2017年 03月 18日

(3)クリストファー・プリースト/中村保男 訳『ドリーム・マシン』まだまだ

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~3月16日より続く

 1977年に刊行された原作だが、物語の出発地点は1985年と、
ごく近未来に設定されている。どんな時代に仮装されているかと
いうと、現在時である1985年は、

< [注:ウェセックス計画の]参加者の大半は都市の出身者であるか、
 ないしは現在、都市に居住しており、少なくとも半数はロンドンの
 人たちなのだが、目下、都会での生活はとても快適とは言えない。
 住宅は払底の度を加えつつあり、一日以上あけてある家には、
 ほとんど自動的に不法占拠者が住みつくという事態が起きている。
 [注:ヒロイン、ジューリアの同僚である]メアリー・リカードの
 場合がまさにそれだった。さらに、暖房費や燃料費が異常に高騰し、
 食料不足が相継ぎ、従って闇取引が盛んとなっているために、まだ
 少しはのこっている責任ある新聞の報道によると、平均的な都市
 生活者の日常生活は、まさに野蛮状態に近づきつつあるとのこと
 だった。こういった状況に加えて、暴力犯罪発生率の絶えまない
 増大とテロ襲撃事件の激増とが相俟(ま)って、市街地から二十マイル
 以上離れたところならどこでも一時の避難場所になってくれるという
 のが現状だった。>(p151)

 夢見られたウェセックス(2135年)から連れ戻されたジューリアが
聞く1985年のニュースは、

<北アイルランドから英軍が撤収して以来、忠誠派(ロイアリスト)の過激
 分子が準軍隊的なスコットランド独立グループと結束し、二年前から、
 英国各地の都市で猛烈な市街爆破キャンペーンが行なわれていた。
 ジューリアが投射器に入っていた三週間のうち二週間は一時休戦状態
 だったが、スコットランド議会が__ウェストミンスター筋の公表に
 よれば選出議員たちを保護する目的で__英軍部隊に包囲された当日、
 バス大爆破事件がロンドンとブリストルで発生し、同時に、ロンドンで、
 ラッシュアワーの地下鉄電車内で爆弾が破裂した。死傷者は恐るべき
 数にのぼり、このあおりを受けて、英国全都市の公共輸送機関が運行を
 停止した。ニュースはこのほかにもまだあった。中東で戦争が再発し、
 ドルが危機に直面し、王家の人が懐妊した......>(p182)
 
 パンクロックが出てくる時期のロンドン風景だ、やや拡大版の。

     (クリストファー・プリースト/中村保男 訳『ドリーム・マシン』
     創元推理文庫SF 1979初 J)



呪 吐爛腐/呪 心臓亜屁/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/

 3月16日(木)付け「東京新聞」夕刊で知った「マガジン9」より、
『雨宮処凛がゆく!』第406回 「ゆるふわ系愛国」のゆくえ〜
安倍昭恵氏と稲田朋美氏、そして森友学園〜の巻


 漠然と感じているイメージは名づけなければ、きちんと論じる
こともできないが、命名行為によって逆にそれを承認、存在させる
作用もある、当然だが。

 むかしはたんに馬鹿と呼んだ。いまは馬鹿にも微妙な差異を認めて、
"天然"だとか言う。馬鹿は個性の発露であり、自己責任は問われない
風潮なのか。

 "ポスト真実"なんて命名も、問題ではないか。嘘か本当のことか、
どっちかだろう。
 "ポスト真実"は、かつて使われた"ごまかし"や"言い逃れ""いんちき"、
"でたらめ"に"出放題な嘘"、これらでは伝えきれない状況なのか。

 籠池泰典が国会に証人喚問されて答弁し、もし、それは嘘だと証拠を
突きつけられたら、
 「記憶に基づいて答弁した。訂正し、おわびしたい」と言えばいい。
 女で国会議員で大臣である稲田朋美だから許され、男で民間人である
籠池泰典には許されない、では道理に悖る。





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# by byogakudo | 2017-03-18 19:58 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 03月 17日

