猫額洞の日々

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2017年 08月 31日

(2)岡本綺堂・他『見た人の怪談集』ほぼ読了+丹生谷貴志氏のtwitter

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~8月30日より続く


 昨日の池田彌三郎『異説田中河内介』に見られた__

<話せばよくないことがその身にふりかかって来る>ので、
<前置きが終わり本題に入ろうとすると、最初に戻って>、
<話せば悪いことがあるなどということがあるはずもない、
 だから今日は思い切って話す>

__と繰り返すパターンが、最初から5番目、田中貢太郎
『竃の中の顔』にある。(初めの方にパターン例、終わりで
パターン分析という、よくできた編集なのに、ランダムに
読んでしまって申訳ない。)

 湯治に来ている武士が、宿の亭主と囲碁を闘わすが、
亭主が下手の横好きなので勝負にならない。
 ある日、通りがかった僧が対手(あいて)になると互角
である。毎日のように闘っていたが、僧が訪ねて来ない
ので山の庵を探し当てて訪ない、そこで怪異を見る。
 茶をふるまわれたが飲まずに温泉宿に戻った。

< 「今日は豪(えら)い目に逢うた。主翁(ていしゅ)、
 お前は彼(あ)の[略]坊主を、何んと思う』
  「何か御覧になりましたか」
  「見たとも。[略]たいへんなものを見たぞ」
 [略]
  「[略]それを云ってはなりません、[略]それをあなた
 が人に話すと、生命(いのち)がありません、[略]」
 [略]
  「[略]あなたはきっと不思議な目にお遭いなされた
 でしょう、何もおっしゃらずに、すぐ此処をお発ちに
 なるが宜しゅうございます、決して何人(たれ)にも
 云ってはなりません、そのことを云うと命にかかわり
 ます」>(p120-121)

 用心したにもかかわらず、武士は不幸に見舞われる。


 繰り返しは効果的だ。
 不穏な気配だけが繰り返し記述され、破滅への期待を高める
サルバドール・エリソンド「ファラベウフ」
 語ってはならぬという一言を繰り返して気を持たせる『異説
田中河内介』や『竃の中の顔』。
 同じ言葉を繰り返し差し挟むことで笑いを得るように、ギャグ
でも使われる。
 ひとつのパターンを少しずつ変えてゆく変奏曲や、空間現代
ある...。

 むかし読んで(まだ覚えて)いる佐藤春夫『化物屋敷』と
橘外男『蒲団』(こちらは、やや記憶が薄い)はパスして、
今回もまた泉鏡花に入れない。『海異記』の冒頭__

< 砂山を細く開いた、両方の裾が向いあって、恰(あたか)も
 二頭の恐ろしき獣の踞(うずくま)ったような、最(も)う些(ちっ)と
 で荒海へ出ようとする、路の傍(かたえ)に、崖に添うて、一軒
 漁師の小家がある。>(p44)

__で、目と脳が読むことを拒否する。この合わなさはどうしようも
ないんじゃないかしら。


     (岡本綺堂・他『見た人の怪談集』 河出文庫 2016初 帯 J)



 丹生谷貴志氏のtwitterより__

<余談。「神」という絶対消費対象の影が薄くなってだぶついた金銭は
 散財空間を求めて「アート」に消散の場所を見出しつつある。かつて
 大貴族が浪費の夜宴を発明したのに似る。「戦争」に「絶対の消費」
 を見出すよりはさしあたりまし。「アート」の花火的ショービズ化は
 当然の成り行き、嘆く理由はない。>
(17:13 - 2017年8月29日
https://twitter.com/cbfn/status/902685549504339968)

<余談。「浪費の空間」は論理的には完全な空虚であってもよいはず
 だが浪費の現象学は税制的にも(!)「対象」を必要とし、「空虚に
 果てしなく似た対象」は存在しなければならない。ともあれ「アート」
 は空虚に似た対象であればよく、それ自体造形意志などという死んだ
 「価値」を体現する必要はない。>
(17:38 - 2017年8月29日
https://twitter.com/cbfn/status/902691847033675776)

<余談。浪費の空間は論理的に言って空虚であるべきだが、浪費の
 現象学としては「対象」が必要となり、だから例えば「アート」が
 要請されるとして、それは「現象と化した空虚」であることを根源
 要諦とし、従ってアートは造形意志やらといった死んだ「価値」やら
 「使命」を内包する必要はまったくない。>
(0:14 - 2017年8月30日
https://twitter.com/cbfn/status/902791646609149953)

