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猫額洞の日々

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2014年 11月 24日

レジナルド・ヒル「ソ連に幽霊は存在しない」ほぼ読了

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 いま気がついたのだが、レジナルド・ヒルとコリン・デクスターを
ごっちゃにしていた。ダルジール警視とパスコー部長刑事の名前だけ
知っていて、どうも本文は読んでなかったようである。
 どおりで、ダルジール警視もののメタ・ミステリである『踏みにじ
られて』を読んでも__急いでつけ加えれば本書は短篇集。__
ピンと来ないはずである。(もっとも、記憶障害で覚えてないから、
という理由も大いに考えられるが。)

 けして推理することなくミステリを読み進めるのをモットーにして
いるのに、どうしたことだ、話の行き先が見える物語ばかり続き、
しかも予想通りの展開が広がり、着地してしまう。これは困った。
約束が違うじゃないか、ともいえないし。

 ジェイン・オースティン「エマ」の後日譚である『かわいそうなエマ』は
まあ好きか。幸福な結婚のその後は、いかに退屈な日常に耐えて生きるか
であるけれど、『かわいそうなエマ』では全編、全員、将来への備え、即ち
お金の話しかしない。お体裁ぶった紳士階級・ブルジョアへの批判とも読める
けれど、身も蓋もない、実録「田園小説」が書きたかったのかしら?

 表題作『ソ連に幽霊は存在しない』では、ほんとに何の説明も解釈もなく、
幽霊を登場させていながら、無理のないストーリーになっているのが巧い。

 短篇ミステリで、わたしは気の利いたオチに興味がないのだと分かった。
せっかく作者が見せ場を作っているのに、そんなこと、どうでもいいや、と
思うのでは、うまい短篇集の存在理由を否定するようなものだ。ひどい読者。

 ローレンス・ブロック欠乏症に陥り、短篇集を注文してしまったのだが、
こんな調子で大丈夫かなあ。

     (レジナルド・ヒル/嵯峨静江 訳「ソ連に幽霊は存在しない」
     HPB 1990初 帯 VJ)





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by byogakudo | 2014-11-24 19:48 | 読書ノート | Comments(0)


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