シャセリオー展に行く

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 ハンマースホイ展以来の上野、国立西洋美術館。あれが9年前。
時間が容赦なく過ぎる。

 シャセリオーが日本ではあまり有名ではないからか、彼の時代の
前後左右に位置する画家たちの作品も交えての公開だ。
 アングル、ドラクロア、ギュスターヴ・モロー、オディロン・
ルドン...。

 近代はオスカー・ワイルド(1854年-1900年)から始まるのかも
しれないが、もう少し前、シャセリオー(1819年-1856年)から
始まったというべきではないか。
 シャセリオーからレオン・スピリアールト(1881年-1946年)
への線が1970年代・高円寺の感受性につながる、とわたしは思う
けれど。

 あの青と緑のあいだの色彩を愛すること。それは、ギュス
ターヴ・モローの影響が強いだろうが、その大本はシャセリオー
であり、モローやルドンが継承したのだ。孔雀の羽根色でもある
青緑色、フォカス氏に取り憑く、不吉な目の色である、あれらの
色彩。

 『放蕩息子の帰還』の左下隅を占める/締める、黒い犬の顔と
犬の目。馬たちの目の愛らしいこと!

 雑誌から切り抜いた『エステルの化粧』を画鋲で、うすい
灰青色の漆喰壁に留めていた、中学生の頃。
 シャセリオーは始まりで在り続ける。

 シャセリオー展は、5月28日(日)まで。

     (2017年3月17日 於・国立西洋美術館)




呪 吐爛腐/呪 心臓亜屁/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/





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# by byogakudo | 2017-03-17 20:51 | アート | Comments(0)
2017年 03月 16日

(2)クリストファー・プリースト/中村保男 訳『ドリーム・マシン』をゆっくり読む

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~3月15日より続く

 やっぱりこれは原題を直訳して、『ウェセックスの夢』とか
少しずらして『ウェセックスを夢見る』とかにした方がよかった
のではないかしら。たしかに「リドパス投射器」というドリーム・
マシンを使って、1985年現在から2135年のウェセックスを視る
試みではある。
 『ウェセックスの夢』ではSFぽくないし(しかしこれは恋愛
小説度の高いフィクションなのだが)、前作が原題通り『スペース・
マシン』だったので、それに合わせて『ドリーム・マシン』にする
のも分かるが、実態はまさに"A DREAM OF WESSEX"なので。

 夢見られた未来のウェセックスでは、原作刊行当時(1977年)に
似て、ヒッピーみたいなライフ・スタイルの人々(ヒロインのジュー
リアもその一員)が観光地で商売をしている。

 夢は一人称・単数だ。複数の人間の無意識を集めて一人称・複数の
夢を発生させる装置(「リドパス投射器」)だけれど、夢の舞台監督や
演出家はいるんだっけ? "よかった"記憶だけで、物語のあらすじに
細かい部分、すっぱり忘れきっている。


     (クリストファー・プリースト/中村保男 訳『ドリーム・マシン』
     創元推理文庫SF 1979初 J)

3月18日に続く~



呪 吐爛腐/呪 心臓亜屁/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/

 収束みえぬ森友問題に顔むくみ 安倍首相にまた体調悪化説

 “籠池爆弾”の破壊力…この恥知らず内閣は確実に飛ぶ<上>
 “籠池爆弾”の破壊力…この恥知らず内閣は確実に飛ぶ<中>
 “籠池爆弾”の破壊力…この恥知らず内閣は確実に飛ぶ<下>

 籠池独占取材した菅野完爆弾会見の中身

 安倍晋三・類が滅びますように。
 オランダの選挙に続いて、ルペンが滅びますように(フランスは
サルコジを選んだ国だから、とても不安だが)。





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# by byogakudo | 2017-03-16 22:08 | 読書ノート | Comments(4)
2017年 03月 15日