__これを読んで、たとえば自分の作品行為が"社会性"を帯びてない
ことを生真面目に悩む若いアーティストは、心が軽くならないか?





呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/呪 吐爛腐/

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「共謀罪トンデモ答弁・暴言録」


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by byogakudo | 2017-08-31 16:22 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 08月 30日

(1)岡本綺堂・他『見た人の怪談集』10/15篇+鹿島茂のレヴュー

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 全短篇15作(中篇に近いものもある)を摘まみ読みして、
10篇読了。
 帯には
<一番こわい話。/いやな感じがひたひたと、/圧倒的に怖い話。>
とあるけれど、読む怪談って怖いだろうか? 目の前で語られたら、
怖いかもしれない。

 子どものとき読んだ『バスカヴィル家の犬』は、とても怖かった。
けれども、あれは怪談ではなくミステリと呼ばれる。大人になって
読み返すと、大人だから当然そくそくする怖さは来ないで、ただ
荒れ果てた風景の描かれ方に惹かれるものがある。

 最後から二番目の収録、池田彌三郎『異説田中河内介』は、
< 田中河内介(たなかかわちのすけ)の話をしかけた男が、
 話し終えずに息絶えたという怪奇な話は>と始まる。

 徳川夢声によれば、その話があったのは向島・百花園である。
しかし、池田彌三郎の父によるヴァージョンでは、京橋の橋向こう
の書画屋・画博堂(がはくどう)でのできごとで、彼(父)自身が
そこに居合わせた、実見聞である、という。スペイン風邪が流行
した年とあるから、1918年か1919年だろう。

 お盆のころ、画博堂に集まった、いつもの連衆が怪談話に興じて
いると、
<誰からどうして聞いたのか、見なれない男がやって来て、私に是非
 話をさせてくれという。
 [略]
  その男は、田中河内介が寺田屋事件のあとどうなってしまったか
 ということは、話せばよくないことがその身にふりかかって来ると
 言われていて、誰もその話をしない。[略]
 本当のことを知っている人が、だんだん少なくなってしまって、
 自分がとうとうそれを知っている最後の人になってしまったから
 話しておきたいのだ、と言う。>

 ところがこの男の話は、前置きが終わり本題に入ろうとすると、
最初に戻ってしまう。

<河内介の末路を知っている者は、自分一人になってしまったし、
 それにこの文明開化の世の中に、話せば悪いことがあるなどと
 いうことがあるはずもない、だから今日は思い切って話すから、
 是非聞いてもらいたい。というところまで来ると、又いつか始めに
 返ってしまって[略]>(p261-263)埒が明かない。
 つい、林家三平の繰り返されるギャグ、<いづれの御時にか〜>を
思い出すが。

 ところが、一座の人々がそれぞれ用事で呼ばれて中座し、ちょうど
誰も聞き手がいなくなったときに、その見なれぬ男は死んでしまう。

 田中河内介・怪談(怪異)は実質的にここから始まる。波紋を描く
ように妙な話が連鎖し、怪談のパターン分析で終わる、なかなか
すてきな(怪談)話である。


     (岡本綺堂・他『見た人の怪談集』 河出文庫 2016初 帯 J)

8月31日に続く~



 鹿島茂による自由への道(岩波書店)レヴュー。
 彼は、<成熟拒否の若者たちをアホロートルと命名している>
が、レヴューは__

<若き日に読んだときは成熟拒否の弟マチウに肩入れしたが、
 いまでは兄のジャックが一番まともに思える。社会の全員が
 マチウになり、ジャックがいなくなってしまった時代だから
 かもしれない。新しい光源から光が当り、二一世紀的に蘇
 (よみがえ)ってくる二〇世紀の大作である。>

__と結ばれる。

 これは<時代が一回転したせい>だけでなく、読み手側の
成熟ないし加齢という条件があるからではないかしら? 
 内田百閒が漱石『虞美人草』について、かつては馬鹿にして
いた小野清三を、今ではその小心さを正直さと受けとめる、
とかいうようなことを書いていたと記憶するが。
 あるいは山田風太郎が、現在を末世ととらえる老人を、
なあに、ご当人(の肉体自体)が末世なのだと、からかって
いたのも思い出す。




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by byogakudo | 2017-08-30 20:29 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 08月 29日

