猫額洞の日々

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2005年 11月 13日

「東京人 特集 東京なつかし風景」

(03年5月号)、雑誌をゆっくり読んだのは数年ぶりではないだろうか。古本屋を
始めてから特に、雑誌が読めなくなった。大抵 寝床向きのサイズではないので昼間に
読むしかないが、日中は これでも雑用があるので、眼で文字を追っても頭に入り辛い。
雑誌はどれも眺めるだけで棚に出すしかない。

 金曜日は部屋に持ち帰って1冊じっくり読んだ。TVで放送された戦後の東京風景が
どっさり載っていて愉しい。川本三郎・泉麻人の対談の結びの言葉が
   「ついこの間の近過去の話でこんなに盛り上がれるのは東京のおもしろいとこ
   です。・・・東京は街がすぐ変わってしまうけれど、そのせいもあって
   ちょっと前の街がすぐなつかしくなるんでしょうね。」
というのは その通りで、かなしい。まさか人々の思い出に残るために いつも普請中
という訳ではあるまいが。

 ときどき亡命したくなる。どこへ?


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# by byogakudo | 2005-11-13 19:18 | 読書ノート | Comments(0)
2005年 11月 12日

新着本 その他

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 新着欄を通さずに各項目に入れた本も勿論あります。06に入った辰野隆や
種村季弘なぞ。
 なお、店内での本の並べ方は、新着本の「下町残照」を「看板建築」と
隣り合わせようかと思っていたのに、本の高さが近い「帝都復興せり」と並べる
ことに決定。目録と実際の本棚とは やはり並びが異なる。

 08m 映画パンフレットを、08k 映画パンフレットに変えました。(mだと
MELIESであると言い張ってもmovieでしょと言われそうだし、kもエディソンみたいで
本当はいやなのだが・・・そうか、filmのfにすればよかったんだ! もう変えない
方がいいだろうなあ__すみません、声の大きいひとり言です。)

 木枯が吹き、店内のどこからか隙間風が通って行く。遂に足下のヒーターをつけた。
冬が始まる日。


新着本

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# by byogakudo | 2005-11-12 14:12 | 告知 | Comments(0)
2005年 11月 11日

曇り日

 早めに出て あまり買わず。タリーズ九段下店に寄っても まだ早い。荷物も軽いし、
市ヶ谷まで散歩しようと、歩き出す。

 お堀端の秋の様子が美しい。曇り日なので、草の緑と 桜や他の落葉樹の紅葉との
コントラストがやわらかだ。
 「中学の頃から変ってない景色って、ここくらいじゃないかなあ」とS。千鳥ケ渕へ
続く遊歩道を歩いていると、お堀に白鷺がやって来た。餌でも探しているのかと
思ったが そうでもなく、休みにきたのか? 鯔背で愛嬌のある動きだ。
 こんな日に限ってカメラを忘れている。

 このまま進むと赤坂あたりまで歩き兼ねないので、適当に曲がる。できるだけ
細い道を選ぶけれど、かつての中流住宅と退屈な近頃できのビルとが不調和で
あまり面白み なし。


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# by byogakudo | 2005-11-11 19:36 | 雑録 | Comments(0)
2005年 11月 10日

やっと1週間が終わる。

疲れただけの1週間かなあ。小売店の存在理由を改めて考えるが、必要ないんじゃ
ないだろうか?
 店を開けていればこそ、お客さまに出会える。「場」を続けることが小売店の意味
のひとつだけれど、ここまで静かな日々が続くと、疑問になってくる。

 夕方 散歩に出る。4時を過ぎると暮れて行くのが早い。まだ明るいうちに
神田川まで行こうと思うが、途中のペットショップに引っかかる。
 ショウウィンドウにヒマラヤンとアメリカン・ショートヘアの2匹、どちらも もう
子猫ではないが、巴になって互いに舐め合っている。家の猫たちとは大違いだ。やがて
少し若い?ショートヘアの方がヒマラヤンの腹に顔をつっこんで眠り始めるが、
ヒマラヤンはまだ舐め続けている。

 切りがないので、神田川へ。薄明かりが残っている。橋の下を蝙蝠が舞っている。
動体視力が低いので何度も確認したが、やはり蝙蝠だ。橋上や遊歩道のあちこちに
挨拶を交わす 犬の散歩の人たち。


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# by byogakudo | 2005-11-10 15:04 | 雑録 | Comments(0)
2005年 11月 09日

