猫額洞の日々

byogakudo.exblog.jp
ブログトップ
2017年 06月 14日

東松原でリハビろうとする

e0030187_19421024.jpg












 あんまり調子がよくないので出かけなかったら、てきめん、
歩けない。日曜日(11日)に業を煮やして地下鉄・南阿佐ヶ谷
から五日市街道沿いのFLAVORまで歩いたら、疲労。暑かったし。

 満を持した今日は新代田駅行きバスで大原町下車、東松原
東亜に倒れ込む。ちょうど陽が射してきた2pm頃に部屋を出た
ので(日傘を取りに戻って、また出た)、アイスコーヒーで
息を整える。
 帰り方を考える。冷たいもので内臓を冷したら古書 瀧堂
立ち寄る元気が出た。

 店頭に『暮しの手帖』が3列、平置きで並ぶ。いちばん左が
1960年代刊、真ん中が70年代、右が大判になった80年代。
やっぱり、いちばん左の列がチャーミング。

 店内で文庫棚を見る。山田風太郎『人間万事嘘ばっかり』
(ちくま文庫)が欲しいんだけど、BOの半額棚でも覗けばいい
のかしら?

 リディア・アリックス・フィリンガム『フーコー』(ちくま
学芸文庫)、種村季弘『雨の日はソファで散歩』(ちくま文庫)、
ドロシイ・セイヤーズ『箱の中の書類』(HPB)を買う。

 レジ前に置かれた恩地孝四郎の箱入り本(タイトルを忘れた、と
いうか、古本屋を止めたら覚えようとする意志が失われたみたい)
が、すてきだった。小ぶりなサイズといい、版画(木版)入りで
あったり、丁寧な造本だ。

 環七からバスでお祖師様まで戻る。行きも帰りも猫を見かけた。
今朝はアカトラ猫を飼おうとする夢をみる。Nimが死んで今日で
7ヶ月。



呪 吐爛腐/呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/

 安保法昨年採決時 衆院、抗議で大量退席 参院、野党5党が反対 
『東京新聞』2016年3月30日


 (上記の)PDFファイル





..... Ads by Excite ........
[PR]

# by byogakudo | 2017-06-14 20:59 | 雑録 | Comments(2)
2017年 06月 13日

自己愛から他罰へ/日本人は変わらない、?

e0030187_2111487.jpg












<ネット中傷では、被害者を追い詰める基本の三段活用があります。
 一度疑われてしまうと、最初は『事実無根を証明しろ』なんです。
 そしてそれを否定したら次は『火の無い所に煙は立たない』。
 そして最後は『死んで証明しろ』『死ね』ーー。これで、だいたい
 皆追い詰められてしまいます>

<僕の場合、まず匿名の集団が敵だった。そして、それを煽ったのが
 元警察官だったわけです。本が出版されたあと、警察に行っても、
 『その元警官って誰? あんたが調べてきなよ』って言われる。
 もう敵ばかりで、誰が味方なのか分からなくなってしまった。>

<『ネットを見なければいい』『気にしなければいい』と、必ず言わ
 れる言葉なんです。でも、万が一、僕と一緒に住んでいる彼女や
 家族が本当に殺されてしまった場合には、僕の落ち度になるん
 ですよ。ネットでの脅迫を知っていたのにもかかわらず放置した、
 として>

 ネット中傷の三段活用…最後は「死んで証明しろ」
【スマイリーキクチさん・上】



<――中傷の書き込みを続けていた人たちが「スマイリーキクチは
 殺人犯だ」という根拠のない話を真実だと信じきって拡散したり
 攻撃したりする感覚も分からなかったのですが。

 捕まった19名のうち18名は、書き込んだ理由を『正義感だった』
 と話していました。要するに、僕のことを殺人犯だと本気で思い
 込んで書いていた。そして、自分たちは間違った情報に騙された
 被害者だ、というわけですね>

<ネットのデマは裏は取れないし、裏が取れないからこそ、真実の
 ように情報が一人歩きするんですよね。デマのわかりやすい特徴は、
 証拠も裏付けもない。だから逆に信じるんです。いくら僕が事実
 無根を証明しても、書かれたことが事実であると信じてしまう。>

