2015年 05月 18日
~5月15日より続く 風俗小説、建物小説として読んでいた。連続殺人事件の被害者には、 第二京浜、環七近くの公団住宅住まいの男もいたし、作家の仕事場も 出てくる。 <白谷慶介[注:作家]の仕事場は、マンションの六階にあった。いわゆる ワンルーム形式の部屋で、仕事机、シングル・ベッド、接客用の肘掛椅子 などが、一見無造作に配置されていた。しかし、その配置は、かなり考え 抜かれたものかもしれない。その狭い空間を移動する白谷の立居振舞には 無駄がなく、いかにも便利そうであった。 白谷は、サイフォンでコーヒーを入れてくれた。>(p191) 自宅の洋風応接間で、 <タートル・ネックのシャツに、ガウンを着、パイプ煙草を喫っていた> (P119~120)元・裁判官で現在は弁護士の男など、愛嬌あるファッションだ。 そういうところばかり読んでいたが、謎解きが終わった後がすごい。「女か 虎か」ではなく、「女か女か」で終わる。主人公は、美人秘書か、昔なじみで よりを戻した看護婦か、どちらかを選ばなければならない立場に追いこまれる。 (佐野洋「同名異人の四人が死んだ」 講談社文庫 1978初 フェア帯 J)
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by byogakudo
| 2015-05-18 18:17
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