(1)クリストファー・プリースト/中村保男 訳『ドリーム・マシン』再読にかかる

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 よかった、好きだった記憶はあるけれど、それはいつだったか?
今日も検索すると、2010年1月9日のことだった。忘却するには
十分の歳月であると、自らをなぐさめる。握りしめた掌から少し
ずつ少しずつ零れ落ちる砂のようなわたしの記憶に、何度でも
楽しめてよかったね、と厭味もいいたくなる。

 でも、子どものとき、なぜあんなに同じ本を繰り返し読みたがった
のだろう。読み始めれば、すぐ、"そこで"生きることができたから
だろうか。

 『ドリーム・マシン』の原題が"A DEAM OF WESSEX"。
 ウェセックスってどんなところだろうと、また検索して走り読みする。
イギリス人にとっては、喪われた夢の王国のひとつ、みたようなイメージ
なのか? (トマス・ハーディも読んでいない。)

 そんな古い記憶をまとった場所で行われる"ウェセックス計画"。
集団の無意識を投影して150年先のウェセックスを視ようとする、
淡い記憶と想いを、幾重にも重ね合わせた企図。
 
 ヒロイン、ジューリアには<子供時代からつづいているちょっとした
迷信>がある。
<これがこの人の見収めなのだと思いながらその人を見て__いわば
 心に写真の映像を刻みつけると__それがまさしくそのとおりになって
 しまうのだという迷信。>(p16-17)
 だから、たんに仕事上のつき合いで知っている人であれ、立ち去るとき
には、
<地面に目を落とすようにして[略]顔をそむけた。>(p16)

 これもまた、子どもだった頃を覚えているなら、理解しやすいエピソード
であり、物語全体をつつむ儚さを指示する座標だろう。


     (クリストファー・プリースト/中村保男 訳『ドリーム・マシン』
     創元推理文庫SF 1979初 J)

3月16日に続く~



呪 吐爛腐/呪 心臓亜屁/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/

 3月13日(月)の「東京新聞」朝刊26面に「森友学園」経営の
塚本幼稚園に子どもを通わせていたとき、幼稚園から差別的な
手紙を受け取った女性の記事があった。

< 園を見学した際、おもらしした園児が先生に謝る姿をみた。
 園では2歳からパンツをはき、おもらしをした場合、謝罪して
 新しいパンツをもらうのが、ルールだと聞かされたが、「しつけが
 厳しい園なのかな」くらいの印象しかなかった。>

 被害者である女性を責めていると誤解されては困るが、この時点で
「森友学園」のヤバさを感得されなかったのが残念だ。

 これは、排泄に関するタブー意識を利用した洗脳ではないか。
 謝罪しない限り、新しい下着をもらえない。支配と服従の構造である。
こうして反射神経的に権威に服従する子どもを育て、盲目的に国家に従う
人間だらけにしようというのが、安倍晋三・類の野望であり、「森友学園」
はその意を汲んだ実験校だ。

 言葉は思考に(も)使える道具なのに、感覚的刺戟によって起こされる
感情を、思考とごっちゃにする人々が多すぎるので、いつも、大きな構造
の分析にたどり着けない。
 TVレポートされる事細かな枝葉を享受するだけで、問題の根本にある
ものが注視されることはなく、権力の安眠が妨げられることはない。

 共謀罪の危険性を感情に訴えるには、どんな方法・手段があるだろう。
目下のところ使えるのが籠池泰典や稲田朋美の醜態・映像なのだ。
 そこから権力構造の話に持っていこうとする以前に、ネタとして(!)
飽きられ、別のネタが出てくるまで待つしかなくて、また最初から...?





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# by byogakudo | 2017-03-15 17:29 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 03月 14日

小林信彦『回想の江戸川乱歩』読了

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 再読ではないかと思って検索したが出ていない。では、初めて
読むのか? 既読感ありだが。
 稲田朋美も籠池泰典と関係したことはない、なぞと即座に否定
する前に調べりゃあ、いいじゃないか。

 ハリウッド映画で見る弁護士だと、全面否定・完全否定すると
不利になるのが分かっている事案なら、無難な箇所だけ一部肯定で
答えるようサジェストするが、日本の(リアルな)弁護士は、それ
くらいの頭も働かないのか、あるいはバレないとナメてるか、バレ
ても形だけの謝罪をすればスルーできると、ナメきっているのか。

