2010年 03月 25日
click to enlarge. 元版が1973年ということは、安部公房/ドナルド・キーンともに 50歳前後の対談集だ。 対話は、「日本人とは」という問題意識自体がよく解らないと 安部公房が語る辺りから始まる。 時代を経ても相変わらず、日本人は日本人論が好きだ。 この変らなさも、なんだかすごい。 そこから徐々に、文学や演劇・戯曲の話に移る。アリストテレスの カタルシス論では覆いきれない演劇空間の話になり、「ゴドーを 待ちながら」を例にとり、安部公房が述べる。 < 普通は、ある物語の構造があって、出来事というものが始まり、 展開し、終る。この関係は、空間的ないろいろな出来事ですが、 それが時間的な関数で表現されるわけです。ところが『ゴドー.....』 の場合には空間的な出来事はなんにもなくて、時間だけがそこに 示され、しかもその時間が、無限につづいてもこわれない時間です。 この時間が、演劇にとって非常に重要なのじゃないか。その時間と いうものを示すために、手段としてぼくらは物語という形を選ぶ。つまり 物語には必ず始まりがあって終りがある。どんな物語でもそういう構造を 持つわけです。なんのためにそのような構造を持つかというと、実は 構造を与えることによって時間というものが示されるからじゃないか。 人間の、おそらくあらゆる動物との違いの一つは、時間認識、つまり 時間として自分をとらえることにあるのじゃないか。>(p103~104) ここらが、いちばんノッて読んだ。 (中公文庫 79初 J)
by byogakudo
| 2010-03-25 16:08
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