夫程惜しくないと云う人があるかも知れぬが、日本のような外国書籍
 の供給が不十分な国では、一冊や二冊でも頗る大切である、且其の
 焼けた一冊が他日の大発明家、大文学家、乃至大建築家を作るべき
 機縁を持っていたかも解らない。何千部何万部刷ろうとも失われた
 一冊は日本文化に取っては一冊の世界的知識の損失であると、感慨
 一時に湧いて来たが、周囲の人声や履(げた)の音に忽ち消されて了った。>
(p153)

__と落とす呼吸にも、それを感じる。漢文脈のブリティッシュ・ヒューマー
と呼ぶのは、変な気もするが、なんといえばいいだろう?
 まあ(真似しようとも思わないが)真似できない文体なので、惹かれるのかも
しれない。今は原音主義が一般だけれど、この頃は英語読みが主流なので、何が
焼けたか(焼け残ったか)を問うときの__

< 『ジェシュートの書翰集は?』
  『あれは無論駄目です。あの棚のものは悉皆焼けて了いました。』>

__これも次に続く行を読んで、
<ザビール[注:ザビエルではない]初めアルメイダ、フェルナンデス、アコスタ等
 エズイット派の僧侶が>(p160)
とあるので、ようやくジェズイットと判る。

     (内田魯庵/山口昌男・坪内祐三 編「魯庵の明治」
     講談社文芸文庫 1997初 J)


 28日に書いた2本のブログを、1本にまとめた。ブログのジャンル分けが、
自分で分けてるのに判らなくなっている。





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by byogakudo | 2015-10-31 16:21 | 読書ノート | Comments(0)
2015年 10月 29日

内田魯庵/山口昌男・坪内祐三 編「魯庵の明治」を読み始める+菅義偉 他

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 JR代々木駅近くで。ガード下の風景には昭和が溜まる。

 "おじいさんの日本語"と仮に呼んでいるが、内田魯庵だったり
木村毅だったり、あと、彼、ああ名前が思い出せないが、つまり
その種のむかしのジャーナリスト系日本語も好きだ。なんというか
ゴツゴツしていながら流麗である、妙な魅力のある日本語。

 『銀座繁盛記』の『(十一) 銀座の大久保彦左衛門』は
『(1) 三枝商店の先代』と、甲州出身、三枝与三郎の話が
始まるが、その『(4) 毛糸の伊勢屋』から引用する。

 三枝与三郎の唐物屋(洋品雑貨店)"伊勢屋"が、日本で
ほぼ初めて毛糸を売り出す。

<毛糸の流行した原因は官吏の勤務服が洋服に定まって
 (夫より以前は判任以下は大抵和服)沓下が足袋と同じ
 常用必需品となり、毛糸の手編が保温上耐久上有利と
 認められてからだ。ショールやジャケツの手編の流行は
 其の後である。
 [中略]
 ショールが流行り出したのは明治十二三年頃からだが、
 初めは女よりは男が用いた(女の防寒具は十四五年までは
 お高祖頭巾だけだった)ので、重に縁飾(フリンジ)付きの
 格子縞の薄羅紗だった。此の擬(まが)いの綿織(めんおり)を
 堕落した達磨然と頭からスッポリ被るのが当時のモダーン・
 ボーイの粋(いき)がった風俗だったのだ。女がショールを
 用いたのは十四五年頃からで、お高祖頭巾の外にショールを
 纏った。一時は馬鹿に大きい膝掛ほどのを裾長に引掛けた
 もので、トンとカチューシャの芝居を見るようだった。アレは
 露西亜の田舎女の風俗だという悪語(わるくち)もあって余り
 大きいのは流行らなくなり、同時に毛糸の手編が流行りだして
 伊勢屋が益々繁昌した。>(p87~88)

 思い出した! 長谷川如是閑。失礼しました。

     (内田魯庵/山口昌男・坪内祐三 編「魯庵の明治」
     講談社文芸文庫 1997初 J)


 いわゆる"マイナンバー"に性別表記があるので性同一性障害の
人々が苦しんでいると、今日の東京新聞・夕刊で読む。ナチの
迫害の対象がユダヤ人だけでなく、同性愛者も対象だったのを
思い出す。

 菅義偉は海兵隊の一部の移転先、グアムに出張して、沖縄の
米軍基地負担を減らしています・アピールをしながら、辺野古の
埋立て工事を強行する。
 子どもの貧困率が上がっているのを知らなくはないので、援助の
ための民間基金はできないかと問う菅義偉。なんのために政治が
あるのか。オスプレイ一機でどれだけの社会保障が可能になるか、
官僚は計算して、菅義偉に見せてやらないのか。