<――19人のうち 18人が「正義感」からの犯行だったとのことですが、
 残りの1人の動機は何だったのでしょう。

 『祭り』みたいな感覚で遊びでやっていたそうです。僕のことを脅迫や
 中傷をしていた人間が、事件の加害者と同じような感情を持っているな
 と思ったんです。抵抗できない人間に対して集団で襲いかかるわけです
 から。>

 中傷被害を乗り越え「ネットの力をプラスに活かしたい」
【スマイリーキクチさん・下】



 敗戦後の街頭インタヴューで、「わたしたちは軍部に騙されていた」
と語った人の子孫が、共謀罪に無関心で、法案の議会通過を無言で
承認する。その当人あるいは子孫が後に、「知らなかった、騙されて
いた」と述懐する。

 強姦被害者が未だに「スキがあったからだ」と他罰愛(?)に発する
自己責任を押しつけられるように、web上で中傷される被害者は自己
責任を強要される。

 貧困が排外主義を生むのかと考えていたが、おそらく違う。貧困への
"怖れ"が排外主義になる。
 中国人は嫌いだけど台湾人は好きと、無邪気に(?)言ってのける人も、
在日の人たちが生活保護費をだまし取っていると言う人も、貧苦に喘いで
いなかった。
 ゆるやかなファシズムの雲の中で発せられる言説。


<乱世は信念を作らない。信念を作るのは、乱世に処する詩心である。
 『現代日本私注』>
(加藤周一bot 20:35 - 2017年6月12日)

<どういう価値を優先するか、その根拠はなぜかということを考える
 ために必要なのが教養です。それがないと、目的のない能率だけの
 社会になってしまうでしょう『教養の再生のために』>
(加藤周一bot 18:35 - 2017年6月12日)

<国の場合に限らず、その対象が何であっても-神でも、人でも、
 樫の木でも菩提樹でも、すみれでも野ばらでも、「愛」は外から
 強制されないものであり、計画され、訓練され、教育されるもので
 さえない「愛国心について」『夕陽妄語8』>
(加藤周一bot 15:35 - 2017年6月12日)



呪 吐爛腐/呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/





..... Ads by Excite ........
[PR]

# by byogakudo | 2017-06-13 19:39 | 雑録 | Comments(0)
2017年 06月 12日

夢と香り__親密性(遁走性/再現性)

e0030187_14263878.jpg












 夢と香りは、親密性と持続の希薄さの点で似ている。

 悪夢のさなか、もう逃げ場がないところまで追いつめられる。
そこでやっと目が覚めて、自分が”そこ”にいるのではなく、”ここ”
にいるのを確認するが、夢の中での迫真性は疑いようもなく、夢は
"それを見ているわたし”という身体と、ほぼ一体化して親密である。
 だが、目が覚めてしばらくすると、親密さは急速に失われる。夢は
遁走する。夢は(言葉で)記憶された後、遠く希薄な、夢の記述に
変貌する。

 香りも在りようが似ている。むかし、パコ・ラバンヌの「カランドル」
をよく着けていた時期があった。香りを言葉にするのは難しいが、それ
自体は地味な印象の匂いである。
 しかし地味なタイプの女が身に着けるとき、香りの表情が変わる。
華やぎはないが、ひっそりと、だが静かに複雑さを伝える香りになる。
 そして、あんなに親密に身にまとっていた匂いも、時の経過が親密さを
奪う。夢と同じように、遠くうっすらとした香りの記憶、いまはここに
ない、逃げ去った、記述された記憶の中にしか存在しなくなる。

 夢をみる。これは以前、夢の中で来たことのある場所だと気がついたと
しても、まったく同一の夢をみて、同じ展開を取ることはあり得ない。
 かつての香りを嗅いだとする。そのころの”わたし”の記憶はあざやかに
甦るだろうが、いまの”わたし”の身体と親密な匂いになるかは分からない。
 "わたし"は、かつて若い女だった”わたし”の延長である身体を持つが、
まったく同一の身体ではないのだから。

 夢は遁走する。逃げ足が速い。"わたし"の夢の記述を読み返しても、
もはや他者の夢の記憶に等しい遠さだ。
 香りを嗅ぐ。あのときの記憶がまざまざと再現される。同じように
"身体"を場とする親密な行為なのに、この点で真反対を向く。
 これは言語化・可能域のちがいによるのか。



呪 吐爛腐/呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/





..... Ads by Excite ........
[PR]

