猫額洞の日々

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2017年 06月 30日

(4)山口由美『箱根富士屋ホテル物語』読了

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~6月29日より続く

 箱根富士屋ホテル・二代目である山口正造の時代が、
ホテルの歴史上でいちばん華やかだろう。

 初代・仙之助も新技術の導入に積極的__火力(!)発電機
で館内を点灯したり、水力発電機を開発したり__だが、1907
(明治40)年に仙之助の長女と結婚し、入婿した正造は、厨房新設
や冷蔵庫を取り入れたりのベーシックな部分だけでなく、"建築道楽"
として、今に残る富士屋ホテルの建物、舞踏場(「カスケードルーム」)
や「花御殿」を作る。富士屋ホテルのイメージを作り出した、と言える
だろう。

 進取の気象に富んだ初代、名プレイヤー/大監督である二代目に
比べると、著者の祖父、三代目・山口堅吉は地味な印象である。
 1944(昭和19)年、正造の死を受けて代表取締役に就任するが、
正造と堅吉は3歳しか違わない。

 正造は仙之助の長女と結婚し(て離婚後、独身を通す)経営者になる。
堅吉は仙之助の三女と結婚して、死別。その後、再婚して娘に婿を取り、
著者・山口由美が生まれた。
 婿にそのまま四代目が行きそうな気配がある。仙之助の直系たちには、
どうしても面白からぬものがあるだろう。

 堅吉が跡を継いだ時代は、顧客への案内状に、

<「在日外交官に部屋を提供しておりますが、一般向けの営業も
 しております。ただし、ご宿泊の際には、一日につき米一合と、
 砂糖をご持参ください」>
(p200『III 嵐の中の守り__堅吉』)と、記さなければならない
時代である。

 戦争が終れば終ったで、占領軍により、レストホテルとして接収
される。困難な時代を凌いで、クラシックなリゾートホテルを守り
抜くのは、並大抵なことではない。守りは業績としては目立たない
が、堅吉が守ったからこそ、クラシックホテルのイメージは確固
たるものになった。

 堅吉の孫である著者の、初めての単行本が『箱根富士屋ホテル
物語』である。1994年の刊行時には、親族間の"内紛"に乗じられた
乗っ取り騒ぎについては書きにくかった。2007年の「増補版」で、
ようやくホテルが創業家から、小佐野賢治の国際興行・傘下に
入った顛末が語られる。

 横井英樹、児玉誉士夫、小佐野賢治。三人が箱根富士屋ホテル
の運命を握る。児玉誉士夫が小佐野賢治側に鞍替えしたおかげで、
ホテルは横井英樹の魔手を逃れられた。

< 富士屋ホテルをめぐる人々が、本当の意味で堅吉が「嵐の中の
 守り手」だったことに気づいたのは、昭和五十七年のホテルニュー
 ジャパン火災だったかもしれない。
  燃え上がるホテル、矢面に立たされた支配人、それらを富士屋
 ホテルや自分自身に重ね合わせ、胸をなでおろしていた人が
 どれほどいたかと思う。>
(p265『「嵐」の舞台裏__もうひとつの物語』>

 つねに新しい手法を取り入れることに熱心(ホテルトレーニング
スクールを始めたり、アメリカのホテル経営を学んだり)であっても、
婿養子で継承し、小規模な"家業"形態であり続けるのは、やはり無理
だったのだろうか。
 小規模なホテルだからこそ、個人の意志やセンスが直接に反映して、
愛されたのだろうが。マニュアル化しにくいものは在るのだが。


     (山口由美『箱根富士屋ホテル物語』
     小学館文庫 2015初 帯 J)



呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/呪 吐爛腐/

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by byogakudo | 2017-06-30 20:50 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 06月 29日

(3)山口由美『箱根富士屋ホテル物語』もう少し

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~6月28日より続く

 "ノンフィクション"と呼ばれる評伝の書き手には、対象との
微妙な距離が必要だ。つかず離れず・遠慮せず。
 可能な限りの資料を集め、精査しても、それで"書ける"わけ
ではない。人物評伝なら、対象が存命かどうか。遺族や関係者
の生死。それらはやはり書き方に影響する。
 微妙というより絶妙な距離感覚を保ち続けられるかで、仕上がり
が決まるだろう。