フレーザー/佐藤智樹 訳『エイブヤード事件簿 死利私欲』読了

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 どんな話だったかは覚えてないが、『汚名挽回』『陰画応報』
も読んでいるようだ。自分のブログを読み返しても、何ら記憶に
引っかからない。すごい。

 作者と合わないって書いていたのも忘れきって買ってしまった
のは、ジャケット・デザインの賜物だ。
 まあいいじゃないか、一晩それなりに楽しんだのだから。静かな
田園地帯だからこそ、小さな生態系だからこそ、底流にうわさ話
の花が咲き誇り花束として束ねられ、その内圧エネルギーが殺人
事件を起こすというパターンである。

 ニュースを見ていると、田舎で殺人事件が起きる度に、TVは
近所の人々の口から、
「こんなに静かな土地なのに」と言わせたがり、住宅地で起きて
犯人が分かれば、
 「おとなしそうな普通の人なのに」と言わせたがる。
 人間が住んでるから殺人事件が起きるのだ。南極大陸で起こす
のは、かなり難しい。


     (フレーザー/佐藤智樹 訳『エイブヤード事件簿 死利私欲』
     講談社文庫 1980初 J)

 

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by byogakudo | 2017-08-29 15:24 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 08月 28日

(2)大泉黒石『黄(ウォン)夫人の手 黒石怪奇物語集』読了

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~8月25日より続く

 全8篇中、最後から2番目の『青白き屍』が好きだ。ロシアの
脱獄囚・ロザノフの逃亡奇譚だ。

 逃げ出して隠れ潜んだ家の瀕死の老婆は、彼を僧侶と信じ
込んで死ぬ。脱獄囚を追跡する馬車の音が聞こえた。
 彼は獄卒と巡邏を逃れ、さらに逃亡を続け、雑貨屋の店先に
倒れ込む。ここまでは一人称的に、彼の泡立つような焦燥感
に読者を引き摺り込む書き方である。追われていることしか
分からない。
 倒れ込んだ先で、ようやく彼の風体が描かれ、逃亡への経緯が
語られる。彼の口を通した話なので、真実か虚偽かは不明だ。

 女将の目に映るのは、囚人らしく髪の毛を刈り上げられているが、
<微妙な鑿で削られたような女だちの痩せた柔らかい頬(ほお)
 [略]
 仏蘭西(フランス)風の女袴を佩(は)いて、襞(ひだ)を摘み上げて>
(p176)いるのがふさわしい、優美な若者である。

 しかし彼女は、ロザノフの白い左腕に彫られた、
<筋かいに組まれた人間の脚骨と、桃の実とが、鮮やかな緑と紅に
 豊かに浮き出た色艶>(p179)の刺青(いれずみ)を見てしまう。
 牢獄の中で無理強いに入れられた刺青である。

<囚人服を脱いだロザノフの肌は美しかった。そのうちで腕は優れて
 妖艶に見えた。こんな誘惑性の恐ろしいものに向かって、正直に
 美しいと言う言葉が適用出来るなら、正(まさ)に美しかった。
 [略]
 もしそのとき、亭主が居合わせなかったら、恐らく囚人の腕に接吻
 したかも知れなかった。>(p179)

 ロザノフはパンと紅茶を恵んでもらって雑貨屋を去り、塩坑に潜む。
10年後、石筍の中に閉じこめられた彼の立像が発見される、という
結末だが、小説全体のバランスは変だ。
 小説の結構を問題にするのではなく、自分の描写したい箇所を、
時間をかけ(字数を費やし)、デッサンしたいという作者の欲望で
あろう。表現主義的だ。

 由良君美による解説、2篇が収められている。引用された『俺の
自叙伝』が面白そうで、これも文庫化を望む。ビート文学の先駆
といえるのに、もっと手軽に読めないだろうか。


     (大泉黒石『黄(ウォン)夫人の手 黒石怪奇物語集』
     河出文庫 2013初 J)




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by byogakudo | 2017-08-28 21:09 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 08月 27日

(2)「馬越寿展」に追記:いけばなに於けるアクトとリアクト

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~8月26日より続く

 昨日の「馬越寿展」ではガラスの花器に、槻屋氏によるお花が
生けられていた。

 むかし『カット』誌でショーン・ペンのインタヴュー記事を読んだ。
彼は演じるとき、アクトではなくリアクトするよう心がけると言って
いた。生け花を見ながら、その話を思い出す。

 例によって、怖いもの知らずの物知らず感想文になるが、生け花にも
アクティヴとリアクティヴがあるのではないか。立体(三次元)を意識
して生ける槻屋氏のような手法をアクトと呼ぶなら、以前カラニスで
拝見した木村節子氏の生け方は、むしろリアクトの感じがする。

 前者の花が、いわば彫刻的意思を見せて空間に在るなら、後者は
空間全体の気配に反応して、その結果、花を生ける行為が成された
かのように、いわば時間的行為と感じられたのだった。

 お花の生け方の素養なぞ皆目ない、物知らずの感想だ。

[8月28日追記:
 アクトとリアクトでなくて、空間的と時間的、だろうか?]