# by byogakudo | 2017-06-12 20:08 | 雑録 | Comments(0)
2017年 06月 11日

松葉一清『集合住宅__二〇世紀のユートピア』を読み始める/(3)風太郎『秀吉はいつ知ったか』に追記

e0030187_2242575.jpg












 『まえがき 集合住宅にユートピアを求めて』より__

< 一九八〇年代以降、ポスト・モダンの流れのなかで、
 「集合住宅団地」は画一性を批判され、暮らしを無味
 乾燥なものに貶めた張本人と指弾された。
 [略]
 モダニストは「ユートピア」の夢を語らなくなった。
  ユートピアンに賛同してモダニズムは隆起したはずだ。
 多くの若い世代が、モダニズムの始祖たるル・コルビュ
 ジエを信奉したのは労働者住宅を手がける社会性に共感
 したからだった。そこを忘却し、モダニズムを純粋幾何学
 に根ざした建築理念として、専門の枠内に囲い込んで純化
 して継承しようとするのは、「森を見る力」をなくした
 「木の凝視」への逃避でしかあるまい。
  もう一度、集合住宅を手がかりに「ユートピア」を探そう。
 [略]
 「公共の後退」のなかで、「夢物語」こそが無気力の支配する
 現実を打破する力を秘めている。>(p009-010)

 『第1章 軍艦島』は職住近接、「社宅」の島である。25棟の
集合住宅が「都市計画」もなく、夢想家たちの「施し」「慈善」
でもなく、「技術」的に存在した。

<「三十号棟」が「鉄筋」に替えて、ワイヤーロープを解体して
 縒り合わせたものを使ったことが明らかにされている。これは
 海底炭坑の掘削・維持のための技術を、最初のコンクリート
 住宅建設に応用したもので>ある。(p030-031)

 いちばん低層で3階建て、最高層が9階建ての「社宅」には
エレヴェータがない! その代わり、
<屋外階段が、複数の鉄筋コンクリートの建物に取りつきながら
 昇降している[略]。
 もともと、きちんとした住棟配置の計画があったのなら、そんな
 ものなどつくるはずがない。
 [略]
  住民が悠々と行き交えるような幅広い半屋外の廊下もあれば、
 上下階を中庭の空間で結ぶ階段も執拗なまでに設えられている。>
(p033)

 都市計画はないけれど、技術と工夫がある風土、日本。
 
     (松葉一清『集合住宅__二〇世紀のユートピア』
     ちくま新書 2016初 帯 J)

~6月10日より続く

 山田風太郎は『秀吉はいつ知ったか』で、歴史に関すること
だけでなく、都市の美についても何度となく語る。ヨーロッパ的
都市計画がない、ごちゃごちゃした街並を、彼は厭う。

 『今昔はたご探訪__奈良井と大内』の大内で、茅葺き屋根
の住宅群を見る。

< ただ、みものである茅の屋根群のなかに、近年変えたらしい
 赤や青のトタン屋根がいくつかある。プレハブの建て増しを
 やっている家もある。これが甚だ目ざわりであり、残念だ。>
(p281)

 茅葺き屋根に混じったトタン屋根は、わたしも目ざわりに感じる
だろうが、しかし東京なんぞの、ごちゃついた街並の中に在る錆びた
トタン板のもたらす哀愁は、悪くないと思う。むしろ好ましい。

 木造モルタルで夢見られる王国は永遠に、美に到達しようとする
意志の運動であり続ける、ともいえるし、丹下健三の電通ビルや
代々木第一体育館に見られる雄の意志と隣り合うにふさわしい、
日本的なるものではないか。
 左右対称を破り、不完全さを意図する日本の心性とも、図らずも
合致してしまう(じゃないか)。

 山田風太郎はヨーロッパ的・幾何学精神の持主だ。忍法帖は
二項対立的に存在する二つの勢力の争闘譚であり、後の明治もの
にしても二項対立の物語構造である。不完全さに、あるいは不足に
美を感じる日本的心性とは真反対な、完全美を求める。

 彼の子ども時代から青年期が戦争の時代であり、幼くして(若く
して)両親を失ったことが、規範秩序を求める思い、幾何学精神に
至ったのではないかしら、とも考える。


     (山田風太郎『秀吉はいつ知ったか』
     ちくま文庫 2015初 帯 J)



