猫額洞の日々

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2017年 11月 27日

(5)宇野浩二『芥川龍之介 (下)』を読み出す

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~11月26日より続く

 やっと下巻に入るが、なかなか入れない。やっとp70
まで来た。

< 結局、私は、『歯車』などをも含めて、芥川の小説は、
 一般に評判のよい、晩年の心境物(と身辺を書いた物)
 より、初期(と中期)の芥川らしい小説の方を買うので
 ある。もとより、私も晩年の心境物(と身辺を書いた物)
 は大へん好(す)きであるが、芸術の上から見て、芥川の
 芸術として、私は、断然、芥川の初期(と中期)の芥川
 らしい小説を取るのである。そうして、私は、この方が
 正(ただ)しい、と信じているのである。>(p70)

 あれだけ、ぶちぶち言ってても、それ(好みの違い)とこれ
(芸術的観点)とは別です、ということか。


     (宇野浩二『芥川龍之介 (下)』 中公文庫 1975初 J)

11月30日に続く~



 TVニュースで、ルクセンブルク大公・歓迎式典の様子を見た。
まず、長めの"キミガヨ"吹奏シーン、次いでルクセンブルク国歌
であろう、どんな曲だか短すぎて見当のつかないカット。
 歓迎する側の国歌吹奏を短く、訪問者の側の国歌吹奏は長く、
というのが礼儀正しく、政治的に正しい編集態度、TV放映上の
時間配分ではないか。
 日本放送協会は、どうにも"キミガヨ"を視聴者に刷り込みたい
らしい。籾井勝人が止めても、安倍晋三・独裁政権に忠誠を誓い
たいのか。そう読み取れる、編集である。

 国会が開かれているのに、お相撲スキャンダルの方が高視聴率
なのね。





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# by byogakudo | 2017-11-27 21:02 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 11月 26日

(4)宇野浩二『芥川龍之介 (上)』、ようやく読了

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~11月24日より続く

 上巻の終りの方で、小説家・芥川龍之介に於ける剽窃と、
和歌の本歌取りの話が続く。

 宇野浩二は、文学は文学から作られるという思想(?)では
ないので、小説の手法が目立つと、それは"ケレン"だという。
たんに技巧的なのが好きじゃない、と言ってるだけに聞こえる
のだが。

 夏目漱石『道草』とドストイェフスキー『永遠の良人』を引合い
に出して、

<小説のはじめの方にエタイの知れない人物を登場さして
 おいて、作者がなかなかその人物の正体をあかさない事に
 すると、そこに妙味が出てくるのである。
 [略]
 『永遠の良人』にはまったく「ケレン」の「ケ」も感じられない
 けれど、『道草』にはいささかケレンくさいところもある。
 [略]
 極言すると、漱石は最高級の上品なケレン師だという事にもなる。
 (そうして、形も味もまったく違うけれど、芥川の好評を博した
 作品にも、やはりケレンのようなものがあった。そうして、
 [略]
 そういうケレンのようなもののある作品を書かなくなってから、
 ((あるいは、書けなくなってから、))芥川の作風が少(すこ)し
 ずつ変ってきて、『話』らしい話のない小説を主張し出してから
 間(ま)もなく、芥川は、みずから死をえらんだ__これらの事
 については後に述べるつもりである。)>(p270-271)

 この前に、たっぷり、本歌取りの話をしている。しかし、本歌取り
と言われて、わたしが思い出したのは、実朝でも何でもなくて、
(実朝、そんなにいいかなあ? 「おほ海の磯もとどろによる波の 
われてくだけてさけて散るかも」が、近代の男にはグッと来る調子を
持つ、とは思うが)その前の章、金竜館の楽屋を訪ねたときの話だ。

 宇野浩二は芥川だけを連れて行ったのではなく、小林せい子
も一緒だった。
__
<その時分の谷崎潤一郎の夫人(今の佐藤春夫の夫人)の妹
 である。そうして、佐藤春夫が『蒲団きてあるく姿やせい子嬢』
 とうたったように、せい子は、はでな服装をし、はでな行動を
 する事がすきであるらしかった。>(p150)

