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猫額洞の日々

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2013年 07月 31日

ロバート・L・フィッシュ「亡命者」読了

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 持ち帰ったハロルド・Q・マスル「ビッグ・マネー」は今夜中に
読み終わるだろうが、間にロバート・L・フィッシュ「亡命者」も
読んだ。

 ロバート・L・フィッシュないしパイクは、大昔、ホームズものの
パスティーシュ短篇集を読んだ筈で、内容は無論覚えてないけれど、
短篇作家だとばかり思っていた。
 ところが長篇もうまいのを、ようやく知った。

 ナチの残党が集まり、ブラジルで第三帝国を復活させようとする
動きがあり、という例のパターンだ。

 淡々と描かれる強制収容所勤務のナチ役人の姿、恐怖に悩まされ
ながら、ナチの残党をあぶりだそうとするユダヤ人元収容者の静かな
執念、彼に共感を寄せるブラジル人の国際警察員、ダ・シルヴァ。
 ユダヤ人は、ナチをおびき寄せるために真反対の人格を作り、
アメリカで反ユダヤ人運動の指導者として名を売ってみせる。
スパイはすべてダブル・スパイであることを思い出す、抑えた
タッチが効果的なミステリだ。
 リオデジャネイロの街の描写がすてきで、行ってみたくなるし、
脇役だが、ダ・シルヴァの相棒、ウィルスンの英国的なヒューマーの
案配もいい。

 他にもダ・シルヴァものがないかと探したら、翻訳されていないようで
残念。

     (HPB 1963初 VJ無)

 エンタテインメントにおいてナチは永遠の悪役であるが、麻生太郎の
永遠の政治痴呆ぶりは、矯正しようがないのか。

< ドイツのヒトラーは、ワイマル憲法という当時ヨーロッパで最も進んだ
 憲法(の下)で出てきた。[中略]
  「静かにやろうや」ということで、ワイマル憲法はいつの間にか変わっていた。
 誰も気がつかない間に変わった。あの手口を学んだらどうか。[以下略]>
(東京新聞2013年7月31日朝刊より、「ワイマール」を「ワイマル」に変えて
引用)

 橋下徹や石原慎太郎や猪瀬直樹あたりなら、部分的に引用するな、文脈を
読めと、遠吠えするだろうが__自分たちがいつもやっていることをされると
怒るのね__、麻生太郎の頭では、どう反論するだろう?

 麻生太郎に論理を求めるのが無理なのかもしれないが、国内での発言も
翻訳されて世界中に知られる、という可能性を考えたことはないのか。
 「みぞうゆう」で馬鹿にされたけれど、ヒトラーとワイマル憲法のこと
だって知ってるんだぜと、威張ってみせたかったのだろうか。
 馬鹿につける薬はない。国辱ものの政治家のおかげで、善良な市民たる
__彼らに比べれば、自信を持ってそう言える__あたしが迷惑する。





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by byogakudo | 2013-07-31 13:58 | 読書ノート | Comments(0)


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