呪 吐爛腐/呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/





..... Ads by Excite ........
[PR]

# by byogakudo | 2017-06-11 21:32 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 06月 10日

(2)山田風太郎『秀吉はいつ知ったか』読了+α

e0030187_9195265.jpg












~6月8日より続く

 『III 歴史上の人気者』の『敵役・大野久郎経兵衛の逆運』より__

< 彼[注:大野久郎経兵衛]は、[略]義挙には加わらなかった。
 彼にいわせれば、復讐などまったくの筋の通らない狂気の論理で
 あったにちがいない。
  殿さまが切腹を申しつけられたのは痛恨の至りだが、しかし殿中
 で刃傷(にんじょう)をしかけたのは殿さまであって、吉良のほうは
 無抵抗の被害者である。
  おいたわしいが殿さまの切腹もやむを得ないことであって、しかも
 それは吉良の意志とは無関係の幕府の幕法による処罰である。それを
 吉良に向かって恨みをむけるなど、公平に見て外道(げどう)の逆恨み、
 これは敵討ちにもならぬではないか。
 [略]
  彼の論理は、ついに世の容(い)れるところとならなかった。大衆の
 喝采(かっさい)を受ける正義はいくぶん狂気の分子をふくんでいる。
 大石内蔵助はそれを知らずして満足させたのである。と、いいたいが、
 内蔵助はおのれの狂気の論理が大衆を満足させることを看破していた
 のではないかと思われるふしがある。
 [略]
  事実でも物語でも、赤穂浪士事件の最大の被害者は吉良上野介
 だが、大野久郎兵衛やその一族子孫の薄運は、「大衆の正義」の
 いけにえというしかなく、その狂気の分子を含んだ正義をみずから
 はおこなう勇気を持たない民衆のうさばらし、もっと正確にいえば
 卑劣な残虐性によるといってもよさそうである。>(p228-233)

__わたしもそう思う。「忠臣蔵」の非論理性が、どうにも受け入れ
難いのだ。民衆の怒りのエネルギーが幕府に向かうのを恐れて、吉良
上野介をスケープゴートにしたのが「忠臣蔵」物語である。

 いまでも、いつでも使える大衆操作方法。

     (山田風太郎『秀吉はいつ知ったか』
     ちくま文庫 2015初 帯 J)

6月11日に続く~



呪 吐爛腐/呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/

 加計学園については、文科省では形だけ再調査します、第三者は
入れません、内閣府では調査しません、という引き延ばし作戦で
お茶を濁し、会期切れ近くに「十分な質疑検討時間、30時間が
過ぎた」と称して自民・公明・維新、三党による賛成多数で、
共謀罪の参院通過・成立させるつもりだろう。
 解散総選挙に追い込む方法はないのかしら。


<「安倍首相が『徹底した調査をやるように』と指示した」という
 恰好をつけることで、「いい感じ」で都議選に突入したいと。
 この「総理指示」をリークしまくる。一方で調査をだらだら
 引き延ばしできれば会期中には結果を公表したくない。したと
 しても「問題ない」とする。 #加計学園>
(11:36 - 2017年6月9日)


 安倍総理の答弁を可視化する。質問に答えるのに何分かかる?

__耳で聞くよりは耐えられるが、読むのもなかなかに苦痛な
亜屁沈臓・答弁術(?)である。国民を疲れ果てさせようという
目的で、この話法を用いるのか。それとも馬鹿で気狂いだから、
こんな話法になるのか?





..... Ads by Excite ........
[PR]

# by byogakudo | 2017-06-10 20:36 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 06月 09日

精神衛生のために+α

e0030187_18384663.jpg












 息苦しい毎日。

 6月6日(火)付け「東京新聞」夕刊1面に、文科相・松野博一
の6日午前の会見記事があった。

 加計学園・獣医学部新設計画の件で、
<文部科学省内で共有したとみられるメールの写しが新たに
 見つか>り、
 また、 
<NHKの取材に対し、現役の職員を名乗る男性が文書が
 メールで共有されたことなどを、匿名で顔を出さずに証言
 して>いる。

