<   2017年 02月 ( 28 )   > この月の画像一覧


2017年 02月 08日

合田佐和子『90度のまなざし』出版記念展

e0030187_19184617.jpg












 小伝馬町で地下鉄を降りる。みうらじろうギャラリーでの
合田佐和子『90度のまなざし』出版記念展が2月12日(日)
までなので。

 彼女の展覧会は何度か行っている。目的を持った外出をしない方
だが、よく見に行ったアーティストだ。見ると嬉しくなって(絵が
買えないのは残念)、あれもこれも欲しいと、カタログや絵はがき
やノートを買う。

 たいてい在廊されていて「あら、ありがとう」と言われたり、
渋谷のアートスペース美蕾樹を夜、なんとなく訪れたら__
ふらふら歩いていたら灯りが見えたので、上がって行ったの
だろうか。酩酊期の85年頃だろう。__、越生さんと二人で
来場者の名簿チェックとか、個展の事後処理みたいなことを
されていた。昆虫の標本箱などを用いたボックス・アートの
展覧会のとき。

 今回は、目を描いた作品がずらりと並ぶ。ハイキーに画面が
飛んで、ほとんど色彩が反転しそうになって際どく留まって
いたり、目がしらが延びてかたつむり様の器官が生えたりする
絵を見ていると、彼女の存在が親しく感じられる。
 彼女がもう地上にいない? ちょっとランチに出かけている
だけ。もう少ししたら戻ってこられそうな気配だ。

 ひととなりと作品とが、ぴったりするアーティスト。彼女は
ここにいるし、ここにいた、ずっとここにいる。


     (合田佐和子『90度のまなざし』出版記念展
     @みうらじろうギャラリー 2017年2月8日)





..... Ads by Excite ........
[PR]

by byogakudo | 2017-02-08 21:09 | アート | Comments(0)
2017年 02月 07日

戸板康二『才女の喪服』読了

e0030187_22142850.jpg












 写真は1月30日の墓地近くで会った猫。

 単行本の出版が1961(昭和36)年。それなら頷けなくもない設定
だが、もし、いまの若い読者が読んだとして、描かれた社会が理解
できるかしら、心もとない。

 時代は戦後、1950年代後半。登場するのは、東京の南の郊外の
大地主(で詩人)、北の郊外にある女学校の女性・体育教師と女性・
国語教師(詩人)と、転校してきた少女(国語教師の指導をうけて
詩を書く)。

 女性教師ふたりの間にある同性愛的感情の揺れ、女学生たちの抱く、
年上の女性への尊敬と憧れなど、分らなくはないが、時代設定が戦前
だったら、もっとすんなり入れそうな気がする、女学校ライフだ。

 現在でもたまに、女子中学生や女子高校生同士で、相手への同情・
共感から心中しているような事件があるから、べつに無理な設定では
なくて、わたしがヘテロセクシュアルだから、いまいちピンとこない
世界なのかもしれない。

 差配のいる、昔風の大地主の生活が描かれる。彼の半分くらいの年齢の
若い女性教師は、戦後の女性らしく、新宿のバーで男性詩人とお酒を飲ん
だりする。南北に分かれた登場人物たちが、詩を媒介にして、ひとつの
ミステリの中で収束してくる。

 風俗小説好きとしては、ゆっくりした話の進め方は嫌いじゃないが、
事件が解決してもジグソーパズルの何片かが余っているみたいな納得の
行かなさが残るのは、大人の小説が読めない読解力のなさを示すのか?


     (戸板康二『才女の喪服』 河出文庫 1987初 J)



呪 吐爛腐/呪 心臓亜屁/呪 共謀罪/





..... Ads by Excite ........
[PR]

by byogakudo | 2017-02-07 21:10 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 02月 06日

松岡和子 訳『シェイクスピア全集8 テンペスト』読了

e0030187_20421745.jpg












 写真は2月4日(土)の神田須田町界隈で。週末のあの辺は、
観光地になっていた。スケソウダラの配給を待つみたいに、
おそば屋さんに列を作る人々...。

 やっと『テンペスト』読了。噂に違わず、かっこいい!
 たしかにジョン・ファウルズ『コレクター』の二人は、
キャリバンとミランダだ。

キャリバン 確かに言葉は教えてくれた。お陰さまで
 悪態のつき方は覚えたよ。疫病でくたばりやがれ、
 俺に言葉を教えた罰だ!>(p41『第一幕 第二場』)

__『コレクター』に於ける階級差の問題が浮かび上がる。

 しかし、ウィリアム・ワイラー『コレクター』は、配役ミス
とも言えそうな...いや、それは映画版『サイコ』にアンソニー・
パーキンスを当てないで、ロバート・ブロックの描写通りの
ルックスの役者を配するみたいな間違いを犯すことか。
 悪役が主役であっても、観客が感情移入できるルックスで
ないと、誰も見てくれない。
 だから、テレンス・スタンプを選んだのは分るけれど、ただ、
公開当時にあの映画を見た日本の若い女は(ほぼ)全員、テレンス・
スタンプだったら誘拐されたい、ずっと二人きりで暮らしたい、と
望んだ。みんな、彼をキャリバンではなくプリンス・チャーミング
と了解したのだった。これは、ストーリーに影響を及ぼす配役ミス
ではないかしら?

