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猫額洞の日々

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2011年 08月 07日

荒俣宏「万博とストリップ」読了/「ひとりっきりの戦争機械」新聞評

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 写真は、両国辺りのバルテュス空間(たぶん7月22日)。東の
東京ではバルテュス空間にぶつかる。

  
 荒俣宏「万博とストリップ」第二章 一九三九年 ニューヨーク万博
『興行師ノーマン・ベル・ゲデスの挑戦__ヌードに未来を見た男』。
 ノーマン・ベル・ゲデスって舞台美術のひとではなかったかと先を
読んだら、やはりそうだった。

<かれは今日、工業デザイナーとして著名だが、元来は劇場のステージ・
 デザイナーであった。>(p50)

 この名前は木村威夫「わが本籍は映画館」(春秋社 86初 J)で覚えた。
 伊東道郎が振り付けた『情熱の人魚』の舞台美術を担当した話の中で、
ヨーロッパからアメリカに渡り、ニューヨークのミュージカルの踊り手に
なったミチオ・イトウは、

<しかし、その非芸術的ミュージカルに嫌気がさしていた頃に、グリニッジ・
 ヴィレッジのカフェーで知り合った舞台美術家ノーマン・ベル・ゲディスと
 親しい同志となるのである。 
  ノーマン・ベル・ゲディスの名は、若き日の私にとって、遠くに輝く希望の
 灯であった。初めてゲディスの『奇蹟』のデザインを舞台画集で見た時、
 「なんという膨大なデザインがあるものだろう」と思った。彼はそのデザイン
 によって、マックス・ラインハルトに見出されて、無名のデザイナーから一気に
 大美術家となる。いま思うと、ミチオ氏からそのゲディスのことをもっといろいろ
 と聞いておけばよかったと残念でならない。>(p94)

 そして、ヒッチコック「めまい」に出ていたバーバラ・ベル・ゲデスは、
ノーマンの娘だ。
     (荒俣宏「万博とストリップ」 集英社新書 2000初 J)

 今朝の東京新聞・読書欄に、社会思想史家・雑賀恵子による「ひとりっきりの
戦争機械」(鈴木創士 青土社 2011初 帯 J) 評があった。

<[略]表現者がシャウトした音波に揺さぶられて、鈴木がスイングした文章[略]>
<[略]何ものでもなく、ただ聴く者の身体をぞわぞわさせる。>
< 生きている死者たち、冥界にいる生者たち、そんな不思議な空気が本書に
 漂う。>等々、
まったく、その通り!の、読んでてうれしくなるような批評だった。





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by byogakudo | 2011-08-07 13:15 | 読書ノート | Comments(0)


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