2014年 11月 18日
![]() 文字は小さかったけれど、読み終えられた。 楽しかったか?__うーん、どうだろう? 退屈だった?__いや、そうでも。 技巧的で、それは楽しめるけれど、今のわたしの頭と うまくフィットしない作品群だった、ということなのか。 『カマルグの白い馬』に見られる、抒情的な怪奇風味、 メタ・ミステリの『次号予告』、『パリの密室』は発表当時 なら意味をもつトリックで支えられているのが弱点だろう。 タイトル作「エーゲ海の殺人」も怪奇と抒情のミックスだ ...。 そうか、その後に続々出てくる競馬ものが苦手だったことが、 フィットしなかった原因か。犬が出てこようが馬だろうが、登場 動物に影響されて読めなくなるというのも、ヘンだが、どうやら ヒト以外の哺乳類が登場すると、動物小説(?)が苦手だった 子ども時代を思い出すのか、ノレなくなる。 競馬にも興味がない...。 賭け事というので連想してみるが、パチンコやスロットが舞台の 小説にノレるだろうか? 実作に基づかないで、抽象的なことを 言ってもしかたないが、小説全体との絡みで、効果的に使われて いるかどうかの問題だ、基本は。 長くないミステリで競馬と競馬場が主題なのが、ちょっと辛いのか。 ルーレット場が舞台のノアールだったら? 面白く書けてるノアール かどうかを考慮外にして、競馬場よりは、無理なく物語に入れそうだ。 (屋外より室内描写が好ましい質も影響している?) 『パリの密室』の中で、ミステリ作家が女性編集者に答える。 < 「[略]トリックの二番せんじはいただけないって説だけど、その問題 については、ぼくは佐野洋氏の意見に賛成なんだよ。トリックはいくら 模倣しようとかまわない。それを先人よりもすぐれた形で生かすならば、 という意見にね。[以下略]」>(p63) 「トリックよりもレトリック」という、都筑道夫の至言があったが、都筑 道夫はまだ忘れられたミステリ作家の位置づけのままかしら? 死後、急速に忘れ去られた印象が強い作家だ。彼の死を待っていたかの ように、ミステリの出版関係者全員が無言で一致して、忘れられた作家に してしまったように、部外者としては感じるが。 都筑道夫・最晩年の怪奇小説は、書けなくなった作家みたような感じだ けれど、ミステリ批評家として実作者として、ベーシックを提示してくれた 小説家だと思う。それとも、あの論理性が気ぶっせいなものを周囲に与えて いた、ってことかしら? (石川喬司「エーゲ海の殺人」 旺文社文庫 1986初 J)
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by byogakudo
| 2014-11-18 20:36
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