 ミラノ大公であったプロスペローが策略に遭って追放されたとき、
ただひとり秘かに味方したナポリ王の老顧問官、ゴンザーローの
語る理想国家論は、モンテーニュに基づいていると脚注がある。

ゴンザーロー その国では、万事この世とは逆さまに
 事を運びとう存じます。まず一切の商取引は
 認めません。役人の肩書きもなし。 
 学問は教えず、富も貧困も
 労役も皆無。契約、相続、
 境界線、地所、田畑の耕作、ぶどう畑もなし。
 金属、穀物、酒、油の使用を禁じ、
 職業もなくし、男はみんな遊んで暮らす、みんなです。
 女も同様ですが、ひたすら純粋無垢。
 君主もなくし__>(p63『第二幕 第一場』)

__"俺たちはけっして働かないだろう"というルフランが
時々差し挟まれる鈴木創士氏の詩『帝国は滅ぶ』は、この
理想国家が割れた鏡に映った像だろうか。

 プロスペローは高潔な被害者ではあるけれど同時に、
植民地主義者の側面もやはり在ると感じる。不粋なこと
言っちゃうが。
 プロスペローとミランダは、先住民であるキャリバンを
搾取してきた事実がある。プロスペローの魔法は肉体労働
には使えなかったから、仕方なかったのかもしれないが。
 また、プロスペローとミランダには、父が娘に抱く近親姦的
イマージュも、やはり感じる。

 細かい疑問点はいくつも出てくるけれど、台詞のかっこよさは、
もうなんとしよう。

プロスペロー [略]
 余興はもう終わりだ。いまの役者たちは、
 さっきも言ったように、みな妖精だ、そしてもう
 空気に融けてしまった、希薄な空気に。
 だが、礎(いしずえ)を欠くいまの幻影と同じように、
 雲をいただく高い塔、豪華な宮殿、
 荘厳な寺院、巨大な地球そのものも、
 そうとも、この地上のありとあらゆるものはやがて融け去り、
 あの実体のない仮面劇がはかなく消えていったように、
 あとにはひとすじの雲も残らない。我々は
 夢と同じ糸で織り上げられている、ささやかな一生を
 しめくくるのは眠りなのだ。[略]>
(p128-129『第四幕 第一場』)

 エピローグで、プロスペロー役者が素に戻って、観客に語り
かける異化効果もかっこいいし。ほんとになんともすてき。


     (松岡和子 訳『シェイクスピア全集8 テンペスト』
     ちくま文庫 2000初 J)

 p141(『第五幕 第一場』)のプロスペローの台詞、
<だが、この荒々しい魔術は
 この場で捨てる。>で思い出した、メアリー・スチュアート
『この荒々しい魔術』も、読むべき、読んだほうが楽しい?



呪 吐爛腐/呪 心臓亜屁/





..... Ads by Excite ........
[PR]

by byogakudo | 2017-02-06 21:53 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 02月 05日

鈴木創士氏のコラム『第83回 すべての帝国は滅亡するだろう』

e0030187_13383172.jpg












 今月の鈴木創士氏のコラムは、第83回 すべての帝国は滅亡するだろう





..... Ads by Excite ........
[PR]

by byogakudo | 2017-02-05 13:56 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 02月 04日

(2)ジェームズ・アンダースン/高田恵子 訳『ジェシカおばさんの事件簿 ホリデー殺人事件』読了+α

e0030187_21224761.jpg












~2月2日より続く

 原稿を書き上げたジェシカ・フレッチャーは、第二話『ジェシカ、
犬と遊ぶ』で、ケンタッキー州の友人を訪ねる。女友だちは"ラング
リー屋敷(マナー)"と称する館に住み込んで、障害競技用の馬の訓練
をしている。

 大金持ちの雇い主が殺され、遺産相続人のひとりも殺されと、
事件が続く。ミステリ作家として、本の上でも実生活上でも名探偵
ぶりを発揮するジェシカなので、もちろん彼女が謎を解くけれど、
お屋敷に飼われている犬がとても可愛い。

