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猫額洞の日々

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2010年 10月 03日

永井荷風「雨瀟々・雪解 他七篇」をまた読んでいる

永井荷風「雨瀟々・雪解 他七篇」をまた読んでいる_e0030187_13494727.jpg






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 写真は、一昨日の南青山一丁目広場で。
 この後、向って右側の猫は、老人に連れ戻された。

 まず「雪解」や「ひかげの花」といった塩梅に、ランダムに
読んでいる。前に読んだときと断然違うのは、土地勘である。

 「雪解」の田島兼太郎が借りている二階は、<築地二丁目本願寺
横手>の、<人力車のやっと一台通れるほどの>狭い路地にある。
 路地から表通りに出ると、<備前橋の方へ出る通りとの四辻に遠く
本願寺の高い土塀と消防の火見櫓が見える>辺りである。

 < 築地のこの界隈にはお妾新道という処もある位で妾が大勢
 住んでいる。堅気の女房も赤い手柄をかける位の年頃のものは
 お妾に見まがうような身なりをしている。>

 そうか、神社仏閣の近くだから、色っぽいエリアでもあるのか。
そうは書いてないけれど。
 本願寺は行ったが、界隈はまだ充分に歩いていなかった。いつか
踏破しようと、ガイドブックじゃあるまいし。

 「ひかげの花」の私娼とヒモが借りている二階は、芝桜川町の
裏通り。その前は<麻布六本木の阪下にある谷町>の横町だった。

 谷町から越したのは、私娼として会ったことのある男が近所に
引っ越してきたせいである。
 小説の後半でも、手入れがあったので、大急ぎで浅草方面に
引っ越す。吉田健一「東京の昔」にもあるが、戦前の東京は貸間や
貸家が多かったのが、よくわかる。

     (岩波文庫 87初 J)





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by byogakudo | 2010-10-03 13:50 | 読書ノート | Comments(0)


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