 TV中継される予算委員会に隠れて(?!)、自民党が共謀罪の
国会提出を決定した。続いて公明党も"粛々と"承認、というか
追認というのか。維新の会やら何やらも亜・極右・自民党だから、
国会で討議になれば共謀罪はいよいよ、シャンシャンと手打ち・
成立である。

 解散総選挙で極右政治家を一掃し、成立する/したであろう共謀罪を
99年間・執行停止させる法案を可決させる、というプランを考える。
 いまの世界的なファシズム前夜状況を進行させないためには、頭を
冷やすための一時停止期間が必要ではないか。宗主国アメリカから
うるさく言われたら、暖簾に腕押し式にかわし続けるやり口だってある
のだが、日本の近代史を省みると、堪えられずにすぐ飛び出してナルシ
システィックに玉砕しそうだ。


 やっと本の話へ。
 冒頭の小林泰彦によるイラストレーション『江戸川乱歩邸応接間の図
(1959年頃)』と、次の『<対談> もう一人の江戸川乱歩』__弟・小林
泰彦と兄・小林信彦による乱歩の思い出__が興味深い。
 1994年9月12日に行われた対談で、約35年前の記憶をたどる。
 乱歩から新雑誌編集を頼まれた小林信彦が、弟・泰彦を誘って
『ヒッチコック・マガジン』を始めた頃の江戸川乱歩像だ。

 wikiも見ながらノートする。

 1946年、"天狗煙草"の岩谷(いわや)家の岩谷満(詩人)が岩谷書店で
雑誌『寳石』を始める。1956年に潰れ、宝石社による『宝石』になった。
 1946年・創刊の年、小林信彦は犯人当てクイズを当てて、賞金を取りに
日本橋にあった岩谷書店に行ったことがある。

信彦 岩谷書店て、立派な会社だったな。
 [略]
 話がぽんと58年まで飛んで、 [略]宝石社という名前になって、虎ノ門
 に近い西久保巴町というところですが、焼けただれたぼろビルの二階が
 応接間で、詩学社と共有していたんです。『詩学』という雑誌も出ていた
 んだけど、ビルの三階に『宝石』の小さな編集室と経理部があってね。>
(p12)

 松本清張『ゼロの焦点』の話からも。

信彦 清張さんでいうと、おかしいのは、『ゼロの焦点』が雑誌
 [注:『宝石』]で完結したんですよ。完結して光文社から出ることは、
 もう決まっていたのね。[略]
 コピー機なんてないから、原稿の最終回ができ上がると、光文社の
 人が、横で筆写しているんだって。それで最終回が『宝石』に載る
 より一日早く単行本が出ちゃったの(笑)。何年間にもわたる連載
 なのに、最後の犯人とか結末が先に単行本で出ちゃったんですよ。>
(p47)

 松本清張からお詫びの手紙があり、

信彦 「二階の応接間の椅子はあんまりひどいから、応接セットを
 寄付しよう」って。[略]
  ところがあの頃、編集部には電話が一本しかなくて困っているから、
 応接セットの代わりに、電話を寄付してくださいって申し出たんだよ。
 情けない話だね(笑)。そのもらった電話がぼくの机の上にあって、
 鳴るたびに、「あっ、清張さんの電話」って言うんだ(笑)。
 泰彦 それを、"黒の電話"とか言ってなかった?(笑)。
 信彦 うん。
 泰彦 電話一本しかなかったの、それまで?
 信彦 一本よ。となりの経理にもう一本あった。しかも
 編集のは、二階の詩学社と切り換え(共同使用)なんだ。>
(p47~48)

 収録された"単行本あとがき"から、

<それにしても、乱歩がぼくたち兄弟に話しかけるとき、「小林くん
 というのが、なんとなくユーモラスだったのを想い出す。>(p179)

