2014年 12月 19日
1992年といえば今から22年前、もうすぐ23年前と言わなければ ならず、1995年でも、もうじき20年前の話になる。わたしは何を していたかしら。1980年代半ばから S と暮して、あのバブル経済期 を息をひそめるように過ごし、そして90年代って何だったか? 小林信彦「コラムの冒険」を読んで改めて思い出すのは1995年 がオウム事件に始まり、阪神淡路大震災が続いた年であり、それは そのまま2011年3月11日に通じてしまったのではないか、と。 そしていつの間にか、気分はもう戦前。いま、現役の若い世代が 生まれ育ったのは、こういう時代だ。生まれてくる時や場を選ぶこと はできないけれど。 『No.60 金子信夫の死』より引用。 < 金子信夫が一月二十日に細菌性敗血症で亡(な)くなった。七十一歳 だから、今にしては若い。 阪神大震災の直後にしては、東京の新聞の扱いはまあまあだった。 先日、入江たか子が亡くなったとき、<化猫女優>のことばかりで、 「椿(つばき)三十郎」の奥方役で黒澤明がカムバックの敬意をはらった ことが一行もないのにびっくりしたが、 [以下略] 金子信夫の名が映画ファンの目についたのは黒澤明の「生きる」 (一九五二年)で志村喬(たかし)の軽薄な息子を演じたあたりからで、 当時は文学座の二枚目であった。もっとも、二つ年下の大泉滉(あきら) だって、杉村春子を相手にクリスチャン(「シラノ・ド・ベルジュラック」) を舞台で演じたのだから、<文学座の二枚目>は比較的アテにならない。> (p211) 最期の行、三島がこれを使わない手はないと述べたと覚えているが、 日本の新劇の不可思議さ、を想像してみて(演劇をほとんど見たことが ないので)、わたしの日本語は翻訳小説の日本語由来だったと思う。 もしも不幸にして生まれ変わる破目になったら、それが日本人の女 だとしたら、外国語に強いか、あるいは日本語文学を読んで育った女で あることを願う。もしも前世を思い出すことができたら、全くちがう 日本語センスで前世を生きてきた、と面白がれるだろう。 (小林信彦「コラムの冒険 _エンタテインメント時評 1992-95_」 新潮文庫 1996再 J)
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by byogakudo
| 2014-12-19 22:12
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