通しタイトルのつもりだった・・・

 森茉莉 関連本の話ですが、10月19日「『黒猫ジュリエットへの手紙』を見ながら」
を「森茉莉付近 (2) 」へ、21日「先日の川村二郎は」が同「(3)」、昨日の分を
「(4)」に訂正します。
 それほど新発見があるとは思えない企画?ですけれど、落穂拾いみたようなもので。

 昨日久しぶりにいらした若いお客さまに「もののたはむれ」他をお返ししたら、
 「こんなのも あるんですけど」と文庫本2冊、阿部和重「ABC戦争」(新潮文庫
02初)と保坂和志「季節の記憶」(中公文庫 99初)とを鞄から出して貸して下さる。
 世の中から かなり降りているので(本当はそれでは店なぞ やって行けないのだが)
こんなことでもなければ、まず読むことのない作品だ。感謝。

 彼は阿佐ヶ谷に越されたので、中央線古本屋の話等、おしゃべりする。高円寺なら
何たって「アニマル洋子」とか、わたしは子供がいないが、息子の世代とこんなに
話が合ってよいものだろうかと時々 不思議な思いに駆られながらも、店という
空間故の出会いでしょう、これは。


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# by byogakudo | 2005-11-09 18:26 | 雑録 | Comments(0)
2005年 11月 08日

森茉莉付近 (4)

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 安原顕「まだ死ねずにいる文学のために」(筑摩書房 86初)は72年~76年と、
81~82年の7年間「レコード芸術」誌に連載したコラムを一冊にまとめた書評集だ。
 この中で、75年8月刊、「甘い蜜の部屋」が取り上げられている。以下、適宜
抜粋してみる。

   ぼくも昔から森茉莉のファンで、・・・今度まとめて・・・読み通してみて、
  やっぱりこれは今までの日本文学にはあまり類のない異色の傑作だと思った。

  中でもぼくは大正期の東京山の手の富裕な家庭のひとり娘である主人公の
  牟礼藻羅(モイラ)という美少女の外面と内面が実に生き生きと描かれて
  いることに感心させられた。

  この小説の最大の魅力は、リアリティにみちた事物の細部描写と、各々が
  お互いの気持を十二分に承知した上で行動する、その心理分析の見事さだね。

   まあ森茉莉という作家は、日本では三島由紀夫と並ぶ心理小説の名手だと
  ぼくは思うね。

   三島氏といえば、森氏の『恋人たちの森』の少年パウロが恋人の死を忘れる
  くだりを評して <女性は決してこのような残酷で明澄なナルシスムに達する
  ことがない。それは男性のもつ最も奥深い秘密である筈だが、それを女性の
  作家が発掘したというのは、驚くに堪えん出来事である。文句なしに傑作>と
  書いたことがあったことを思い出すけれど、森氏もこの作品は氏が最も敬愛して
  いた室生犀星と三島由紀夫の二人には読んでもらいたかったんじゃないかな。

   今の文壇ではこういう作品はまったくといっていいほど受け入れられない
  けれど、もし三島氏が生きていたら彼が選考委員をしていた谷崎賞かなにか、
  とにかく大きい賞を文句なく取っていたと思うと、まったく森氏にとっても
  われわれファンにとっても三島氏の死は大きいね。

  ぼくが驚かされるのは、『甘い蜜の部屋』が書かれたのは氏が六十二〜
  七十二歳までの十年間ということだろう、その年齢の彼女がこういう
  磨き上げられた文体でこれだけ人間心理が複雑に絡み合う世界を築いたという
  ことなんだな。

  でも実際の森茉莉氏は服装はもちろんなりふりかまわずだし、下北沢の
  信じられないボロ・アパート(失礼!)に住んでいた頃は、パンを持っていて
  一日中近所の喫茶店で仕事をしていて、そこのマスターにイヤな顔をされていた
  という話は有名なくらい、いわば男でいえば無頼的な生活をしているのね。
  そういう実生活と小説の人工的な世界とのギャップなんだな、ぼくが
  驚かされるのは。それは彼女が常に小説の世界でしか生きていないと
  いうこと・・・なんだろうな。


 森茉莉がなりふりかまわずには、見えなかったのですが。いわゆる百貨店で売ってる
既製服の着こなしでは、ありませんけれど。


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# by byogakudo | 2005-11-08 16:34 | 森茉莉 | Comments(0)
2005年 11月 07日

テクニカラーな朝

だった。
 少し早め 10時半に部屋を出たら、いきなりの陽射しと突風に見舞われる。街路樹の
木の葉が砕けるように舞い散り、トーンの狂った青空だ。雨上がりの光に視力が
やられそう。ヒチコック「ハリーの災難」みたいな陽射しだ。