 ジェシカをゲストとする夕食が終わり、みんなでコーヒーを飲んで
いると、
<ドアのそとで犬がけたたましいほえ声をあげはじめ、会話が中断
 させられた。
 [略]
  「あら、わたしならかまいませんから、どうかいれてやってください」
 ジェシカはいそいで言った。
 [略]
 ドアをあけたとたん、犬が飛びこんできた。生後半年くらいの、元気の
 いいビーグル種の子犬だ。はずむような足どりで、まっすぐにデントン
 [注:屋敷の主人]のところへかけ寄っていった。[略]
  「やあ、テディ、いい子だ。元気にしていたか?」 [略]
  テディが小さくワンとほえて、いきおいよくしっぽをふった。>
(p210-211)
__この後も嬉しそうに、みんなに挨拶して廻り、

< テディはみんなが自分のことを話しているのがわかるらしく、自分が
 話題の中心になっていることをよろこんでいるようだった。得意そうに
 人間たちを見まわしながら、しきりにしっぽを床にたたきつけている。
 [略]
 しかし、話がまたほかのことへ移ってしまうと、テディははいかにも
 たいくつそうに寝そべって、眠ってしまった。>(p212-213)
 
 楽しく読んだ。残りの訳本を探して読もうとまでは行かなかったが。
  

     (ジェームズ・アンダースン/高田恵子 訳『ジェシカおばさんの
     事件簿 ホリデー殺人事件』創元推理文庫 1987初 J)



 2月2日付け梟通信〜ホンの戯言に、東京MXテレビと東京新聞・
論説副主幹、長谷川幸洋の関係が記されている。
 長谷川幸洋の正体は、出世欲だけの日和見主義者だ。なさけない。
東京新聞はなぜクビにしないのかと思っていたが、
<すでに定年になっていて、委嘱契約だった>とは知らなかった。

 アメリカって、ちゃんと三権分立している。すばらしいなあ。
 トランプの大統領令(イスラム圏七カ国からの入国を禁止する)が
憲法違反だからと、シアトルの連邦地裁が、全米での大統領令の一時
差し止めを決定した。

 日本も自称、"三権分立"だけれど、そして地裁レヴェルでは市民の
側に立つ判決もないわけではないけれど、上級の裁判所に行けば行く
ほど、露骨に政治権力の仲間意識を反映した判決になる。



呪 吐爛腐/呪 心臓亜屁/





..... Ads by Excite ........
[PR]

by byogakudo | 2017-02-04 22:11 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 02月 03日

喫茶[ ε ]からプリシラブックスへ

e0030187_20562677.jpg












 月に一度は近所のお店へ行こうというのが、今年の秘かな
決心だったのに、1月が過ぎてしまった。今日も風が冷たい。

 Sと喫茶[ ε ]に入っていったら、店内はほぼ満員。
先客の男性が席を譲ってくださる。ありがとうございます。
 壁画の前に画材の置かれた仕事机。アトリエ/喫茶店の気配が
強まっている。

 反対側の壁棚に薄いコーヒー色の小冊子がある。『FIVE COFFEE
STORIES 5つの喫茶店を巡る言葉と絵と物語』(9BOOKS & COFFEE
2016/11/11)。喫茶[ ε ]の女性も寄稿されている。
 1冊頂くと(一部・300円)、好みのコーヒー豆、一杯分がおまけ
に付いてくる。いま、飲んでいる。おいしい。

 部屋に戻りかけると、プリシラブックス、営業中だ。
 『文藝別冊 永久保存板 トリビュート特集 ナンシー関』(KAWADE
夢ムック 河出書房新社 2003年5刷)を買う。閉店計画を伺うと、
 「閉めるタイミングが分らなくなっちゃって」。

 従って、いつ閉まるか分らない、ということでもある。まじめに
顔を出そう。町には、古本屋と喫茶店があるべきだ。





..... Ads by Excite ........
[PR]

by byogakudo | 2017-02-03 21:37 | 雑録 | Comments(0)
2017年 02月 02日

(1)ジェームズ・アンダースン/高田恵子 訳『ジェシカおばさんの事件簿 ホリデー殺人事件』半分+α

e0030187_1746863.jpg












 写真は昨日の東大駒場で。クリムトの風景画みたいな、
ちょっとした梅林。

 『ジェシカおばさんの事件簿』、むかしTVでやっていたのは
覚えているが、見たことがない。
 これが原作で、TVドラマ化されたのかと思って買った後で、
逆の事態、ノヴェライゼーションだと知ったけれど、なんとなく
楽しそうというヤマカンが、今のところ当っている。ノヴェライ
ゼーションは普通、がっかりするものだけど、何だって例外は
ある。