 日本のホテルは、明治維新以後、外国人のための宿泊施設として
始まったが、ホテルという施設は、建物(ハード)に経営者の個性
の息(ソフト)が吹き込まれなくては動き出さない。

 箱根富士屋ホテルの初代・山口仙之助は、開化(1860年頃)の
横浜の遊廓、「神風(じんぷう)楼」の養子であった。この話は
ホテルの正史『富士屋ホテル八十年史』ではタブーである。敢えて
書けるのは、著者が直接の血のつながりはないが、仙之助の子孫で
あること(タブーにも遠慮せずに踏み込みやすい立場)と、100年
以上前の話であること、そして富士屋ホテルが、もはや創業家の手
を離れた存在である、からだ。
 絶妙な距離からのレポートである。

 二代目、山口正造。わたしにとっては、"We Japanese" の山口
正造。日光・金谷ホテルの創業者の次男が、山口仙之助の長女の婿
養子になり、二代目として腕をふるう。

 しかし今の時代、"婿養子"って、どの程度、理解されるのだろう?
核家族で育ち、周りも同じように両親+子どもの家庭しか見当らない。
わかるだろうか、"婿養子"?
 日本の職業の歴史では"家業を継ぐ"形態の方が長い。家業を伝えて
ゆくにはその業にふさわしい子孫が必要で、遺伝子継承者である息子が
ふさわしいとは限らない。不適格なら婿養子を取る。それなりに合理性
のあるシステムだが、"家業"から"会社組織"へと資本主義的発展をした
時代、核家族化した時代とは、ずれが生じる。


     (山口由美『箱根富士屋ホテル物語』
     小学館文庫 2015初 帯 J)

6月30日に続く~ 
 
 

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by byogakudo | 2017-06-29 21:56 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 06月 28日

(2)山口由美『箱根富士屋ホテル物語』半分弱

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~6月27日より続く

 以前(2015年1月31日)読んだ『クラシックホテルが語る昭和史』
はクラシックホテルを舞台にした"昭和史"だが、こちらはホテル本体
の歴史だ。

 日本の評伝はどうも遠慮しいしい書かれているのが多い、という
ようなことを読んだはずだけど、どこで読んだのだったか。
 ドナルド・キーン『私の好きな場所』だ!

< 伝記は、文学でありながら歴史でもあります。或いは歴史であり
 ながら文学でもあるというべきかも知れません。もともと原始的な
 伝記には、大体死んだ人の評価が出ています。
 [略]
  中国やヨーロッパには古代から伝記がありました。
 [略]
 『平家物語』を平清盛の伝記として読めないこともありませんが、
 [略][注:清盛の]肖像画というより漫画に近いものです。
 [略]
 今でも伝記らしい伝記は、日本では不思議に少ないのです。本屋で
 伝記のコーナーがあったら、大抵どこそこ株式会社の社長についての
 伝記です。>(p123-125『II 文学と歴史の境界線を越えて』)

 遺族や関係者に忖度する(?)気配が小野幸恵「焼け跡の『白鳥の湖』」
にも感じられたのを思い出す。

 『箱根富士屋ホテル物語』の良さは、著者が血縁の関係者であることが
有利に働いた例であろう。曾祖父・山口仙之助の過去について、いわば
身内だから踏み込める考察を行なう。

 『富士屋ホテル八十年史』には、山口仙之助がアメリカに行ったとき、
岩倉使節団の一行と同じ船だったという記述がある。NHKの番組『歴史
発見』の「前途洋々・維新留学生岩倉使節団の若者たち」では、
<唯一の平民留学生という扱い>(p18『I 箱根山に王国を築く__
仙之助』)だったと紹介される。