 実務能力に長け、冷静にひとを見極めながら面倒見のいい、普通の大人
(おとな/たいじん)である江戸川乱歩の肖像。


     (小林信彦『回想の江戸川乱歩』 文春文庫 1997初 帯 J)




呪 吐爛腐/呪 心臓亜屁/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/





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# by byogakudo | 2017-03-14 22:03 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 03月 13日

共依存のマゾヒストたち or DV(国内暴力)

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 【森友学園】裏切られた元地権者たち―8億円埋設物も「そんなものはない」
(https://twitter.com/reishiva/status/841061083896983552)
(https://twitter.com/hiranok?lang=ja)

 産経が過去に森友・籠池を礼賛し大宣伝

 籠池理事長の豹変の裏に官邸からの圧力

 稲田朋美防衛相、森友学園の訴訟を担当していた。過去の国会答弁と食い違い

 こんなにコケにされてるのに、3月11、12日に実施された電話世論
調査での安倍晋三・独裁政権への支持率が55・7%。2月の調査より
6・0ポイント減ったが、それでも50%以上。

 きっと近頃の日本人にはマゾヒストが多いのだろう。安倍晋三・類に
コケにされていないと落ち着かない、とか? 
 そんなに安倍晋三・類に踏みつけにされていたいのか? 彼らを賛美
したり、あるいは沈黙することで現状を肯定し、安倍晋三・類を増殖存続
させ、支えていたいのか。

 どんな性的嗜好を持とうと、それは個人に属することで、端が口を出す
べき事柄ではないがしかし、それによって傷つけられる誰かが出てくれば、
もはや犯罪である。家庭内であれ国内であれ、暴力を行使した犯罪者には
治療が必要だ。犯罪者は罪に服しつつ治療を受け、更生を図るべきだろう。

呪 吐爛腐/呪 心臓亜屁/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/





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# by byogakudo | 2017-03-13 20:56 | 雑録 | Comments(2)
2017年 03月 12日

須賀敦子『霧のむこうに住みたい』読了

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 久しぶりに須賀敦子。エッセイばかりで、彼女の翻訳書は読んで
いなかった。ナタリア・ギンズブルグも名前しか知らない。

 『私のなかのナタリア・ギンズブルグ』の後半に、"アクチュアルな"
できごとについてギンズブルグが急いで書いて出した本を、須賀敦子が
批判する箇所がある。

< しかし、この本は、私をとまどわせた。題材がいかにも生々し
 すぎるのである。だまし舟という、おりがみの遊びがある。
 [略]
 目をつぶって、はい、あけてもいいよ、見てごらん、といわれて
 目をひらくと、自分が帆と信じてつまんでいた部分が、しらぬまに
 舳先になったり艫になったりしている。上手な比喩ではないが、
 私はこの本を読んで、これまでこうと信じていたギンズブルグが、
 不意に思いがけない、別の顔を見せたように思った。
  それと同時に思いだしたのは、戦中戦後のフランスやイタリア
 の文壇をにぎわした、社会参加の文学と呼ばれたジャンルのこと
 だった。
 [略]
 今日の世界は、もしかすると、あの頃とおなじくらい、危機的
 なのかもしれない。これは、彼女なりの抵抗の表現にちがいない。
 ふと、私は、ナタリアがこれを書きながら、ナチの牢獄で惨殺
 された夫のレオーネ・ギンズブルグのことを考えていたのでは
 ないかと思った。それでも、と私は思った。どうして、それを文学
 のなかで捉えてくれなかったのか。それとも、時間はそれほど逼迫
 しているのだろうか。
 [略]
 かつてのプルーストの翻訳者が、社会参加の本を書いてしまった
 ことについて、私は考えをまとめかねていた。ずっと以前、友人の
 修道士が、宗教家にとってこわい誘惑のひとつは、社会にとって
 すぐに有益な人間になりたいとする欲望だと言っていたのを、私は
 思い出した。文学にとっても似たことが言えるのではないか。やはり、
 翻訳者は著者に近づきすぎてはいけないのかもしれない。彼女には
 彼女の生き方があるのだし、私が訳していることとは、関係がある
 ような、ないような、だ。>(p71~73)

