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猫額洞の日々

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2014年 08月 15日

ローレンス・ブロック「冬を怖れた女」読了

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 Sは調香師 Lと待ち合わせて写真を撮りにいっている。暑いのに。

 第二作、「冬を怖れた女」(原題は" IN THE MIDST OF DEATH ")
では、警官時代のマット・スカダーが避けていたことを敢えてやる
刑事が出てくる。特別検察官に、警察の腐敗を訴え出る行為に走り、
ニューヨーク市警の嫌われ者になる。告発した途端、逆に、汚職刑事
だと、イギリス人娼婦から訴えられる。彼女から金をゆすったという件
は誰かに操られているらしい彼女の嘘だが、彼女を脅したか、あるいは
暗黙の了解の上でだか知らないが、彼女と寝たのは事実である。
 泥沼に陥った彼は身を隠してマット・スカダーに助けを求めるが、
彼が偽電話におびき出されている間に、イギリス人娼婦が彼の隠れ家
で死体で発見され、拘置される。

 何を望んで警察の腐敗を訴え出たか、いまひとつはっきりしない男
である。
< 「おれはただ[注:警察の腐敗に]背を向けて歩き去るなんてでき
 なかった。なんとかいい方向に向けたかった。すっかりよくならない
 にしても、少しだけでもよくしたいと思った。それで馘になるやつも
 出るだろう。気の毒だとは思うけど、でもそれは当然の報いだからな」 
 不意にどこかおどおどしたような笑みが彼の顔に浮かんだ。懸命に誠実
 そうに見せようとしている彼の顔に。>(p56)

<開放的で正直そうな顔だった。が、しばらく見ているうちに、それは
 見せかけだけだとわかった。彼は自分の顔を利用する術を心得ている
 ようだった。>(p45~46)

< 私はこの図体ばかりでかい豚野郎が好きになれなかった。もっとも
 それは[注:仕事を引き受ける]妨げにはならなかったが。実際私は、
 嫌いなやつや軽蔑しているやつのために働くほうがやりやすい。お粗末
 な結果しか出なかったとき、気が咎めるのがその分少なくてすむから。
 [略]
 私は、ジェローム・ブロードフィールド[注:助けを求めてきた刑事]の
 何が真実で何が嘘なのか、知りたくなったのだ。[中略]
 誰が、どのようになぜブロードフィールドを動かしているのか知りたく
 なったのだ。どうしてそんな気持ちになったのかはわからない。が、
 とにかく真相が知りたくなったのだ。>(p61)

 マット・スカダーは、現役のころ優秀だったのを再証明するように、
事件を明らかにする。捜査の最中に心惹かれる女性と出会い、酒も
控えてみようとし始めたのに、すべての努力をふいにするような
できごとが起きる。恋も破れ、マットはアル中の道をひたすらすべり
落ち、第三作「八百万の死にざま」になる、のか。
 シリーズものは、できるだけ書かれた順に従って読もう。と思っても
なかなかうまく行かない。

     (二見文庫 1994年5版 J)

 治療を始める前に言われたのは、2ヶ月かけて体力が落ちてゆき、
普段の6、7割の体力になる、という話だったが、3ヶ月経った現在、
実感としては5割だ。
 散歩したい、ひとと会ってお茶が飲みたい。だけど途中でエネルギー
切れになると分かるので、治療が一段落するまで、本を読んでゴロゴロ
するだけだ。
 ゴロゴロしながら本を読みつつ、掃除洗濯趣味を満足させ、毎日
片づけものをして本の部屋を整理し、自分の過去を象嵌する細々
したモノや紙片の立体インデックスを作りたい。いつか。





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by byogakudo | 2014-08-15 20:11 | 読書ノート | Comments(0)


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