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猫額洞の日々

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2014年 09月 23日

スタージョン『マエストロを殺せ』VS『死ね、名演奏家、死ね』

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 シオドア・スタージョン「輝く断片」に入っている『マエストロを殺せ』
を若い方にお勧めした後で気になった。よかった記憶はあるけれど、どう
よかったのか、覚えていない。
 たしか、柳下毅一郎 訳『マエストロを殺せ』は、ビートニクなセンスが
すばらしかった筈である。つまらないスタージョンなんて、ないけれど。

 昨夜、再読。やっぱりかっこいいじゃないか。だいじょうぶ、お勧めして
正解。しかし「一角獣・多角獣」中の『死ね、名演奏家、死ね』(小笠原
豊樹 訳)が同じ作品だと解説にある。前に読んだとき、こちらは飛ばして
いたかもしれない。気になって、これも少し読んでみる。

 翻訳者がちがえば解釈と文体がちがい、印象がかなり変わる。1960年代
の翻訳・日本語の速度と、2000年代の翻訳とでは、スピードがちがう。
 翻訳者を育んできた音楽的環境の違い(圧倒的に今のほうが音にまみれて
生きてきただろう)が、ことにこの小説みたように音楽とジャズ・バンドの中で
物語が繰り広げられるとき、決め手になるだろう。柳下毅一郎 訳のビートを採る。
 表題作『輝く断片』(伊藤典夫 訳)の発熱する狂おしさは、もう何とも言い
ようがないし、ともかく読める限りのスタージョンを読んでくださいと言うしか
ない。もし何か一冊読んで、気にいったなら。

 「輝く断片」(河出書房新社 2005初 帯 J)
「一角獣・多角獣」(早川書房 2005初 帯 J)

 ああ、ベスター「願い星、叶い星」を読んでなかった! なんてことだ。





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by byogakudo | 2014-09-23 17:45 | 読書ノート | Comments(0)


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