 須賀敦子の気持が分からなくはない(つもりだ)が、須賀敦子が
ナタリア・ギンズブルグに違和感を覚えるように、わたしも須賀敦子に
やや違和感を感じる。

 須賀敦子自身、実践行為のひとでありながら文学者であるが、
文学は実践から遠く離れていなければ自律できない行為なのか。
 あまりにできごとに即しすぎた文章は、わたしも好きとはいえない、
いや、近頃はダイレクトなパンフレット文体も実用文として引用するし、
必要文(?)として承認する。

 日本語は、抒情しか包含できない言葉なのか。いや、そんなことはない。
ベルナール・ラマルシュ=ヴァデル『すべては壊れる』を鈴木創士・松本
潤一郎 訳で読んだではないか。
 日本語と日本語文学(日本語訳された文学を、もちろん含む)は、抒情を
得意分野とする、とは言えるだろうが。

 <だまし舟>の比喩や、<かつてのプルーストの翻訳者が、社会参加の本を
書いてしまった>という表現が、文学的というより、ブルジョア・ライクな
反射神経に感じられて、違和感を覚えるのだろうか。


     (須賀敦子『霧のむこうに住みたい』 河出文庫 2014初 J)


 今日も古本屋へ行った。今日は西荻窪、盛林堂。

 店頭で、光瀬龍『寛永無明剣』(ハヤカワSF文庫)、
クリストファー・プリースト『ドリーム・マシーン』
(創元推理文庫SF)、フレドリック・ブラウン『彼の
名は死』と『復讐の女神』(創元推理文庫)、レーモン・
ジャン『ネルヴァル』(筑摩叢書)__これは、Sもわたし
も昔持っていた。

 店内で、フレドリック・ブラウン『シカゴ・ブルース』
__あらっ、持ってた!__『交換殺人』『モーテルの女』
『悪夢の五日間』(創元推理文庫)と、アルフレッド・ベスター
『コンピュータ・コネクション』(サンリオSF文庫)。

 また古本屋を始めようというわけではなく、たんに読みたいから。



呪 吐爛腐/呪 心臓亜屁/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/

<今の日本は、戦中の大日本帝国を理想化する人々にハッキング
 されている感じ。日本の歴史を、「取り戻す!」と叫ぶハッカーたちが、
 サイバーテロよろしく、あちこちで書き換えようとしている。>
(https://twitter.com/hiranok/status/840553895130619904)





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# by byogakudo | 2017-03-12 19:40 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 03月 11日

イスレール・ザングウィル/長谷川修二 訳『ボウ町の怪事件』読了

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 店にあったっけ、なかったっけ、と思いながら買って読んで
みたら、これはとても好きだ! え、1891年に刊行された?!
 驚くべきモダーンさだ。密室殺人ものであり、名探偵ふたりの
推理対決であり、かつ風俗描写が楽しめる、イギリス文体のミス
テリ。

 "イギリス文体"と呼ぶのは、たとえば、殺された男の家主である
ドラブダンプ夫人の描写、

< ドラブダンプ夫人は後家であった。後家に生まれついた者はなく、
 誰も中途からなるのだが、これを知らないと、ドラブダンプ夫人は
 生まれつき後家ではなかろうかと想像する人もいよう。お定まりの
 長身、痩躯(そうく)、例の青ざめた、くちびるの薄い、細面(ほそ
 おもて)の、鋭い目つきに、かてて加えて、例のいやにきちょうめん
 に結んだ髪といった、下層の後家の百相ことごとくそなわっている
 のだ。亭主をなくしても依然として巧笑倩(せん)たりなどというのは、
 上流の上にだけ見られる女の定めなのである。>(p7)

 さんざんに言われているが、彼女はなかなか癖があって、すてきなの
である。
 新進・名探偵が雨の日曜日の午後、殺された男が眠る墓地に行って
みると、

<灰色のショールをかけ、とび色の帽子をかぶった女が、区画された
 一基の墓の前に立っている。彼女はかさを持っていない。雨は痛ましく
 彼女の上に落ちかかるが、すでにぬれた女の服には雨の跡さえつかない。>
(p100)__ドラブダンプ夫人であった。