__つまり、後の女優・葉山三千子の様子をうたった『蒲団きて
あるく姿やせい子嬢』の元句、『蒲団着て寝たる姿や嵐山』を
思い出したのである。

 先だって眺めたTV番組で、日本のお蒲団に柄物が多いのは、蒲団
の前身が(絵柄のある)夜着だったから、という説明があった。
 なるほどと思ったが、それでようやく、"蒲団きてあるく姿"が派手
な様子であると理解して、元句を思い出すと同時に、戸板康二が
書いた東山千栄子のエピソードにも、この句が使われていた筈だと、
半日がかりで『最後のちょっといい話 人物柱ごよみ』(文春文庫)に
目を通した。

 どのページにあったかまでは覚えていないないので、頭から見て
行くしかない。そのうち時々、本文を読んじゃう。

< 私は昭和38年に、東山千栄子をはじめ、二人の男優、六人の
 女優とソ連から東欧へという旅をした。モスクワのホテルで、風邪
 気味だという東山を、その客室に見舞に行った。全快してから、
 先日部屋に伺った時俳句ができましたというと、「まア何でござい
 ましょう」と聞かれたので、「蒲団着て寝たる姿や東山」といったら、
 叱られた。>(p459)

 編集に手間がかかるけれど、巻末に、せめて人名や地名の索引が
あればなあ。半日かけなくてすんだのに。

 
     (宇野浩二『芥川龍之介 (上)』 中公文庫 1975初 J)

11月27日に続く~





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# by byogakudo | 2017-11-26 22:16 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 11月 25日

旧下谷小学校~ROUTE BOOKS(2017/11/24)

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 昨日は15日の散歩の改訂版(?)で、旧下谷小学校の
外側を一周した。
 
 地下鉄・新御徒町を下車、お昼を食べて表に出たら、
なんてこと。空が不穏に曇っている。部屋を出たときは、
あんなに青空だったのに。

 ときどき雨粒が顔に当たる。東上野三丁目(宮元町)や、
前に歩いた土地を歩く。東上野界隈は、いつ来ても静かで
うつくしい。

 旧下谷小学校を整備しないで、たんに災害時の集合場所、
補給物資の保管所にしか使わないのは、宝の持ち腐れだ。
 予算がないっていうかもしれないが、無理してでも耐震
工事その他、必要な工事をして、たとえばホテルに変える
とかしたら、あっという間に観光資源として再登場できる。

 同潤会上野下アパートメントとか、どうして壊すのだろう。
 建築遺産という考え方ができない、建てては壊しのビンボー人
根性から離れられない、鎌倉時代から続く土地本位制から抜け
られない。だめな国ねえ。
 そのくせ、国立西洋美術館が"世界文化遺産"指定された直後の
上野駅付近の、田舎じみた喜び様といったら...。

 旧下谷小学校・付近を歩くと、銀座線の車庫(上野検車区)が
あった。これもすてきな観光資源。

 この近くの工場跡に作られたROUTE BOOKSで休む。
 窓から、向かいの工房(ゆくい堂)が見える。手前は一、二階
吹抜けの作業場、二階奥はたぶんオフィスだろうが、階段の手すり
や二階の窓枠など、うつくしい。ビル自体も4階建てくらいだが、
上階がセットバックしていて、きれい。

 新刊書店兼キャフェのROUTE BOOKSは、最初は、向かい側の
ビルの4階にあったようだが、いまは、ゆくい堂の反対側の1F。
コンクリートの壁、鉄枠で縁取られた大きなガラス窓、ラフな
床の空間に、植物(サボテン類)やお皿とともに本が並ぶ。
 5月16日以来だが、工場跡らしいラフさを残した造りなのに、
そんなに寒くない。"まだ"大丈夫、ということかもしれないが、
見かけより密度が高いのかもしれない。真冬に行ってみよう。

 笠井潔×押井守『創造元年1968』(作品社)を買って戻る。





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# by byogakudo | 2017-11-25 21:24 | 雑録 | Comments(2)
2017年 11月 24日

