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猫額洞の日々

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2011年 07月 30日

「マーニー」を見る

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 今週の新着欄です、よろしく。
 新着欄 

 最近、義母のためにヒッチコックを借りに行っている。返却ついでに、
わたしたちも見る。

 久しぶりの「マーニー」だ。ティッピ・ヘドレンの子どもっぽさと
大人の女性らしさの同居が、魅力的。
 昔は女優は美人と決まっていた。いまは圧倒的な美女の需要がない
とは知っているけれど、寂しくないかしら?

 黒髪の女性の後ろ姿ばかり見せ、ヘアカラーを洗い落として元の
金髪に戻り、頭を振り上げて初めて、ティッピ・ヘドレンの顔を見せる
演出は、大仰に遠慮なく、ヴィーナス誕生、ファムファタール登場を
告げる。
 
 ヒッチコック映画のほとんどが、冷感症の美女ほどセクシーでうつくしい
ものはない、というフェティシズムの表明だが、「マーニー」では特に
顕著だ。

 最初、グレース・ケリーのハリウッド復帰作として計画されたが、
モナコ公国に問題が起きて復帰どころではなくなり、出演不可能になった
とかいうことだけれど、脚本を読んだグレース・ケリーが、王妃の立場に
ある者として、出演は止めようと決めたのではないだろうか。
 だって、幼児期のトラウマで、色情狂や放火魔になる代わりに、盗癖に
走った女の話だもの。女優としてのやりがいはあっても、王妃としては
公国に及ぼすイメージを考え、躊躇してもおかしくない。

 マーニーの狂気の原因になる水兵がブルース・ダーンなのも、今と
なっては時代の方向をよく現している。ハリウッドにも、ざらついた
70年代が近づいているのだ。暗喩ではなく、より直接的な表現を求める
時代が。(と言っても、近頃の3Dやノンストップ・アクションを思えば、
まだまだ、「表現」に心を使った時代である。)

 義母が「ハリーの災難」に感激したのが、嬉しかった。





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by byogakudo | 2011-07-30 12:53 | 映画 | Comments(0)


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