 女に知性があるのか、あるとしても機能しているのか疑問になる、
【書き起こし】自民党・猪口邦子 参議院議員 電話インタビュー
 自戒を込めていうが、女は話題の表面で運動する字面に引きずられ
やすい。文の論理構造を忘れ、距離を見失い、一字一句に感情的に
反応しやすい。猪口邦子は自分が右翼のお先棒を担いでいることにも
気づけない。まあ、アジア女性基金の欺瞞性に気づけなかったなら、
無理もないのか。
 サイトのいちばん下にある【全文起こし】自民党・国際情報検討
委員会委員長・原田義昭 衆議院議員インタビュー
も、頭が痛くなる
ような、ものすごさ。耐えて読んでみたが。
 





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by byogakudo | 2015-10-29 21:24 | 読書ノート | Comments(1)
2015年 10月 28日

ルネ・ドーマル/巌谷國士 訳「類推の山」読了+マイナンバー・サボタージュ

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 写真は、泰明小学校の近くで。早晩失われそうなビル。むかしの銀座
サイズの路地にあった。

 1996年に文庫化された。これが14歳のときの一冊、になる/なった
中学2年生もいるだろうと想像すると...いいなあ。

 "中2病"というのは、むだに自意識過剰な言葉で、そんなに初手から
空気を読まなくちゃならないの? ラフでややタフな子ども時代を覚えて
いる世代としては、口をはさみたくもなるが、14歳は、早く大人になろう
とする時期だ。子ども用の本じゃなくて、大人の本を読まなきゃ、と焦る。

 そのとき読んだ一冊の文庫本が、あとで思うと、そのひとの趣味や生き方
に強く影響してたりする、そんな本に巡り会ったりもする頃だ。1000円代、
1500円コースの文庫本も珍しくないけれど、一般的に単行本に比べれば、
文庫本は子どもでも買える価格帯なので。

 わたしの場合は、岩波文庫版の「恐るべき子供たち」だったが、店を
やっていたときのお客さま、彼の場合はP・K・ディックと仰った。

 子ども時代の本の読み方は、本の中にいる、と言うしかない読み方だ。
主人公の視点が自分の視点であり、主人公に同化してその体験をともに
生きる。
 14歳で初めて「類推の山」を手にしたとする。想像上の"山"ではあるが
実際にあると思いこんで冒険に旅立つ物語、と読むだろうか? そう読んでも
充分楽しめるだろう。

 登山の訓練のために、6階の屋根裏部屋から垂らされたザイルを伝わって
「類推の山」探検隊の部屋に出入りする。
 この"山"がなぜ今まで発見されなかったのか、不可視の存在だったかを
理論的に説明する場面。
 "山"のある大陸までの航海中に語られる、『空虚人(うつろびと)と苦薔薇
(にがばら)の物語』の、はかない透明さ。

 言語実験的作品と読みこめなくても面白いと思うだろう。つい、分析的に
読解してしまう体質になるまで、物語られるできごとを生きることが可能な
とき、それを生きてみよう。
 
     (ルネ・ドーマル/巌谷國士 訳「類推の山」 河出文庫 2010年3刷 J)


 2015/11/18! ベルナール・ラマルシュ=ヴァデル/鈴木創士・松本潤一郎訳
「すべては壊れる」



同日追記:マイナンバー・サボタージュ

 正しくは、"脱税防止監視網・国民総番号制度"と呼ぶべき、"マイナンバー"である。
わたしが希望してないのに、国家が勝手に割りふってくるのに"マイ"ナンバーと称する
厚顔さはさておき、同じようなマイナンバー・サボタージュ方法を考えるひとは、いる。

 自分のマイナンバーをブログで公開――それっていいの?

 わたしが考えていたのは、現在、Twitterやfacebook、ブログなどをやっている
人々が揃って自分の番号をweb上で明らかにしたら、というサボタージュだ。
 管理側は番号を変更せざるを得ない。それを何度も繰り返させて、この制度を
実施不可能に追い込む、というプランである。

 ただこれは、しつこく脱落者なく実行しないと効果がない。だから、スト破り
とか第二組合とか
、頭に浮んだのだが。





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by byogakudo | 2015-10-28 17:49 | 読書ノート | Comments(0)
2015年 10月 27日

古本満足+猫に狎れる・狎らされる?