 今日は西荻窪まで、ちょっと。盛林堂の店頭で2冊。
 フレーザー『エイブヤード事件簿 死利私欲』(講談社文庫)と
長谷川伸『上杉太平記』(徳間文庫)。




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by byogakudo | 2017-08-27 20:09 | アート | Comments(0)
2017年 08月 26日

(1)グラスギャラリー・カラニスの「馬越寿展」へ

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 久しぶりに外出する。体調が戻って馬越寿展、最終日に
間に合った。

 馬越寿氏のガラス器、槻屋氏のいけばな、調香師・L こと、
香肆・きざし乃氏の香水。

 最新作は、仁清「色絵瓔珞文花生」のフォルムにヒントを得た
ガラス器だ。馬越氏の手で、アールデコ・タッチに変貌する。
 透かし模様入りの白いトップが天に向けて開き、真ん中の球体
部分の赤、黒いボトム、と着地する。
 このフォルムは墨黒やプラチナ彩でも用いられ、それぞれ違う
表情で存在する。

 口が菱形に開いた墨黒の花器は、わたしは初めて見た。
 ブルーやアンバーを混ぜて黒を作ると、仰っていた。大きな
墨黒の花器の内側に見える空色は、そういうわけか。

 壁に掛けられる小さなキューブや細長い直方体の花器、数々の
ビーダマ。白色を流し込んだビーダマのひとつは、『類推の山』
と名づけたくなるし、それより白の濃いビーダマは、『2001年
宇宙の旅』を思い出す。より透明度の高いものも、透明と見えて
アンバーが垂らし込んであったりする。ミクロコスモスなビーダマ
である。

 馬越作品の記号として、表面に刻まれた十字がある。大皿にも
やや小ぶりな壜のボディにも見られる。
 壁に香肆・きざし乃氏のデザインであろうポスターが貼ってある。
フライヤの拡大版であるが、フライヤと異なり、縁に版下用・レジ
スターマークが残してあるのが、馬越氏の十字と呼応しているみたい
で楽しい。

 見に行けてよかった。


     (「馬越寿展 いけばな・槻屋*香肆・きざし乃」
     @グラスギャラリー・カラニス 2017/08/26)

8月27日に追記~







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by byogakudo | 2017-08-26 20:30 | アート | Comments(0)
2017年 08月 25日

(1)大泉黒石『黄(ウォン)夫人の手 黒石怪奇物語集』を読み始める

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 まだ4篇読んだだけ。4作目の『不死身』はインターナショナル
な怪談だ。いきなり、
< 「私」と名乗る一人の芸術家があった。>(p69)と、始まる。

 その「私」なる芸術家が朝鮮に行き、400年生きている妓生・
李桂花の話を聞く。彼女はいまでも釈宗寺というお寺の墓地で
香華を売っているそうなので、会いに行く。
 という導入部から、李桂花との対話が記された「私」の日記に
なる。

 豊臣秀吉の朝鮮侵略時、李桂花は妓生だった。小西行長の陣屋
に切り込んだ金応瑞の部下、鄭甲の恋人だった。王朝が変わって、
ふたりは零落する。
 息子が生まれ、夫婦はその子の出世を夢見て生きようとする。
最低辺の肉体労働で口を糊したが、一年後、夫は倒れてしまう。
床に就いたきり起きられない。

< 「[略]様子を見ると夫の容態はひどく悪くなっていました。[略]
 その時、小さき家の周囲に起った鋭い叫び声は一体誰の咽喉から
 迸ったのでしょう! 窓の扉を掻き毟(むし)る[注:原文は手偏]音が
 聞えたのは何だったのでしょう!」
  と李桂花はその昔の恐ろしさに今一度出会うような怯える顔をした。
  「ああ! それはバンシーでしょう! 深夜家の窓に来て、獣皮の
 ような翼で扉を叩きながら、切れ切れな声で死ぬ人の名を呼ぶ悪霊
 です」
  「どうも左様らしいのでした。[略]」>(p75)

