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猫額洞の日々

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2010年 03月 07日

川島雄三「しとやかな獣」再見

川島雄三「しとやかな獣」再見_e0030187_1504139.jpg









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 むかし見てカッコよかった記憶はあるが、具体的なシーンは
憶えていない。再見して、ますます素晴しさに感激した。

 新藤兼人によるシナリオの描線の鮮やかさ・コントラストの
強烈さを観客によく伝えるカメラ、ビートを感じさせる映画の
リズム。エネルギーある時代の完璧な作品だろう。

 その前に見た、同じ伊藤雄之助が出ている、岡本喜八「ああ爆弾」は、
リズムの悪さで頭が痛くなったけれど__様々な音楽が使われ、動き
踊る人々の映像が続くのだが、音と絵が互いになぞり合ってるとしか
見えなかった。__、「しとやかな獣」のビートと速度は、ほんとに
素晴しい。

 敗戦直後の混乱が少し落ちついたかと思ったら、高度経済成長の
大騒ぎが始まった頃の物語である。商売上、ノスタルジーの皮膜に
包まれて語られることが多い、皆さまに愛される昭和30年代風景の
深層は、こんなものと、今に実証するのがすごい。

 タイトル「しとやかな獣」は、男を手玉に取って生き延びる、
主演の若尾文子を指していると、ずっと思ってきたが、エンディングの
山岡久乃のクロースアップを見ていると、賢夫人の彼女こそ、じつは
本物の「しとやかな獣」ではないかしら?

 昨日、忘れていました。今週の新着欄をよろしく。
 新着欄

by byogakudo | 2010-03-07 14:50 | 映画 | Comments(0)


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