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猫額洞の日々

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2014年 10月 26日

(1)高見順「敗戦日記」+(1)山本夏彦/久世光彦「昭和恋々」

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 ローレンス・ブロックからの切り替えに困っていたが、昨日「伊呂波文庫」
に行った。帰るさ「古本なべや」にも寄った。昨夜から戦前戦中の昭和、敗戦、
戦後昭和の日本、を読もうとしている。高見順は初めて読むし、山本夏彦・
久世光彦には興味がない__需要の点では理解する__のだけれど。

 「敗戦日記」に時たま顔を出す、がんばって仕事しなくっちゃ風、自己激励
には驚くが(無防備にナイーヴさをさらけ出すので、出版時に削らなくて良か
ったのかしらと心配になる。)、東京より空爆度が低かった鎌倉から度々、東京
に出かけて歩き回り、観察している。1945(昭和20)年、敗戦の年の元旦から
大晦日までの記録だ。

 1月5日:市ヶ谷の友人宅で空爆に遭う。静まってから北鎌倉の自宅に向かう。
<電車がなくなるからだ。外へ出ると真っくら、月はまだで、足もとが危い。
 こういう東京は支那から帰ってはじめてだ。靴をひきずりながら歩き、真っくらな
 東京のかわった姿に感慨を催す。 
  駅へ行くと、かすかに口を開いて扉がしめてある。なかも真っくらで、切符売場に、
 ほんのすこしの光、手探りで切符を買う。階段をおりるのが一苦労だった。歩廊
 (註=プラットホーム)も暗い。
  暗い電車がくる。客はまばらでしいんとしている。>(p9)

 1月9日:鎌倉駅に行くとき、頭巾をかぶった小学生を見て、
<一度かぶると暖かくてくせになる。ずっとこの風俗は残るかも知れない。
  風俗といえば、[中略]スカートと靴下という女の洋風姿は今ではほとんど
 全く見られなくなった。スカートの布地、靴下がないせいもあろうが、もんぺい
 又はズボン型の決戦服がすっかり普及した。これなど、後までも残るかも知れない。
 前の欧州大戦のとき、物資窮乏で欧州に短靴ができ、それがずっと残ったように。>
(p13)

 この調子で引用して行くと大変だから、適宜引用に止めるつもりだけれど、敗戦後、
物資が出回るようになってから、布地をたっぷり使うサーキュラー・スカートが流行った
のは、戦時中の反動だろう。「決戦服」なんぞ強制されたくないし、女らしさの強要で
スカートを穿きたくもない。
 <物資窮乏で欧州に短靴ができ>というのは、それまではブーツが主流だった、という
ことだろうか。靴の歴史を知らないので何ともいえないけれど。


     (高見順「敗戦日記」 中公文庫 2005初 J)
10月28日に続く~


 「昭和恋々 あのころ、こんな暮らしがあった」は項目毎にモノクローム写真入り。
    (山本夏彦/久世光彦「昭和恋々」 文春文庫 2003年3刷 帯 J)
10月27日に続く~





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by byogakudo | 2014-10-26 20:27 | 読書ノート | Comments(2)
Commented by saheizi-inokori at 2014-10-27 17:40
なんとなくいろんな人の敗戦日記を読んでます。
高見順も読もうかな。
「昭和恋々」も面白かったような記憶があります。
Commented by byogakudo at 2014-10-27 20:40
鎌倉と東京で、そんなにちがうのかと思いながら少しずつ
読んでいます。京都があまり激しく爆撃されなかったのと
同じ理由で、鎌倉も大空爆に晒されなかったのでしょうか?


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