(3)宇野浩二『芥川龍之介 (上)』もう少し

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~11月22日より続く

<私が芥川とつきあった短い間(あいだ)の、私が、見、聞き、
 知った、芥川について、その思い出を、主として、書きたい>
(p5)と宇野浩二は言う。
 ひとつのできごとでも、違うひとが見聞きして記述するなら、
異なる見方、違った書き方になるだろう。

 宇野浩二によれば、芥川は宇野浩二~高田保・経由で浅草
オペラ、金竜館の楽屋に行ったが、

<芥川が私に「金竜館につれて行ってくれないか、」といった
 のはこの時の一度だけであって、その後(のち)、芥川は金竜館
 に行った事はまったくないらしい。>(p153)と記述される。

 夏堀正元『風来の人 小説・高田保』(文春文庫)によれば、
宇野浩二と芥川龍之介たちが楽屋を訪れ、高田保と、浅草が
保護区だという話をする(あくまでも『小説・高田保』)。

< その日はそうした話をして別れたが、宇野はそれっきり
 あまり姿をみせず、芥川はどうやらペラゴロ候補生ぐらい
 にはなったらしく、ときどき着流しでふらりと金竜館に
 現れて、高田と雑談していった。>(p31)という一行がある。

 芥川はこの後、『小説・高田保』には直接、出てこないが、
数回は金竜館を訪れていた、と考えてよいのではないかしら? 
 小説を盛り上げるために、芥川の訪問回数を増やす必要は
ないので、そう考えるのだが。


 宇野浩二『芥川龍之介 (上)』に戻ると、宇野浩二が芥川に
連れられて、浅草の「春日(かすが)」という待合に行った話が
書かれている。待合「春日」の女将が後に春日派の小唄の師匠
として有名になったという箇所を読んだとき、"春日とよ"と、
名前が響いた(この本では名指されていないが)。
 口絵に白人とのハーフの小唄の師匠・写真が載る本を五反田・
古書展で見つけて、店に置いていたが、売れなかった。売れる
気配もなかったな。

<その『春日』の奥座敷の辺から、おもわず耳を立てる
ような、うつくしい、すきとおった、声で、語る常磐津
(ときわず)が、聞こえた。私が、おもわず、「実にうまいね、
実によくとおる声だね、こんな常磐津、僕は、聞いたことが
ない、」というと、芥川は、頬に例のニヤリとする笑いを
うかべながら、「ここのお上(かみ)だよ、あの声は、日本人
の喉(のど)からは出ないよ、あれは、間子(あいのこ)の喉だよ、
つまり、西洋人の喉だよ、」と、いった。>(p146)


     (宇野浩二『芥川龍之介 (上)』 中公文庫 1975初 J)

11月26日に続く~





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# by byogakudo | 2017-11-24 21:22 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 11月 23日

人形町(2017/11/21)+南阿佐ヶ谷~荻窪(11/23)

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 写真は、人形町で。

 21日(火)は小伝馬町から人形町にかけて歩いた。
いつものコース、東海で和菓子を買って、サンド
ウィッチパーラーまつむら
で休む。

 東海では事件あり。和菓子職人である無口なご主人と、
ついに会話できた!
 お店の方にいても客が入ってくると、すっと奥の作業場に
姿を消し、接客はもっぱら女主人に任せる、あのご主人が、
ちょうど女主人が不在(すぐに戻って来られたが)だった
ので、何にしますかと、初めて口をきかれた。
 ご主人喋った、ではなく、ご主人喋った、である。
ほとんど、ガルボ笑った、って域。

 今日は休日なので、近隣。地下鉄で南阿佐ヶ谷、そこから
荻窪に向けて歩く。
 やっぱり、ささまに寄って、店頭でヘミングウェイ『移動
祝祭日』(岩波 同時代ライブラリー)、店内で芥川龍之介
『羅生門 蜘蛛の糸 杜子春 外十八篇』(文春文庫)と、
伊東豊雄・中沢新一『建築の大転換 増補版』(ちくま文庫)。





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# by byogakudo | 2017-11-23 20:09 | 雑録 | Comments(2)
2017年 11月 22日

