2013年 11月 17日
![]() これが長篇第一作だそうで、前に読んだ作品で好きになった 女丈夫秘書、キャシディはただ秘書の仕事をするだけ。あまり 見せ場がない。 スカット・ジョーダン弁護士は、お金持ちで性格がよく、機転が きき、家庭的__冷凍食品や缶詰ですてきなディナーが作れる__ な若い女性と結婚するかと思わせる展開だが、他の小説では未婚の ままなので、毎回、恋愛するというパターン設定なのだろう。 遺産がらみの事件で、ブロンド殺しに続き、ジョーダン弁護士が 狙われる。彼の友人がまちがえられて殺されと、事態は輻湊する。 粗筋でも紹介すればいいのだろうが、どうでもいいことに引っかかる 質だ。今回は久しぶりの「特許擬革(パテント・レザー)」が目に入る。 初めて目にしたのは角川文庫版「グレイト・ギャツビー」。まだ 「華麗なるギャツビー」になる前の翻訳で、タイトルも「グレイト・ ギャツビー」だったかどうか。何か叙情的な題名だったかもしれない。 それはともかく、ギャツビーではない他の男の履く靴が、<製法特許の 革靴>で、原文を読まないでも、エナメルの靴ね、とわかった。 「わたしを深く埋めて」が訳されたのが1962年だから、50年代から 60年代にかけては、パテント・レザーに即、特許皮革と反応した、という ことであろう。 「わたしを深く埋めて」では、 <ペッタリとなでつけた髪を特許擬革(パテント・レザー)のように 光らせた。[注: ママ]あごのない、退屈そうな帳場の係員は、ぼくに 顔をあげもしなかった。>(p228下段) 誤訳をあげつらおうというのではない。愛嬌があっていいではないか。 時代背景のある楽しい誤訳だ。以前にも書いたけれど、70年初めころ まではアメリカ文明の産物がそれほど入っていなかったので、「薄様紙」 に「ティッシュ・ペイパー」とルビされていたと、遠い記憶が言う。 (HPB 1962初 VJ無) (一部、11月19日に続く~)
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by byogakudo
| 2013-11-17 16:46
| 読書ノート
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