2014年 08月 29日
Sは昔、M画伯邸の奥の部屋を借りていた。もう一室あり、そこには 服飾デザイナーのKが住んでいた。(後にKは、わたしが住んでいた 初台の部屋を借りた。) ある日、何の脈絡もなくKの本名を思い出した。 「ねえ、KはK・Mっていうんでしょ?」 「いや、本名は知らないよ」 「フルネームで、どんな漢字かまで思い出した」 むかしの友だちや知り合いは、通称(ストリート・ネーム)でしか 知らないひとが多い。ドラムスのBishopだって、戸籍名(しかも 姓だけ)を知ったのが二、三年前だ。 KことK・Mも、いきなり思い出して、すぐ忘れてしまい、別のある日、 Sがweb検索してみようと言い出すまで忘れていた。 彼、生きてる! 胃が1/3しか残ってなくても元気そうに仕事してる! 年月を経ていても、あのKの顔とスタイルだ。正しい漢字遣いで覚えて いたので、打ち込んだら、すぐ出てきた。パソコンはすごい。 二、三ヶ月前、たまたま、西江雅之とすれ違った。年格好から見て "あの"西江雅之だろう、あとで画像検索してみようと、そのときは 思ったのに、ずっとそのまま忘れていた。 弁解になるけれど、薬の副作用で、持続しない記憶(持続するから "記憶"か?)、実感のない記憶の持ち主になっているので、その場で やらないと、ずっと忘れたままになり、もう一度思い出して実行する まで、とても時間がかかる。やったことであってもやった記憶と実感 がない、不安を抱えて過ごす。 やっと今日思い出して検索する。やっぱり、"あの"西江雅之だった。 店をやっていた頃、始めて数年目くらいだったか、女性客と西江雅之の 書く日本語の魅力についてちょっとお話しした。二人とも彼のファンで、 西江雅之の日本語が発せられる地点や角度が不思議だ、ということを 話したのだった。 西江雅之の「気まぐれ日記」である「蝦蟇屋敷・談」を少し読む。 もっと著作が出ていてもおかしくないのに何故だろうと思っていたが、 つまりパソコンができないから原稿依頼がない、ということではないか。 なんてもったいない! 手書き原稿をパソコン上に起こす、専任の編集者 がひとり張りつけば、それですむのに、専任者ひとりの給料が出せない、 貧しい日本国のいま、なのだろう。あんまりだ。
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by byogakudo
| 2014-08-29 20:32
| 雑録
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