 松野博一は、
<「報道があったことは承知しているが、実際にそれが文部
 科学省の職員から発言があったかどうかについて確認する
 ことができないので、それを前提にした質問に答えることは
 差し控えたい」とした。
 記者が、
  「(職員が)実名で顔も出して告発すれば検討するのか」と
 ただすと、
  「こういったところから出て、ということが明らかになれば、
 調査に関して対応をしっかり検討する」と話した。>
__つまり、内部告発者の保護なんかさせないぞ、と言ったに
等しい。

 それから3日後の今日・6月9日(金)、夕方のTVニュースで見た
松野博一は、神妙な顔で再調査すると言う。
 いつもは木で鼻を括る話法の菅義偉は、うつむいて悄気た表情で、
文科省が再調査するということを聞いた、とのみ答える。前文科省
事務次官・前川氏を、<民間人の発言>と、明治以来の"官尊民卑"
思想でシカトしていた菅義偉が。

 あやしい。
 いざとなれば自民公明維新で共謀罪を強行採決しちゃえば済む話、
と決め込んでるから、TVカメラの前では一応、殊勝な顔をして見せる
だけなのではないか。都議選が近いから。
 共謀罪を通してしまったら、もうこっちのもの。歯向かった連中、
待ってろよ、ただじゃおかないぞ、一網打尽だからな、と秘かに
腕まくりしていかねない安倍晋三・一味である。



呪 吐爛腐/呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/





..... Ads by Excite ........
[PR]

# by byogakudo | 2017-06-09 20:53 | 雑録 | Comments(2)
2017年 06月 08日

(1)山田風太郎『秀吉はいつ知ったか』1/3+α

e0030187_14495840.jpg












 発表媒体は様々、書かれた年代も1960年から96年まで。
"歴史"をメイン・テーマにしたエッセイ集だ。

 『II わが鎖国論』の『新貨幣意見』より__

< ヨーロッパ旅行などして、最も頭をナヤますものの一つに
 通貨のことがある。
 [略]
 日本の場合、円一本、というのは単純明快で、はなはだ結構
 である。
  それはいいのだが、問題はそれにゼロがくっつきすぎることで、
 [略]
 国家予算十兆円、なんてことになると、一〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇、
 一見して、数字だか戦前の伏字文学だか、わけのわからんものになる。
  そこで先年来、ひそかに新貨幣の問題が出たりひっこんだりしている。
 いわゆるデノミネーションで、[略]
  ところで、その新貨幣の名称をどうするか、[略]
 「両」「貫」なんて単位が復活するかもしれない。一万円を一両として、
 不貞の慰謝料七両二分、なんてのも悪くない。
 [略]
  このごろ[注:初出は「小説宝石」1968年11月号]日本の近隣諸国
 などが援助を申し込んで、日本政府がシブチンをきめこむと「日本には
 誠意がない」とがなりたてて、たちまち漁船などをつかまえはじめる。
 [略]
  誠意、すなわち金のことではないか、[略]
  どうでしょう、新貨幣の名称を「誠意」としたら? [略]
 フランスの金にも一スー(五サンチーム)という銅貨がある。セイー、
 おかしくないじゃありませんか。
  「月給をあげろ、もう三十誠意をよこせ」
 [略]
  「五十誠意ならホテルへいっていいけれど......」
 [略]
  「某代議士、百万誠意を収賄」>
(p64-66)


     (山田風太郎『秀吉はいつ知ったか』
     ちくま文庫 2015初 帯 J)



呪 吐爛腐/呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/

<【森ゆうこ!】「答えて下さい!こんなの行政じゃない!
これで国民が納得するというんですか!見せましょうか?
今治の資料全部」
 委員長「時間が過ぎております」
 森「動かぬ証拠!~お開きだよ こんなの!」>
(23:43 - 2017年6月7日)





..... Ads by Excite ........
[PR]

# by byogakudo | 2017-06-08 20:52 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 06月 07日

カレル・チャペック/石川達夫 訳『チャペックの犬と猫のお話』読了+α

e0030187_134953.jpg












 店をやっていたころ、文庫本でも単行本でも売ったし、
テリアのダーシェンカの写真が可愛くって、好きだった。
 しかし一冊を読み通したのは、今回が初めて。

 『子犬の写真をうまく撮るには』より__

< この写真撮影の苦労の中でもいちばんおもしろいのは、
 子犬の姿が現れてくるときだ(暗室の現像液の中での話
 だが)。まず初めに、黒い鼻面が出てくる。次に、黒い目が
 輝き出し、黒い耳が現れる。やはり、写真の中でも真っ先に
 鼻を出すというのが、いかにも子犬らしい。>(p101)

