2014年 07月 07日
副題に『アニメ・特撮・伝記のヒロイン像』とあるが、まさにその 通りの、男たちの集団の中にいる少数の女は、いかに扱われてきたか、 という視点で論ぜられる近代日本レポートである。 アニメをあまり知らないので取り上げられる作品には無知だが、表層 批評として述べられていることは、非常にわかりやすい。 < テレビの前のお坊ちゃまがたへ きみが「男の国=戦場」で活躍するには、組織に属して私生活を犠牲 にし、みんなで異質なものの排除に努めなければなりません。それが 正義というものです。いざというときは武装=変身して、敵ととことん 戦うのです。敵の中にはおそろしい大人の女もいます。彼女たちは妖術 をつかうので、十分用心してください。でも大丈夫。科学技術はどんな 問題でも解決してくれますし、組織の中にはセクシーな女の子もいます から、息ぬきにセクハラもできますよ。 テレビの前のお嬢ちゃまがたへ あなたが「男の国=戦場」で活躍するには、実力よりも容姿を磨いて セクシーなふるまいを身につけなければなりません。さもなければ 「女の国=結婚市場」という狭い世界で戦うことです。その場合は メイクアップとドレスアップで変身し、大人の女の敵をつぎつぎ倒して みごと恋愛を成就させてください。大丈夫。困ったときには魔法を つかえばいいのだし、いざとなったらステキな王子さまがどこから ともなくあらわれて、あなたを助けてくれますよ。>(p63~64) こんな偏向イデオロギーに染まったアニメを見て育った世代、1960 年代以降に生まれた世代がすでに親であり、社会の中堅である。 <日本の特撮ドラマやアニメ=ジャパニメーションは、一大産業として、 いまや世界中のマーケットにばらまかれている。>(p64) ドラマの中では滅ぼされる、悪の女王に率いられた悪の帝国だが __ <みなの者、よーく聞け。悪の帝国の真の陰謀がわかったか。負けた ように見せかけて、われわれは、もとよりこの手で地球を滅ぼすつもり だったのだ。やがてジャパニメーションとやらが地球を覆い尽くす日が 来るであろう。そのとき人類は、戦争ボケのセクハラ男と恋愛ボケの アーパー女ばかりになるのだ。あら、ちがったわね。もうなってるか。> (p65) __この件り、坂口安吾の「アロハ論」の口調を思い出させるが、それは ともかく、1998年7月18日にビレッジセンター出版局から単行本として 出版された本が、15~16年経とうと、ちっとやそっとじゃ変わらない、 原発事故なぞすぐに忘れ、高度経済成長にしか頭が向かない、再生産され 続ける日本の近代の男(とそれを良しとする近代の女)を拒否するパワーを 持ち続けているのが、なんともかなしい、日本の私なのである。 (ちくま文庫 2003年3刷 J) 安倍晋三一派の教育改革国民会議(! 脳みそがないので有名な森喜朗が 映ってるじゃん!)の資料一覧を眺めると、お金をかけないで精神論だけで 戦争に勝つつもりだった無能集団、日本陸軍の伝統がなお生きていることが 如実に示される。馬鹿は死して大気中に馬鹿の遺伝子だけ残し、はびこる。 6月29日付け「東京新聞」朝刊に、集団的自衛権について悩む(? 無脳なのでまともに考えることができないだけに見えるのだが)茨城の 公明党市会議員(60代)の記事がある __ <「北朝鮮が米国を攻撃したような場合に、見て見ぬふりなどできない。」> __だって。 北朝鮮は旧大日本帝国と違ってリアリストだから、ミサイルを撃つのは アピールのためであって、相手から利益を引き出そうとする条件闘争者で あるのが、いい年をした男なのに(あえてセクシスト発言してみた)わから ない様子なのが、どうにもわからない。 安倍晋三からひと言、 「もし侵略されたら?」と言われただけで、うろたえる。 すぐ頭が戦闘モードに切り替わり、戦闘以前、戦争行為を避けるための あらゆる戦術戦略、つまり外交を考えないのが馬鹿たる所以で、60代の 彼もまた戦闘アニメで洗脳されてきたのか。
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by byogakudo
| 2014-07-07 15:10
| 読書ノート
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