ヴァン・ヴォークト張りの波乱と飛躍に富んだ中編だ。スペース・オペラ
ならぬタイム・オペラと解説にあるようにタイム・スリップもの、しかも
過去にも未来にも何度となくジャンプして、有色人種が白人に支配されて
きた歴史を改変しよう、屈辱の過去を改変しようとする試みに、白人男性の
主人公が協力する、という物語。
長編ならばディックの場合、主人公の内面の葛藤が綿々と描かれるはず
だが、中編なのでその余裕がない分、ストーリー重視、内面描写少々である。
すごくはないが、やはりディックらしいタッチが楽しめる。
(創元推理文庫 2010初 帯 J)
..... Ads by Excite ........