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 Sは腰が不調だけでなく風邪気味でもある。昨日は猫のエサを
買いがてら、ひとりで近くの何もないBOに行く。何もないから
ってザッと見・チラ見ができない質なので丁寧に視線を走らせる。
 文庫本三冊。108円の「新エドガー賞全集」、むかし読んだ筈の、
覚えていない池田弥三郎「銀座十二章」。半額だけど、橋本治
『「三島由紀夫」とはなにものだったか』。

 今日は用事もあって、やはりひとりで中野へ。
 「もし遅くなったら」と言いかけると、
 「『古本案内処』に行ってる、でしょ」。

 部屋を出ると、よく車の上にいる猫が道を横切ってくる。
 10月14日のあの猫だ。声をかけ、しゃがんで人差し指をそっと
突き出すと、顔を寄せてくる。どころか、指を歯ブラシ代わりに
使って両方の歯茎を当ててくる。寝転んで前足を指に伸ばす。
 いいのか、よく知らないひとにそんなに狎れ狎れしくして?

 猫に別れを告げ、バスで中野へ。用事はすぐ終る。ブロードウェイ4階に
「まんだらけ」系だが、普通の本が安いところがあると、7月19日にH氏
から教えていただいた。そこも覗いてみたい。

 滅多に行かないブロードウェイ。4階に出ると、「まんだらけ海馬」
という列が続く。壁に沿って均一本の棚、これだろう。
 108円の「ブルックリン最終出口」と324円の内田魯庵「魯庵の
明治」。「ブルックリン」は70年代に好きだった一冊だが、スト破り
とか第二組合、すなわち裏切り行為について考えていて思い出した
一冊でもある。社会学系の本を知らないので、こうなる。

 やっぱり「古本案内処」にも行く。開店当初のラッシュはないが、
昼間から古本屋に客がいる。むかしは当り前の風景だったのに、
いまでは感動している。
 選びかねて、つい長居する。むかし読んだ牧野武夫「雲か山か」に
単行本だが吉田暁子「父 吉田健一」に、ジャック・ロンドン「ジョン・
バーリコーン」(教養文庫)を加えようかどうしようかと悩んでいた。
 「ジョン・バーリコーン」。むかし聴いたロックの歌詞の中で歌われて
いた、と思う。気になるからやっぱり買う。(戻ってYouTube検索したら、
John Barleycorn Must Die - Traffic - (1970) だった。)

 またバスで戻ってくると、猫はいつもの車の上にいた。鳴き交わす。





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by byogakudo | 2015-10-27 22:59 | 雑録 | Comments(0)
2015年 10月 26日

DO NOT BARGAIN AWAY NO.9 !

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 安倍晋三の類いが戦争法案を提示してきたとき、嫌だ断ると言ったら、
じゃあ攻められたらどうする、対案を出せと、安倍晋三のフィールド及び
ルールに乗っからせようという動きがあった。自分から望んでawayで戦う
馬鹿はいない。答えはもちろん嫌だ、である。

 きな臭さへの対抗策として、個別的自衛権だけ認めようという新9条案が
出されたが、右側にヤラれる前に左側から変えちゃえというのか? 
 自分からバーゲンしてどうする? 敵は喜んでもっとつけ込んでくる
だけだ。

 日米安保に守られていながら、一国平和主義を称える自己欺瞞にもう
耐えられない、だと? 繊細な感受性が虚妄の平和に耐えられないなら、
実際の戦場にはもっと耐えられないだろう。何を甘ったれた馬鹿を言う。

 たった一国でも、建前だけであっても、「戦争はしない」と言い続けて
70年経った。これは修正しようのない歴史的事実だ。
 「戦争はしません」国家が二つになり三つになり、やがて世界のトレンド
となることを目指して何が悪い。武器が商売にならない世界をつくればいい。

 新9条案は自分から絶壁に退くような行為だ。断崖を背に防戦し続け、
ある日、反転攻勢する戦略があるのか? 
 あるいは、客筋を見てオッカナイから、値引きを求められる前に自分から、
これ以上はマケられませんと提示するのか? 自分から手の内を見せて、
自分から交渉の余地を設ける? 馬鹿はやめよう。