 だがこれには研究者から異論が出る。著者は研究者を訪ね、いろいろ
資料を当ってみた結果、仙之助が岩倉使節団の従者のひとりであること
は証明できない、と結論する。

<しかし、そうだったとしても、私は彼が使節団の存在を意識し、そこに
 加わることを切望していたような気がする。
 [略]
 どこかで使節団同航の留学生と接触し、一緒に写真を撮った仙之助が、
 彼らの立場に自分をだぶらせたとしても納得できる。
 [略]
 岩倉使節団というものが仙之助の青春の原点には存在していた。そして、
 そこから、すべての彼の夢と野望は始まったのに違いない。>
(p29-30『I 箱根山に王国を築く__仙之助』)
 

     (山口由美『箱根富士屋ホテル物語』
     小学館文庫 2015初 帯 J)

6月29日に続く~



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 安倍晋三稲田朋美も中学校で、三権分立を習わなかったに
違いない。授業はあったが、理解力・記憶力のない子供だった
ので記憶していないのか。そんな頭で、稲田朋美は弁護士資格
を持つのだ。おぞましい。
 元文科相・下村博文は、加計学園から200万円違法献金の疑い
が露わになった。

 共謀罪強行成立記念! 安倍政権の暴挙を忘れないために振り返る
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by byogakudo | 2017-06-28 20:01 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 06月 27日

(3)松葉一清『集合住宅』から(1)山口由美『箱根富士屋ホテル物語』へ

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 集合住宅の次はホテルだ、というわけではないが、山口由美
『箱根富士屋ホテル物語』を読み始める。

 集合住宅とホテルが、わたしの好きな居住空間だ。共有または
共用する空間が好きなのだろうか? 戸建てに興味がないのは、
いまの戸建て住宅が貧しすぎるからだ。下町の長屋だって庭は
ないが、路地に面した軒先は通る人の目も楽しませる、園芸空間
(共有可)である。住宅地の新建材・戸建てにも多少の植栽は
あるが、まず目に入るのが"自家用"車、というのは寂しくないか。

~6月26日より続く

 昨日、私有の反対が即・共有にはならない、と書いた。もう少し
書きたい。

 ファミリーレストランのメニューに、「シェアしませんか」と謳い
文句付きで、ひとり分ではなく二、三人分のサラダやおつまみが出て
いる。数人で行けば、プラス一品、余計に頼むときもあるだろう
("シェア"ねえ。広告代理店用語の響きがする)。レストラン側の
レシートには、頼んだ料理だけでなく、人数や性別、なども読み
取れるようにしてあるのだろうか。
 近所にはカーシェアリングの駐車場もよく見かける。借りたひとが
どこに行って帰って来たか、データは当然残る。
 スーパーマーケットでもコンヴィニエンスストアでも薬局でも、同じ
一枚のポイントカードが使える。貯まったポイントで支払いもできるが、
何を買ったかが記録される。ビッグデータとして匿名化される前に、
個人の購買履歴として、まず記録される。わたしは商品購買履歴を
企業に売って、ポイントという貨幣に変換し、新たな消費行動に移り...、
ん、消費は労働の一種なの?!

 "共有"が結局、資本の"私有"に帰する。わたしたちは結局、消費者として、
ただのデータとしてしか存在できないのか、という絶望だ。大げさな、って
言われるだろうが。


     (松葉一清『集合住宅__二〇世紀のユートピア』
     ちくま新書 2016初 帯 J)


 箱根富士屋ホテル・創業者一族の末裔、山口由美による
『箱根富士屋ホテル物語』では、外国人専用ホテルだった
頃の滞在客を調べるために、ホテルのレジスターブックを
開く。

<残されたサインを追っていけば、いつ、どんな人が、どこの
 部屋に泊まっていたのかがわかる。何度となく登場している
 サインも多い。
 [略]
 富士屋は[略]外国人にとって、サロンのようなものであった
 らしい。
  そして、その中心的人物がチェンバレンだった。レジスター
 ブックに最も多く登場する名前の一つでもある。>
(P89-90『王堂文庫』『II 箱根山に王国を築く__仙之助』)

 ホテルのレジスターブックもデータ集である。顧客名簿の筆頭項目
である。サブの名簿には顧客それぞれの好みがノートされ、宿泊を
重ねる毎にデータは累積してゆく。後代には、このように資料として
活用される。