 『犬についてもう少し、それから猫について』の『猫』
より__

<人間の中にいる猫は、ただの猫だ。猫の中にいる猫は、
 ジャングルの中を這う影だ。
 [略]
 あなたに対するとき、猫は、一匹狼的な野獣の影ではない。
 あなたにとっては、単に、家のニャン子ちゃんだ。というのも、
 あなたを信頼するからだ。野獣というのは、信頼しない動物
 のことだ。家畜化というのは、単純に、信頼の状態のことだ。
  そして人間よ、私たち人間だって、互いに信頼し合う限りに
 おいてのみ、野獣ではないのだ。
 [略]
 不信の状態は、原始的な野生の状態だ。不信はジャングルの
 法だ。
  不信の育成によって生きる政治は、蛮地の政治だ。人間を
 信頼しない猫は、人間の中に人間を見ず、野獣を見ている。
 人間を信頼しない人間もまた、人間の中に野獣を見ている
 のだ。相互の信頼の絆はあらゆる文明よりも古く、それが
 ある限り、人類は人類としてとどまるだろう。けれども、
 信頼の状態をこわすならば、人間の世界は猛獣の土地と
 なる。>(p188-190)


     (カレル・チャペック/石川達夫 訳『チャペックの
     犬と猫のお話』 河出文庫 1998初 J)



呪 吐爛腐/呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/

<民進党の宮崎議員が質問してる最中に「いい加減なことばっか
 言ってんじゃねえよ!」とかヤクザみたいなヤジを閣僚席から
 飛ばす安倍ちゃんの衝撃の姿がNスタで流れた。しかも指名され
 てもいないのに「じゃあ答弁させろよ!」とか逆ギレしてるし
 さあ。 これが我が国の総理大臣なのかー(Ꙩ௰ꙩ)>
(1:55 - 2017年6月5日)

<アレ「得ないんですよ。で、最終的にはですね、最終的には、
 何でも、どんな仕組みであれ、最終的に決めるのは、内閣総理
 大臣ですよ(ゾゾッ)(宮崎「違います」)、そして、どんな、
 色んな会議、たとえば、経済、経済再生諮問会議だって、私が
 議長です。様々な議長があります。でも私が、そこで>
__この前後に、悪夢のような独裁者・亜屁沈臓の答弁(?)・
書き起こしが続く。
(1:28 - 2017年6月5日)





..... Ads by Excite ........
[PR]

# by byogakudo | 2017-06-07 15:49 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 06月 06日

(4)谷崎潤一郎『潤一郎ラビリンス II マゾヒズム小説集』読了+α

e0030187_1941750.jpg












 写真は、阿佐ヶ谷〜荻窪間のどこかで。角地の住宅脇に
野ざらしで置いてあった。

~6月2日より続く

 全篇読んだ。大正14(1925)年発表の『蘿洞先生』も、
昭和3(1928)年の『続蘿洞先生』も何だか、がっかりする。

 "蘿"の意味を検索して、ふーん、マゾヒスト=隠花植物と
いうネーミングなのか。次いで、ヒカゲノカズラの画像検索も。
 ほんとに手っ取り早く便利な時代だ。手書き日記だったら、
(もっぱら画数から引く)漢和辞典で調べ、どんな植物かを
知るために植物図鑑を取り出しと、時間と体力を要する。
 今は手軽に身軽に知識が得られる。すぐ忘れる。手書き
しないから漢字が書けなくなる。

 『蘿洞先生』が退屈なのは、マゾヒストである主人公、洋行
帰りの学者・蘿洞先生が語るのではなく、先生を訪ねてきた
<A雑誌の訪問記者>(P155)の視点で書かれているせいもある
だろう。

 何を聞いても口の重い蘿洞先生との不成功に終わったインタヴュー
の帰るさ、記者は若い女中が先生の書斎に入っていくのを見かける。
 好奇心から透き見すると、

<間もなく小女は、なお先生の胴体に腰かけたまゝ、小さな一本の
 籐の笞を取り上げ、片手で先生の髪の毛を掴み、片手で先生の
 太った臀をぴしぴし[注:原文は踊り字。頻繁に出てくるもので、
 "踊り字"と"ローマ数字"の項目をお気に入りに入れた。]と打った。
 すると先生はその時始めて、少しばかり生き生き[注:原文は踊り字]
 とした目つきをして「ウー」と呻ったようであった。__此の光景を
 物の半時間も覗いていた記者は、変な気がして、コソコソ逃げるよう
 に裏庭を出た。>(p171)