 沖縄に基地をかずけ、電力は地方に委ねて生きてきた奴が何か言う
資格はないだろうけれど、もしもわたしが外務官僚だとする。
 沖縄の基地反対運動が大きくなり過ぎて対処できないから、どうか
グアムなりハワイなりに引っ越してください、引越し料もお支払い
したいが、デフレの25年で、もう払えませんと、アメリカと交渉して
みるが。

 外交って相手の言いなりになる、こびへつらうことではないでしょう? 
第二次大戦の戦勝国ルールでできている国連で、常任理事国になりたがる
(なれたとして何がしたい?)外務省官僚なぞと聞くと、殿様ごっこの
やれる場所が欲しいだけの連中かと思う。





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by byogakudo | 2015-10-26 21:39 | 雑録 | Comments(0)
2015年 10月 25日

S・F・X・ディーン/秋津知子 訳「別れの儀式」読了+役人ども

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~10月24日より続く

 1987年時点でこのニール・ケリー大学教授・シリーズが6作
出ているそうだ。が、特に犯罪の謎解きが趣味ではなさそうな
主人公で、6篇も書けるものだろうか。

 しかし翻訳されたもう一冊が「愛と悲しみの探偵」。この表題で
読む勇気がくじかれる。
 3行に一回ギャグを入れて、と編集者から要請されてないようで、
おしゃれに(?)知的だが、いやみな気取りではなく、感じは悪く
ないのだが、そのう、日本語タイトルが...。

 作家自身、第二次大戦中、アメリカ海軍の気象分析官だったそうだが、
ジョン・ダンの研究者、ケリー教授も同じような経歴、教授の父も気象
学者__人工的に気象を変えたいと願う、やや狂的な奇人と設定されて
いたり、実体験と知識とが数十年後の事件にうまくちりばめられている。
 北京での子ども時代にペテン師、エドモンド・バックハウスに会った
挿話がストーリーの強化に用いられているが、これは実在の人物なのね、
面白い。
 19世紀末から20世紀初めは東洋、中国や日本がエキゾチック、より近年で
いえばインドに行ってヤラレてしまう口がバックハウスではないかしら。小説を
書けば堂々と嘘つきでいられたのに。

     (S・F・X・ディーン/秋津知子 訳「別れの儀式」 HPB 1988初 帯 VJ)


 やれやれ。安保法制、デモ隊も見逃した「陰の主役」〜
外務省条約局マフィアの狙いと画策

 役人に好き勝手やらせない方法はないのか。役所は遠く、
アンタッチャブルな領域なのだろうか。中国の農村から何か
訴え事があって北京に来た農民が追い払われるような、
わたしたちと日本の高級官僚とは、そういう関係なのか。





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by byogakudo | 2015-10-25 22:10 | 読書ノート | Comments(1)
2015年 10月 24日

S・F・X・ディーン/秋津知子 訳「別れの儀式」を読み始める+とっとと、くたばれ、安倍晋三!

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 むかしミステリのお師匠さんから手に入れ、店の奥の段ボール箱に
入っていたように思うけれど、そのときは読まなかった本のひとつだ。
 あのころはよかったな。今夜何を読もうと思うと、店の棚や箱、袋を
がさこそ探せば何かあった。いまは常に補充を考えていなければなら
ない。そのあげく、積読本が増えてしまった。

 図書館活用...考えてはいるが、長年の疑問を思い出した。国会図書館
というところは、貸し出しはできるのだろうか? 館内での閲覧のみ、
なのだろうか? 
 バレエのK・K夫人に言わせれば「ひとを泥棒扱いして、本当に不愉快な
ところ」であるそうだし、坪内祐三も「靖国」で、国会図書館忌避の姿勢を
明らかにしていた。そんな感じの悪いところにローレンス・ブロックの未読本
「危険な文通」が在庫している。研究者でもいやがるような施設で、エンタ
テインメントを熟読する? 借りて自宅で読めないなら、登録には行かない。
 2万8000円出せば、あまぞんで買えるけれど、わたしはコレクターではなく、
たんに読みたいだけだ。どなたか、貸本をしてくださる、奇特な方がおいで
でしたら、ぜひコメント欄にご連絡くださいまし。

 やっと感想文に戻る。主人公はイギリスで休暇を過ごす、中年のアメリカ人
大学教授。子どものころ(第二次大戦が始まろうとするころ)、中国の租界地
で過ごす。そのときのイギリス人の友だちと再会して、何やら事件に巻きこま
れるらしい。
 近過去(第一作「愛と悲しみの探偵」というのがその話だろう)の事件の記憶、
子ども時代の記憶、とともに現在形のできごとが語られて行く。

