2005年 11月 24日
「藝術新潮」63年7月号の特集・2、「わが贅沢貧乏」より。 よかった、まだ持ってたんだ。アンソニー・パーキンス表紙の「映画の友」別冊 (森茉莉と長沢節のエッセイが載っている)を探していたら、こっちが見つかった。 森茉莉の部屋の写真が出ているので、店には持って行かなかったのか。 見開きの右側に森茉莉のエッセイ、内容は「贅沢貧乏」に書いてあるようなことだが 左の写真に写っているオブジェの説明がある。引用します。 ボッチチェリの絵の下にある壜はヴェルモットとドムの空壜。薔薇が 挿してある壜は、或る日ふと不思議な美の結合を遂げた花と壜である。 額はプルウストの顔。写真と洋杯との間にあるのは黄金色の卵。 その後は停電の時の登山用のカンテラ(紅色)手前は首のぐらつく スタンド。・・・宮城まり子さんが犀星先生に贈り、それをまた戴いた 高杯(紫のヒイスの枯れたのが挿してある)犀星が癌の病床で毎日 眺めていた高杯である。その時はアメリカ大使館の窓の灯や自動車の テールなぞが煌めいていたが、今では私の部屋の電灯の光の屑を鏤めて 耀いている。十九世紀の王宮のゴブラン織そっくりの壁掛けの端だけしか 映つていないのは残念である。 漆喰壁にアルコーヴのある昔のアパートメントの空気がよく伝わる写真だが、 カメラ・松崎国俊、野中昭夫と記してある どちらが撮影者かは不明。高杯の左で 光っているのが、首のぐらつくスタンドの裸電球、スタンドが踏んでいるのが 壁掛けの端です。 アルコーヴに並ぶ本のタイトルは、いちばん左が「室生犀星全詩集」、プルーストの 額右に「独逸日記」?、この2冊を辛うじて判読。 「わが贅沢貧乏」特集には他に、三好達治、辻清明、保田与重郎、朝山新一、 瀧口修造、熊倉順吉、深瀬基寛、小山富士夫、オシコルヌ、熊谷守一が登場、それぞれ 部屋の写真とエッセイが出ています。森茉莉が「贅沢貧乏」で少し知られるように なった頃の企画だろう。 「映画の友」別冊(映画スターのファッション特集号)は、どこへ行って しまったんでしょう? もう売っちゃったのかしら? 思い出せない。 [2021年11月14日追記:この部屋の写真は、どうも萩原葉子の家の洋間で再現撮影
by byogakudo
| 2005-11-24 16:07
| 森茉莉
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