(2)宇野浩二『芥川龍之介 (上)』まだ半分ほど

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~11月21日より続く

 芥川とのつき合いの話の間に、宇野浩二が芥川の作品に抱く
違和感が語られる。ひとしきり語った後、”閑話休題”と入って、
また思い出話に戻るのだが、日本の”自然主義”的感受性って、
なんて不自然に硬直してるのだろう。

 小説にちょっとでもレトリカルな表現や技巧的なものを
見ると、すぐにそれは”作り物”であり、(宇野浩二の表現を
使えば)”マヤカシ”だと批判される。日常生活に於ける感受性
の延長以外の感じ方や記述は、自然主義的にはカッコつけに
過ぎず本質的ではない、従ってそれは文学ではない、という
のだろうか。

 ここで意外だったのが、(読んだことのない)宮本顕治
の感じ方だった。『敗北の文学(芥川龍之介氏の文学に
ついて)』という批評(?)中に在るそうだが、芥川『往生
絵巻』(これも読んでない)のエンディング、主人公・五位の
入道が死んで、死骸の口の中に、真っ白な蓮華の花が開いて
いる、という終わり方について、

<「この『往生絵巻』はユウモラスな形式の下(もと)に、
 笑ひ切れない求道者の姿を書いてゐる。正宗白鳥氏は、
 この作品の結末のまつ白な蓮華の咲く非現実的な描写
 を捉へて、芥川氏がリアルに徹することの出来なかつた
 人だといふことの例証としてゐる。勿論、我々は別の
 意味で氏が現実を深く認識しなかつたことを批判する。
 けれどもかうした偏狭な自然主義的批判は、永久に、
 作品の本質を理解し得るものではない。作者は『五位
 の入道』を愛してゐる。憐愍を越えて、まじめに愛して
 ゐるのだ。蓮華の花を咲かす事は氏の『あそび』では
 ない。枯木の梢に死んだ求道者に、心から詩的な頌辞を
 最後に手向けてゐるのである」>(p97-98)

__よく分かってるじゃん!と、思わず膝を打ちそうになるが、
これに対しても宇野浩二は、

<一面に、芥川の文学を否定しながら、他面ではかくのごとく、
 芥川の文学を、よかれあしかれ、ふかく理解し、(いくらか
 まやかされているところがあるが、)>(p98)

__と、幻惑されているからだと感じる。自然主義って不自由な
ものだ。プロレタリア文学は役に立つことを願うかもしれないが、
それでも"文学"を感受する。
 ”自然主義”と呼ばれる宇野浩二たち・小説家たちの言語認識と、
フィクションへの認識が、やっぱりどうも分からない。”写実”する
には、種々様々な手法・技術が必要なのに。

 日本の近代に至って生まれた自然主義文学では、何が書かれて
いるか、という問題認識が、いちばん重要なのだろうか。どんな
風に書かれているか、ではなくて。

 自然主義文学の影響は、(文学者以外の?)大衆の感受性に
ずっと残っているように思われる。バレエのK・K夫人がエッセイ
教室に通っていた頃、パリ時代のできごとを書いたら、
 「知らない話を聞かされても分からない」と、生徒間で拒否
されたそうだ。
 誰でも知っているような日常的な、或いはTVネタの話題を、
分かりやすい言葉で書くことしか望まれていないのだったら、
言葉を/で綴ることがそんな狭い範囲にしか用いられないの
なら、直接的には何の役にも立たない憧れや思考を語ろうと
する言葉は、どこに行き場を見いだせばよいのだろう。

 
     (宇野浩二『芥川龍之介 (上)』 中公文庫 1975初 J)

11月24日に続く~





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# by byogakudo | 2017-11-22 20:22 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 11月 21日

(1)宇野浩二『芥川龍之介 (上)』、なかなか進まない

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 宇野浩二の、のたくる文体は好きだけれど、話の進まなさの
すごいこと。