__朝鮮半島でも"バンシー"で通じるのかと思うが、あっさり通じる。

 夫の死後、彼女は男装して(息子にも母親が死んだことにして)、
昼は過酷な肉体労働、夜は女の姿に戻って商売をしながら息子を
育てる。その甲斐あって、18歳になった息子・鄭文は士太夫の試験に
合格する。
 息子は亡母のお墓に報告したいという。父親を演じていた李桂花は
父親が失踪したことにして自分は女に戻り、棺の中で舌を噛んで自殺を
試みたが、死に損なう。気絶しただけだった。

< 「[略]ちょうど妾が蘇生しようとする時、棺の外で、『アラ・アクバー』
 と呼ぶ声が聞えました。それは、神は偉大なりと云う言葉です。[略]」>
(p81)

 イスラム教が出てくるかと思えば、終わりの方で「私」は、彷徨える
ユダヤ人<『卑怯者のカタフイラス』[注:カルタフィルス]>(p83)
の話までする。
 不思議な作家だ。 


     (大泉黒石『黄(ウォン)夫人の手 黒石怪奇物語集』
     河出文庫 2013初 J)

8月28日に続く~




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by byogakudo | 2017-08-25 20:58 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 08月 24日

(2)グレアム・グリーン/高橋和久・他訳『見えない日本の紳士たち』読了

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~8月23日より続く

 永富友海 訳『八月は安上がり』は人情喜劇だ。最初、
『ヴェニスに死す』の廉価版・パロディかしらと思ったが
__語り手のイギリス出身・アメリカ在住・中年女性は、
安い8月のパック・ツアーで中米の島に滞在している__、
ひねくれた『デイジー・ミラー』みたいなものも感じる。
 若い娘・デイジーに相当するのが太ったアメリカ人の老人で、
彼に潜伏する子どもっぽさが、そう感じさせるのか。

 木村政則 訳『庭の下』のすばらしさに再度(2009年3月28日
に初読)、感激。

 作家がその体験(夢も思考も"体験"である)から小説を作り
上げるプロセスが描かれた作品だと、感想をつけ加えよう。
夢を記述する際の校閲作業なども、ときどき差し挟まれる。
 メタフィクションだが、骨格に皮膚が張りついたような、
よくあるそれでないのは、読者に共感を持たせる枠組(フレーム)
が設定されているからかしら? 死病かもしれない男が自分の
人生の出発点を見つめようとする、という始まりだ。

 鴻巣友季子 訳『慎み深いふたり』、いいなあ。

 モンソー公園のベンチで隣り合った中年男女。男はイギリス系
アメリカ人(アメリカよりヨーロッパに親しみを感じる)、女は
英語を話すフランス人、どちらも既婚。たしなみのいい二人が
(ときどきフランス語も混じる英語で)会話するようになった
きっかけが鳩だ。
 チンピラに蹴られて死にかけた鳩を、男が
< 「ちょっと失礼、あちらを向いてらしてください」>(p281)
と、首をひねって殺してやったことから距離が縮まり、会話を始め、
名前を名乗り、公園の近くのブラッスリで夕食を共にする。

<どちらもそれ以上なにか訊こうとは思わなかった。こんなによく
 知り合えた気がする相手はかつていなかった。なんだか満ち足りた
 結婚生活のようだった。たがいに意外な面を見いだす段階はすぎ
 [略]
 中年期を迎えてふたりの心はいま、静穏そのものである。それでも
 時間と死だけが敵として残り、食後のコーヒーは老境の訪れる前ぶれ
 のように思えた。こうなると、悲しみを瀬戸際で止めておくのには
 食後のブランデーが入り用だったが、飲んでも効果はなかった。
 ふたりは時間単位で生きる蝶のように、夕方からの間に一生分の
 時間をすごした気がしていた。>(p291)

 ふたりは連絡先を教え合うことなく、それぞれの家庭に戻る。


     (グレアム・グリーン/高橋和久・他訳『<グレアム・グリーン・
     セレクション> 見えない日本の紳士たち』
     ハヤカワ epi 文庫 2013初 帯 J)



 成瀬巳喜男「浮雲」のこのシーン(4:06 - 2017年8月23)は、
フォード・マドックス・ブラウン「イギリスの見納め」を参考に
していると、ずっと思っている。




