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猫額洞の日々

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2014年 12月 09日

「ローレンス・ブロック傑作集 2 バランスが肝心」読了

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~12月06日から続く

 短篇集の読み方が下手になっているのか、一つの短篇から次の
短篇に移るとき、小説世界への出入り速度が遅くなっている。
頭がなかなか切り替わらない。老化だ、きっと。

 「ローレンス・ブロック傑作集 2 バランスが肝心」では他に、
要約不可能な奇妙な味の『安らかに眠れ、レオ・ヤングダール』
(田口俊樹 訳)と、作家論の『最期に笑みを』(田口俊樹 訳)が
好みだろうか。

 ネロ・ウルフものへの敬意をこめたパスティーシュでありメタ・
ミステリの『マロリイ・クイーンの死』(芹澤恵 訳)、O・ヘンリー
『赤い酋長の身代金』の主人公を、はねっかえりのハイティーン
少女に替えたような『風変わりな人質』(田口俊樹 訳)などもあり、
ローレンス・ブロックは器用だけど貧乏でないことを証明する。

 これだけ短篇が巧くないと、殺し屋ケラー・シリーズみたように、
ほとんど殺し屋の日常生活の描写じゃないかと、読者は思いながらも、
つい読み進んでしまうようなスタイルで長篇一冊が終わる、なんて
芸当はできないだろう。

 『人生の折り返し点』と『安らかに眠れ、レオ・ヤングダール』とが
第2巻の個人的ヴェリー・ベスト。スタイル、そのものだ。

     (ローレンス・ブロック/田口俊樹 他・訳 「ローレンス・ブロック傑作集 2
     バランスが肝心」 ハヤカワ文庫1993初 J)





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by byogakudo | 2014-12-09 18:33 | 読書ノート | Comments(0)


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