 まえがきの、
< 芥川龍之介__と、こういう、ものものしい、題をつけたが、
 この文章は、芥川龍之介のことを、思い出すままに、述べる
 つもりで、書くのであるから、これまでに私が芥川について
 書いた文章と重複するところがかなりある、(いや、重複する
 ところばかり、)というようなものになるにちがいない。
 [略]
  それから、この文章は、もとより、評伝でも評論でもなく、
 私が芥川とつきあった短い間(あいだ)の、私が、見、聞き、
 知った、芥川について、その思い出を、主として、書きたい
 と思っているのであり、そうして、その思い出も、わざとノオト
 などをとらないで、おもいだすままに、あれ、これ、と書きつづる、
 というような方法をとりたい、と思うので、思い出すままに述べる
 事柄の年月(としつき)があとさきになったり、それぞれの話が
 とりとめのないものになったり、するにちがいない。>(p5-6)

__まったく、この通りである。だから話は、なかなか進行しない。

 しかし、書き写してみて驚いた。こんなに読み点ばっかりとは。
 横書きならば、読み点を多めに使う方がテニオハが読みやすく
なる利点があるが、縦書きでの多用は...、そうか、もしかしたら、
宇野浩二の、うねり、のたくる長い一文を、混乱させないための
工夫なのだろうか?


     (宇野浩二『芥川龍之介 (上)』 中公文庫 1975初 J)

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# by byogakudo | 2017-11-21 21:56 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 11月 20日

(1)龍膽寺雄『M・子への遺書』を中断しそう

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 むかし文庫本で読んだ『M・子への遺書』と『放浪時代』
をパスして、1976年、「面白半分」に連載された『東京
でかめろん』の『お不動さまはご存知』を読む。
 戦前の浅草の売笑譚であるこれは、モダーニズム作家が
実名で出てきたりして楽しかったけれど、次の戦後篇『梟族
の夜の倫理』は、1970年ころのフリーセックス・ブーム(?)
を描こうとしているのだろう(?)が、どうも退屈で中断しそう。

 姉が芸者、片親違いの妹は半玉。ふたりは女衒に支配されて
いる。妹だけでも、なんとかこの境遇から抜けさせて堅気の
暮らしをさせてやりたいと、姉・芸者に頼まれた作家が、妹を
連れ出してやるが、結局、失敗に終わるというストーリーに
当時の浅草風俗、モダーンな風潮が取り込まれて、面白く読む。

 半玉・於茶々(おちゃちゃ)を大急ぎで連れ出して

< 新宿まで来る途中、まわり道をして、市ヶ谷にある、妻が
 行きつけの美容院に寄った。同じモダーニズム文学仲間の
 吉行エイスケの若い妻君のあぐりさんが、そこにハイカラな
 美容室をひらいていた。坂になった三叉路(みつまたみち)の
 ところに、軍艦のようなかたちをしたコンクリートの、うす緑色
 したコルビジェ式の三階建てのビルがあって、村山知義の設計
 だという話だったけれども、ソコをモダーニズム文学仲間の
 たまり場に利用して、よく集まって、いいことやわるいことを
 相談しあっていた。
 [略]
 於茶々の髪を、桃割れを崩して、片側を編みさげた子供らしい
 長いおさげにさせた。お座敷着[略]を脱がせ、持って来たトランク
 から、黄八丈の紫矢がすりの普段着を出させて、ソレに着がえさせ、
 赤い鹿(か)の子(こ)絞りのさんじゃくを結ばせた。これでも結構
 艶かしく派手だったけれども、ひどく目立つ、半玉(はんぎょく)
 らしいふぜいではなくなった。>(P186)


     (龍膽寺雄『M・子への遺書』 日月書店 1978初 帯 J)

 発行元・日月書店の所在地、〒101 千代田区神田北乗物町九番地
(京王ビル三階)というのは、いま、どこだろう?__いまも在る。
京王ビルって書いてある! でも、日月書店は、なさそう。
 "じつげつ"と読んだけれど、どうやら"にちげつ"なのか?
(「日月書店」の読み方を知りたい。)





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2017年 11月 19日

恵比寿西1丁目~渋谷駅へ(2017/11/17)

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 シス書店で合田ノブヨ展を楽しく見て、さあ、どうやって
帰ろうかという折、つい、魔が差した。
 あ、写真は、そのときではありません。もっと前、もっと
近場の散歩のときです。

