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シアター・トップスのあるトップスハウスになる前の新宿トップス、
1970年代から1980年代のトップスだ。行けばいつでも誰かがいた。
席を移って喋ったり、黙礼だけだったり。
80年代のある冬の夜、混雑したトップスだった。M氏の隣に見慣れぬ
顔がある。一瞥して、ひどい酩酊ぶりに眼を背ける。わが身を振り返らぬ
言い種だが。
その当時のトップスのお手洗いは男女兼用で、出ようとしたら、入ろうと
する件の見知らぬ青年とぶつかりかけた。ふたり同時に、
「ごめんなさい!」
彼の声の響きで、とても繊細なひとだと解った。(声や話し方は、ひとを
露にする。)鈴木創士氏と初めて遇ったときである。
あるいはある午後、女友だちと一緒だった。Sがひとりで坐っていた。
コーヒーを一口飲んで、次に小さなミルクピッチャーからミルクを飲む
のを見て、
「あら、口中カフェオレね」と、ふたりで噂する。
東京は強制終了とリセットの街だ。街も記憶もすべて喪われてゆく。