 ヒチコック・ベスト3を考えながら店へ。順不同で「めまい」「裏窓」そして
「ハリーの災難」かしら? ベスト5にすると「サイコ」「救命艇」が入る、
アンソニー・パーキンスとタルーラ・バンクヘッドが好きなので。

 Sが昨日の本を引き取りに行ってくれた。あれこれ値段を考えては、
手入れしたり、ネットに上げるか検討したりで一日が暮れる。
 安原顕「まだ死ねずにいる文学のために」(筑摩書房 86初帯)に、
森茉莉「甘い蜜の部屋」の批評がある。感じのいい批評文なので紹介したいが、
今日は遅くなったので、たぶん明日。
 (でも、菊池信義の装幀って、どこがいいのだろう? 装幀意図の解説ばかり
聞こえて来るようで鬱陶しいのに。)


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# by byogakudo | 2005-11-07 16:08 | 雑録 | Comments(0)
2005年 11月 06日

やっぱり心配なので

「禁映画本・ジャズ本」のお客さま宅へ向かう。文庫棚だけでなく、捨て雑誌置場も
拝見。
 伺ってよかった。(昨日に引き続き)新着欄に載せる本が4点も見つかった。
他に画集も頂くことにしたが重いので、明日Sに取りに行ってもらうことにする。

 雨が本格的に降り出し、店内の静けさが いや増す。不安がつのる。もはや・・・?
同時に、神は待ち望めるけど、お客は待てないなぞとヤクザな台詞も頭に浮かぶので
メゲきってはいないのでしょう、きっと。

 「わが文学生活」(大岡昇平 中公文庫 81初)読了。翻訳小説によって自己決定が
なされた世代は、大正期にティーネイジャーだった大岡昇平の世代から70年代までと
大雑把には言えるだろうか。戦争中に思春期だった人々は、どうなのか? 軍国少年・
少女以前に翻訳物の児童文学に触れているだろうから、同じだろう。
 いまは翻訳小説が読まれないようだけれど、ほんとに自足しきれるものかしら?


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# by byogakudo | 2005-11-06 18:31 | 雑録 | Comments(0)
2005年 11月 05日

「ハリスおばさんニューヨークへ行く」

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 書き忘れていたが、文庫版のジャケット画・挿絵・カットは 上田とし子である。
愛らしい。途中から飛ばし読み。もう少し違うタッチを期待していたのだけれど__
タイトルを例によって忘れているオグデン・ナッシュ(?これも自信がない)の
アメリカ人一家のパリ旅行ものみたいな感じかと予想していたが、やや教訓調?

 ミステリのお師匠さんがいらっしゃる。ブリーン「もう生きてはいまい」の話を
したら、やっぱり他のブリーン作品も持っておいでだ。今度貸して頂くことになった。
最初の3~4作はしっかり書かれて面白いけれど、あとはユルくなるそうです。パズルを
作るみたいな本格派は、そうそう秀作ばかりは続かない、ということだろうか。

 今日は晴れて散歩日和。静かな日々が続きすぎて くたびれ果てている、
週の始まりの亜種古本屋です。モチヴェイションを探せ!


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# by byogakudo | 2005-11-05 14:42 | 読書ノート | Comments(0)
2005年 11月 04日

森茉莉さんとお茶を (4)/「わが文学生活」+「ボク宝」

の昨夜。「ボク宝」は勿論 みうらじゅん(光文社文庫 99初) です。鹿島茂の解説も
素晴らしい。
 ところで、シルヴィ・ヴァルタンとバルタン星人とは ほんとに同じルーツを
持つのだろうか?

 シルヴィ・ヴァルタンで思い出した。彼女が自動車事故で一命を取り留めたことを
森茉莉さんにお話したら、
 「あんな綺麗な人は、むしろ死んじゃった方がよかったんじゃない?」
 「いや、整形手術で前と同じ顔ですけど」とお答えしたけれど、わたしが間違って
いた。後年の彼女の顔は やはり不自然だ。
 整形手術で成功したのはナンシー・シナトラくらいではないか。退屈な醜女顔から
エキセントリックな醜女顔になったのは、整形外科医のセンスがよかったのか、頼んだ
彼女のセンスの賜物か? 近頃ならグィネス・パルトロウの整形もいいセンスだ。

 大岡昇平もちゃんと読んでいるが、今夜もたぶん手に入れたばかりの「ハリス
おばさんニューヨークへ行く」(ガリコ__ポール・ギャリコ__講談社文庫 80初)と
同時進行だろう。


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# by byogakudo | 2005-11-04 20:45 | 森茉莉 | Comments(0)