 で、大抵、渋谷川沿いを通っているので、今回は山手線
西側を歩いてみようと、つい、志した。坂ばっかり続く散歩
になった...。
 恵比寿神社辺りはまだよかった。西1丁目17くらいからは、
感じのいい住宅地ではあるが、もう、もう、坂また坂である。
 また、坂かと思うが、右手に見える平地に降りるまで一波乱
ありそうで、それよりは、このまま渋谷を目指す方が、ましに
思われる。

 "劇団ひまわり"って、こんなところにあるのか、集合住宅が
"何とか代官山"と付くから、代官山も近いな。西2丁目の都営
アパート(恵比寿西アパート)は、なつかしい公団スタイルだが
壊される(渋谷区 都営恵比寿西アパートを複合施設へ)。

 JRの長いプラットフォームの端に到達した。でも駅は、まだ。
 線路脇のさびれた飲食店街を通る。桜丘町だ。
 地面より少し高くなった土地に建つ、古い、丸窓のあるアパート
を見て、
 「リゾートを見にきたときもあった!」と、S。
 「エピキュラスで演ったときの?」
 「そう」。

 だが、ここらは再開発準備地だ。長くは見られない。

 やっと着いた渋谷駅前の歩道橋結集地帯から見る風景は、
毎度の普請中。
 歩道橋も傷んでいるようだし、インフラは整備するべきだが、
東京でオリンピックを開けばトリクルダウン理論により、自動的に
東日本大震災の被災地が復興する、筈はないだろう。祈っていれば
福島の原発事故が自動的に収束する、訳がないように。





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# by byogakudo | 2017-11-19 20:51 | 雑録 | Comments(2)
2017年 11月 18日

エヴァンズ&ホールドストック編/浅倉久志・他訳『アザー・エデン』読了

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 初めの3篇を読んだとき、もしやこれは大傑作/名作・短篇集か
と予感したが、全部読み終わると、好みの問題があるので全篇・
大好きとは行かない。濃淡が出てくる。それにしても、こんなに
すばらしい短篇ばかり集まっているのは壮観というか、壮挙って
いうのか。
 暗いトーンの物語がほとんどで、まさにわたしの好みだ。暗いか、
或いはまったくの馬鹿話か。好みは両端にあるが、いちばんSFから
遠い『ささやかな遺産』(M・ジョン・ハリスン/中村融 訳)に、
いちばん感激した。

 作家の兄が急死する。妹が遺稿を整理することになり、兄の家を
訪れる。残されたノートを読みながら、妹は兄が生きているかの
ように、ひとつひとつに反応する。記述された言葉は現実の一部
として、現在形で再生される。
 
<流行遅れのきつい香水の匂い[略]__むっとする、ビザンチン
 風の香り。>(p73)__これは妹が嗅いだ偽臭かもしれないが、
香りと誰かがいる気配がして、戦争(第二次大戦)の記憶が甦る。
戦争は終わり、平和な時代のはずなのに、冷戦という名の戦争、
殺戮が続く。

 帰りの列車で遭遇した火事の臭い__ここでも匂い/臭いだ
__が、アウシュビッツの死者たちの気配を立ちのぼらせる。


 落着いてタフなフェミニズムSF『きず』(リサ・タトル/乾遥子 訳)、
『掌篇三題』の『豚足ライトと手鳥』(ギャリー・キルワース/大森望
訳)の乾いて妙な身体改変譚、これらが好きだ。

 80年代までは、暗い趣きの、翻訳SF短篇集が出せたのだろうか。
くたばれ、"読みやすい"小説...。


     (エヴァンズ&ホールドストック編/浅倉久志・他訳
     『アザー・エデン』 ハヤカワ文庫 1989初 J)





呪 亜屁沈臓/呪 汚池腐裏子/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/呪 吐爛腐・夷蛮禍/

 安保関連法(こと戦争法)の本会議投票行動(PDF)東京都の
安保関連法(戦争法)に賛成した議員名


 共謀罪強行成立記念! 安倍政権の暴挙を忘れないために振り返る
「共謀罪トンデモ答弁・暴言録」


 【票を入れるな危険】日本会議所属の都議候補一覧

 小池百合子氏 日本会議“本流”から外れた愛国者

 「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動

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# by byogakudo | 2017-11-18 22:21 | 読書ノート | Comments(0)