2010年 10月 03日
click to enlarge. 写真は、一昨日の南青山一丁目広場で。 この後、向って右側の猫は、老人に連れ戻された。 まず「雪解」や「ひかげの花」といった塩梅に、ランダムに 読んでいる。前に読んだときと断然違うのは、土地勘である。 「雪解」の田島兼太郎が借りている二階は、<築地二丁目本願寺 横手>の、<人力車のやっと一台通れるほどの>狭い路地にある。 路地から表通りに出ると、<備前橋の方へ出る通りとの四辻に遠く 本願寺の高い土塀と消防の火見櫓が見える>辺りである。 < 築地のこの界隈にはお妾新道という処もある位で妾が大勢 住んでいる。堅気の女房も赤い手柄をかける位の年頃のものは お妾に見まがうような身なりをしている。> そうか、神社仏閣の近くだから、色っぽいエリアでもあるのか。 そうは書いてないけれど。 本願寺は行ったが、界隈はまだ充分に歩いていなかった。いつか 踏破しようと、ガイドブックじゃあるまいし。 「ひかげの花」の私娼とヒモが借りている二階は、芝桜川町の 裏通り。その前は<麻布六本木の阪下にある谷町>の横町だった。 谷町から越したのは、私娼として会ったことのある男が近所に 引っ越してきたせいである。 小説の後半でも、手入れがあったので、大急ぎで浅草方面に 引っ越す。吉田健一「東京の昔」にもあるが、戦前の東京は貸間や 貸家が多かったのが、よくわかる。 (岩波文庫 87初 J)
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by byogakudo
| 2010-10-03 13:50
| 読書ノート
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