 このような小さなデータ集は承認できて__顧客データは良い
サーヴィスに不可欠だ。__、いまの世界的企業による大規模な
データ収集を、あずましくないと感じるのはなぜなのか。
 量が質を変容させる作用に、どうしても納得できない違和感を、
ずっと抱いているからなのか。
 かといって、わたしは"肉親"とか"家族"といった遺伝子ベースの
小単位に深い信頼感なぞ抱けないのだが、ただ広漠たるシーンを
思い浮かべると、とっかかりのない心もとなさに途方に暮れる。


     (山口由美『箱根富士屋ホテル物語』
     小学館文庫 2015初 帯 J)



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 共謀罪強行成立記念! 安倍政権の暴挙を忘れないために振り返る
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by byogakudo | 2017-06-27 20:49 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 06月 26日

(2)松葉一清『集合住宅__二〇世紀のユートピア』読了

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~6月11日より続く

 資本主義には、その構造上、貧富の差がつきまとう。
 少数の誰かが勝てば、大多数の"敗者"(とまでは行かない
としても、順々に階層差異のある大衆)が出現する。
 貧困層を放っておくと、恨みつらみが重なり、社会不安
が増大する。持てる側も寝覚めが悪いって意識を、クリス
チャンでなくても感じるだろう。もし資本主義社会を維持
してゆきたいのなら、緩和材が必要だ。

 広く見れば、社会保障制度だが、話を住宅に限れば、会社
だったら、たとえば三菱の福利厚生としての軍艦島の労働者
用・集合住宅。フランクフルトやウィーン、アムステルダムの
行政府による低所得者用・集合住宅団地(その影響で作られた
同潤会アパートメント)、キリスト教の慈善意識に発する、
ロスチャイルド財団などのパリ郊外の集合住宅団地等々がある。

 著者はそれらを実地に訪れ、考察する。ヨーロッパで20世紀
初めに構想され、建てられた集合住宅団地(ジードルンク)が
現在も残っているのか、使われているのか。

 ヨーロッパに於いては住み手が変わり、新たな低所得者層で
ある移民たちの住居になったりもしているが、1920-30年代
に作られた集合住宅が現役で使われている。愛されて住まわれ
ている。
 外からやってきた観察者である松葉一清にも住民が誇らしげに、
あそこは見たか、ここは見たか、と聞いてくる。

<街路で囲まれた都市のなかのひとつの区画を「タウンブロック」
 と呼ぶ。そのタウンブロックを複数まとめてひとつの敷地として
 扱うのが「スーパーブロック」である>(p105)
そうだが、この複数ブロックの集合により、中庭が出現する。

 ウィーンの集合住宅団地、「カール・マルクス・ホフ」等を
例に上げて__

<ウィーンにおいて驚くのは、中庭を閉ざしているところはどこ
 にもなかったことだ。パリなどでは昔の写真では解放されていて
 都市の街頭とつながっていたはずの集合住宅の多くがゲートを
 閉め切ってしまっている。物騒な世相だから、無理からぬこと
 なのだが、建築家や設置者である公共体の開かれた都市住居
 という初志は断ち切られつつある。
 [略]
 ドイツの集合住宅の多くは[略]敷地内に園芸や家庭菜園のための
 小土地が住民のために確保されている。[略]住民たちは近隣と
 競い合うように、芝生を植え、子どもの遊具も置いて、賃貸住宅で
 ありながらあたかも「小土地所有者」の感覚を持つことができる。
  一方、ウィーンの住民は、敷地内の屋外空間のほとんどすべてが
 公共として扱われているために、そのような「持てる階級」の幻想
 を初めから抱けないようになっている。
 [略]
 ウィーンの社会民主党市政と建築家たちは、共有空間のスケール
 感を住民全員で共有する、つまり、集住しているがゆえに味わえる
 「スーパーブロック」にこだわったと見なせよう。それはまた集合
 住宅を教材とする、労働者階層の都市居住の「行儀」を啓蒙する
 選択であり、そのことが功を奏した結果を、わたしは実感する。>
(p120-121『第3章 赤いウィーン』)

