2009年 12月 28日
click to enlarge. たぶんクリスマスころから読んでいるクリストファー・プリースト 「スペース・マシン」(創元推理文庫SF 79再 J)が、まだ終らない。 半分まで読むのに時間がかかったこと、途中を飛ばそうかと 思ったほどの悠然たる(?)書きっぷりだ。 ものの弾みでタイム・マシーンを暴走させ、気がつけば火星に 来てしまったヴィクトリア朝の若い男女が、このままでは火星の 怪物に地球が侵略されるから、なんとか地球に戻ろうとする ところまで、やっとたどり着いた。 ジョン・ウィンダム系のおっとり・じっくり型SFの始まりだったが、 火星の文明描写があまりに長過ぎる。右も左も解らない異文化状況に 投げ込まれた、たしなみ深いヴィクトリアンが語り手なのはいいけれど、 火星の都市間の紛争描写、マシーン描写の長ったらしさに疲れ果てた。 ここまで懇切丁寧なレポートが、物語の構成上、必要だったのだろうか。 連続アクションSFには興味がないが、こんなにくどく書かなくっても、 怪物に支配される火星人(地球人と似ているが、ずっと背が高い)の 苦痛が、資本主義経済下の搾取された地球人のメタファーであることは 充分、伝わると思う。 しつこさは、この小説の必然的結果なのか、たんに作者の体質か、 若くて体力があった結果なのか・・・。
by byogakudo
| 2009-12-28 12:53
| 読書ノート
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