 30分も覗いていた挙句<変な気が>するのも、それこそ変だが。

 いつもいつも『饒太郎』みたように、マゾヒストの一人称・視点で
書いていくのは気力が要るし、第三者の視点で書いてみたいときも
あるだろうが、後者で書いて、たんに安っぽいセンセーショナリズム
にならないよう抑えるには、それなりの書き方が必要だろう。

 ということは、この巻では、第一篇の『饒太郎』がいちばん好かった
のか...。中途半端に読解力がつくと、ろくなことにならない。

 小林信彦『回想の江戸川乱歩』、小林兄弟の対談から引用する。

信彦 あの人[注:乱歩]は、谷崎潤一郎と宇野浩二を尊敬してるん
 だけど、谷崎潤一郎を『宝石』の対談とか座談会に、何とか引っ
 張り出そうとしていたね。谷崎潤一郎って、三島由紀夫が<自分の
 売り方を一番知ってる人>って言ったとおり、そういう席には絶対
 出てこなかった。江戸川乱歩にはとても好意を持ってるんですよ。
 だけど、出てこなかった。>
(p50 『もう一人の江戸川乱歩』『回想の江戸川乱歩』 文春文庫)


     (谷崎潤一郎『潤一郎ラビリンス II マゾヒズム小説集』
     中公文庫 1998初 J)



呪 吐爛腐/呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/

 ヘイトスピーチ 「失うものばかり」後悔の元「突撃隊長」

 「共謀罪」過剰反応、リットン調査団重なる by加藤陽子氏

<当時、読書新聞で、開高健氏が江戸川乱歩インタビュウを
 書いていて、たしか「顔を洗ったような話ばかりでつまらない」
 といった表現があり、すでに乱歩さんの面識を得ていたぼくも、
 これはうまい言い方だと思った[略]。
 乱歩さんの話をうかがっていると、常識的でじりじりしてくる
 ことがあった。それが社会人としての顔であるのは充分承知して
 いても、例の<暗い空のどこかでドロドロと音がする>方の顔は
 どこへ行ったのだろうかという思いを禁じ得なかった。>
(p66 エッセイ『回想の江戸川乱歩』『回想の江戸川乱歩』 文春文庫)


 わたしは、いわゆる"政治的な"事柄に関して、公式発表めいた"建前"
の言葉しか発しない。
 "本音"も"建前"も言語行為である。どちらもフィクショナルな行為だ。
わたしは内心では"建前"を信じきっていないように、"本音"もまた信じて
いない。その時点で、そう感じている、というだけの言葉ではないか。
 ただ、どちらを好むか。

 母は60歳ちょっとで亡くなった。癌だと判ったとき、もう手遅れだった
ので、モルヒネ投与しかなかった。投薬が重なり、幻覚を視る。
 「ベッドの足下に、ほら、緑色の人がいるじゃない」。

 姉も見守っていたときだったか、いきなり、怒りを込めて、
 「あたしがこんなにオレンジが食べたくてしかたないのに、あんたたち、
何にもしてくれないのね」と言ってすぐ、
 「ごめんなさい。ひどいこと言っちゃって」と打ち消した。

 わたしは行儀の悪い"本音"より、礼節ある"建前"が好もしい。選べと
いうなら、こちらのフィクションを取る。





..... Ads by Excite ........
[PR]

# by byogakudo | 2017-06-06 15:08 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 06月 05日

鈴木創士氏のコラム『第87回 真の生活』

e0030187_1343142.jpg












 6月の鈴木創士氏のコラムは、『第87回 真の生活』

<だけど、誰もがすべての息の根をとめることを渇望していたとはいえ、
 実際に、その瞬間、誰が自分のことを駒だと考えただろう。そんな
 ことは無理であるし、実際、無理だったのだ。>





..... Ads by Excite ........
[PR]

# by byogakudo | 2017-06-05 13:45 | 読書ノート | Comments(0)