 近年、目にした連続TVドラマの作劇は、たとえば"Lie to me"
みたように、一話でひと筋のストーリーを語るのではなく、ふた筋
の話を同時進行させ、絡ませて、最後に終結させる構成だと思うが、
このデュプレックス傾向は、1980年代半ば以降の流行りの語り口
なのかと、ようやく知った。
 たしかに、ひとの生は、いくつものできごとに取り巻かれているから、
かつてのハリウッド映画みたいに、あるひとつの視点から語れるもの
ではない。リアリズムの形式としてデュプレックスが採用されるように
なったのだろう。

 第一話『ジェシカのミステリ講演』の前に『プロローグ』がある。
 書出しは、ジェシカ・フレッチャーが現在書いているミステリの
一部分だ。
 原稿を手直ししているところに手紙が届く。別々の土地からの
招待だ。書き終えてない原稿を抱えて、彼女はシアトルに行き、
『ジェシカのミステリ講演』が始まる。

 大学でミステリの歴史、ミステリと普通の小説との相違・同質点
などについて講演する場面では、論説の触りの箇所が直接話法で
記述される。まるまる全部、聞いてもいいよと読者に思わせるのが
作者、ジェームズ・アンダースンの腕前だろう。

 そうしているうちに、まるで関係なさそうな殺人事件がふたつ起きる。
名探偵が現れるところ、殺人事件あり、というテーゼは健在である。?
 ジェシカ・フレッチャーは集中力を発揮して原稿を仕上げ、優れた
人間観察力と合理性とで真相を見抜き、解決して、第二話『ジェシカ、
犬と遊ぶ』に進む。

 巻末に『検証・ネオ本格 3 ネオ本格の現状と未来』と題された
討論会が載っている。ジェシカ・シリーズの前2作から続く討論会
らしい。"ネオ本格"って、わたしの感覚では"メタ・ミステリ"の一種
に聞こえるけれど、ちがうかしら?


     (ジェームズ・アンダースン/高田恵子 訳『ジェシカおばさんの
     事件簿 ホリデー殺人事件』創元推理文庫 1987初 J)

2月4日に続く~


 わがままな虚人、トランプを見習ってか、いや国家権力を握ったのは
こちらが早い。安倍晋三・類の無茶ぶり、共謀罪はどう繕って見せても、
憲法が担保する思想・信教の自由、表現の自由を侵害する。
 法律を作る理由がころころ変わる代物に正当性なぞ、ない。
ただひたすら、権力をもつ側にとって使いやすい法律を作りたい、という
願望だけだ。


呪 吐爛腐/呪 心臓亜屁/





..... Ads by Excite ........
[PR]

by byogakudo | 2017-02-02 21:14 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 02月 01日

また、駒場東大前へ

e0030187_2214780.jpg












 行く先に困ると井の頭線沿線を考えるのだろうか。1月18日
に続いて、駒場東大前に行く。

 線路を越えて端っこから入る。大木を見上げて幸福な気分
になる。うっとうしさを抱えていても、大川を見るか、大きな
樹木を見るかすると、幸福な瞬間をもつ。前回よりさらに梅が
咲いている。

 校内のキャフェで軽食して帰路を考える。河野書店を外す訳
にはいかない。(外すと、しばらく気になるだろう。)

 表でジェームズ・アンダースン『ホリデー殺人事件』(創元
推理文庫)、トマス・チャステイン『死の統計』(サンリオ文庫)
__記憶にあるんだがと思いながら100円なので買った。2015年
8月26日
に読んでいた。__、今村仁司『アルチュセール』(清水
書院)、中で戸板康二『才女の喪服』(河出文庫)と絵はがき2枚。

 ハードカヴァでVOGUEの写真集(オードリ・ヘプバーンのJ、
"Vogue Women")があった。左にジャンヌ・モロー、右に
ローレン・バコールの見開きがゴージャス。終わりの方でダイ
アナ元妃が出てくると、一気に貧相になる。

 駒場野公園に入らず、周囲の住宅地を軽く歩く。住宅地はどこ
でも似たり寄ったりではあるけれど、杉並区、世田谷区、目黒区、
それぞれに少しずつ空気が違う。同じ区内でもまた違うのだが、
わずかな違いを感じ取りながら歩くのが楽しい。

 東京の交通網は南北がヨワい。駒場東大前に行くのに、今日は
方南通りから西永福までバス、それから井の頭線である。
 もっとスッとダイレクトに行けないかしら。



呪 吐爛腐/呪 心臓亜屁/





..... Ads by Excite ........
[PR]

by byogakudo | 2017-02-01 19:23 | 雑録 | Comments(0)