2015年 01月 13日
この間から、ときどき「井伏鱒二対談集」を読んでいるが、日本の 近代文学と作家たちについて殆ど何も知らないので、前に業績を知ら ないのに「哲学、女、唄、そして…―ファイヤアーベント自伝」を 読んで隔靴掻痒であったのと、似たような感触である。 小説を読むのは好きだけれど、翻訳されたミステリが大半なので、 井伏鱒二は読んだ記憶がないし、対談相手は、永井龍男・開高健を それぞれ1、2作読んだだろうか。 宇野浩二「夢みる部屋」(これは佐藤春夫「西班牙犬の家」と同じく 建築ファンタジーだ)とか、律儀なヒューマーの広津和郎「同時代の 作家たち」とか楽しかった近代文学もあるので、「私小説」と呼ばれる ジャンルにも、読んでみれば面白がれる作家がいるだろうとは予測できる けれど、「井伏鱒二対談集」で作家の人柄のようなものが伺われるが、 じゃあ、この作家を読んでみようと思う作家がまだ出てこない。 近代の男は、その自意識や女に対する他者意識の確立されなさ加減やらで、 鬱陶しいという思いを覆すどころか強化しそうな気配だ。 河上徹太郎との対談で、河上徹太郎と母親との甘えぶり・甘やかしぶりが 披露され、それに刺激された三好達治が、旅行の途中で自分の母親に会いに 行く話が、当然といった感じでさらっと話されている辺り、大丈夫か、こいつらと、 わたしは思うけれど、たぶん、この時代の男たちだったら、母親思慕が問題視 されるとは信じられないだろう。だが、油断し過ぎていないか? 手放しで母親 讃歌しちゃって、作家たるもの、かまわないのか? (井伏鱒二 他「井伏鱒二対談集」 新潮文庫 1993初 J) 1月14日に続く~ この後に引用するのは場違いで失礼極まりないことだけれど、今朝読んだ 鈴木創士氏のツイッターが、文体といい、タイミングといい、鮮やかに状況を 一閃して、すばらしい。 2015年1月12日 <いや、恐怖政治、つまりテロリズムという言葉、理念、実践を発明したのは、 イスラム過激派ではなく、フランス革命、つまりフランス人ですよ。> https://twitter.com/sosodesumus/status/554624111516090369
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by byogakudo
| 2015-01-13 21:07
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