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by byogakudo | 2017-08-24 20:33 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 08月 23日

(1)グレアム・グリーン/高橋和久・他訳『見えない日本の紳士たち』もう少し

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 グレアム・グリーンが好きだ。読みながら、つくづくそう確認する。
これ見よがしにならない、巧さ。巧さというより旨味。なぜこんなに
完璧なのだろう。

 心理劇みたような短篇が続くかと思えば、木村政則 訳『旅行
カバン』は不気味で不穏。イギリス風ブラック・コメディだ。

 ニースの空港カウンターで、母親が寄越した電報を二度読んで
から二つに裂いて、そのまま去った主人公という場面から始まる。
 飛行機内ではカバンの中身について、隣の女性客と妙な会話を
交わし、イギリスの空港でタクシーに乗っても、ちぐはぐな会話が
続く。母親と二人暮らしのフラットに着くと、ここでも、彼が帰って
きて喜ぶ母と、淡々と妙な話をする。

<母親のあとについて居間に入った。大好きな絵の位置が変わって
 いた。<<ライフ>>に載っていたヒエロニムス・ボスの絵である。
 「私の椅子から見えないようにしたの」と、息子の視線に気づいた
 母親が言う。>(p116)

 旅行には、洗ったらすぐ着られる、ナイロン製か何かの実用的な
シャツを用いる。ひと息ついたら、廊下に置いた旅行カバンを取りに
いって荷物を片づけようとする、実際的な男。
 
 荷物を片づけなきゃ、という場面で終わるので、読者はカバンの
中身を知ることはできない。"ボスの絵"というのが、彼の性格の隠喩、
あるいはヒントかしら? だとすると、大西洋の彼方には、彼の、
より過激ないとこ、ノーマン・ベイツが住んでいそうだが、どっちが
先に書かれたのだろう?


     (グレアム・グリーン/高橋和久・他訳『<グレアム・グリーン・
     セレクション> 見えない日本の紳士たち』
     ハヤカワ epi 文庫 2013初 帯 J)

8月24日に続く~



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by byogakudo | 2017-08-23 16:08 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 08月 22日

(4)H・R・ウェイクフィールド/鈴木克昌 他訳『ゴースト・ハント』読了

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~8月18日から続く

 非常にどうでもいいことだけど(どうでもいいから却って気になる
のだけど)、倉阪鬼一郎 訳『不死鳥』で、ついに、

<キャノピーはここでいつの日か災難に見舞われるかもしれない。 
 十分起こりうることだ(タローカードでも「塔」は凶兆である)。>
(p369-370)

__"タローカード"表記! タロットカードじゃない! あんなに
都筑道夫が、"タロー"であって"タロット"ではないと力説(?)して
いたのに、長年改められることのなかった"タローカード"、ついに
出現!
 これもパソコン普及以来の近年の、原音表示傾向の影響だろうか。
なんにしても、めでたいと、個人的に言祝ぐ。

 家や場所に怪しい気配がある。感受性の強い人が惹き寄せられ、
傍目には狂気に陥って自滅するようなパターンの、さまざまなヴァリ
エーションがウェイクフィールドの作風だと思う。物の怪は音や振動
で存在を示すが、姿は三次元のリアル描写ではなく、気配として
間接的に描かれる。
 それでも強烈な力を発揮するのだが、最後に収録された『蜂の死』
になると、とうとう、物の怪が実体化して、感受性の強い人だけでなく
周囲の人々にも影響する。近年の(といってもスティーヴン・キング__
読んでない__等が頭にあるので、少なくとも40年以上の歴史をもつ)
ホラー小説に近づいている。体力派ホラーと、わたしは呼ぶが、ウェイク
フィールドでは、近づいてはいても、そこまでではない。

 間接的な描き方では伝えきれない時代になった、ということかもしれない
けれど、直接性が、それほど信頼(?)できる手法だろうか。
 スプラッタ・ホラーと爆音が理解できない。ぎりぎりまで接近したいと
いう欲望は分かるが、ヒトは言葉でできているので、表現を放棄することは
できないし...。

     (H・R・ウェイクフィールド/鈴木克昌 他訳『ゴースト・ハント』
     創元推理文庫 2012再 帯 J) 



呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/呪 吐爛腐/

 共謀罪強行成立記念! 安倍政権の暴挙を忘れないために振り返る
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by byogakudo | 2017-08-22 16:10 | 読書ノート | Comments(0)