 居は気を移すってフレーズもある。いまは慣れたが、住宅地の中の
アパートメントに越してきた当初、三階建て・戸建て住宅(1階は必ず
駐車場)が並ぶ近所を歩く度に、プチブル的所有の観念が伝わって
きて居心地悪かった。
 戸建て信仰は、戦後、お金がなかった政府が"持ち家政策"を進めた
せいだろうか。八田利也『現代建築愚作論』(日本のビート文学でも
ある)を買い直して読もうかな。

 それはともかく、YouTubeやTwitterを見ていると"共有する"って、
よく出てくる。資本の支配下で共有させられること、だろうか?
 私有しないことが即、開かれた共有になる訳ではない。

 日本のジードルンク(?)、同潤会アパートメントは使われた素材の
問題や、メインテナンス(本書の表記は"メインテナンス"!)意識の
欠如により、そして日本の土地本位制により(これがいちばんの理由
ではないだろうか?)、すべて壊された。
 日々、廃墟化が進む、生きている廃墟・軍艦島が残った、残っている。

 ジードルンクを訪ねるヨーロッパ・ツアーがあるなら、ぜひ参加したい
と思わせる一冊だ。


     (松葉一清『集合住宅__二〇世紀のユートピア』
     ちくま新書 2016初 帯 J)

6月27日に続く~



呪 吐爛腐/呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/





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by byogakudo | 2017-06-26 22:56 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 06月 25日

蓮実重臣さん

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 蓮実重臣さん、ご冥福をお祈りします。古本屋に訪ねてきて
くださって、二、三度お話ししただけですが、わたしたちは
あなたがとても好きでした。だから、かなしい。闘病のつらさを
思うと心がいたみます。

 どうぞ安らかにおやすみください。





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by byogakudo | 2017-06-25 20:34 | 雑録 | Comments(1)
2017年 06月 24日

ハードでなければ/ジェントルでなければ

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 "If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle,
I wouldn't deserve to be alive."

__日本語訳して、小中学校の道徳・教科書で教えたい言葉だが、じゃあ、
政治家だったら例外なのね、嘘をつき続けたりパワーハラスメントしても
権力者でいられるのねと、子どもに言われそうだ。
 一人称での意思表明は、上から押しつける教育制度と相性が悪い。

 ブログ『梟通信〜ホンの戯言』の「民主主義の死の入り口にある日本 
前川前次官の歴史的記者会見」で紹介される【ノーカット】前川喜平
前文部科学事務次官 記者会見 6月23日
は、ハードとジェントルの
両立を見せてくれる。


 ドイツはまともな国だと思ってきたけれど、通信アプリ監視 独で容認 
「プライバシー侵害」と批判
という記事がショックだ。

< 今回の法案は、別の内容の法案に後から追加する形で提案され、国会での
 十分な説明と議論がなかった
とされる。ドイツメディアによると、ドイツ
 弁護士連盟は「プライバシー侵害につながる法案を、他の法案の修正という
 形で意図的に隠し、議論をせず急いで通過させた」と批判している。>
[注:ボールド表記は引用者]
__まるで安倍晋三・独裁政権みたようなやり口じゃないか。
 
 

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by byogakudo | 2017-06-24 19:28 | 雑録 | Comments(4)
2017年 06月 23日

(2)ドロシイ・セイヤーズ/松下祥子 訳『箱の中の書類』読了

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~6月22日より続く

 風俗の背景にあるのはフロイトとアインシュタイン、それに
ダーウィンだ。モダーン最先端の登場人物たちなので、彼らは
一様に科学精神に惹かれる。会話も思考も、つい、その方面に
流れる。

 小説の舞台が1930年直前に取られている。技術的に大量殺人が
可能になった第一次大戦の後遺症で、科学が新しい神として地上に
君臨しようとする時代だ。
 (ポストモダーンって、たんに近代の延長に過ぎないじゃないかと、
いつもの悪態をつきたくなる。)