< 「でも、あなたはこんなみじめなところになんのために来たのですか?
 お宅から遠いのに」探偵が質問した。
  「休日ですもの」ドラブダンプ夫人はひどく驚いたような調子で教えた。
 「休日には、私はいつも散策に出るんですのよ」>(p101)

 殺された男、アーサ・コンスタントは、わざわざ下層階級であるドラブ
ダンプ夫人の下宿に住まう。労働者の救済のために情熱を燃やす男だった
が、家主には彼の思いなんぞ伝わらない。

<手は白く、シャツも白く、財力の点でさえ紳士階級に属するくせに__
 なぜ電車の車掌のことに頭をわずらわさなければならないのか、ドラブ
 ダンプ夫人には全くわけがわからなかった。
 [略]
 ことによると、このボウ町から議会に出る抱負をもっているのかもしれない。
 が、それなら亭主持ちの下宿に住めば一票得をするからそのほうが賢明で
 あろうに。>(p9)
__女性参政権以前の物語だ! 男の労働者階級では労働運動の気運が
高まっていて、労働者自身の中からも組合運動専従者が出てきたり、上流
階級からもアーサ・コンスタントのような男が出てくる。

 アーサ・コンスタントは自分で靴を磨く男であるが、

<ボウの労働者は、あんなに水をたっぷり使わない。飲料にも、朝の
 洗面にも、それから洗濯屋(せんたくや)の店でさえも。それから、
 労働者たちはドラブダンプ夫人の出すごちそうを彼のように当然の
 ような顔をして食べない。
 [略]
 アーサ・コンスタントは口をあけて、彼女の与えるものを食べる。
 お定まりのとおりに、わざと目をつむってみたりせずに、かえって
 大きく見開いているのが得意らしい。しかし聖者が自分の光輪の奥
 を見るのは至難のことであろう。実際には、頭の上の光輪はしばしば
 霧と区別しがたい。>(p10)

 下層階級と同じ地域に暮らし、同じ食事をとるアーサ・コンスタント
だが、朝の紅茶はかつてと同じものを喫している。

 
     (イスレール・ザングウィル/長谷川修二 訳『ボウ町の怪事件』
     創元推理文庫 1961年5版 裸本)

 今日の午後は東松原へ行った。古書 瀧堂で4冊。
 マイケル・ペピアット/夏目幸子 訳『フランシス・ベイコン』(新潮社)、
大阪圭吉『とむらい機関車』(創元推理文庫)、小林信彦『回想の江戸川
乱歩』(文春文庫)、「海野十三敗戦日記』(中公文庫BIBLIO)。



呪 吐爛腐/呪 心臓亜屁/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/

 安倍首相の3・11会見打ち切り=震災6年で「節目越えた」
棄民したい、ということだろう。させるものか。

 森友問題の原点 安倍・松井・籠池を結びつけた団体の正体
ここをTVと新聞で大きく報じれば、右側を止められる。





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# by byogakudo | 2017-03-11 20:56 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 03月 10日

エルメスの手しごと展"アトリエがやってきた"+WO|OOD+ロイズ・アンティークス 青山

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 昨日から表参道ヒルズで始まったエルメスの手しごと展
"アトリエがやってきた"
を、平日に見に行こうよと、昨日の
疲れが抜けないSを誘う。去年のルイ・ヴィトン展で味をしめ、
ハイ・ブランドだからって敬遠するのは止めたので。

 しかし平日でも原宿表参道はヒトが多い。かつては欅並木が続く、
たんに散歩道だったが、観光地なのに驚く。明治神宮の表参道だから
門前町として繁昌している、と考えればよいのか。

 職人の手技が見たくて行ったのだが、あのスペースだと入場制限して
入替制にするべきではないかしら。8ブースのどれも人だかりして、隙間
から、スカーフの縁かがりや、手袋にする革を手で伸ばす作業などを、
ようやっと覗く。

