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猫額洞の日々

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2011年 03月 09日

ドミニック・ルーレ「寂しすぎるレディ」半分

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 映画みたい、という感想を小説に対して使うと、馬鹿にしたような
ニュアンスをもつが、悪口でなく映画みたいなミステリである。

 だって、いつも雨が降っているナント出身の若い作曲家(ポップスや
映画音楽で、ぽつぽつ、食べられるようになった)・アントワーヌが、
パリで自称モデルのリアと恋に落ちる。知り合うきっかけは、三行広告だ。

 初めて会うキャフェに彼女は車で来るが、車はオースティン・ミニ。
初めてアントワーヌの住まいで夕食をするシーンでは、

< アントワーヌは、食卓にレースのテーブルクロスを敷き、蝋燭を
 二本立て、食器を並べていた。床には、むやみに首の長いイタリア産の
 葡萄酒のびんが置いてあった。胴に藁が巻いてあって、ランプシェード
 さえかぶせれば電気スタンドになりそうなびんだ。風変わりで楽しい
 眺めだった。アントワーヌは、二人だけの最初の食事にふさわしい
 雰囲気を作るために、あわてふためいて大変な努力をしたにちがいない。>
(p93下段)

 1970年代にナタリー・ドロンやレア・マッサリ主演で映画化されて
そうな、舞台背景だ。

 ナントのプチブル出身であるアントワーヌは、何故かジプシーたちに
惹かれるものがある。みなしご(!)のリアも、ジプシーと家族のような
つき合いがある。これはもしや、ハーレクィン・ロマンスの世界か。
 予断を許さない。

     (HPB 83初 帯 VJ無)





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by byogakudo | 2011-03-09 12:02 | 読書ノート | Comments(0)


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