 ひさしぶりに、封筒の裏にノートする欧米人の姿を発見。主人公の幼友だち、
いまは建築家になっているイギリス人が、
< 彼は封筒と鉛筆を取り出し、非常に大きな張りだし窓のある居間と一寝室
 のアパートの間取りをすばやく、ざっと描いてみせた。>(p27下段)
 この部屋を主人公の休暇用に貸してくれる、というのだ。

     (S・F・X・ディーン/秋津知子 訳「別れの儀式」 HPB 1988初 帯 VJ)

10月25日に続く~


 27日(火曜日)22時締切の、公表された議事録作成の経緯の検証と当該議事録の
撤回を求める申し入れ

 ネット署名できます。

 安倍首相、アメリカ軍空母に乗艦 現職の首相で初 「もはや一国では対応できない」
を眺めると、kiss one's ass という表現を思い出す。ロナルド・レーガン+安倍晋三
の映像が浮んで、気持が悪くなる。





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by byogakudo | 2015-10-24 16:08 | 読書ノート | Comments(2)
2015年 10月 23日

そして岡田三郎のことで野口冨士男「私のなかの東京 わが文学散策」読了

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~10月22日より続く

 第四章に当たるのが『浅草、吉原、玉ノ井』で、2010年5月22日
吉原行きと同じ話が出てくる。高いほうの吉原に、岡田三郎が連れて
いってくれた話だ。

< 戦前の茶屋遊びの一端は志賀直哉の『暗夜行路』から
 うかがえるが、たった一度だけ私が先輩作家に連れられて
 引手茶屋へ行ったことがあるのは昭和十三年の秋で、五十間
 町の右側にあった大坂屋という茶屋から不二楼という大籬へ
 案内された。十二時過ぎまで大坂屋の二階座敷で文字通り清遊
 という感じの芸者遊びをしたあと、女将と芸者に送られていって
 登楼したが、時間がおそかったせいか、私がそこへ通されたとき
 には二十畳ほどの座敷のやや奥まった位置に金屏風が立てて
 あって、すでに床がのべられていた。それまでの吉原体験とは
 万事に雲泥の差があったことは言うまでもないが、茶屋の勘定
 まで加えれば現在の金額で私の一人分が十五万円やそこらは
 かかっただろうとおもう。が、それでも松葉屋で観せている
 花魁ショウのような遊び方との間には格段の相違があって、
 あんな遊び方をするにはいったいどのくらいの金がかかる
 のか、私などには見当もつかない。>(p133~134)

 こう記されたのが「文學会」昭和五十二年八月号。1977年だ。
松葉屋は1998年、廃業。

 S とわたしが、意識的に東京・町歩きを始めたのが十余年前。
さすがに第三章『小石川、本郷、上野』も、第五章『芝浦、麻布、
渋谷』も、最終章『神楽坂から早稲田まで』も、ほとんどの地域が
わかる。
 しかし、せっかく野口冨士男によって細かく、どこの店の角を
曲ってと、行き方の説明がしてあっても風景の変化のほうが
速くて、ガイドブック的使用は無理だ。あくまでも1970年代後半、
まだバブル経済下の風景殲滅以前の、東京風景・ルポルタージュ
であり、そこがかつて、明治や大正、戦前や戦後すぐ、作家たちの
作品の舞台として、どのように描かれてきたかを思い出しながら歩く
ための叙情的手引である。

 最終章『神楽坂から早稲田まで』の末尾を書き抜く。__

< 旧町名にこだわる気持などまったくないとことわった上で言えば、 
 もともと江戸は武蔵野にひらかれた都市で、京都の東山、大阪の
 生駒山、神戸の六甲山のような目じるしになる山が近くにある都市
 とはちがう。
 [中略]
 町名に東西南北をかぶせることなど時代錯誤もはなはだしい。
 東京には右へまがるとか左へ折れるという表現はあっても、北へ
 まがるとか東へ折れるという表現は昔も今もない。住居表示変更は
 [中略]そんなことでいたずらに混乱させられるのは迷惑千万である。
 北砂、南砂、西荻北など馬鹿まる出しである。
  が、しかし、と私は言いたい。私はこの書物の表題を『私のなかの
 東京』としたが、万一にもこんなものを読んでくださる方がいたら、
 いかなる改悪にもめげず、現在の東京都民はもとより、かつて東京に
 居住されたことのある方、ならびに一泊か二泊の旅行者といえども、
 皇居の壕、隅田川、不忍池、浅草観音、湯島天神、佃島、菊坂、千住
 遊廓址、白山花街、銀座等々をおもいうかべて、あなたご自身のなかの
 東京を大切になさるようにお祈りして終りの言葉としたい。>
(p225~226)
 
