2009年 07月 23日
![]() click to enlarge. 「映画化記念 私は猫ストーカーフェア」 神保町・三省堂本店4F 6月26日(金)〜7月27日(月) 1980年頃だっただろうか、地下鉄新中野の近くを歩いていたら 不思議な建物が蟠っていた。形状から「トーチカハウス」と呼んで いたが、それが伊東豊雄の「G邸」(White U)であった。 夫を亡くした姉とその娘たちのために、建築家である弟が設計した 家であることを、初めて知る。内省的な時空を求めて建てられた家は、 二十一年後の1997年2月28日に壊され、更地になる。 母と娘たちの現在の意識や思考・生活にそぐわなくなったからである。 いわば家は、卒業された。 建築家の作品として残し、次の住み手を探すこともできたであろうが、 彼女たちはそれを望まず、彼女たちの生きた記憶とともに在った家を 消滅させる方を選んだ。 唐突に、皇后の実家が相続税支払いのために物納されると決まったときの、 地域の保存運動と、皇后の固辞とを思い出した。 皇后が更地にする方を望んだのは、国民の税金が皇室費であると意識して のことかと思うが、それと同時に、女性と彼女の家との密やかで親密な関わりに 理由があるのではないだろうか。 自分が少女時代を過ごした家が記念館になり、人目にさらされて建物として 残り続けることを、女性は好まないのではないか。 記憶が蹂躙されるというのは、大げさかもしれないが、それに近いものを感じて 固辞されたのではないだろうか。 それに似たような意識から「中野本町の家」も残らなかったのではないかしら。 もしも、配偶者を喪ったのが、建築家である弟の兄であったとしたら、内省の 家は建てられなかったかも知れないが、建物自体は作品として残されたのでは ないか。男性と女性とでは家(houseでありhomeでもある)に対する感受性が かなり異なる。 (住まい学大系090 住まいの図書館出版局 98再 J) ■
[PR]
by byogakudo
| 2009-07-23 16:20
| 読書ノート
|
Comments(0)
|
アバウト
カレンダー
カテゴリ
以前の記事
2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 more... リンク
■ねこ新聞
■月刊ねこ新聞Twitter ■蟲文庫 ■旅猫雑貨店 路地裏縁側日記 ■海ねこ的 日々の暮し ■森茉莉街道をゆく ■山崎阿弥 ■サイコ☆ヒステリック 徒然日記 ■鈴木創士 ■安柊 有人 ■安柊 有人fb ■nibuya(@cbfn) ■楠森總一郎 EROS VERSUS ■hirose tadashi|photographer ■kizashino ■do-do ■スローラーナー ■muttnik ■l-ange cie* ■やっぱりモダニズムが好き! ■かめ設計室 ■建築ノ虫 ■ご近所の日々 ■素人魂〜特濃魚汁〜 ■素人魂@深海魚鍋オフのいたちょ ■梟通信〜ホンの戯言 ■PAPERWALL ブックデザイナー日下潤一の日々 ■daily-sumus2 ■退屈男と本と街 ■古本屋ツアー・イン・ジャパン ■okatakeの日記 ■ギャラリー ときの忘れもの ■ときの忘れもの@twitter ■銀座レトロギャラリーMUSEE ■痩せたり太ったり ■橋場一男 ■Tracy Talk・・・ ■メグブログ 美咲歌芽句 ■亜湖公式サイト ■ヒゴヒロシ ■坂本弘道公式サイト ■三信ビル保存プロジェクト ■逗子なぎさホテル ■わき道にそれて純喫茶2 ■アトリエ プティカ 最新のコメント
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||
外部サイトRSS追加 |
||