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猫額洞の日々

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2013年 01月 22日

ジョスリン・デイヴィー「花火と猫と提督」読了

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 隔靴掻痒感は何に由来してるのか? 読者であるあたしの無知・無教養さ
加減に? 及び腰の翻訳者のせいで? あるいは原作自体が、いささかクサい
から?

 主人公はオクスフォードの、いえ、オクスフォドの哲学講師だから古典の
引用はお手のもの、周囲の人々も各国の大使館仲間で、みんな知的な人ばかり。
その上、全米労働組合の指導者はクローチェ(名前だけ知っている)の愛読者で、
若手警官は夜学で文学や人類学コースを取っている、と来る。

 いきおい、話は硬軟取り混ぜた知的な、文学的・哲学的な過程を通る。カクテル
パーティでは、ミッキー・スピレーンとエウリピーデスとの相似を検討し、花火の
催しでは、ソ連大使と主人公とがロシア語でプーシキンを暗唱し合うようなことも
起り・・・。

 喰えない主人公であり、スタイルを重んじる作者であるが、原作でもこんなに
もたついた感じはあるのかしら? わたしに知識がないから、訳者の親切な注釈に
いちいち立ち止まってしまって、物語の中に入り込めないのだろうか?

 悪くはなかったが、いまいちノレなかった。
 ところで、大使館勤務者は全員、スパイでもあるのかしら?

     (HPB 1958初)





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by byogakudo | 2013-01-22 14:31 | 読書ノート | Comments(0)


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