 作家が恋人(彼女も小説家)に宛てた手紙で、ミセス・ハリソン
(若い後妻)を分析してみせる。

<彼女は同時に二つのまったく相反する方向で芝居ができる。まるで
 ヴィクトリア朝の時代精神みたいだな。ある生き方が現代的ですてきだ
 と思えば、即座にそれを自分のものにする。そこに嘘はないんだ。現代
 女性はキャリアに精神的満足を見出す、と"新聞記事で"読めば、彼女は
 もうその女になりきっている。
 [略]
 ところが、人格形成には"完全な肉体生活"が必要だ、とでも読めば、
 彼女は挫折した母性的な女性で、子供がいさえすれば問題はなくなる
 ってことになる。はたまた、自分は"偉大なる娼婦"だと頭に描けば、
 顔をのぞかせるだけで、そびえたつトロイの塔を焼き落とせると信じ
 込む。そういう具合さ。彼女の真の姿は何なのか、
 [略]
 この演技力に、ものすごい活力と、よくコントロールされていない知力が
 加わると、なかなかの見ものだってこと。もし彼女がこういう役の一つを
 本気にしてくれる相手を見つけたら、たぶん見事に演じきって生きていく
 だろう__まあ、一生涯は無理としても、大したドラマだと感心させる
 くらいは続くよ。残念ながら、ハリソン[注:中年の夫、電気技師]はいい
 観客ではない。すばらしいと思っても拍手はしないから、演じるほうは
 がっかりだ。>
(p42下段~p43上段)

__フェミニズムの曙を、その未成熟さをよく知る(であろう)女性作家
(セイヤーズ)が、登場人物たる男性作家の口を借りて語る。

 第一次世界大戦のアプレゲールたちの物語、と読んだ。ディスカッション
小説としても楽しい。


     (ドロシイ・セイヤーズ/松下祥子 訳『箱の中の書類』
     HPB 2004再 VJ)


 昨日に続いて今日も(朝10時過ぎに出かけた)、阿佐ヶ谷・
千章堂書店へ。まっしぐらに行き、まっしぐらに戻ってくる。
 店頭の河出文庫・久生十蘭の残り、『十蘭万華鏡』『十蘭
レトリカ』『十蘭錬金術』『十蘭ビブリオマーヌ』『十蘭ラスト
傑作選』をさらう。
 『久生十蘭ジュラネスク』は持っているから、これで『コレク
シォン・ジュラネスク』、全冊揃い。




呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/呪 吐爛腐/

 安倍晋三や稲田朋美は、どの面下げて沖縄「慰霊の日」追悼式に
出席できるのか。

 私立高校無償化は本当に公明党の言う通り、共産党の「実績横取り」
なのか? 都議会の議事録を調べてみた。


 共謀罪強行成立記念! 安倍政権の暴挙を忘れないために振り返る
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by byogakudo | 2017-06-23 15:37 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 06月 22日

(1)ドロシイ・セイヤーズ/松下祥子 訳『箱の中の書類』半分弱

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 ウィルキー・コリンズ『月長石』の1930年代版、みたような
ミステリだ。
 おそらく殺人事件に至るであろう状況の関係者が、事件以前に
関係者あるいは無関係な人々に宛てて書いた手紙と、事件が起き、
終息した(であろう)時に、関係者であり資料編纂者である人物
から求められて書いた手記、が時系列で配置される。

 読者は少しずつ状況を理解して行く仕組みだ。倒叙ミステリで
ない限り、ミステリは大体そうだけれど、つまり、作者が話者と
なって状況を述べる書き方ではない、と言いたかった。
 読者は次々に現れる資料を読みながら、何かが起りそうな状況を
思い浮かべてゆくドキュメンタリ風ミステリである。

