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猫額洞の日々

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2013年 10月 05日

鈴木創士氏のコラム「第43回 天使は激怒する」/オレイニア・パパゾグロウ「クイーンたちの秘密」読了

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 10月の鈴木創士氏のコラムは「第43回 天使は激怒する」

 この後にすぐ続けるのもなんなので、今週の新着欄のご案内を。
 新着欄 

 これでよし(と、しよう)。
 第一作「ロマンス作家は危険」よりまとまって来たようだが、
オレイニア・パパゾグロウ「クイーンたちの秘密」は、ロマンス
小説作家や編集者・エージェントたちの生態、80年代ニューヨークの
都市風俗描写部分と、謎解きミステリとの融合のギクシャクぶりは
基本的に変らない。

 事件をロマンス作家界隈だけに限っているので、そんなに何人も作家を
殺すわけにいかず長期シリーズ化がむずかしい、という問題もあるけれど、
ミステリ部分の泥くささが、いちばんの問題ではないかしら。
 誰が犯人でも、どうやってやったかも、どうでもいいと思わせては__
謎解き意欲のないわたしのような読者だって皆無ではなかろう__、
ミステリとしてまずくはない?

 風俗小説としては楽しんだ。作家たちはほぼ全員、煙草を吸い、まだ
吸ってるのと、煙草に否定的な編集者も、動揺すると煙草に手が出る。
 世界的な嫌煙ムーヴメントは1990年代以降の産物だろうか? 今では
喫煙者は社会の落伍者視されてしまい、健康中毒が多数派である。

 オレイニア・パパゾグロウのミステリとしての欠点は、伏線の張り方が
ぎごちないこと、やり方によっては効果的な小動物(前作では仔猫、
この作では孤児になった少女)の扱いが、記号レヴェルであることだ。
 まだしも孤児の少女は物語に入り込んできたが、仔猫など、猫飼いが
読むと早く猫砂やエサを買わなきゃと、ヒロインに代わって心配するはめに
なる。

 クレイグ・ライスって、うまかったんだなあ。彼女と比べては気の毒だが、
こちらは「なんとなくクリスタル」的記号小説と読むべきなのかもしれない、
と、いま気がつく。

     (HPB 1988初 帯 VJ無)





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by byogakudo | 2013-10-05 17:07 | 読書ノート | Comments(0)


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