2015年 01月 17日
あれから20年経つ。鉄筋コンクリート造のビルや高速道路がねじれて 潰れ、木造モルタル造の小さな民家は押しつぶされ、あるいは火の中に 失われた。 東京から建築関係の学者たちが、大地震による建造物の破壊の調査に 行こうとしたが、竹中工務店は、すでに自社が建設して倒壊したビルを 片づけていた、という話を聞いた記憶がある。片づけなければ道路が 使えず、物資が運び込めない。必要な措置ではあっただろうが。 夕方のTVニュースで震災を悼む催しの様子が放映される。きれいな (と一般形では言われるだろう)メロディの鎮魂の歌を、混声合唱団が 歌うシーンが、どうにも耐えられない。 式典のプロデュースはどこが請負ったのだろう、電通? 博報堂? と考えてしまうのは性格がよくないからだが、簡単にかたちにしたり、 言葉にしたりする出来事なのか。 かたちにしたり言葉に出さなければ思いは伝わらないけれど、思いと、 言葉や行為との間にある果てしない遠さを意識しなかったら、儀式は 空っぽで、むしろ死者への冒瀆にもなりかねない。それが分かってなお、 言葉は欠かせないのだが。 清らなメロディの混声合唱に違和感を覚え、慰霊祭の必要性は認めても その形式を拒否するのは、S によれば、音感がちがうから、どうしようも ないのだ、と。音感の違いが言葉の違い、表現の違いを発動する。 「絆」も「癒し」も断るが、わたしもまた死者たちを悼み、傷ついて 生き延びた人々を思う。
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by byogakudo
| 2015-01-17 20:49
| 雑録
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