 半分近く来たのに、未だ、事件以前というのか未満というのか、
表面的には大したことは起きていない。

 1920年代後期のロンドン郊外。中年の夫はミドルクラスの上層、
20歳以上若い後妻は夫よりは下の階級である夫婦と、彼女に付き
添う家政婦が、戸建てに住んでいる。その二階に、若い絵描きと
作家が下宿してきた。ふたりは階級的には夫の方と近そうだ。
 イギリスの小説や映画では、登場人物の階級を一応分かってないと
話が読めない。上記の階級に関して、確信も皮膚感覚的理解もない
けれど、記号的に、たぶんそうであろうというところで読んでいる。

 長い長いヴィクトリア朝が終わっても建物は残る。登場人物たちが
暮らすのも
<ヴィクトリア朝中期のやたらと背の高い建物>(p24下段)である。
 人々のものの考え方にも堅苦しさが残るが、しかし時代は変わる。
フロイトとアインシュタインの時代が来ている。近代の到来だ。

 知的なミドルクラスではモダーンの潮流から目を離せない。電気
技師(モダーン!)である夫は趣味で絵を描くので、下宿人である
若い絵描きに助言を求める。
 軽薄な(ボヴァリー夫人タイプ?)後妻は、新しいものに目がない。
新思潮、新傾向と見える動きには何でも知ったかぶりの口を挟む。
 モダーニズムには新しい女性像も含まれるから、彼女は夫が自分を
理解してくれないと、観念的かつ強固に嘆く。

 フロイトの影響はすでに決定的だ。後妻付きの家政婦は神経症で
精神科に通っている。彼女が書く手紙の滑稽さは、『月長石』の
何とかいう老嬢の手記の愚かしさと呼応する(だろう。読み返して
ないので、頼りない記憶で書いている)。
 後妻と若い絵描きが浮気ないし真実の愛に目覚めるところまで来た。
殺人まであと一歩であろう。


     (ドロシイ・セイヤーズ/松下祥子 訳『箱の中の書類』
     HPB 2004再 VJ)

6月23日に続く~


 今日は阿佐ヶ谷、千章堂書店・店頭で久生十蘭『パノラマニア十蘭』
(河出文庫)。湿気が強くて、くたびれた。




呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/呪 吐爛腐/

 共謀罪強行成立記念! 安倍政権の暴挙を忘れないために振り返る
「共謀罪トンデモ答弁・暴言録」


 【票を入れるな危険】日本会議所属の都議候補一覧

 小池百合子氏 日本会議“本流”から外れた愛国者

 「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動

 上記のPDF





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by byogakudo | 2017-06-22 21:04 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 06月 21日

やっと衣替えする

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 冬に使ったエアコンの掃除は5月26日に終っている。いつでも
夏場の使用に耐えるコンディションだ。しかし衣類がまだ。
 夏物と冬物の入替は、いつも2-3点だけ、冬物あるいは夏物を
引出しに残している。いきなりの季節変化でも、とっさに着られる
ように。

 まだ真夏ではないから、もう少し遅らせても大丈夫だけど、30℃
のとき着る半袖シャツが1枚しかない。突発的に始めた(雨の日は
出かけない)。
 突然やるので、防虫剤を買い忘れてる。引出しに入っている防虫剤
(いつのことだったかの、この間、替えた)を流用する。明日、忘れ
ずに買わなきゃ。

 もう着ることはないと明らかに思えるのに、捨てられない衣類。
40年近く前のTシャツをなぜ捨てないの? 首回りがゆるゆるで
顔色や皮膚の衰えに不適切な色合いなのに、捨てずに箱に戻す。
ただ、あのときを思い出すよすがだから、という感傷的な理由だ。
 母親が、もう大人になった子どもの服を捨てられない、みたいな
ことなのか? それぐらい、あのころとは他者になってしまったのだ。




呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/呪 吐爛腐/

 

アレ「昨日、通常国会が閉会しました。4年前、政権奪還後の最初の
通常国会において、私は、建設的な議論を行い、結果を出して行こう、
こう、各党各会派に呼びかけました。その原点は、今なお、変わることは
ありません。」

いきなり、はぁ?だわね

(2:03 - 2017年6月19日)

 共謀罪強行成立記念! 安倍政権の暴挙を忘れないために振り返る
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by byogakudo | 2017-06-21 19:47 | 雑録 | Comments(0)