     (野口冨士男「私のなかの東京 わが文学散策」
     中公文庫 1989初
     J画・小林清親「小洒落異誌」(さざれいし)より)






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by byogakudo | 2015-10-23 20:04 | 読書ノート | Comments(0)
2015年 10月 22日

岡田三郎のことが続く__野口冨士男「私のなかの東京 わが文学散策」

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 写真は、きのうの新宿御苑で。紫陽花は枯れてるときがいちばん
ゴージャス。

~10月20日より続く

 第二章に当たる『銀座二十四丁』より引用__

<表通りでは新橋方面からいってコロンバンの先隣りにあたる
 洋品店の二階にあった東京茶房>
< 東京茶房は新興喫茶のはしりで、[中略]
 いわゆる純喫茶とは違ってビールや洋酒もあった。そして、
 コーヒーを注文してもウェイトレスがストゥールに腰を掛けて
 話相手になったから、他の店では十五銭だったコーヒーが五十銭
 であった。前章に書いた岡田三郎が妻子を捨てて駆落ちから同棲
 生活に入った相手の江尻のぶ子や、高見順の『故旧忘れ得べき』
 のヒロインで彼の初婚の相手であった石田愛子も離婚後その店の
 ウェイトレスになっていた。宝塚の女生徒であったのぶ子はドイツ
 映画のブリギッテ・ヘルムに似た美人であったから、映画の試写を
 みるといっては大森山王の家を出て毎日その店に入りびたっていた
 岡田は、常連の一人にねたまれて、ある日インネンをつけられた。
 そのときたまたま窪川鶴次郎が同席していて、俺にまかせろと
 いってついていくと、男はコロンバンの裏隣りにあったガラス屋の
 横の路地へ連れこんで「俺はムショから出て来たばかりだ」とスゴん
 だが、プロレタリア文学の旗手の一人であった窪川が「ムショなら俺も
 入った」と言うと、「失礼しました」と言ってその男は立ち去って
 しまったという話がある。いかにも弾圧の激しかった、戦前らしい
 挿話である。>(p69~70)

 <ブリギッテ・ヘルムに似た美人>といわれても、ブリギッテ・ヘルムは
美人だろうか? ルイーズ・ブルックスなら今見ても美女だけれど。

     (野口冨士男「私のなかの東京 わが文学散策」
     中公文庫 1989初
     J画・小林清親「小洒落異誌」(さざれいし)より)


 安倍晋三と日本会議は、いま臨時国会を開くと、戦争法の説明やら
新閣僚のスキャンダルやら、マイナンバーやら、火だるまになること必定
なので、断固サボるのね。要求されても、いつまでに開かなければならない
という限定がないのをいいことに。

 戦争法をゴリ押しできたから、経済政策に専念しますと言った途端、安倍
晋三を支持する無思慮な国民も国民だ。アメリカでさえやらない、老齢基礎
年金を株式市場への投資資金に化けさせる手管が、どんなに危険なことか、
それも想像できないのだろうか。

 なんでこんなにお人よしが多い?! お人よしが裏返るとヘイトスピーチするん
でしょ?

 日本全国デモ情報|マガジン9 





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by byogakudo | 2015-10-22 16:57 | 読書ノート | Comments(0)
2015年 10月 21日

新宿御苑辺り/sudi 写真展 Nostalgia

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 写真は、15日の飯倉ノアビル。これや伊東豊雄「中野本町の家」とか、
1970年代までは内省への欲求が存在し得たのか、と思う。

 今日3pmまでの sudi 写真展 Nostalgia に行く。ギャラリーを一周すると、
斜光のなかの街と人影のスティルが一本の映画のようだ。

 新宿御苑に行く。初めて「母と子の森」空間に入ったが、入ってすぐ、
円形の木の小屋がいい。植物も、もちろんいいのだけれど。
 新宿高校の横をぐるっと歩き、千駄ヶ谷口から出てJRで新宿駅に戻り、
地下鉄で帰る。歩き過ぎずに抑えた。





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by byogakudo | 2015-10-21 16:10 | 雑録 | Comments(0)