 入場無料、ポスターになる案内状やシール等も無料。13日(月)は休み、
19日(日)まで。

 大通りを外れて住宅地を歩く。美容院が目につく住宅地だ。静かだ。

 また大通りへ。WO|OODというお店のショーウィンドーに目が行く。
外から見ただけだが、シンプルできれい。

 さらに通りを進み、ロイズ・アンティークス 青山で捕獲された。
 路面店は強い。道路の延長としてのエントランス部分にさりげなく
展示配置された椅子やテーブルに誘われ、ふらふらと、まるで浸透
するみたいに店内に入る。"骨董品"というのも、わたしたちがヨワい
モノのひとつだ。小物雑貨から家具まで、世の中には"饅頭怖い"的、
どうにもヨワいモノが存在する。

 天板の下に格納されたもう一枚の天板を、スライドさせて卓面を拡げ
られるナラ材の食卓。延長板をしまうときは、そっと押すだけでいい。
フェルトが敷いてあるので静かに収まる。
 あるいは、細長い作業台風の食卓。こちらは時間を封じ込めるように、
輪染みや黒い汚れを残してニス掛けしてある。

 店内は幅も奥行きもゆったりしている。いろいろな年代の家具や室内
装飾品が置かれているが、それぞれが十分に味わえる距離、空間である。

 奥の方、ガラス扉付きのキャビネット(元々は本棚)に目と心を奪われる。
ガラス扉は上部の小さい透明な菱形以外、うすい苔色の霜柱みたいな柄に
被われている。
 扉を開けて見せてもらうと、デッサンで影を描くように、ガラスの裏側から
引っ掻いて作られたのだ。うつくしい。欲しい。

 西洋の家具を日本の住宅で用いるとき、問題になるのがサイズだ。
日本の住いのサイズがもう一段大ぶりにならないと。

 11amに部屋を出て、2pm過ぎには戻った。

 

 
呪 吐爛腐/呪 心臓亜屁/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/

 「森友学園」の籠池泰典が小学校新設を諦めるTV会見を開く陰に隠れて、
南スーダンからの自衛隊撤退を発表する安倍晋三って、なんだろう?
 両者ともに、このタイミングでマスコミに顔を出し、事件をうやむやに
終息させるよう、日本会議のボスに指示されたのか?
 こうすれば追究が終わるのか、「加計学園」事件が続くのに?





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# by byogakudo | 2017-03-10 20:49 | アート | Comments(0)
2017年 03月 09日

ほっとして喫茶[ ε ]へ行く

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 春先の行事/責務を済ませ、数日ぶりに部屋の掃除をする。
用事で昼前に出かけたSが、そろそろ帰ってくる時間なので
ハタキかけ__壁面トップと天井との境からハタキをかける
__を省いた、床だけの掃除で時間を短縮。
 カーテンは表と裏、両面にハタキをかけるべきなのか、とき
どき疑問になる。カーテンの襞をつくる頂上は、立体度が高い
ので気をつけているが。
 あらためて(ハレ)大掃除しないですむので、ふだん(ケ)
掃除が好きだ。それでも、ときには身体が動かない。

 Sがまだなのでメモを残して喫茶[ ε ]へ。

 またレイアウトが少し変わっている。小型プレス機が右手奥
の作業台につながって置かれている。ここで、小品を自分で印刷
するワークショップが開かれるといいな。

 後ろの棚にあった『美術手帖』1982年9月号(特集:シュル
レアリスムの30年代)を見ていたらSが入ってくる。
 お茶の水で調香師Lと会い、印刷のトーンのどちらを選ぶか、
ふたりで話し、Lと別れてから美土代町、内神田と歩き廻って
きたそうだ。

 Molly Drakeのレコードが掛かる。ジャケット、すてき。

 喫茶[ ε ]では、4月からA4版を折った新聞を発行する予定!





呪 吐爛腐/呪 心臓亜屁/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/





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# by byogakudo | 2017-03-09 20:44 | 雑録 | Comments(2)